「戦後教科書から消された文部省唱歌」 濤川栄太
最近読んだ本といっても、新しい本ではありません。
1997年に発行された本です。
以前にも書きましたが、私は定時制高校での授業の中で、生徒たちが「かあさんの歌」を知らないことに愕然としました。
それが、あらためてこの本を手にした理由です。
私は終戦から15年経った昭和35年生まれ。
昭和40年代に小学生時代を過ごしました。
自分は唱歌を知っているつもりでしたが、この本を読んでみて、私でも知らない歌が多々あることに驚きました。
唱歌から切り離された世代。
私の時代にはすでに始まっていたのです。
それでも、ふるさとである秩父が、当時はあらゆることで世の流れから10年は遅れていたであろうこと。
大家族で、叔父、叔母似まで囲まれて生活していたことなどから、今でも歌われることのある歌は、唱歌のみならず、軍歌も含めて歌うことができます。
唱歌の歌われることのあまりにも大きな価値、同時にそれが失われたことのあまりにも大きな損失は、私などが言うまでもないことであって、ここで本書に書かれている内容を紹介するにもおよばないと思います。
ただ、なぜそうなったのか。
誰がそうしたのか。
今後も、いろいろと検証し、明らかにしていきたいと思います。
本書には、戦前と戦後の教育について、このように述べられている部分があります。
いま、戦前の教育というと、全て軍国主義教育だという図式になってしまっている。それは大きな誤りだ。もちろん軍国主義教育の色が濃くなった時期もあったが、決してそれだけではなかった。たとえば「正義感」「親孝行」「勇気」「勤勉」「節約」「誇り」といったような、人間として基本的にたいせつなことを、ていねいに教えていたのである。そういうことを教えられた人たちが、戦後黙々と働いてくれたおかげで、今の繁栄があるのだ。しかし、戦後民主主義教育で育った人たちはどうだったろうか。もちろんすべての人がそうというわけではないが、何かにつけてアメリカを手本とし、企業活動は金儲け第一主義に走り、バブルにおどり、はては企業ぐるみの犯罪を犯す。また親をないがしろにし、教師をバカにし、人間としてあたり前の礼儀も知らない。最近の少年犯罪の増加は、目を覆うばかりだ。
一点誤解に基づく部分もあるが、これははたして「年寄りの小言」で片付けていいことでしょうか。
本書は、『消された唱歌』を通して、日本の戦後教育のあやまりとあるべき将来への道しるべとなる良書であると思います。

1997年に発行された本です。
以前にも書きましたが、私は定時制高校での授業の中で、生徒たちが「かあさんの歌」を知らないことに愕然としました。
それが、あらためてこの本を手にした理由です。
私は終戦から15年経った昭和35年生まれ。
昭和40年代に小学生時代を過ごしました。
自分は唱歌を知っているつもりでしたが、この本を読んでみて、私でも知らない歌が多々あることに驚きました。
唱歌から切り離された世代。
私の時代にはすでに始まっていたのです。
それでも、ふるさとである秩父が、当時はあらゆることで世の流れから10年は遅れていたであろうこと。
大家族で、叔父、叔母似まで囲まれて生活していたことなどから、今でも歌われることのある歌は、唱歌のみならず、軍歌も含めて歌うことができます。
唱歌の歌われることのあまりにも大きな価値、同時にそれが失われたことのあまりにも大きな損失は、私などが言うまでもないことであって、ここで本書に書かれている内容を紹介するにもおよばないと思います。
ただ、なぜそうなったのか。
誰がそうしたのか。
今後も、いろいろと検証し、明らかにしていきたいと思います。
本書には、戦前と戦後の教育について、このように述べられている部分があります。
いま、戦前の教育というと、全て軍国主義教育だという図式になってしまっている。それは大きな誤りだ。もちろん軍国主義教育の色が濃くなった時期もあったが、決してそれだけではなかった。たとえば「正義感」「親孝行」「勇気」「勤勉」「節約」「誇り」といったような、人間として基本的にたいせつなことを、ていねいに教えていたのである。そういうことを教えられた人たちが、戦後黙々と働いてくれたおかげで、今の繁栄があるのだ。しかし、戦後民主主義教育で育った人たちはどうだったろうか。もちろんすべての人がそうというわけではないが、何かにつけてアメリカを手本とし、企業活動は金儲け第一主義に走り、バブルにおどり、はては企業ぐるみの犯罪を犯す。また親をないがしろにし、教師をバカにし、人間としてあたり前の礼儀も知らない。最近の少年犯罪の増加は、目を覆うばかりだ。
一点誤解に基づく部分もあるが、これははたして「年寄りの小言」で片付けていいことでしょうか。
本書は、『消された唱歌』を通して、日本の戦後教育のあやまりとあるべき将来への道しるべとなる良書であると思います。

