めんどくせぇことばかり 本 近現代日本
fc2ブログ

『日本で軍事を語るということ』 高橋杉雄

2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻により、「大国間大戦争」の時代が到来したことを、世界中が強く認識せざるを得なくなった。

グローバルなパワーバランスは変化し、米国の軍事力ももはや絶対的なものではなくなっている。北朝鮮が核・ミサイル開発を進め、中国が急速に軍事力の近代化を行うなか、日本も、安全保障や軍事について、より当事者意識を持たなければならなくなった。

「冷戦が終結し、大国間の協調によって世界を安定させることができると信じられていた1990年代初めから2000年代半ばまでの時代では、軍事力の役割は低下した」

これからはいい時代になりそうだと思った。テロに内戦、地域紛争はあっても、大きな戦争を起こせる時代は完全に終わったと、そう思っていた。

2000年代の後半、爆発的な経済成長を背景にシナが台頭し、石油や天然ガスの輸出収入をベースにロシアが再び起ち上がってきた。時を同じくして、米国のイラク・アフガニスタンでも失敗、日米欧の経済不振によってパワーバランスが変化し、米国を単一の極とする世界システムが動揺した。

2014年、ロシアはウクライナ領クリミア半島を力で奪い取り、併合した。中国共産党は覇権への意思を隠さなくなり、台湾統一を声高に叫んで軍事的圧力を強化している。

日本に対しても、軍事的圧力によって尖閣諸島を奪い取ろうとしている現状がある。

それでも日本では、表だって軍事を語ることがタブー視されている。



スクリーンショット 2024-02-21 124221
中央公論新社  ¥ 1,925

一部の専門家だけでなく、国民全体が軍事に関する知識を持つことが必要となる
第1章 なぜ軍事の知識が必要なのか
第2章 現代における「戦争」
第3章 陸上戦を分析する
第4章 海上戦を分析する
第5章 航空戦を分析する
第6章 宇宙・サイバーや新興技術と軍事
終章 日本で軍事を考えるということ
スクリーンショット 2024-02-21 125009
軍事力の最も優れた使い方は、戦争を起こさないこと、つまり抑止力として機能させることである。抑止力を強化した上で、安全保障上の対立が戦争にエスカレートしないよう、危機管理に取り組んでいかなければならない。

そのためには、一部の官僚や専門家だけでなく、国民全体がある程度の軍事に関する知識を持つことが必要となる。防衛費の大幅な増額が決まったが、戦争を抑止するために自衛隊は適切に整備され、運用されているのか? それを検証し、必要があれば別の意見を提示する。

納税者である国民が、自分たちでも創造的に政策の在り方を考えていかなければならないときに来ている。日本でも、軍事を考えることが必要になってきているのである。

現在、自民党の体たらくを見ていれば、憲法改正など夢のまた夢に思える。かりにその論義が始まっても、今の自民党が憲法改正得に手をつけても、内容は後退するばかりだろう。いち早く自公政権を終わらせ、保守派政治家を政治の表舞台に立たせなければならない。

広島サミットにおいて岸田首相は、唯一の被爆国として、核のない世界を目ざすという無意味な主張をしていた。唯一の被爆国として、現状、日本が主張すべきことは、だからこそ、日本には核武装する権利があるということだろう。これに反論する国家があるとすれば、核保有による優位性を相殺されかねないシナと、ロシアと、北朝鮮、それから日本に二発の核爆弾を投下したアメリカだけだろう。

岸田首相は、遠い未来の世界平和に貢献することよりも、二度と日本に被曝の悲劇を味あわせてはいけないことを考えるべきなのだ。常に日本に圧力をかけることを考えているシナ、ロシア、北朝鮮という核保有国のミサイルは、その照準を日本にあわせているのだから。

日本の国を守ることに関して、あらゆる論義をタブーにしてはいけない。

この本は、国家や主権の概念という、ごくごく基本的なところから、日本の安全保障の現状、さらに将来に至るまで、事実をもとにして、大変分かりやすく説明してくれている。

以前ならそれは、「漠然とした不安」というものだった。しかし今、ロシアのウクライナ侵攻によって、それは「分かりやすい恐怖」に置きかえられた。

軍事を、論義のテーブルの真ん中へ!




スクリーンショット 2024-02-20 051359 スクリーンショット 2024-02-20 051418 スクリーンショット 2024-02-20 051437

テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

『日本国記 下』 百田尚樹

《日米開戦の豊国を喜んだチャーチル》
チャーチルはすぐにルーズベルトに電話を入れた。ルーズベルトから「今や我々は同じ舟に乗ったわけです」という言葉を聞いたチャーチルは、これで戦争に勝てると確信したという。彼はこの時の喜びを、「感激と興奮都に満たされ、満足して私は床につき、救われた気持で感謝しながら眠りについた」

さらにこう続ける。「ヒトラーの運命は決まった。ムッソリーニの運命も決まった。日本人について言うなら、彼らは粉々に打ち砕かれるだろう」

2025/05/15  産経
マレー沖海戦(下) チャーチル絶句させた英不沈艦撃沈…「大艦巨砲」から「航空主兵」へ、先鞭つけたのは皮肉にも日本だった
(抜粋)
「プリンス・オブ・ウェールズ」は航行不能になると艦尾から沈んでゆき、午後2時50分、姿は海中に消え去った。艦隊を率いたトーマス・フィリップス大将は度重なる退艦要請を「ノー・サンキュー」と断り、艦と運命をともにしたといい、イギリスのウィンストン・チャーチル首相はのちの回顧録で、「これほど衝撃を受けたことはなかった」と述べている。

これはチャーチルだけではない。イギリス人にとっての衝撃だった。プリンス・オブ・ウェールズが撃沈されてから7年後、戦争が終わってから3年後の1948年。日本水泳の古橋、橋爪が揃って未公認世界新記録を出した。イギリスは二人のロンドン・オリンピックへの参加を認めなかった。その時の通達の最後には「われわれはプリンス・オブ・ウェールズを忘れない」とあったという。

