めんどくせぇことばかり 本 政治
FC2ブログ

『官僚を国民のために働かせる法』 古賀茂明

官僚を国民のために働かせる法 (光文社新書)官僚を国民のために働かせる法 (光文社新書)
(2011/11/17)
古賀茂明

商品詳細を見る


2011年11月20日初版の本だからもう読んだという人も多いだろうけど、あえて紹介します。それだけの価値のある本だと思います。古賀茂明氏の本というだけでその内容は十分わかるという人も多いだだろうけど、まだまだ社会は動き始めない。彼の本はもっともっと読まれる必要がある。

著者が明らかにする官僚の世界、その自己の既得権益に執拗なまでに固執する様子は、国の利益を食いつぶしてはばからず、最後はよって立つ足元まで崩してしまった平安貴族のそれに酷似している。今の日本がそんなことになれば、次の世を担う層が登場する前に国際社会に食い物にされて終わってしまう。

経済産業省を退職して以降の彼は、大阪府、大阪市の特別顧問を努めたり、以前に増してテレビへの出演、執筆活動に忙しい。大した見識もない私は、せめて自分にできることを持って、こういった人たちの仕事を支えていきたい。

6月26日、消費税増税法案が衆議院を通過した。しかも、自民、公明の相乗りである。自民党は自殺したいのか。財務省勝栄二郎次官のに操られる野田政権は直勝政権とも揶揄されている。本当に“官僚は恐ろしい”と感じる。

『国家公務員制度改革』
これなしには、日本は一歩も進めない。これを勧められる政治家は誰なのか。それが今の“基準”です。


人気ブログランキングへ

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

無謬性―官の論理 『屋山太郎が読み解く橋下改革―大阪維新は日本を救えるか』

この官僚の価値観は、官僚内閣制の成り立ちに由来します。日本の官僚内閣制は明治維新を機に形成され、その基になったのは古代の官僚制である太政官制度です。当時は官僚が天皇の官吏として統治を輔弼する制度でした。

大日本帝国憲法の発布が1889年、帝国議会が開設されたのが翌1890(明治23)年です。つまり、憲法は議会発足以前から検討されていたのです。その過程で、国会議員に官僚以上の権限を与えるはずがありません。当初から官僚と議員は同格に扱われていたのです。こうして、官僚が行政と立法を兼ねる「官僚内閣制」は誕生したのです。

天皇は絶対に正しいという「天皇の無謬性」が官僚にも適用されたため、役所に間違いはない、間違いを認める時には辞任する官僚組織の文化が誕生するに至ります。やがて彼らは既得権益を守るために間違えのない最善の方法を探るようになりました。結果、現状を墨守することで、前例にないことはしない無責任体質へと変節していったわけです。
屋山太郎が読み解く橋下改革―大阪維新は日本を救えるか屋山太郎が読み解く橋下改革―大阪維新は日本を救えるか
(2012/05/22)
屋山 太郎
商品詳細を見る


人気ブログランキングへ

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『屋山太郎が読み解く橋下改革―大阪維新は日本を救えるか』

屋山太郎が読み解く橋下改革―大阪維新は日本を救えるか屋山太郎が読み解く橋下改革―大阪維新は日本を救えるか
(2012/05/22)
屋山 太郎

商品詳細を見る

以前、橋下徹氏の改革について、当ブログに書いたことがある。自分が以前に書いたものを後で読みなおすというのはいつも恥ずかしいものだが、今回もその例にもれなかった。

私が橋本氏について書いたのは、国旗掲揚、国歌斉唱に関わる論議が盛んに行われている頃だった。私自身は、橋本市の改革に賛成である。しかし、改革をそこから利益を得ている者たちとの戦いと位置づけ、対象との対立関係を明確にして徹底的に攻撃していくやり方に反発を抱いた。自分が教員で、かつて国旗掲揚、国歌斉唱に反対していた時期があり、若い教員が自力で日教組の呪縛から抜け出す機会が奪われるのではと考えた。

