めんどくせぇことばかり 本 世界史

『真実の世界史講義中世編』 倉山満

なぜか私の目の前に山川出版の詳説世界史Bの教科書がある。今日ご紹介するのはこれじゃなくて、倉山満さんの『誰も教えてくれない真実の世界史講義 中世編』なんだけど、その前に、すぐ目の前のこの不愉快な本を何とかしないと先に進めそうもない。

なにしろ、日本人にとって、この本に書かれたことが“世界の歴史”なわけだからね。

ニュースを見ると、「官僚の体たらく」がどうのこうの、「テストで高い得点を取ることしかできない」からどうのこうのとか、ここぞとばかり言い立ててますね。きっと、ああいうこと言ってる瞬間って、とっても気持ちよくなっちゃってるんだろうな。

それにしたってすごいよ。この本で世界史を勉強して、そのほとんどを覚えて、与えられた設問に対して適切な答えを導き出すってのは、「テストで高い得点を取ることしかできない」なんてレベルの問題じゃない。とてつもない能力だと思うんですけどね。なにしろこの本で勉強するってのは、我慢が必要ですからね。我慢力。ものすごいです。ある意味で、それがあるからこそ、国を支える仕事ができるという面もあるのかもしれない。

山に連れて行ってる子たちの中にも、警察とか消防とかの公務員試験を受けようって子がいるんだけど、勉強しなけりゃいけない内容がものすごいですよ。こんなことやってなんか役に立つのってことまでありますもん。「そういう役に立たなそうなことでも我慢できる能力を問われてるのかな」なんて思ったりするくらいです。

そういう世界史からは、遠いところにあるのが、この倉山さんの本といえばいいかな。山川の世界史は、一般的日本人の世界理解に寄与していません。でも、倉山さんのこの本は、それに大いに役立つと思います。


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西欧史・中国史中心の歴史観を根本からくつがえす、“教養としての世界史"の第2弾
第1章  世界史の正体と日本
第2章  十字軍の爪痕
第3章  世界史を語る視点としての鎌倉幕府
第4章  暗黒の中世の終焉と室町幕府
第5章  中世と近代のはざまで


世界史とはいうものの、歴史の勉強ってのは、今の自分の立ち位置を認識し、自分の生きていく一助にすることにありますよね。自分の足元を照らす歴史、自分の足元を照らす世界史じゃなきゃ、本当は意味がないわけです。この、倉山さんの本は、それこそ三分の一くらいは日本史の記述になってます。日本の歴史を世界の歴史の中でとらえ直しているんですね。

だから、面白かったですよ。日本ではさほど大きく取り上げられないけど、元寇でモンゴル軍を撃退したってことの意味の大きさとか、ヨーロッパの絶対主義時代に200年もさかのぼって行われた足利義教の絶対主義とかね。世界史と照らし合わせることで日本の歴史にあらためてスポットライトが当てられているみたい。逆にそうすることで、世界史への理解も深まるしね。

いずれにせよ、日本の学問の世界はセクト主義だから、こういう日本史と世界史の交流以前に、歴史を通史としてとらえるということ自体ができていないですよね。歴史が好きな高校生は、本当は大学の史学部で、“通史”を勉強したいんじゃないでしょうか。でも、通史をおいている大学ってあるでしょうか。

たとえば、上の山川出版の世界史にしたって、東京大学の名誉教授さんを筆頭に8人の先生方が分担で書いています。通史のように見えて、実は通史になってない。セクトのつぎはぎですか。

学校で教わる歴史も、なんだか、《歴史総合》というものに変わっていくようですが、結局、セクトのつぎはぎになるんなら、同じことのような気がするな。

まあ、嘆いてみてもしょうがない。面白い歴史が読みたい人は、倉山さんの本みたいのを探すことですね。

・・・最後にこう言う言い方もなんなんですけど、私、“古代編”を読んでませんでした。・・・あたふた、あたふた




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東西の中世『誰も教えてくれない真実の世界史講座 中世編』 倉山満

近代という時代区分に入るまで、人類の歴史における世界の先進地域はオリエントだったんですね。この本はが対象にしているのは中世という時代ですが、長きにわたって人類の文明を引っ張っていたのはオリエント、アッバース朝というイスラム帝国が頑張ってましたね。

