反日の根拠(覚書) 『反日・愛国の由来』 呉善花
中華思想
中華思想に基づいて成立する世界秩序が華夷秩序であり、夷族の王と支那皇帝との間に君臣関係を結んで間接支配するシステムが朝貢体制である。
朝貢は定期的に支那皇帝に規定の貢物を献納し、支那皇帝がそれを受け取って夷族の王を認知することを言う。この支那皇帝による国王認知が冊封である。
この朝貢関係の持続によって、支那帝国とその国との宗主国・属国の関係を維持していくことが華夷秩序に基づいた朝貢体制である。
小中華を自負する李朝
ところが、李朝にとって蔑視すべき夷族である女真族が明を滅ぼして、支那に清朝を開くにいたる。李朝は現実的には蔑視すべき清朝に事大しながら、同時に内面的には清朝を蔑視し続けた。
「支那が夷狄化した以上、正統な中華主義を奉ずるのはもはやわが国にしかない」という認識から、世界で唯一の“中華”の正統な継承者であることを、大きな誇りとするようになった。これが李朝特有の小中華主義思想である。
この現実と理念の乖離は、李朝末期に自らがどんな国際状況下に置かれているかをまったく見えなくさせてしまう。今日の韓国と北朝鮮が自国をことさら誇示し、日本を道徳的に一段低く扱おうとするのも、まったく同じ症状の現れである。
同時に、北朝鮮は李朝的専制体制を“社会主義的専制”に、蔑視すべき夷狄の文化を韓国の受け入れた“自由主義”に置き換えて、韓国に対して小中華の立場をとっているのは滑稽な現象である。
本書の中で筆者は、韓国の反日政策の根拠に対して、日本人の陥りやすい考え違いを指摘している。それは、日本の“植民地政策”それ自体への批判から遂行されたものではないという点である。これはその通りであると思う。反日政策の根拠は日本人の行為にあるのではなく、彼らの思想そのものにあるということである。その思想とは小中華主義であり、つまり、日本人は〈高等な〉中華によって感化・訓育を施されるべき〈劣等な〉夷族であるという観念である。
その“夷族”が、こともあろうに小中華に対して“植民地支配”を行うという間違いを犯したと決めつけ、日本民族を「侵略的かつ野蛮な民族的資質」を持つ“夷族”であるという観念を新たにして“反日”を国是まで高めたのである。






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自らが世界の中心にあり、その中心から遠ざかれば遠ざかるほど野蛮な夷族たちの世界が広がる。こうした世界に安定した秩序を生み出すには、世界の中心すなわち文化の中心にある〈高等な〉中華が、周辺の〈劣等な〉夷族たちに文化・道徳を与えて感化・訓育し、中華世界の支配下に組み入れていく必要がある。 |
中華思想に基づいて成立する世界秩序が華夷秩序であり、夷族の王と支那皇帝との間に君臣関係を結んで間接支配するシステムが朝貢体制である。
朝貢は定期的に支那皇帝に規定の貢物を献納し、支那皇帝がそれを受け取って夷族の王を認知することを言う。この支那皇帝による国王認知が冊封である。
この朝貢関係の持続によって、支那帝国とその国との宗主国・属国の関係を維持していくことが華夷秩序に基づいた朝貢体制である。
小中華を自負する李朝
小が大に仕えることを〈事大〉という。明朝に事大した李朝は、明朝と文化的同一性を持った“小中華”であるという自負を抱くようになる。明朝が自らを中華とし李朝を含む周辺を野蛮と見たように、自らを第二の中華としてその周辺を野蛮と考えた。 |
ところが、李朝にとって蔑視すべき夷族である女真族が明を滅ぼして、支那に清朝を開くにいたる。李朝は現実的には蔑視すべき清朝に事大しながら、同時に内面的には清朝を蔑視し続けた。
「支那が夷狄化した以上、正統な中華主義を奉ずるのはもはやわが国にしかない」という認識から、世界で唯一の“中華”の正統な継承者であることを、大きな誇りとするようになった。これが李朝特有の小中華主義思想である。
この現実と理念の乖離は、李朝末期に自らがどんな国際状況下に置かれているかをまったく見えなくさせてしまう。今日の韓国と北朝鮮が自国をことさら誇示し、日本を道徳的に一段低く扱おうとするのも、まったく同じ症状の現れである。
同時に、北朝鮮は李朝的専制体制を“社会主義的専制”に、蔑視すべき夷狄の文化を韓国の受け入れた“自由主義”に置き換えて、韓国に対して小中華の立場をとっているのは滑稽な現象である。
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その“夷族”が、こともあろうに小中華に対して“植民地支配”を行うという間違いを犯したと決めつけ、日本民族を「侵略的かつ野蛮な民族的資質」を持つ“夷族”であるという観念を新たにして“反日”を国是まで高めたのである。


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