大阪の現場が、当時、私が考えたような甘っちょろいものではないものではないことは、その後よくわかった。橋本氏の改革が、いま妥協を排除してやりぬかなければ大阪がダメになる、という気持ちに発するものであることがよくわかった。

この本は、第1章から第3章までで、橋本氏の改革の本質を明確にしている。大阪の問題は日本の問題そのものであり、大阪には日本の問題が典型的に現れている。第3章の章題は「大阪発―霞が関行き超特急維新列車」と付けられている。そして日本の問題とは“官僚支配”である。

第4章、第5章では、日本を蝕む官僚支配の病根の深さと広さが明らかにされている。自分が公務員の端の端の端くれのせいか、私の目には、身を削って仕事をする現場の公務員たちの姿が焼き付き、本書で紹介されている官僚支配の恥知らずさなあり様に呆然としてしまう。しかし、たしかにここに書かれていることは事実だ。

先日、消費増税関連法案をめぐる民主、自民、公明三党の実務者協議が決着し、今国会での法案成立に向けて大きく前進した。背後には官僚たちの姿が見え隠れする、どころの話じゃない。結局官僚たちの思うつぼにはまった。橋下徹氏の改革は、大阪で大きな支持を受けた。霞が関行きの維新列車の原動力は関西電力ではなく、全国の官僚支配を憎む国民の支持である。


人気ブログランキングへ

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

公務員制度改革、「国家公務員給与削減法案」潰した人たち・・・『橋下改革』 屋山太郎

 『屋山太郎が読み解く橋下改革 大阪維新は日本を救えるか』 より

谷公士
安部首相、渡辺喜美氏らの公務員制度改革に反対して、戦いの前線に立ったのは人事院総裁の谷公士[マサヒト]氏でした。彼は郵政事務次官から郵便貯金振興会理事長へ天下りし、その後三法人に理事長、会長として「渡り」を繰り返し、2006年4月に人事院総裁に就任した典型的なキャリア官僚です。
・・・・・・・・・・・・・
公務員制度改革基本法では、①キャリア制度をやめ肩たたきもやめて定年まで勤められるようにする。そのために、年功序列の賃金制度を改める。②各章の幹部人事を内閣人事局に一元化して、省益至上主義を排除する―と決めました。1893(明治26)年に高等文官試験が定められて以来、115年ぶり(当時)の大改革でした。官僚は猛反発しましたが、法案は衆院480人中450人の賛成で成立しました。

ところが、賃金体系の権限を内閣人事局に移すことについて、谷総裁は首相が招集した会議をボイコットするなどして、とうとう改善案を潰してしまったのです。まさに官僚の増長ここに極まれりです。


江利川毅
2011年6月管政権は、震災復興の財源を確保するため、公務員給与の7.8%引き下げを盛り込んだ「国家公務員給与削減法案(賃下げ法案)」を閣議決定しました。しかし、ここでも、人事院の強い抵抗を政府は受けます。その成立を阻んだのは、谷氏の後任として人事院総裁のポストに就いた官僚出身の江利川毅氏です。

江利川氏は、11月9日の衆院予算委員会で「人勧(人事院勧告)無視は憲法違反だ」と賃下げ法案への反対答弁を行い、人勧の「0.23%引き下げ」を受け入れるよう求めました。結果「削減0%」でした。人事院はしてやったり。その後7.8%の引き下げ法案が可決・成立したのは野田政権になってからです。けれども、ここでも官僚の意志は根強く反映され、二年間の期限付きとされました。期限付きとしたのは、引き下げ分は震災へのカンパと位置づけられたからです。カンパなら制度を変えるのではないと理由付けられます。