たしかに最後、日本は粉々に打ち砕かれた。ボロボロにされた。

ただし、それはチャーチルのイギリスも同じだ。覇権の地位は完全にアメリカに移り、インドはじめ幾つもの植民地を失って、決定的に力を落とした。

一体チャーチルっていうのは、名宰相のように言われるが、結果から見れば、おつりは残っていないだろう。


スクリーンショット 2024-02-06 133940
『日本国紀 下』    百田尚樹

幻冬舎文庫  ¥ 825

ベストセラー作家による壮大なる日本通史、大幅加筆により待望の文庫化!
第八章 明治維新
第九章 明治の夜明け
第十章 世界に打って出る日本
第十一章 大正から昭和へ
第十二章 大東亜戦争
第十三章 敗戦と占領
第十四章 日本の復興
終章 平成から令和へ
スクリーンショット 2024-02-06 134429

アメリカは、大東亜戦争で亡くなった日本兵が祀られている靖国神社を焼却しようという意図を持っていた。しかし、GHQ内にも反対意見があったため、マッカーサーは日本にいたカトリック神父らに意見を求めた。

ローマ・カトリック教皇使節代行のブルーノ・ビッテル神父は、ローマ・カトリック管区長パトリック・バーン神父らと意見を交わした後、マッカーサーに次のように進言したという。

「如何なる国家も、その国のために死んだ人々に対して、敬意を払う権利と義務がある。それは戦勝国か、敗戦国かを問わず、平等の真理でなければならない。(中略)もし、靖国神社を焼き払ったとすれば、その行為は米軍の歴史にとって不名誉極まる汚点となって残るだろう。歴史はそのような行為を理解しないに違いない」(『マッカーサーの涙 ブルーノ・ビッテル神父にきく』より)

日本人は昔から、自国の兵士ばかりでは無く、敵国の兵士をも弔ってきた。蒙古襲来の後、北条時宗は鎌倉に円覚寺を建て、亡くなった蒙古軍兵士のために、千体の地蔵尊を作って奉納した。豊臣秀吉の朝鮮出兵の際も、武将たちは各地で死んだ敵兵の屍を埋葬して弔った。

近代に入って日露戦争後も、日本政府は戦死したロシア兵士を弔うために、旅順近くの山に礼拝堂を建てている。除幕式に出席したロシア仕官や牧師らが、「このような行為は史上例がない」と言ったと伝えられている。

昭和23(1948)年、東京裁判で浮上した南京事件の責任を問われ、戦犯として処刑された中支那方面軍司令官の松井石根大将は、支那事変から帰国すると、昭和15(1940)年、静岡県熱海市に興亜観音を造立して、日中両国の戦争犠牲者を弔った。
2024/01/31  産経
自衛官の靖国参拝の意味と思い 元陸上幕僚長・岩田清文
(抜粋)
今、現役自衛官の靖国参拝に関する報道があるが、参拝した自衛官たちは、昨年4月に宮古島海域において殉職した同僚たちを思いながら航空安全を祈願するとの、純粋な気持ちで参拝したものと信じる。靖国に参拝する自衛官の思いには、個人ごとに様々な意味があると思う。しかし共通して、いざという時は身をもって国防の責任を果たすとの強い思いが根底にあることは言うまでもない。

《『日本国記 下』の内容を使わせてもらいました》


スクリーンショット 2024-01-26 145938 スクリーンショット 2024-01-26 145954 スクリーンショット 2024-01-26 150010

テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『年寄りは本気だ』 養老孟司 池田清彦

日本がワクチンで出遅れたのは、この20年で基礎科学の研究に金を使ってこなかったからだそうだ。

バブル崩壊で自信を喪失した日本は、どんどん土壺にはまっていったんだな。今自分に残されたものは何かを把握し、そこから何が出来るかを考えるべきだったのに、ただうつむいて30年を過ごしてしまった。

2004年に国立大学を独立行政法人化してから、大学や研究機関の科学者や技術者を冷遇するようになった。予算と人員を削ったことで、日本の科学研究力は右肩下がりとなった。アメリカや“中国”では自然科学系の論文がどんどん増えているのに、日本は横ばい状態が続いている。今のトップは“中国”で、日本の5倍くらい発表しているという。

光触媒を発見した東大の特別栄誉教授が、自分のチームを連れて上海の大学に移籍してしまった。お金のかかる研究は、金の出ないところでやっていてもどうにもならない。だから優秀な頭脳が、どんどん日本から流出していく。

日本は、医療も、医学や科学の力も、そういうものを廻していくシステムも、衰退したと認めざるを得ない状況にあるという。今回のパンデミックで、落ちたりといえども先進国だと思っていた日本は、もはや先進国とは呼べない国になっていたということ。この20年で、国力がどんどん低下してきた。

今や日本は、世界の中でもダントツで低成長となっている。最近、株価が好調で3万5000円を回復したと騒いでいるが、30年前に戻ったに過ぎないわけだ。でも、動き出していることは確か。

最低賃金を上げないといけないけど、上げれば中小企業が立ちゆかないようなシステムになっている。システム自体が硬直化している。これも変えなきゃいけない。給料を上げることも、消費税を下げて物を売ってインフレにすることもできず、下の方で硬直している状態になってしまった。現在、企業の内部留保が484兆円もあるという。ため込んだ内部留保を無駄積みにしているだけで、使い道がない。

現在、トップレベルの高校生は、東大に行かないでハーバードやコロンビアみたいなアメリカの有名大学に行くという。そういう風潮に歯止めがかからないと、日本の国力はさらに低下していってしまう。

今やらなければ、日本は存在そのものが難しくなるだろうな。


スクリーンショット 2024-01-22 094510
『年寄りは本気だ』    養老孟司 池田清彦

新潮選書  ¥ 1,705

怖いもの無し。84歳と75歳が語り尽くす。シン・ニホン論
第1章 この国にはそもそも「モノサシ」がない
第2章 お金と頭は使いよう
第3章 AI化する人間
第4章 非戦闘的有事に備えよ
第5章 安全保障としての環境問題
第6章 環境問題と経済成長は表裏一体
第7章 流域思考とカーナビ思考
第8章 日本人の幸せって
スクリーンショット 2024-01-22 094739