その首都として建設された都市がバグダッド。直径3kmの円城都市で、これを建設した第二代カリフのマンスールは「メディナ・アッサラーム」と命名したそうです。その意味は“平安の都”ということですから、桓武天皇の平安京と一緒ですね。

全盛期は、第五代カリフのハールーン・アッラシードの時代。在位は786~809年。アッラシードは学問、文芸や芸術を保護し、アレキサンドリアのムセイオンにあったギリシャ語の文献をアラビア語に翻訳している。これがのちのイスラム文化の大発展を産むんですね。

翻訳は学問や文芸、文化全般の発展のキーワードなんだな。やはり、英語を話せるようにならなきゃ世界の発展から取り残されるなんて思い込みは、最初から負け犬根性で臨んでるようなもんで、おそらくどうにもなりゃしない。

英語ができるやつは、率先してそれを翻訳して、日本語で世界最先端の事物に接触できるように頑張ってくれないといけないですね。

アラッシードの時代の翻訳があったればこそ、古代から受け継がれたさまざまな知識とそれを土台にイスラム圏で発展した知識が継承されたんですものね。ヨーロッパの近代は、それをさらに翻訳することでもたらされたわけだから、アッラシード時代の翻訳がなければヨーロッパは中世の暗黒から抜け出せていなかったかもしれないですね。

ちなみに、ハールーン・アッラシードとカール大帝は同時代人だそうです。交流もあったそうですが、世界の文明の中心たるオリエントとずっと格下のユーラシア大陸の西の辺境では、まるっきり相手にもなりませんね。


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ヨーロッパとチャイナ中心の歴史観を根本からくつがえす、知っておきたい“教養としての世界史"
第1章 世界史の正体と日本
第2章 十字軍の爪痕
第3章 世界史を語る視点としての鎌倉幕府
第4章 暗黒の中世の終焉と室町幕府
第5章 中世と近代のはざまで


かたや、ユーラシア大陸の東の方はどんな様子だったかっていうと、古代に大きな力を持った秦漢帝国が滅んで後は、分裂と異民族の侵入が延々と繰り返されていきます。その間に、古代秦漢帝国を形成した人々を漢民族と呼ぶならば、彼らは絶滅していきますね。

そして6世紀の後半に隋が登場し、唐へとつながります。隋の楊氏も唐の李氏も、鮮卑族の北魏が元ですから遊牧民族の北魏が出自ですね。最終的には、わずかに漢民族の文化を継承していた南部の陳を隋が根絶やしにしたことで、古代からの漢民族の歴史はとどめを刺されたわけですね。

唐王朝はアッバース朝と、中央アジアで戦ってます。タラス河畔の戦いですね。玄宗の時です。玄宗時代の後半は安史の乱でめちゃくちゃになり、あとはどうにもなりません。どうにもならない状態でその後150年も持ちこたえるわけだから、習近平政権はどうなるでしょう。

持ちこたえたとはいえ、混乱は時とともにひどくなり地方軍閥が首都に侵入して王朝は終わりを迎えるという、チャイナ独特のパターンにはまり滅亡します。唐のあとは、五代十国時代。五つの王朝が建っては滅び、その周辺にいくつもの国が泡のように膨らんでははじける時代ですね。

五代と呼ばれたのは、“後梁・後唐・後晋・後漢・後周”で、唐が滅んだのと同じように、内部の軍人が主家を滅ぼして新たな王朝をひらきます。最後は後周の軍人趙匡胤が主家を滅ぼして宋王朝を建て、宋が同じように滅ぼされることのないように、軍部の力を徹底的に弱体化したんですね。

たしかに、そのせいで、宋は軍人に滅ぼされることはないんですが、モンゴル系契丹族の建てた遼や女親族の金に繰り返しカツアゲにあい、どんどん領地をけずられて、最後はモンゴル帝国に滅ぼされるんですね。

著者の倉山さんは言っています。

《どこが「中国ウン千年の歴史」なのか呆れます。そんなものは真っ赤なウソで塗り固められたプロパガンダだということを、あらためて強調しておきましょう。そもそも、チャイナ大陸は漢民族だけでなく、いろいろな民族が通り過ぎたり居座ったりしています》