屋山太郎が読み解く橋下改革―大阪維新は日本を救えるか屋山太郎が読み解く橋下改革―大阪維新は日本を救えるか
(2012/05/22)
屋山 太郎

商品詳細を見る


人気ブログランキングへ

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『国土と日本人- 災害大国の生き方』 大石久和

国土と日本人 - 災害大国の生き方 (中公新書)国土と日本人 - 災害大国の生き方 (中公新書)
(2012/02/24)
大石 久和

商品詳細を見る

読んでいて面白かったので、あとでなんかの時に使えそうな部分を3つの記事に書いてしまった。

著者の大石久和氏は建設省OB。その経験から、「国土の実情と国土整備は、過去や世界との比較の中で理解してこそ真の理解となる」と語る。

日本の国土の特殊性はと言えば、まず一つに近代国家としての一体性を維持することがむずかしいということがある。長細い弓状列島は、東端の択捉島から西端の与那国島までの3300kmを同縮尺のヨーロッパに重ねるとポルトガルのリスボンから、ベラルーシのミンスクに及ぶという。しかも、主要な島だけでも4つに分かれ、これを結ぶためには長大な橋梁や海底トンネルが必要となる。さらに主要四島には、国土の70%を占める急峻な脊梁山脈が縦貫し国土を二分しており、激しく流れ下る河川と分水嶺が更に細かく国土を分断する。

2つ目に多種多様の災害が多発する国土ということである。脆弱な地質と降水量の多い気候、これに急な河川が加わって山腹斜面の崩落、土石流の危険を抱える地域はきわめて多い。河川に押し出された土砂により形成された平野は多くの人々の生活領域であり、先人たちは流路を定め、堤防を築いて街を守った。この列島自体が北アメリカ、太平洋、フィリピン海、ユーラシアの各プレートの押し合いへし合うなかで成立した。世界の地表面積の0.25%を占めるに過ぎない我が国土では、全世界のマグニチュード4以上の地震の10%が日本で起こる。マグニチュード6以上の地震なら20%になるという。だからもちろん津波も発生する。地震対策が必要な地域は、日本全域に及ぶ。ドイツにはそれがない。「恵み」ではすまない量の雨も降る。全地球地表の年間降水量の平均が800mmであるのに対し、日本は1600~1800mmに達する。しかも梅雨と台風のシーズンに集中する。水は急な河川を駆け下り、あっという間に海に達する。使える水は、先人を含めた国民の努力で確保しなければならない。一つの台風が通りすぎれば何人かの国民が犠牲になる。気象観測システムの発達したこの時代でさえ、23年の台風12号は92人の死者、行方不明者を出した。冬になれば、日本海側に雪が降る。家を押しつぶすほどの雪である。放置すれば日本海側そのものが閉ざされる。上杉謙信や柴田勝家の時代はそれが当たり前だった。そのこと時代が歴史を変えてきた。

上記の指摘はきわめて的確で、ここに諸外国の状況があわせて説明されているので、そのことにより日本の特殊性が浮き彫りにされている。著者は、だからこそ、先人たちがそうしたように、さらに国土に手を入れ続けなければならないという。

日本の財政は追い詰められている。理由をここで云々するのではないが、公共事業費、教育費、ODA費、防衛費などが削減されて社会保障費を確保している状況だ。この状況は未来を犠牲にして今を維持している状況ということになる。未来の日本に対する投資は、今を犠牲にしてでも必要である。

著者はこの中でいくつかの提案をしているが、ここでは深くは触れない。著者の言うとおり、たとえその利益を自分が受けられないとしても、未来の為に成すべきことが私たちにはあると思う。ただ、今読んでくれている人は、私のブログにある「00/00のツイートのまとめ」という記事のを見てもらえないだろうか。1日ごとに出しているから簡単に見てもらえると思う。その最上部左にある写真は私の故郷の山である。全山が石灰石からなり、昭和30年代後半から日本の土木事業に石灰を提供してきた。今、このように青々とした山は、そこにはない。山頂に祀られた龍神は、故郷の人々の生活のために、それを許してくれたのだろう。

先人たちのたゆまぬ努力と自己犠牲。それが私たちの今を支えている。でもそれだけじゃない。山にも川にも、海にも湖沼にも、わが国の国土は、神々とともにあった。それを忘れた“開発”が、長きに渡って行われてきたのは事実である。やはりそこにあったのも“私”であったことを忘れてはならない。僕は故郷の山に、今も龍神はいると思っている。