それにしても、自分が生きている間にパンデミックが発生するとは思っていなかった。まあ、“中国”が隠蔽していなければ、防ぐことが出来たはずのものだけどね。

おかげで私も、酷い目にあった。なにしろコロナに感染して熱が上がったのは今年の1月1日。能登の大地震は、熱に浮かされてボーッとした頭で認識した。

本来心配されていたパンデミックは、鳥インフルエンザによるものだった。

インフルエンザはもともと水鳥の感染症で、余程のことがなければ人間にはうつらなかった。ところが、それが豚にうつるとややこしい。豚は鳥の感染症と人の感染症の両方に感染するから、遺伝子が豚の細胞の中で交換されて、強毒性の鳥インフルエンザの特徴を持ちながら、人にも感染するウイルスができてしまう。

ヒトヒト感染する鳥インフルエンザも、いずれ登場するだろうと予測されている。新型コロナが余分だっただけだ。本当に迷惑な話だ。

中国南部の奥地の辺りは高床式の住居が多く、床下が家畜の住処になっている。人が上から大便をすると、豚がそれを餌にしたりする。そういう生活は新しいウイルスを生みやすい。

ウイルスは、人の移動する速さで移動する。かつては流行に時間がかかったし、伝播の範囲も狭かった。でも今は、交通網が発達し、病原体が飛行機のスピードで広がってしまう。パンデミックは自然災害である半面、人口爆発、環境破壊、交通の発達といった人為的災害の面も持っている。このまま、さらに奥地の開発が進めば、次のパンデミックがいつ起きても不思議はない。



スクリーンショット 2024-01-12 101826 スクリーンショット 2024-01-12 101844 スクリーンショット 2024-01-12 101916

テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『歴史戦はオンナの闘い』 川添恵子 杉田水脈

Q:国連がガザ地区で大きな役割を担っていることを考えると、国連に対して、ガザの地下にトンネルが建設されているという指摘はありましたか?

国連:私たちには関係ありません。私が言いたいのは。。。私には、このインフラはすべて極秘裏に建設されたように思えます。つまり、私はそれをただの観察者として見ています...国連が何であったかについて何らかの理解を持っていたと考えるのは...これらの操作に関する情報は、私が思うに...それに対する答えは明らかに「いいえ」です。

パレスチナには国際連合パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)という国連の組織がある。約500万人のパレスチナ難民に対してガザ地区およびヨルダン川西岸地区、ヨルダン、レバノン、シリアで教育、保健、福祉、救急などの援助および人間開発を担っている。29,000人を超える職員がおり、本部は、パレスチナのうちガザ地区の中心都市であるガザと、ヨルダンの首都アンマンに置かれている。彼らがガザの地下を知らなかったはずがない。今起こっている悲劇の責任は、国連にある。
2021/06/30  東洋経済
もはや民主主義国が少数派に転落した世界の現実
(抜粋)
逆転現象は国際機関の場でも明らかになっている。国連の人権理事会は2020年6月、民主化運動の弾圧を目的とする中国の香港国家安全維持法を取り上げ、中国批判派と支持派が対立する事態となった。批判派は日本をはじめ27カ国だったのに対し、支持派は約2倍の50カ国だった。その多くが権威主義国家、独裁国家と呼ばれる国々であり、中国の一帯一路政策の恩恵に浴している国々だった。
今や、国連というのは、そういう場所になった。そんな場所で、杉田水脈さんは戦ってきた。
2023/09/20  日経
杉田水脈議員の人権侵犯認定 アイヌ民族侮辱で法務局
(抜粋)
認定対象は2016年にスイスで開かれた国連女性差別撤廃委員会の参加者について「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場」などと書き込んだブログやツイッター(現X)の投稿など計3件。

ちなみにこの年、国連人権理事会が日本政府に対してまとめた最終見解の案に、皇室典範の改正を求める記述が盛り込まれた。しかし、日本側の強い抗議で削除された。

杉田さんは、そういう場所で戦っている。“人権侵犯認定”も、闘いの一コマに過ぎない。


スクリーンショット 2024-01-22 075256
『「歴史戦」はオンナの闘い』    川添恵子 杉田水脈

PHP研究所  ¥ 時価

女たちの策動によって、日本は不当なレッテルを貼られて来た
第一章 国連の闇-なぜ国際機関で反日勢力が跳梁跋扈するのか
第二章 中国が仕掛ける「歴史戦」-アメリカを舞台に加速する“新・国共合作”
第三章 「慰安婦問題」の拡散を止めよ
-女を使った錬金術を、私たちは放っておけない!
第四章 「法治」国家ならぬ“放置”国家!?-地方公務員時代に実感したわが国の病
第五章 “草男”“絶食系男子”が多すぎる-リスクを取れない日本人
第六章 中国の野望-「歴史戦」の目的は、“日本の属国化”にほかならない
スクリーンショット 2024-01-22 075840

宋美齢は、浙江財閥と呼ばれる大実業家であるチャーリー宋こと宋嘉樹の娘。自ら“日本に侵略される中華民国”悲劇の象徴となり、英語がネイティブで、クリスチャンで、美女で、蔣介石と結婚したファーストレディーとしてアメリカに乗り込んだ。

1942年11月から翌年5月まで、宋美齢はルーズベルト大統領夫妻に招聘されてアメリカを訪問し、大統領のお墨付きを得た上で全土を巡回し、流暢な英語で演説して抗日戦への援助を訴えた。

1943年2月18日には、ワシントンDCのアメリカ連邦議会でも演説している。宋美齢は黒いチャイナドレスに、宝石をちりばめた中華民国空軍バッジを輝かせながら、力強い演説をした。その演説は割れんばかりの拍手を受けたため、途中で何回か話しを止めなければならないほどのものだったそうだ。