・・・たしかに、そこは、現在に続く歴史が積み重ねられたのではなくて、いろいろな民族が攻防した、ただの“場”に過ぎないんですね。いかに中国共産党が巧妙にそれを塗り固めようとも・・・。




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『マンガでわかる西洋絵画のモチーフ』 池上英洋

誠文堂新光社  ¥ 1,728
西洋絵画のお約束。それはパンをくわえた女子高生が曲がり角で誰かとぶつかるくらい大切なこと
第1章 描かれた旧約聖書を読み解く
第2章 描かれた新約聖書を読み解く
第3章 描かれたギリシャ・ローマ神話を読み解く
第4章 描かれたシンボルを読み解く


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誠に申し訳ありません。昨夕、不完全なままの記事を流出させ、しかも気づかずに朝まで放置してしまいました。

本に関わる記事を作る時、まず本の題名や装丁、目次、関連図書の“わく”を先に作り、これを土台として前後の文章を付けています。その土台だけを流出させてしまいました。理由ははっきりいたしません。文章もしっかりつけたはずなんです。にもかかわらず、文章の抜けた土台だけを公開してしまいました。さらに理由を追求するなら、私の間抜けさ加減が明らかにされるだけに終わると思いますので、今回のことはお詫びした上で、迷宮入りとさせていただきます。

マンガでわかる西洋絵画のモチーフ』 は大変面白い本でした。関心を持たれた方は、どうぞ左の題名をクリックしてみて下さい。ですが、私は恥ずかしいったらありゃしないので忘れて、ヒルコのように流そうと思います。いつか雄々しくエビスとなる日を心の中で願いつつ・・・

ご支援のポチをいただいた方もありました。本当にすみませんでした。

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『世界の歴史はウソばかり』 倉山満

昨今の潮流は、民族が強調されて国家が解体され、同時にEUに代表されるような国家統合が進行しつつあります。イギリスのEU離脱に関連して、スコットランドがイギリスから独立してEUに加盟するとかって話は、そのまんまですね。

著者の倉山さんは、著書の中で繰り返し繰り返し、第一次大戦後のパリ講和会議を主導した第28代アメリア大統領ウッドロー・ウィルソンを取り上げます。そう、昨今の潮流の根源は、まさにウィルソン大統領にあるとして、・・・ですね。

有名なウィルソンの14か条ですね。その中で民族自決を打ち出して、ウィルソンはバルカン半島ではオーストリア・ハンガリー帝国を解体し、オスマン・トルコ帝国を崩壊させて、その跡地に食い込もうとした。ついこの間まで続き、現在にも多大なる禍根を残している旧ユーゴスラビアの悲劇のもとは、ウッドロー・ウィルソンにあるわけですね。

それだけじゃない。あちこちに民族運動の火の粉を飛び散らせ、上がらなくてもいいところに火柱を上がらせましたよね。

十字軍とか、ペスト大流行とか、百年戦争とか、いろいろな経験の果てにヨーロッパが近代を迎えるころ、主権国家って考え方が生まれてきますよね。近代ってのは、世俗の世界がキリスト教会から自由になる過程で、決着がつくのは1648年のウェストファリア条約ですね。これで各国の国王は皇帝や教皇の支配から独立し、各国の国王が対等の関係で領土と領民を治めることになります。主権国家になったわけですね。

そこからさらに100年以上の年月をかけて、国王ではなく国民が国家の主体となっていきます。一番わかりやすい例は、やはりフランスですね。そう、フランス革命。

最初、「国王陛下万歳」と叫んで革命を始めたフランス国民は、やがて、「フランス万歳」と叫び、ラ・マルセイエーズに促されて戦地へ向かうわけですね。

さらに教会財産を没収し、聖職者を公務員として国の支配下におき、教会が担った出生・婚姻・死亡などの戸籍管理は国が行うようになる。名実ともに、教皇と縁を切るわけです。

国王を殺した革命を、周辺国は必死になって圧殺しようと、対仏大同盟を結んで干渉戦争を始めます。迎え撃つのは戦争の天才ナポレオンに指揮されるフランス国民軍で、これが強かった。