人気ブログランキングへ

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

少ない平野面積 『国土と日本人』 大石久和 

国土と日本人 - 災害大国の生き方 (中公新書)国土と日本人 - 災害大国の生き方 (中公新書)
(2012/02/24)
大石 久和

商品詳細を見る
国名国土面積(万k㎡)可住地面積(万k㎡)国土の占める可住地の割合(%)
日本37.8610.3527.3
イギリス24.3820.6384.6
フランス54.7939.7272.5
ドイツ35.6723.7966.7

可住地面積とは標高が500m以下で土地の傾斜が少なく、沼や湖となっておらず、簡単にいえば住むところとして使える土地をさす。上の表からも、日本は国土面積の割には可住地面積が小さいということがよくわかる。

それだけではない。その平坦な場所、つまり平野が、それぞれが狭い平野として分散していることも、きわめて不利な特徴である。脊梁山脈を水源とする数多い一級、二級水系と分水嶺によって分断された極小の平野を、全部かき集めたのが上表の日本の可住地面積、平野である。

関東平野は日本最大の平野である。しかし、それは江戸時代の初めから明治にかけて、荒川や江戸川、利根川といった河川の改修をそれぞれの時代の人々が一生懸命にやってきたおかげである。日本のような国で平野を使えるようにするためには、河川が勝手気ままに流れないようにするためには「流路」を固定しなければならない。したがって、関東平野を一体的に使うことができるようになったのは、そういった先人たちの治水努力の結果であったのである。
※『国土と日本人(大石久和)』

人気ブログランキングへ

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

脊梁山脈と急な河川 『国土と日本人』 大石久和   

国土と日本人 - 災害大国の生き方 (中公新書)国土と日本人 - 災害大国の生き方 (中公新書)
(2012/02/24)
大石 久和

商品詳細を見る
わが国では、この弓状列島の中央を脊梁山脈が縦貫している。それも中途半端な高さではなく、2000から3000m級の山脈なのである。このため、日本海側と太平洋側を結ぶためには、大変な苦労が必要で、トンネルと橋梁を多用しなければ、両地域が結ばれない。国土は山脈によって完全に二分されているのである。

東京都練馬区と新潟県長岡市を結ぶためには約11kmもの関越トンネルを建設してもなお、標高約850mまで道路を引き上げなければならない。急勾配を避けるためにカーブも多用しなければならない。わが国では、脊梁山脈を越えるために、大変な費用と努力を必要としている。

さらに脊梁山脈から流れ下る河川が国土の縦貫軸に直交し、主として南北に流れ分ける形になっている。細長い幅の狭い国土を南北に流れ分けるのであるから、川はきわめて短く、そして流れは急である。河川が急流なうえに強い豪雨に襲われるから、洪水が起こりやすいのである。

日本の一級水系の流域面積の平均が23000平方kmであるのに対して、フランスのロワール川の流域面積は11万平方kmを超えている。日本には一級水系といわれる水系が109ある。河川とか線の間は必ず他の地域よりも高く、丘陵地帯や山岳地帯が分水嶺となるから、わが国の国土は、大きな河川によって109の地域に分断されているという見方もできる。フランスは日本よりはるかに少ない6つの水系で国土がおおわれているに過ぎない。なお、日本の二級水系はなんと2713ある。

『国土と日本人(大石久和)』より

人気ブログランキングへ

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

主要国土四島の一体化 『国土と日本人』 大石久和 

国土と日本人 - 災害大国の生き方 (中公新書)国土と日本人 - 災害大国の生き方 (中公新書)
(2012/02/24)
大石 久和

商品詳細を見る
本州・九州間
1942年7月 関門鉄道トンネル単線で共用
1944年9月 関門鉄道トンネル複線化
1958年3月 関門国道トンネル完成
1973年    関門橋完成
1975年3月 新幹線の新関門トンネル完成  

本州・北海道間
1954年9月26日 洞爺丸事故
青函航路で起こった、国鉄の青函連絡船での海難事故。台風15号により沈没。死者・行方不明者あわせて1155人に及ぶ、日本海難史上最大の惨事となった。
1988年 青函トンネル開通