腐敗した蔣介石政権を美化しまくり、キリスト教徒である西洋社会との共通性を強調しながら、英語力を生かしてルーズベルトを説得し、アメリカから多大な資金と物資を調達した。さらにフライング・タイガーを呼び込んで日本軍と戦わせ、石油などの物資の日本への禁輸にまで踏み切らせた。

1943年11月27日、米大統領フランクリン・ルーズベルトと英首相ウィンストン・チャーチルのカイロ会談に夫の蔣介石を押し込み、自らも通訳として同席した。実質的には、ルーズベルト、チャーチル、宋美齢の三者会談となった。

1971年7月、リチャード・ニクソン大統領が訪中し中華民国は国連を脱退することになるが、その2年前に岸信介元首相が訪台している。蔣介石総統に、独立台湾となって国連に残留することを説得したが、大陸統治の野心を持ち続けた宋美齢が台湾のみの統治に納得しなかった。

あの時、台湾が国連に残っていれば・・・。宋美齢は強欲すぎた。


スクリーンショット 2024-01-12 101826 スクリーンショット 2024-01-12 101844 スクリーンショット 2024-01-12 101916

テーマ : サヨク・在日・プロ市民
ジャンル : 政治・経済

『日本が滅びる前に』 泉房穂

3期12年にわたり兵庫県明石市長をつとめた著者。

「所得制限なしの5つの無料化」など子育て施策の充実を図った結果、明石市は10年連続の人口増、7年連続の地価上昇、8年連続の税収増などを実現した。

しかし、日本全体を見渡せばこの間、出生率も人口も減り続け、「失われた30年」といわれる経済事情を背景に賃金も生活水準も上がらず、物価高、大増税の中、疲弊ムードが漂っている。

なぜこうなってしまったのか?著者が直言する閉塞打破に必要なこと、日本再生の道とは?

市民にやさしい社会を実現するための泉流ケンカ政治学、そのエッセンスが詰まった希望の一冊。

明石市における泉氏の実績がすごい。その上、本の題名が『日本が滅びる前に』と来た。少々癖のある人物らしいけど、学ぶところの多い本だろうと思って読んでみた。

何度かルソーを引き合いに出していた。ルソーが子どもという概念を発見したのに対して、その後300年経っても日本は子どもという概念を発見できずにいる。そんな流れでルソーを引き合いに出している。さらに、ルソーは「人民が国家を変えていい」と革命の理論的根拠を与え、フランス革命にも大きな影響を及ぼしたと。

ただ、その政治思想を実現したジャコバン派のロベスピエールがそうだったように、ルソーが民衆を信じていたわけではない。強い意志で個人的な欲望を抑え、国をより良い方向に導こうとする優れた人間に率いられることで理想的な政治が実現されると、ルソーは考えていた。プラトンの哲人政治のようなものだろう。

明石市においては、泉氏がリーダーとなることで、それが図に当たったということか。


スクリーンショット 2024-01-18 083118
集英社新書  ¥ 1,100

社会の好循環を絶対生まない「政治の病」をえぐり出す泉流ケンカ政治学
第1章 シルバー民主主義から子育て民主主義へ
第2章 「明石モデル」をつくれた理由
第3章 地方再生に方程式はない
第4章 「地方」と「国」の関係をつくり直す
第5章 日本が滅びる前に
スクリーンショット 2024-01-18 083712

しかし、泉氏は違うだろうが、同じようにルソーを崇拝したロベスピエールは、自分こそルソーのいう“優れた者”で、分に逆らう者は人民の敵であるとして、片っ端からギロチンにかけた。

ルソーの思想は、のちにマルクス、レーニン、毛沢東に受け継がれた。優れた指導者、政党が人民を指導するという思想は、現代社会においても、中華人民共和国や北朝鮮に受け継がれている。

◆「はじめに」より◆

2023年になってから、全国の市町村でこれまでにない新しい動きが起こっています。明石市が実施した子育て支援の施策を取り入れる動きが、ドミノを倒すかのように広がり始めているのです。子どもの存在を無視してきた社会。その社会がようやく子どもに目を向け始めています。この動きは、今後地方から国を変えていく大きな流れを形づくっていくのではないか。安心して子育てができる社会が実現すれば、絶望的なまでに落ち込んだ出生率は必ず回復するはず。将来、歴史を後から振り返ってみるならば、この流れは日本社会が転換するひとつの大きなきっかけになるやもしれません。

実際に泉氏は、目に見える実績を上げた。まったくその実績は見事なものだ。ただ、ルソー同様、民衆に信をおかない論調は、本書にも散見された。

かつ、この本は、その実績を世に広くディスプレイした上で『日本が滅びる前に』という題名になっている。何かを学ばせてもらおうと思って読んでみたが、読み切るには少々苦痛を伴った。


スクリーンショット 2024-01-18 084035 スクリーンショット 2024-01-18 084056 スクリーンショット 2024-01-18 084116

テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『20世紀末モノ&コトカタログ 絶滅事典』

「お前はもう消えている?」

1970~90年代年代に絶頂を誇った道具・服装・習慣・娯楽・職業・技術が大集合

1970年代から1990年代にかけて、家庭、学校、職場にはさまざまなモノ&コトが溢れ返っていた。平成初期にバブルが崩壊し、元号が令和となった現在、淘汰されていき、絶滅の危機に瀕するモノ&コトは十指に余る。もう見かけなくなったオワコンな道具、服装、習慣、娯楽、職業、技術を、スピードと効率性重視の今の時代だからこそゆっくりと愛でたい。

《はだ色》が消えていたとは、・・・こんなショックがあるだろうか。私の肌は、今でも《はだ色》なのに。

《70年~90年代に絶頂を誇った道具・服装・習慣・娯楽・職業・技術》って言えば、私には10歳から30歳。子どもから大人になって、社会に出て、生まれた家を出て、結婚して、子どもが生れて・・・。その時代の《道具・服装・習慣・娯楽・職業・技術》が、そろいもそろって絶滅していたとは・・・。