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世界が知られたくない暗黒史を大暴露! 史上最も格調高いヘイト本
序章  日本人がまったく知らない国民国家論
第一章  典型的な「国民国家」フランス
第二章  国民国家の理論でナチズムをやっている中国 主権国家にすらなれていない韓国
第三章  常に異ネーションをかかえた帝国ロシア
第四章  国体と政体の区別がない「人工国家」アメリカ
第五章  「民族主義」のヒトラーに破壊された国民国家ドイツ
第六章  エンパイアから始まった国民国家イギリス
第七章  七世紀には国民国家だった日本
おわりに 「史上最も格調高いヘイト本」

フランスは、フランス人が武器をもって周辺諸国と戦う経験をすることで、国民国家としてのフランスが形成していったわけですね。フランス語が普及したのものこの時。大革命からナポレオン戦争の30年間を通じて、フランス語がフランス国民に普及し、「民族として共通の歴史を記憶し、フランス語を話すフランス国民によるフランス国家」が形成されたわけです。

だけど、この間にギロチンに首を落とされた人はおよそ1万6000人。カトリックの伝統を守ろうとしたヴァンデ地方はえらい目に合って、その犠牲者はんん十万人でしょ。犠牲が大きすぎる。その犠牲は、国民国家の“国民”の外に置かれてるのかな。

アメリカの国民を作ったのも戦争でしょ。南北戦争っていう内戦、・・・じゃないんだよね。これは、南部諸州がアメリカ合衆国の一元化に反発して独立し、アメリカ連合国を立ち上げたものを、アメリカ合衆国が叩きのめした戦いですよね。

アメリカ合衆国は、のちに日本に対する焦土作戦を、実は南部に対して実行してるんですよね。独立以来、今のEUのような緩やかな連合のもとにつどった元“仲間”を叩きのめして、「メイフラワー号で新大陸に渡って以来の一つに統合された国家」の裏切り者として従わせたわけですよね。

「アメリカは、そんなプロパガンダを流して、流した本人がそのプロパガンダを心の底から信じ込む」、そんな国です。そして、そんなことを何度も繰り返す国です。

中華人民共和国は国民国家になるために、かつてはネイションの地位にあった満州族をほぼ壊滅させ、チベット族やウイグル族、モンゴル族への民族浄化を進めている。

朝鮮半島の二つの国に関しては、わけがわからない。




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『大世界史』 池上彰 佐藤優

佐藤優さんの『民族問題』を読んで、ブログで記事にした。佐藤優さんにはこれまでずいぶんお世話になっていて、おそらく頃レからもお世話になるんだろうな。・・・なんて、そんなことを考えながら、「今まで一番お世話になったのはどれかな」なんて考えてみたら、ピンときたのがこの本。池上彰さんとの対談の本だけど、ずいぶん面白かったし影響も受けたので、何回か書いた過去記事をまとめる形で紹介しておこうと思う。

たとえば、中東の混乱について、『大日本史』が本になった時期に比べれば、イスラム国後からは完全に弱まっているが、中東の混乱の度合いは増しているように思える。この本の中で佐藤優さんが、当事における中東の勢力図を紹介しているんだけど、これが現在でも結構役に立ちそうなんで紹介しておく。
第一勢力
サウジアラビア、湾岸諸国、ヨルダンなど、アラビア語を使うスンニ派のアラブ諸国。基本的には欧米諸国との協調路線を維持
第二勢力
急速に勢力を拡大しているペルシャ語を話すシーア派のイラン。レバノンのヒズボラもこのグループ。
第三勢力
アラビア語を話すシーア派のアラブ人。
第四勢力
スンニ派だが、トルコ語を話し、民族意識も高いトルコ。
…ね。けっこう使えるでしょ。

《イランーシリアーヒズボラのラインでイスラエルに圧力をかける動きがある。さらにイエメンで拡大するシーア派武装組織フーシはイランの支援を受けており、それに対してサウジアラビアが空爆を加えている。アメリカはちぐはぐな対応しか打てない。アメリカの場当たり的な対応はとりあえずこっちに置いといて、今、中東ではスンニ派とシーア派の本格的な宗教戦争の危険性が拡大している。》