本州・四国間
1955年 紫雲丸事故
本来は、日本国有鉄道(国鉄)の宇高連絡船紫雲丸が1947年(昭和22年)6月9日の就航から、わずか9年間に5度にわたって起こした事故の総称。特に1955年(昭和30年)5月11日に発生した同じ宇高連絡船第三宇高丸と衝突して沈没事故は、最大の被害を出した。「紫雲丸事故」といった場合はこの事故を指すことが多い。修学旅行中の広島県豊田郡木江町立南小学校(現・豊田郡大崎上島町立木江小学校)の児童などを中心に死者168名を出した。
1988年 瀬戸大橋ルート完成
1998年 明石海峡ルート完成(大鳴門橋、明石海峡大橋)
1999年 しまなみ海道ルート完成[最終完成は2006年] 

※『国土と日本人(大石久和著)』より 


人気ブログランキングへ

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『グローバル恐慌の真相』 中野剛志・柴山桂太

反TPP陣をフルバックで支える中野剛志と経済思想家柴山桂太の対談をまとめたもの。

昨年秋、野田政権はTPP参加をめぐり、既加盟決定国との話し合いに入ることを決定した。「参加を決定したわけではない」とは言いながら、あれだけ沸騰したTPP論議も時間をおかれて燗ざめ状態。反対を表明していたグループも、上では旗を振るものの、飲み屋の話題はTPP対応策に移り変わりつつある。

そんな中、ともに七〇年代前半の生まれの二人の経済専門家が、このグローバリズムと共に進行する世界不況の本質、その行く末を語り合う。

2008年にリーマンショックが発生した時、アメリカはバブル崩壊後の日本の失敗を教訓として必死になって景気悪化をくい止めようとした。その結果、2009年くらいから景気は持ち直すかに見えた。しかし結局、巨大なバブル崩壊の影響は、じわじわアメリカをむしばみ続けた。格差デモに答えようにも、オバマの格差是正策はアメリカの信条によって拒否された。「自助努力の不足だ」「自己責任だ」と。

昨年、混乱の波は世界に及んだ。ジャスミン革命の発端はチュニジア。2010年、チュニジアの経済成長率は3.8%と悪いわけではなかった。にもかかわらず失業率は14%、若年層だけなら30%を超えた。これがグローバル化だ。ジャスミン革命はエジプトの政権をも崩壊させ、いまだに中東全体を揺さぶっている。

ヨーロッパも揺れている。ギリシャの経済破綻をドイツが埋め合わせなければならない。経済結合を政治結合にまで発展させようとするヨーロッパで、拒否反応が起こりつつある。グローバリズムが推し進められれば、国家の壁は少しずつ取りはらわれていく。その時、偏狭なナショナリズムに火がつかないと誰が保障できるだろうか。いや、その方が必然であると思える。
グローバリズムがもてはやされてきたのは、二人の言うとおり、これまでがたまたま好況に恵まれてきたから、アメリカの不動産バブルが、そのマイナス面を吸い上げられるくらいにふくれあがっていたからだ。昨年、アメリカのウォール街で反格差デモが始まった。アメリカでも分け前にあずかれない連中が苦しみ始めたのだ。

本書は、世界経済が上記のような状況にありながら、その原因追及もなおざりに、格差を生み続けるグローバル化に邁進していこうとしていることに対して警告を与える。そして日本も、さらなるデフレ圧力であるグローバル化が大胆に推し進められることにつながるTPPに参加しようとしていることの危機を訴える。

この本の中で二人は、数多くの経済学説をあげ、これまでの世界経済が多くの経済人の試行錯誤の中で今にいたることを説明している。事態はつねに新しい。今の時代には今の時代の経済理論が必要なのだろう。景気のいい時はそれなりの、悪い時にもそれなりの、さまざまな試行錯誤、汗と、場合によっては血をも流して、微調整をくり返しつつ進んでいかなければならないのだろう。

