サードマン『ヒトは7年で脱皮する』 黒川伊保子
「人の噂も四十九日」って言って平然としていた芸能人がいたな。
そんなことは、どうでもいいんでした。この本の中に四十九日の話題が出てくるんです。『ヒトは7年で脱皮する』っていう題名の本ですからね。“さもありなん”というところです。
“七”は、身近のところにたくさんありますね。七日一セットで一週間。もともとは一神教の神様が天地を創造するところに由来しますが、一神教もオリエントの古代宗教をもとに成立してくるわけですから、“七”が特別な数字であるのは、もっと起源が古そうです。
それに、仏教でも“七”は特別ですよね。死者があちらの世界に旅立ってから、初七日、二七日と進んで、七・七、四十九日。四十九日で故人が次の世に、どんな世界に行くか、どんな姿で行くかが決まり、旅立っていくんだそうです。残された家族も、この日までは忌中として、この日までは結婚式の祝い事や神社への参拝は控えたりしますね。
七が二つ重なって四十九日ですからね。やはり、仏教にとっても“七”は重要な意味を持ってるわけです。まあ、ヘレニズムの混沌の中で、仏教にもオリエントが流れ込んでることは十分に考えられますので、さして不思議がることではないかもしれません。
いや、その四十九日というのがね。最初の七日間。次の七日間、そのまた次の七日間と、少しずつ故人を諦めていく、その状況に心や体を適合させていくのに期間だというのです。私たちの神経系の中に、その七日のリズムが刻まれているというんです。
そう言われてみると、・・・どうでしょうね。私も還暦手前ですから、これまでに身近な人を何人も失いました。耐えられないと思った悲しみも、消えるとか、薄れるとかじゃないんだけど、心や体が納得していくんですよね。四十九日の法要とも慣れば、落ち着いた気持ちで遺影に向かうこともできるようになります。
たしかに、・・・私の中にも、七日のリズムがあるのかもしれません。


『太陽のかけら』という本を読んでいるんです。二〇一五年に北海道の黒岳というところで滑落死した谷口けいさんの生き様を一冊の本にしたものです。
その本のことは後でまた紹介するとして、その中で、かつて谷口けいさんとともにカラコルムのシスパーレという山に挑んだ平出和也さんの話が出てくるんです。二人は何度も難しい山に挑戦して、優れた活動をした登山家に与えられるピオレドール賞を受賞しています。
二人のシスパーレへの挑戦は、その時は成し遂げられずに終わっています。そして、二〇一五年に谷口けいさんが亡くなったあと、平出さんは中島健郎さんとともに、シスパーレに再挑戦して、登頂を成し遂げています。
その様子はテレビで放映されました。私も見ましたが、これまでに見た山岳映像の中で一番すごかった部類です。平出さん自身、登頂途中で、「これまでで一番つらい」ともらしています。その時、平出さんは、もうひとりの存在を感じていたんだそうです。・・・サードマンですね。
極地探検、海難事故による漂流、大災害などの現場で、人が命に関わる極限状態に直面した時、姿は見えないものの、たしかに誰かがいると言う感覚を持つことがあるんだそうです。それがサードマンと呼ばれる現象です。なかには、そのサードマンから激励や、生存のための具体的な支持を受けたケースもあるそうです。
平出さんはシスーパーレ山頂を前にして、極限状態におちいったとき、サードマンの出現を感じたんです。しかも、平出さんが見ていたサードマンは、“いる”という感覚だけではなく、実在感を持って目の前に現れたそうです。そう、谷口けいさんです。サードマンとなって現れたけいさんは、平出さんを山頂まで導いたそうです。
この『ヒトは7年で脱皮する』という本に書かれてるんですが、人の脳には、そこにいない人の波動、それは声、息遣い、匂い、触感といったものの記憶が残っていて、何かの折に脳神経回路を刺激して、まさにその人がそこにいるように感じさせるじゃないかというのです。
たしかに、なんだか納得できます。それが脳なのか、身体そのものなのか分かりませんが、人間にはまだまだ解き明かされていない、不思議な記憶機能があるのかもしれないですね。
一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