青年期まで盤石だと思われていた世の中も、考えてみればどんどん移り変わっている。ベルリンの壁は崩れたし、ソ連も崩壊した。優しかった母も、怖かった父も死んだ。

なんだかこの本、“色即是空 空即是色”を地で行っている。


スクリーンショット 2024-01-12 100826
KANZEN  ¥ 1,540

1970~90年代に絶頂を誇ったモノやコト。「お前はもう消えている?」
Part1 生活(衣食住)
Part2 学校
Part3 趣味・娯楽
Part4 仕事・技術
スクリーンショット 2024-01-12 101633

先天性の足の異常があったせいか、とにかくよく転ぶ子どもだった。ひざっ小僧は傷だらけ。外で遊んでいて怪我をすると、遊び友達には「タイム」をとって、いったん家に帰り、戸棚から薬箱を引っ張り出して、怪我をしたひざに赤チンを塗って、また遊びに飛び出していく。赤チンがなくなったのは、私がまだ子どもに分類される時代だが、これからどうすればいいのか、頭を抱えた。

チクロには発がん性があるとかで、これからは甘味料に砂糖を使わなければいけないので、ジュースの値段が上がると知ったときもショックだった。チクロが消えたことは、この本には載っていないが。

だるまストーブは、高校の頃まで使っていた。昔の子は新聞紙だけで石炭に火をつけたんだから、大したもんだな。高校の頃にはエキスパートになって、嫌な先生の授業の前にはわざと不完全燃焼させて妨害するのもお手のもの。

父兄参観、家庭訪問、連絡網、・・・面倒くさい世の中を作っていたんだな。その面倒くさい世の中を、平然と回していく能力が、当時の人にはあったって事だよな。今の人じゃ出来ないだろう。

あれ、駄菓子屋も絶滅したの?最近、どこかで見かけたような気がしたけど・・・。ああ、大型商業施設にあるのか。そうか、あれは昔の駄菓子屋とは違う、遊園地や博物館のような存在か。

三輪トラックなんて、ずっと昔に死に絶えている。小回りがきいて、酒屋が配達に使っていた。学校の帰りによく乗せてもらった。それより少し前には、馬が荷物を引いていた。道路にはよく馬糞が落ちていた。寒い冬の朝なんて、ほかほかの馬糞から湯気が立っていた。

銀玉鉄砲。・・・なんて懐かしい。従弟のトモちゃんが持ってた銀玉鉄砲を、僕が泣いてねだってもらっちゃったことがある。トモちゃんは、嫌だったろうな。玉が50発入りで一箱5円か。そうだったかな。10円だって、もったいない時代だったからな。オシロイバナの黒い種を集めて、代用に使っていたよ。

ローラーゲーム、はえ取り紙、ギョウ虫検査、ひよこ、不幸の手紙、駅の伝言板、・・・なんだかみんな愛おしい。

まいったな。私の人生の、大半は死に絶えた。


スクリーンショット 2024-01-12 101826 スクリーンショット 2024-01-12 101844 スクリーンショット 2024-01-12 101916

テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『保守思想とは何だろうか』 桂木隆夫

自民党が保守陣営を裏切ったことで、百田尚樹さんが立ち上げた、日本保守党が注目されている。

街頭演説をやれば、想定を越えた人が集まり、始まってすぐ、警察の要請で中止になるほどだった。そうかと思うと、勝手にその存在を低く見積もり、日本保守党の影響を事前に削いでしまいたい人たちもいるようだ。新しい年を迎え、選挙を前提として動き出せば、外部からの攻撃は激しくなるだろうし、内部にも問題を抱え込むことになるだろう。

視点は一つ。保守主義を貫けているかどうか。以前、読んだ、桂木隆夫さんの『保守思想とは何だろうか』のメモを見直してみた。

著者は、保守思想のエッセンスは「保守か自由か」ではなく「保守と自由」という発想であり、それは人類が神から脱却してヒューマニズムへ向かい始めた近世を起点とし、また原理主義から健全な懐疑主義へという認識論的転回を伴っている。それは保守的自由主義と呼ぶべきものであるとしている。

保守的自由主義者の代表格の一人、福沢諭吉に関して見れば、明治維新後の立憲君主制がどうあるべきかをめぐる啓蒙主義的自由民権論と復古主義的な天皇親政を支える藩閥政治の間で、保守的自由主義の立場に立って官民調和論を主張した。藩閥政治が政治的方便を弄して巨悪にさえ手を染める風潮を攻撃しつつ、且つ、過激思想に走ることもなかった。

保守的自由主義は右や左の原理主義を拝して、懐疑主義とバランス感覚を説く思想であり、フェアプレイの精神を重視する消極的正義論である。

この姿勢は、日本保守党にも貫かれていると思う。且つ、自由民主党にもっとも欠けている点も、これである。そしてこの本は、保守的自由主義が想定する具体的制度は、自由経済と自由な民主主義であるとしている。そしてそれは、次の三つの思想的特徴に支えられている。すなわち、健全な懐疑主義、権力の平均としての法の支配の観念、政治的知性の必要性の認識である。


スクリーンショット 2024-01-05 083533
筑摩書房  ¥ 1,760

保守の本懐は自由主義にあり!「保守×自由=保守的自由主義」の可能性を問う
はじめに 保守思想とは?保守的自由主義とは?
第1部 健全な懐疑主義(ヒュームと健全な懐疑主義
福澤諭吉と健全な懐疑主義
フランク・ナイトと健全な懐疑主義)
第2部 法の支配(ヒュームと権力平均としての法の支配の観念
福澤諭吉における法の支配と権力平均の主義
ナイトの法の支配とゲームのルールの観念)
第3部 政治的知性(政治的知性の観念
ヒュームと政治的知性の観念
福澤諭吉と政治的知性(公智)について
ナイトの政治的知性の観念について)
おわりに 法の支配と政治的知性と市民の倫理的知性
スクリーンショット 2024-01-05 090644