基本的な構図は、今も変わらない。そこにトランプが《エルサレムをイスラエルの首都として承認する》なんてことになって、イスラム勢が大反発って状況になってる。

『大世界史』 池上章・佐藤優

文春新書  ¥ 896

現代の生き抜く最強の教科書  世界をその手につかまえろ❢
1  なぜ、いま、世界史か
3  オスマン帝国の逆襲
5  ドイツ帝国の復活が問題だ
7  「右」も「左」も沖縄を知らない
9  ウェストファリア条約から始まる
11  最強の世界史勉強法
2  中東こそ大転換の震源地
4  習近平の中国は明王朝
6  「アメリカvs.ロシア」の地政学
8  「イスラム国」が核を持つ日
10  ビリギャルの世界史的意義

続いて、バルカン半島について書いたものを、そのまま紹介しておく。
バルカン半島は古代からフン、アヴァール、マジャール、ブルガール、オスマン帝国、オーストリア帝国、ロシア帝国が侵攻をくりかえした。

半島国家は、その付け根を制した大国から常の脅かされる。バルカン半島を大国が支配するとき、ギリシャの自由と独立は失われる。古代においてはローマ帝国、中世においてはビザンツ帝国、15世紀以降はオスマン帝国がそれである。

そのたびにギリシャ人は進んでローマ人となり、ビザンツ人となり、オスマン人になることで生き延びてきた。

オスマン帝国が衰退すると、親露派と親英派が抗争し、イギリス海軍の力で独立した後は親英王政。第二次大戦後は親露派と親英派が抗争し内戦へ。チャーチルとスターリンの談判で、ギリシャはイギリス勢力圏、ブルガリア以北はロシア勢力圏と決まると、共産ゲリラの掃討が行われた。大戦後はイギリスに変わりアメリカがギリシャ防衛を受け持つ。アメリカはギリシャにマーシャルプランで莫大な経済軍事支援を行い、ギリシャをトルコとともにNATOに加盟させた。両国を押さえておけば、ソ連黒海艦隊の地中海進出を阻止できるからである。

ギリシャに公務員が多いのは中道左派のパパンドレウ政権が公務員の労働組合を支持母体としていたことから、投票の見返りとして公務員のポストを報酬としてばらまいたことによる。国民五人に一人が公務員という異常事態となった。

この本によれば、ギリシャは一九世紀に大国の利害で作られた人造国家だとか。英露のグレートゲームの中、オスマン帝国をいかに解体していくかをめぐってギリシャが生まれた。

オスマン帝国領の、現在のギリシャに相当する地域に住んでいた人々は、帝国内のミレット(共同体)に属しており、「ギリシャ人」というより「オスマン帝国のギリシャ正教徒」という意識を持っていた。正教徒ということなら、ロシアはその懐に手を突っ込みやすい。

さらにイギリスの詩人バイロンは、ヨーロッパ文明の母ギリシャの独立を支援するして戦死することで、「オスマン帝国のギリシャ正教徒」に古代ギリシャ人の末裔という伝説を与えた。

一八二九年に独立するギリシャだが、DNAの上ではトルコ人と変わらない。そのオスマン帝国を解体するにあたり、ギリシャのムスリムをアナトリアに移し、アナトリアの正教徒をギリシャに移して、ここに人造国家ギリシャが作られることになる。英露が作り上げた古代文明時代とつながるギリシャ人意識は、今ではヨーロッパに広く受け入れられており、ギリシャ人自身がその「伝統」を信じて疑わない。

その上で、ギリシャ文明こそヨーロッパ文明の故郷であるのだから、ヨーロッパ人がギリシャを見捨てるはずがないという新たな“ギリシャ神話”を作りだした。

まったくのファンタジーだな、ギリシャ人っていう人々は。・・・なんかどこかで聞いたような、・・・どっかで見たことがあるような、・・・とっても近くに似たような人々の気配が感じられるような。
この時も、ギリシャのことを“ファンタジー”って書いているんだけど、“ファンタジー”っていえば、韓国だよね。《シナの歴史はプロパガンダで、韓国の歴史はファンタジー》って、まったくその通りだよね。“ファンタジー”という点において、半島はそういう特殊性をもってるってことだな。

最後、全体をまとめた部分を最後に紹介しておく。
池上章さんと佐藤優さんか。二人が世界史を語りあって、私たちが生きる“今”を読み解くのか。・・・な~んか、血圧上がりそう。とりあえず、暖房の設定を三度ほど低くしておこう。・・・だって、暑苦しくなりそうじゃん。・・・失礼、本当のことを言っちゃうから暑苦しくなるんであって、「読むなら読むで、腰をすえてかかっていこう」っていう意志表明だからね。