停滞したこの日本社会が、3・11後の日本社会が立ち向かわなければならない問題は多い。日本経済が厚い雲に覆われてから久しいが、グローバル化がその雲を取り除いてくれるかのように考えるのは幻想だろう。日本の近代史の中で、外圧は時に大変化のきっかけとなった。しかし過去の大変化の中でも、日本人の歴史的蓄積は完全には失われていない。今、私たちが直面するグローバル化。その真の姿を、しっかり見極めよう。


人気ブログランキングへ

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『「常識」としての保守主義』 櫻田淳

第一章 保守主義とは何か
第二章 保守主義の条件
第三章 保守政治家の肖像
第四章 保守主義の可能性

最終章に紀元前二世にローマ共和制の隆盛を目の当たりにした歴史家ポリュビオスの言葉が出てきます。
劣悪な変化の最初の兆候となるはずのものは、官権への欲望と無名であることへの不満であり、それに加えて日常生活の中の虚栄と奢侈である。そして民衆は貪欲の犠牲になって正当な権利を奪われたと感じたり、官職希望者の阿諛にのせられてうぬぼれたりしたとき、このへんかの先導役を務めるであろう。・・・そうなったとき国制は名を変え、自由と民主制という何よりも麗しい名前を獲得するだろうが、事実上は何よりも劣悪な体制、すなわち衆愚制に姿を変えていることだろう。
日本人は、その意味を曖昧なままにして言葉を使うことが多い。「保守主義」という言葉はその典型とも言いうる。いったい保守とは・・・?

保守とは?革新とは?
進歩とは?反動とは?
右翼とは?左翼とは?
ハト派とは?タカ派とは?  鳩山さんはハト派? カメ派、ウマ派にカモ派

第一章では保守主義とは何か。何かと問われると、難しいことですね。著者はこのように並べて話を始めます。
[急進主義(共産主義・社会主義)、自由主義、保守主義、反動主義(国家主義・国粋主義)]
こう並べてもらうと、まず相対的位置づけははっきりします。でも、急進・自由・反動各主義は絶対的位置づけを持ってますよね。特に戦後民主主義は濃厚に野放図な自由や結果としての平等を吹聴しましたから、それを制御しようとするものをすべて「反動」と決めつけました。だから現代的「反動」には、自由・保守・反動主義が一緒くたにされ、混沌としている。本書はその混沌を相手に、じっくりと保守主義の本来の姿を探りだしてみせてくれます。

第二章では、保守主義のあるべき姿を、その条件として説明します。保守主義であることがいかに苦悩に満ちているか。悩みと共にあるものであるか。求め続けなければならないものであるかが語られています。

第三章では保守的政治家としてシャルル・ド・ゴール、ウィンストン・チャーチル、ロナルド・レーガン、吉田茂、コンラート・アデナウアーが紹介されています。共通するのは自国民に対する微塵も揺らぐことのない信頼と意志力。彼らがそろって国家の存亡がかかったときに指導者の地位についたことを思えば、感動的ですらあります。

第四章は圧巻です。保守主義であるならば、父祖の積み重ねに学ぼうと古今東西あらゆる知見を追い求める努力を怠ってはならない。他者に、時には敵に対しても寛容でなければならない。自国民に才能能力に絶対的な信頼をいだき、同時に衆愚への懐疑を忘れてはならない。どんな優れた体制や時代にも心を許さず、常に将来の心配の種を敏感に感じ取らなければならない。

まさしく保守主義であることは、苦痛に満ちてますね。「保守主義が」というより、「人の世は」というべきなんでしょうね。いずれにせよ、強い意志と、国を愛する心がなければなりませんね。

良書です。


人気ブログランキングへ

テーマ : 最近読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

ありがとうございました



「《めんどくせぇことばかり》は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。」
よくお越し下さいました

イーグルス16

Author:イーグルス16

息も絶え絶えです、ぜひ応援してください


火山の噴火、土石流に土砂崩れといった災害は、人々の目を山の高見に向けさせた。
それ故に山は、恵みと共に、畏怖の対象でもあった。
カウンター
カテゴリ
こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本


























































































検索フォーム
RSSリンクの表示
最新記事