健全な懐疑主義は、「われわれの生活は続く」という事実を率直に受け入れて、将来の不確実性に対処するために前に進むべき事を説く。健全な懐疑主義はヒューマニズムの思想としての保守的自由主義の基礎にある哲学である。デヴィッド・ヒュームは、キリスト教的な一神教の神の存在を前提としなくても、健全な懐疑主義によって近代社会における人間の知識と倫理の進歩が可能であることを示そうとした。

この健全な懐疑主義が、保守的自由主義が主張する権力の平均としての法の支配と、それを支える政治的知性の必要性に結びつく。

保守的自由主義における法の支配は、司法権による国家権力のコントロールというだけでなく、司法権も含めた国家権力だけでなく、企業やマスメディアという社会権力も含んでいる。その意味での法の支配とは、国家権力と社会権力を含む権力相互の抑制と牽制ということになる。

保守的自由主義における知性とは、勘や直感を駆使しつつ、合理的な推論能力や習慣をバランスよく用いて下す判断である。人びとは法の支配が共有されているときに、経済的知性や社会的知性を発揮することができる。政治的知性とは、法の支配に揺らぎが生じたの場面で、法の支配を支える知性である。

それは、断固たる権力行使を伴いながら権力の乱用を抑え、決断力を発揮しつつ柔軟に対応するという矛盾をはらんだバランス感覚を必要とする。

これらの点について、日本保守党が日本の政治を率いるに相応しいかどうか。それは、お手並みを見せてもらうしかない。現状、わずかな判断材料の幾つか、執行部役員の人柄、党規約・綱領からすれば、十分に期待していいように思っている。

21世紀において、法の支配の危機に対処する担い手は、もはや政治と経済の指導者たちだけではなく、指導者たちの政治的知性について判断を下す国民全体である。現代の日本人は、法の支配の危機に直面したときに、ポピュリズムと恐怖政治の罠に陥ることなく、指導者たちの政治的知性を判別する知性と判断力を、冷静に発揮しなければならない。

自民党が保守的姿勢を放棄してしまった今、法の支配は大きく揺らいでいる。政治に新しい動きが出てきている。私たちは、法の支配の危機に対処する担い手として、政治指導者たちの能力を判断していかなければならない。


スクリーンショット 2024-01-05 090746 スクリーンショット 2024-01-05 090726 スクリーンショット 2024-01-05 090814

テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『バカにつける薬はない』 池田清彦

光触媒を発見し、ノーベル賞候補にも名前が挙がる藤嶋昭東京大学特別栄誉教授が、2021年8月末に自分の育成した研究チームもろとも上海理工大学に移籍したというニュースが、大々的に報じられた。日本社会の論調は“中国”へ頭脳流出する科学者を、「高級引き抜きによる先端技術獲得の動き」に乗せられた、日本人の風上にも置けない輩だといった調子でバッシングしている。先端技術の分野において、未だに日本が“中国”よりも進んでいるという時代錯誤の妄想に耽っている発言で、笑止と言うほかはない。

池田さんは、そう述べている。2004年に国立大学を法人化して、大学への運営費交付金を徐々に減少させた結果、日本の科学技術力は凋落の一途を辿っている。実際、2004年から2018年の間に、交付金は実質、1000億円ほど減少しているようだ。論文数及び、被引用数が上位10%に入る論文数においても、日本の科学技術力は先進国の中で、ほぼ最下位クラスに落ちている。

上海理工大学と上海市政府は、藤嶋氏のチームを支援するプラットホームとして、光触媒に関する国際的な研究所を数十億円賭けて新設するという。日本は科学研究者の給与などの待遇も悪く、研究費も少ない。野心のある優れた研究者が中国であれアメリカであれ、研究条件の良好なところに移るのは必然で、今のままでは、優秀な科学者の海外流出は止らないだろう。

池田さんが科学者寄りの意見を持つのは仕方がないが、上海理工大学は中国共産党が「国防7校」に指定する学校の一つ。藤嶋昭東京大学特別栄誉教授の上海理工大学での研究は、そのまま日本人を窮地に追い込む可能性があることも事実。

大学への運営費交付金を減少させている事のほかにも、日本は教育関係費を減少させている。つまり、将来のために金を使っていない。

今の政治体制では、日本はもたない。


スクリーンショット 2024-02-25 110621
角川新書  ¥ 990

多数派こそが始末に困る。騙され続ける日本人に送る痛快批評!
Ⅰ 国家百年の愚計
Ⅱ 信用できぬ話
Ⅲ こうして人は間違える
Ⅳ 生物の深イイ話
Ⅴ 老いの人生論
スクリーンショット 2024-02-25 110942


運営費交付金を徐々に減らしたことに加え、さらに悪いことには、選択と集中と称して、「見込みがある」と文科省が認定した研究に資金を集中的に注ぎ込み、「役に立たない」と文科省が認定した研究にはまったく資金を回さなくなった。役人が「役に立たない」と認定しやすいのは、成果の見えにくい、地味な学問分野なのだろう。

イノベーションを起こすためには、どのような研究にもある程度資金を回す必要がある。イノベーションは、主流から外れた研究から起こる場合が多いからである。そのため選択と集中が進められるほど、画期的な研究成果が現れなくなる。

さらに選択と集中の悪いところは、資金をもらうために、研究者が余分な書類仕事に膨大な時間を割かなければならなくなることだ。さらに悪いことに、文科省は次々に新しい改革を押しつけて、研究者から研究時間を奪い取っている。また、優れた研究者に限って、そういった事務的作業をもっとも苦手とすることが多い。

文科省が大学改革を進めれば進めるほど、科学力が低下している。「稼げる大学」に直結しない基礎研究はますます干されて、長期的にも日本の科学力の低下が心配されるところである。

資金の半分でも、すべての研究者に均等に割り振れば、それだけで日本の科学力は確実に上がる。しかし文科官僚は、それをやると自分たちの権限が低下する。官僚にとっては、自分たちの権限が縮小される方が、国力の低下より重要ということだろう。