とかなんとか言ったって、もう二本も記事書いちゃったくせにね。それで、まだまだ。本当に読み出があるね。そりゃ、このあくの強い二人が書いてるんだからね。

「歴史を学ぶのは、一言で言えば、今の自分の立ち位置を知るため」と池上さんが言うとおり。そして、「これからどう生きるかの糧にするため」ということですよね。結局、それ以外の結論はありえない。だけど、大上段に構えてしまうと、なんにも知らない自分への絶望が広がるばかり。それでも生きていかなきゃならないからね。坪庭の中だけなら危険も少ないけど、そうもいかない。

過ちは繰り返さない方がいいに決まってる。そのためには歴史を知らなければならないが、あの敗戦で、戦勝国の作った物語に合わせて、日本の歴史はぐちゃぐちゃ状態だからね。多くの日本人が自分の立ち位置に自信を持ててないはず。最近、こういう言い方すると怒られますけど、《盲蛇に怖じず》で、実は崖っぷちを平気で歩いていたりする。

だから、「明日を生きるために、歴史を知らなければならない」って言う風に大上段に構える人が必要なんだ。その人の目が曇ってると大変なことになるけどね。それは、たくさん読んで、自分で感じるしかないね。


この本は、読んでおいてよかったな。久々に振り返って忘れている部分もあって、この年末年始の休みを使って読んでみてもいいかな。・・・読む予定の本を山と積んでおいて、・・・そういうわけにはいかないかな。



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『世界最古の物語』 Th・H・ガスター

粘土板の物語は『ギルガメッシュ叙事詩』だけじゃなかったんだな。

粘土板に楔形文字が刻まれるようになったころには、こんなにも豊かな物語が語られて、受け継がれていたんだ。人類はいったい、いつ頃から物語を語るようになったんだろう。きっと、人類の歴史と同じくらい、古くからなんだろうな。

粘土板に刻まれた物語は、4000年前のもの。人が変わり、国が滅び、町が崩れ去り、長い時間が過ぎても、粘土板は残った。その粘土板には文字が刻まれていた。解読したところ、どうやら物語のようだった。

しかしそれは、著者が言う通り、“裸の言葉”として私たちに残されたものである。“裸の言葉”は、かつては様々な雰囲気を伝え、なにかをたとえた表現であり、隠された意味を伝えるものであったはず。でも、現代人には、“裸の言葉”として意味以上の価値を持たないものでしかない。

そこに、もともと持っていたと同じ価値を付加しようとすれば、さまざまな古代文学にあたり、同じ表現を見つけ、“裸の言葉”の何かを明らかにするような内容を持った記事や挿話を探し出す必要がある。古代文学という砂漠の中から、一本の針を探し出すようなもんだな。


『世界最古の物語』    Th・H・ガスター

東洋文庫  ¥ 3,132

ギルガメシュ叙事詩ほか、四千年前に語られていた、粘土板上に残された物語
バビロニアの物語
  ギルガメッシュの冒険 神々の戦争 借りものの翼 ほか
ハッティの物語
  姿を消した神さま 石の怪物 計略で捕らえた竜 ほか
カナアンの物語
  天の弓 誓いを忘れた王様 バアルの物語


上記のような、気の遠くなるような作業。いったいそんなことができるもんだろうか。いや、できるとしても、そんなことに人生のすべてをつぎ込むような酔狂な人がいるもんだろうか。・・・なんて思っていたら、別の手段もあるって。

一つの場所で語られた物語は、別の場所で語られることがよくあるんだそうだ。移住や伝播によるものであるか、同等の文化水準にあれば同じようなことを物語るのが人間というものということか、あるいはその両方か。いずれにせよ似通った話は、多くの場合存在する。

個々の場面で説明できない物語も、意味や文脈が残されている他の地域の材料と比較することで明瞭になるものも多いんだそうだ。ああ、たしかに、それは分かる。

そして、この粘土板に刻まれた物語が最古のものであるとすれば、私レベルでもよく知っているあの物語のあの話の、この物語のこの話のもともとのお話を、私はこの物語の中からたくさん見つけることができた。

