欧米人のうらやむ日本(覚書)『日本人の背中』 井形慶子
今回私が読んだのはこの文庫版じゃなくて2008年初版のサンマーク出版が出したもの。この6年間でも、”日本”に関する一般的論調には微妙な変化が生まれているように思う。
日本人自身が日本を積極的に評価していこうとする風潮は、この6年間でもだいぶ強まった。それ自体悪いこととは思わない。その傾向の中で行き過ぎや事実に基づかないものを抑えていくというのが自然な姿だと思う。
当然のことながら書き手は、その時々の社会的風潮を前提にしてものを書く。同じ人間が同じことを訴えようとしても、社会的風潮が異なれば、各内容にもそれが現れる。そんなことを原因とするであろう微妙な感覚的ズレが、この本には感じられる。・・・間違えないでね。著者の言ってることがズレてるってことじゃないからね。
・・・私がこの本に感じた、”今”との微妙なズレの背景には、この本が書かれた年、2008年。3・11以前の本だということがあるように思う。あそこを起点に、やはり日本人は変わった。自分自身を捉え直そうとしているように思う。そうしようとした時、あまりにも見過ごされてきた自分たちの特殊性、特に外から見て“うらやまれる”点に関心が集まるのはごく自然。つまり、“日本人による日本人の再評価”。
それを考えた時、本書でそれに当たるのが、第1章の『欧米人のうらやむ日本』なんだけど、だいぶ遠慮がちに書かれているように感じてしまう。今なら、それこそ第1章をより詳しく、より様々な事例をあげることで一冊の本にするほうが、読者の関心を引けたんじゃないかなって思う。
第1章の項目を見ても、今は常識となっている様々な日本初の文化を先んじて取り上げている。書き様によっては、これだけで一冊の、内容豊富な本になったろうと思う。
もちろん本書はそれだけを目的にした本ではない。好き嫌いにかかわらず国際化する世界において、その世界とそれぞれの立場で関係して、私たち日本人は生きていく。その日本人に、日本人にも誇るべき数々の美点があること、またちょっとした意識の改良でさらに日本人の世界が広がっていくことを訴えている。もちろんその点で捕らえてみても、価値の高い本だとは思う。
ただし、部分、部分、「ここは著者の考え方は違うんじゃないかな」って思うところがあった。そんな点について、あとでもう一度、この本の記事を書くことになると思う。







一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
日本人自身が日本を積極的に評価していこうとする風潮は、この6年間でもだいぶ強まった。それ自体悪いこととは思わない。その傾向の中で行き過ぎや事実に基づかないものを抑えていくというのが自然な姿だと思う。
当然のことながら書き手は、その時々の社会的風潮を前提にしてものを書く。同じ人間が同じことを訴えようとしても、社会的風潮が異なれば、各内容にもそれが現れる。そんなことを原因とするであろう微妙な感覚的ズレが、この本には感じられる。・・・間違えないでね。著者の言ってることがズレてるってことじゃないからね。
![]() | 『日本人の背中』 井形慶子 (2010/10/20) 井形 慶子 商品詳細を見る 欧米人はどこに惹かれ,何に驚くのか |
第1章 欧米人のうらやむ日本 第2章 欧米人の不思議がる日本 第3章 自信の持てない日本人 第4章 日本人が尊敬されるために 第5章 これからどうなる日本人 |
それを考えた時、本書でそれに当たるのが、第1章の『欧米人のうらやむ日本』なんだけど、だいぶ遠慮がちに書かれているように感じてしまう。今なら、それこそ第1章をより詳しく、より様々な事例をあげることで一冊の本にするほうが、読者の関心を引けたんじゃないかなって思う。
第1章 欧米人のうらやむ日本
|
第1章の項目を見ても、今は常識となっている様々な日本初の文化を先んじて取り上げている。書き様によっては、これだけで一冊の、内容豊富な本になったろうと思う。
もちろん本書はそれだけを目的にした本ではない。好き嫌いにかかわらず国際化する世界において、その世界とそれぞれの立場で関係して、私たち日本人は生きていく。その日本人に、日本人にも誇るべき数々の美点があること、またちょっとした意識の改良でさらに日本人の世界が広がっていくことを訴えている。もちろんその点で捕らえてみても、価値の高い本だとは思う。
ただし、部分、部分、「ここは著者の考え方は違うんじゃないかな」って思うところがあった。そんな点について、あとでもう一度、この本の記事を書くことになると思う。


- 関連記事
-
- 『古事記』 みのお ひなせ (2014/04/28)
- 『日本人の背中』 井形慶子 (2014/04/27)
- 欧米人のうらやむ日本(覚書)『日本人の背中』 井形慶子 (2014/04/25)
- 『おうちで楽しむ日本の行事』 広田千悦子 (2014/04/20)
- 内田樹(覚書)『一神教と国家』 内田樹・中田考 (2014/03/31)