結果、文科省の役人が仕事をすればするほど、日本の将来は削られていくことになる。


スクリーンショット 2024-02-20 051359 スクリーンショット 2024-02-20 051418 スクリーンショット 2024-02-20 051437

テーマ : このままで、いいのか日本
ジャンル : 政治・経済

『日本の電機産業はなぜ凋落したのか』 桂幹

かつて世界一の強さを誇った日本の製造業。しかし、その代表格である電機産業に、もはやその面影はない。なぜ日本の製造業はこんなにも衰退してしまったのか。

その原因を、父親がシャープの元副社長を務め、自身はTDKで記録メディア事業に従事し、日本とアメリカで勤務して業界の最盛期と凋落期を現場で見てきた著者が、世代と立場の違う親子の視点を絡めながら体験的に解き明かす電機産業版「失敗の本質」。ひとつの事業の終焉を看取る過程で2度のリストラに遭い、日本とアメリカの企業を知る著者が、自らの反省もふまえて、日本企業への改革の提言も行なう。

この過ちは日本のどこの会社・組織でも起こり得る!ビジネスパーソン必読の書。

高品質・高性能で、しかもかつての日本製品は、比較的安かった。だから、負けるはずがなかった。そのうち為替の影響を受けるようになり、人件費を中心にコストも上昇する。低価格を武器にすることができなくなっても、高品質・高性能は変わることのない日本の武器である。

・・・はずだった。ところが、あるときから、それが仇になったようだ。

そう言えば私も、DVDのデッキを買ってそんなに経たないのに、なんでもうブルーレイに切り替わるんだろうと思った。これが電機業界のやり方かと、腹も立った。日本では切り替わりが行なわれたものの、海外市場にはまったく受け入れられなかったという。「すでに
DVDが存在し、画質は多少良くなっても驚くほどではないし、海外では動画配信サービスが広がりはじめていた」ということらしい。

光ディスクの場合、CD-Rが開発された段階で、その延長線上に理論上実現可能な技術の将来予測をロードマップという。このロードマップを着実に実現させることに、日本は長けているという。アナログ技術の場合、日本はそれでナンバーワンになった。

しかし、デジタル化の本質はロードマップ上の高品質・高性能化ではなく、“画期的な簡易化”にあった。日本の電機産業界は過去の成功体験もあり、高品質・高性能を強みと自負していた。最高品質を目指して妥協を許さない姿勢で新商品を開発した。

顧客が“画期的な簡易化”を求めている時に、顧客の求める以上の商品開発にコストをかけてきたのが日本の電機産業界だった。デジタル化の本質を、完全に見誤っていた。

それが、日本の電機産業が凋落した、原因の一つである。しかし原因は、それだけではないようだ。



集英社新書  ¥ 1,034

電機産業の「失敗の本質」を見事に捉えた、日本経済の未来への指針
第1章  誤認の罪 「デジタル化の本質」を見誤った日本の電機産業
第2章  慢心の罪 成功体験から抜け出せず、先行者の油断から後発の猛追を許す
第3章  困窮の罪 間違った”選択と集中”による悪循環
第4章  半端の罪 日本型経営の問題点は、なぜ改善できなかったのか
第5章  欠落の罪 人と組織を動かすビジョンを掲げられない経営者
第6章  提言 ダイバーシティと経営者の質の向上のためには


それでも、高品質・高性能は、どうやら日本人の本質に根ざした部分があるらしい。もちろん、それが仇になる場面があるなら、警戒する仕組みを作っておく必要があるが、本質であるならば役立てればいい。

これは工業製品の話ではないのだが、こんなニュースを見つけた。

2023/11/18  朝日
神戸ビーフ、宇治抹茶… 海外での模倣品「情報提供を」、現地に窓口
(抜粋)
神戸ビーフ、関サバ、宇治抹茶、長崎カステラ……。海外で日本の農林水産物や食品をまねた商品が出回り、年間の推定被害額は700億円を超える。模倣品の横行を防ごうと、農林水産省は主要国に相談窓口を設け、幅広く情報提供を求めていく。

食品の分野においても、「日本ブランド」は世界から受け入れられているようだ。朝日の記事にある「神戸ビーフ」、「関さば」、「宇治抹茶」、「長崎カステラ」のほかにも、「北海道ホタテ」、「北海道ミルク」などと表示された商品が出回っているという。これらは全部、パッケージの名前だけの偽物。2020年の年間被害額は、推定741億円にもなるという。

そんなわけで、農林水産省が重い腰を上げた、バンコクのJETRO事務所に窓口を設置して、情報を集めることになったという。立ち上げるやいなや、情報が飛び込んできているなんてことがニュースになっていた。

「日本ブランド」は、手塩にかけて作り上げた、味の“高品質・高性能”。顧客の満足を考えて仕事をする、日本人の本質が作り上げたもの。それをしっかり国が守るという姿勢を、世界に見せることが大事だな。

食品の分野でも、“高品質・高性能”が日本の強みになる。おそらく他の分野でもそうだろう。それをしっかり自覚し、それが場合によってはマイナス要素ともなり得ることを、理解しておくべきだろう。

長年かかって育て上げた新種の種子やら苗やらを、ずいぶん“中国”や韓国に持ち出されて、そこでも数百億の損失が出ているという。農林水産省は汚名返上のつもりで、頑張ってもらわないとね。



テーマ : 経済
ジャンル : 政治・経済

『バカにつける薬はない』 池田清彦

ブルシット・ジョブの話が出てくる。

ブルシット・ジョブとは、仕事をしている本人でさえ、完璧に無意味で、不必要で、有害でもあると認識しているが、組織の維持、あるいは自分の雇用を守るために、また自尊心を維持するために、労働者は自分の役割が自分の知っているほど無意味でも有害でもないように振る舞わざるを得ない仕事をいう。

著者である池田清彦さんが高校教諭だった頃、指導要録を記載した時の話しが出てくる。私も高校の教員だったが、これが結構面倒くさい。管理職は学年が終わったら、春休み中に指導要録の記載を終わらせて欲しいというのだが、保管年限中にほぼ閲覧されることのない書類と分かっているから、まったくヤル気にならない。