“見つけることができた”なんてレベルじゃないか。だって、エンキドゥは神さまが粘土をこねて作った人間だしさ。あの世に行って、あの世の食べ物を食べちゃうと、もう戻れないっていうのは、イザナミがイザナギに語った話だよね。

いろいろな発見を楽しみに読んでみてね。




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『地政学入門 改版』 曽村保信

子供の頃から人に教わるのが苦手だった。何かを始めるときは、見よう見まねで、人に隠れて練習して、なんとか人より先にある程度の段階までは進む。だけど、いったん壁にぶつかると、その始まりの部分、基礎の基礎の部分で人に教わってないから、なかなか乗り越えられない。人に教わって、「ちまちまやりながら」って言うと語弊があるが、まあ段取りを踏みながら成長したやつは、それまでもそうだったように、壁を壁とも認識せずに先に進んでいく。

私はと言えば、悔しくて、悔しくて、いまさらながら入門書なんか隠れて読んで、こんなことなら奴らと一緒に教えてもらっておけばよかったなんて、やり直しが効いたとしても絶対やらないことを考えながら、なんとか乗り越えられればいいけど、乗り越えられずにやめてしまったことも、いくらでもある。・・・その筆頭は、テニスだな。

なにを言ってるのかって思われるでしょうが、それはこの本が『地政学入門』という本で、いまでこそ《地政学》がもてはやされているものの、ちょっと前なら《地政学》と言えば避けては通れない本。・・・というか、これしかなかった本。

なにしろ1984年初版の本。2016年までに28版を数え、今年7月に改版として、読みやすくなって再登場。それだけでも、どれだけの本か分かってもらえると思う。


『地政学入門』    曽村保信

中公新書  ¥ 799

中公新書のロング&ベストセラーが読みやすく生まれ変わった 地球規模で考えるために
序 章 地球儀を片手に
第一章 マッキンダーの発見
  1 地政学の起こりと古典       2 英国の海上権の衰退 
  3 西欧シー・パワーの起源と由来 4 ハートランドの動向   
  5 ヨーロッパ半島の運命       6 自由社会の処方箋
  7 最後の論文
第二章 ハウスホーファーの世界
  1 ハウスホーファーと日本 2 生活圏の哲学       
  3 広域の思想         4 太平洋の地政学      
  5 大東亜共栄圏との関連  6 悲劇の結末
第三章 アメリカの地政学
  1 モンロー主義の発展過程  2 西半球防衛の展望 
  3 汎米主義と二つのアメリカ  4 アルフレッド・マハンの遺産
終 章 核宇宙時代の地政学
  1 ソ連と地政学 2 アフリカおよび中近東の地政学 
  3 危機の弧    4 インド洋―世界の地中海

内容は、目次でわかるように、地政学の大御所であるH・J・マッキンダー、カール・ハウスホーファー、アルフレッド・マハンの思索を追って、s第二次世界大戦までの地政学がなにを求めてきたか。どう移り変わってきたかを明らかにし、米ソ冷戦下の地政学を、“新しい時代の地政学”ととらえて紹介している。

地政学は、イコール軍事学ではない。しかし、地政学は、軍事的考察を進めていくときに、欠くべからざる学問である。その領域は地理学、政治学、国際政治学、社会学、歴史学に及び、現実に即して無駄な知識は退けられる。

言わば、知識と思考の総合体みたいなもんで、100%に必要を満たした地政学など、到底ありえない。だから、きわめて即時的に合目的的な必要に対して、地政学は常に不十分で、ほぼ間違いなく失敗する。

その点、あとから考えて、「ああ、この視点が欠けていた」と反省するのが地政学かも知れない。

ふと気がつけば、地政学の定義付けがこの本にある。
地政学とは地球全体を一つの単位と見て、その動向をリアルタイムで掴み、そこから現在の政策に必要な判断の材料を引き出そうとする学問である。

“反省する学問”と言うのは、怒られちゃうかな。でも、私と同じ。反省しないよりはまし。それじゃいけないかな。



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『日本人が知らない最先端の世界史2』 福井義高

不戦条約
第一条
締約国は国際紛争解決の為、戦争に訴ふることを非とし、且つその相互関係において国家の政策の手段としての戦争を抛棄することを其の各自の人民の名において厳粛に宣す
第二条
締約国は相互間に起こることあるべき一切の紛争、又は紛議は、その性質、又は起因の如何を問わず、平和的手段に依るの外、之が処理、又は解決を求めざることを約す