そんなことは、どうでもいいんでした。この本の中に四十九日の話題が出てくるんです。『ヒトは7年で脱皮する』っていう題名の本ですからね。“さもありなん”というところです。
“七”は、身近のところにたくさんありますね。七日一セットで一週間。もともとは一神教の神様が天地を創造するところに由来しますが、一神教もオリエントの古代宗教をもとに成立してくるわけですから、“七”が特別な数字であるのは、もっと起源が古そうです。
それに、仏教でも“七”は特別ですよね。死者があちらの世界に旅立ってから、初七日、二七日と進んで、七・七、四十九日。四十九日で故人が次の世に、どんな世界に行くか、どんな姿で行くかが決まり、旅立っていくんだそうです。残された家族も、この日までは忌中として、この日までは結婚式の祝い事や神社への参拝は控えたりしますね。
七が二つ重なって四十九日ですからね。やはり、仏教にとっても“七”は重要な意味を持ってるわけです。まあ、ヘレニズムの混沌の中で、仏教にもオリエントが流れ込んでることは十分に考えられますので、さして不思議がることではないかもしれません。
いや、その四十九日というのがね。最初の七日間。次の七日間、そのまた次の七日間と、少しずつ故人を諦めていく、その状況に心や体を適合させていくのに期間だというのです。私たちの神経系の中に、その七日のリズムが刻まれているというんです。
そう言われてみると、・・・どうでしょうね。私も還暦手前ですから、これまでに身近な人を何人も失いました。耐えられないと思った悲しみも、消えるとか、薄れるとかじゃないんだけど、心や体が納得していくんですよね。四十九日の法要とも慣れば、落ち着いた気持ちで遺影に向かうこともできるようになります。
たしかに、・・・私の中にも、七日のリズムがあるのかもしれません。
『ヒトは7年で脱皮する』 黒川伊保子 朝日新聞出版 ¥ 810 脳周期(ブレイン・サイクル)、「7年目の浮気」さえも理論づける、ブレを許さぬ脳の働きとは |
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『太陽のかけら』という本を読んでいるんです。二〇一五年に北海道の黒岳というところで滑落死した谷口けいさんの生き様を一冊の本にしたものです。
その本のことは後でまた紹介するとして、その中で、かつて谷口けいさんとともにカラコルムのシスパーレという山に挑んだ平出和也さんの話が出てくるんです。二人は何度も難しい山に挑戦して、優れた活動をした登山家に与えられるピオレドール賞を受賞しています。
二人のシスパーレへの挑戦は、その時は成し遂げられずに終わっています。そして、二〇一五年に谷口けいさんが亡くなったあと、平出さんは中島健郎さんとともに、シスパーレに再挑戦して、登頂を成し遂げています。
その様子はテレビで放映されました。私も見ましたが、これまでに見た山岳映像の中で一番すごかった部類です。平出さん自身、登頂途中で、「これまでで一番つらい」ともらしています。その時、平出さんは、もうひとりの存在を感じていたんだそうです。・・・サードマンですね。
極地探検、海難事故による漂流、大災害などの現場で、人が命に関わる極限状態に直面した時、姿は見えないものの、たしかに誰かがいると言う感覚を持つことがあるんだそうです。それがサードマンと呼ばれる現象です。なかには、そのサードマンから激励や、生存のための具体的な支持を受けたケースもあるそうです。
平出さんはシスーパーレ山頂を前にして、極限状態におちいったとき、サードマンの出現を感じたんです。しかも、平出さんが見ていたサードマンは、“いる”という感覚だけではなく、実在感を持って目の前に現れたそうです。そう、谷口けいさんです。サードマンとなって現れたけいさんは、平出さんを山頂まで導いたそうです。
この『ヒトは7年で脱皮する』という本に書かれてるんですが、人の脳には、そこにいない人の波動、それは声、息遣い、匂い、触感といったものの記憶が残っていて、何かの折に脳神経回路を刺激して、まさにその人がそこにいるように感じさせるじゃないかというのです。
たしかに、なんだか納得できます。それが脳なのか、身体そのものなのか分かりませんが、人間にはまだまだ解き明かされていない、不思議な記憶機能があるのかもしれないですね。

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