池田さんは、出欠と成績以外、すべて《特記事項なし》のゴム印で済ませたというが、私はある時期から「総合所見」については自筆するように求められ、よけいヤル気を失った。夏休みになってイヤイヤやった。

確かに、教員の仕事というのは、ブルシット・ジョブである側面が多い。私は36年間、教員として務めてきたが、教員になり立ての段階で、「なんで教員がこんなことやらなきゃいけないんだ」という仕事が少なくなかった。そしてそれは、年々増えていった。

鴨長明が、「世にしたがえば、身、くるし」という言葉を残した。組織の中にいる人間は、誰でも同じ思いでため息をつくことがある。思い切って反抗するか。それも至難の業。従えば苦しく、従わねばはみ出してしまう。私たちは、そのギリギリ境界線を、日々、危うく渡りつつ生きている。

結局、私は定年退職に一年残して我慢が効かなくなり、はみ出した。

だいたい、指導要録に必要なのは、本人の証明の意味がある入学、卒業、転退学等、学籍に関わる記録と、科目の履修修得の記録だけ。「総合所見」や「行動の記録」は記載者の主観で、仮に閲覧する者があったとしても、信用度は低い。出欠・成績にしたところで、卒業・進級認定に足るものであったか、なかったかだけの意味しか持たない。

それは定時制や通信制で仕事をすればよく分かる。私立の単位制高校では、お金次第で、非常に効率的に単位の修得が出来る。それを教育と呼ぶかどうかは、また別の話だが。


スクリーンショット 2024-02-25 110621
角川新書  ¥ 990

多数派こそが始末に困る。騙され続ける日本人に送る痛快批評!
Ⅰ 国家百年の愚計
Ⅱ 信用できぬ話
Ⅲ こうして人は間違える
Ⅳ 生物の深イイ話
Ⅴ 老いの人生論
スクリーンショット 2024-02-25 110942


政府は、学習履歴など個人データをデジタル化して、一元化する取り組みを始めた。この話、私が教員をやめる少し前から、動き始めていた。指導要録に記載されるようなデータ以外でも、これまでどのような課外活動に取り組んできたか。英検や漢検を含め、いつどのような賞を受けたか。どのようなボランティア活動を行ってきたか。それらをできる限り思い出して申告するよう、LHRの時間に用紙に記入させていた。

あれは、大学入学共通テスト導入に合わせて、該当の学年から始められたんだ。私が最後に3年を担任していたときの1年だ。私は一つ、バカバカしい、意味のない仕事を押しつけられずに済んだ。そのうち人の履歴、それも生まれてからすべての履歴が一元化されて、ビズリーチに使われるかも知れない。

教員の仕事からブルシット・ジョブを排除すれば、その分、本来、やるべき仕事に取り組むことが出来る。

勉強というのは、本来、自分でやるもの。勉強に関して、高校の教員に出来ることは、たとえば歴史の教員であった私にしてみれば、歴史を学ぶことの面白さを感じさせてやること。偉大な先人が、生徒が感じているものと同じような将来に対する不安をどのように乗り越え、どのように力を身につけていったかを紹介すること。生徒それぞれの能力に合わせて、歴史を興味深く学ぶ道筋を明示したやること。しかし、中には、それすら必要としない能力を有する者もいる。

だったら、教師には何が出来るのか。

授業を通して、自分が生徒と同じ高い人間性を目ざす年長者であり、そのためにどう生きてきたか、今どんな努力をしているかを見せること。その姿勢を生徒に伝えること。

多くの人にとって、自分の高校時代を振り返って、学校で何を学んだかを思い出すとき、記憶にもっとも強く残っているのは、教師の“完成をめざす不完全さ”ということであるに違いない。

今の日本、文科相がまず、それを理解していない。理解していない状態では、どのような教育改革も、ブルシット・ジョブを生み出すだけに終わる。残念なことだ。


スクリーンショット 2024-02-20 051359 スクリーンショット 2024-02-20 051418 スクリーンショット 2024-02-20 051437

テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

ありがとうございました



「《めんどくせぇことばかり》は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。」
よくお越し下さいました

イーグルス16

Author:イーグルス16

息も絶え絶えです、ぜひ応援してください

スクリーンショット 2024-01-25 135720
腹を探れば世界の動きがよく分かる!
知れば、もう騙されない!
変化の激しい時代だからこそ、変わらぬ原理・原則を見抜け!
カウンター
カテゴリ
こんな本、あんな本
スクリーンショット 2024-01-04 093839

この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。

スクリーンショット 2024-01-04 093904

中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。

スクリーンショット 2024-01-04 093932

高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。

スクリーンショット 2024-01-04 101026

今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本
スクリーンショット 2024-01-05 142731

スクリーンショット 2024-01-06 021227

スクリーンショット 2024-01-06 032248

スクリーンショット 2024-01-18 143105

スクリーンショット 2024-01-18 143445

スクリーンショット 2024-01-18 143650

スクリーンショット 2024-01-25 134638

スクリーンショット 2024-01-25 135025

スクリーンショット 2024-01-25 135252

スクリーンショット 2024-01-25 135418

スクリーンショット 2024-01-25 135540

スクリーンショット 2024-01-29 090133

スクリーンショット 2024-01-29 090446

スクリーンショット 2024-01-29 090655

スクリーンショット 2024-02-15 131650

スクリーンショット 2024-02-15 131850

スクリーンショット 2024-02-15 132226

スクリーンショット 2024-02-15 132416

スクリーンショット 2024-02-15 132605

スクリーンショット 2024-02-15 132740

スクリーンショット 2024-02-15 132951

スクリーンショット 2024-02-22 120032

スクリーンショット 2024-02-22 120254

スクリーンショット 2024-02-22 120959

スクリーンショット 2024-02-22 121156

スクリーンショット 2024-02-22 123949











































































スクリーンショット 2024-01-25 135720

検索フォーム
RSSリンクの表示
最新記事