この本の中でも言ってるけど、《日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する》っていう日本国憲法第九条一項のモデルだね。

ケロッグ・ブリアン協定とも呼ばれるのは、アメリカの国務長官フランク・ケロッグと、フランスの外務大臣アリスティード・ブリアンの尽力によって締結にこぎつけたものであったから。そのケロッグは、公園で次のように言う。 《・・・いかなる意味においても自衛権を制限し、損なうものは存在しない。この権利は主権国家に固有のものであり、すべての条約に暗に含まれている。すべての国家は攻撃又は侵入からその領土を守る自由があり、状況が自衛のために戦争に訴えることを必要としているか否かを決定する権限は、個々の国にだけある》と言っている。

その上で本書は、《不戦条約とは、極論すれば、戦間期でもっとも国際関係が安定していた状況のもと、英米本意の現状維持を承認した上での、世論向けPフォーマンスに過ぎなかった》と言う。



祥伝社  ¥ 1,728

歴史を学ぶことは重要である。しかし、都合よく利用しようとすれば、手痛いしっぺ返しを食う
序章 「反グローバリスト」は「極右」なのか
Ⅰ  満洲におけるソ連情報機関と日本
Ⅱ  「スペイン内戦」の不都合な真実
Ⅲ  「憲法フェティシズム」の果て
Ⅳ  「欧州共同体」という大いなる幻想
Ⅴ  「不戦条約」と日本の運命

不戦条約は有名無実。なにしろ、自衛戦争であるか、戦略戦争であるかの判断権は戦争を行っている当事国にあるというのだから。

たしかに有名無実であるが、それは戦間期の国際関係をリードした英米にとって、有名無実であるということ。ソ連がフィンランドに攻め込んだことを英米は侵略と判断した。イタリアがエチオピアに攻め込んだのは、イタリアをドイツに接近させたくない英米のの都合によって、侵略ではないことになった。

不戦条約は、たしかに締結されたのだ。締結されたことによって、しっかり意味を持った。ただ、戦間期の国際関係をリードした英米だけは、その適応対象外になったということだ。

なにしろ、国際世論というものが、英米指導層の判断に大きく左右されていたことを考えれば、法的に無効な条約ではあっても、英米には極めて都合の良い政治的武器となる。法的拘束力がない以上、自らの武力行使は常に正当化できる一方、気に食わない国の武力行使は、国際世論を誘導して、法的にはともかく道徳的非難に値すると糾弾して、その国を国際社会から孤立させ、追い詰めることができる。

戦間期に、そうして孤立し、追い詰められていった国を、私、知ってるよ。

この本でずいぶんブログの記事を稼がせてもらっちゃった。ネタバレでごめんなさい。でもね。言い訳じみてるけど、ここに書かれている「最先端の世界史」は、実は、ずいぶん前から言われていることばかりだよね。それが「最先端」なのは、ようやくそれが世の中に顔をだすことができるようになったから。

歴史修正主義。安倍晋三首相がチャイナや韓国、さらにアメリアからも、そう罵られることがある。歴史修正主義者というのは侮蔑の言葉なんだな。でも、少し雰囲気が変わりつつある。歴史は、修正されるべきだ。

お願い。誰か、私のことも、歴史修正主義者と読んで・・・。     ・・・マゾじゃないよ。




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ゲルニカ『日本人が知らない最先端の世界史2』 福井義高

ゲルニカフランシスコ・フランコ将軍率いる国民軍との内戦下、スペイン人民戦線政府は、支持者であるパブロ・ピカソに、1937年にパリで開かれる万国博覧会に、作品の出品を依頼していた。

それを受けたピカソは、衝撃を受けた、フランコを支援するドイツ空軍が1937年4月26日に行ったゲルニカ爆撃の非人道性を訴えるため、壁画『ゲルニカ』を完成させた。
ピカソの最高傑作の一つと言われるその作品は、スペイン北部のバスク地方にある小さな町の名前を、世界中に知らしめた。


祥伝社  ¥ 1,728

歴史を学ぶことは重要である。しかし、都合よく利用しようとすれば、手痛いしっぺ返しを食う
序章 「反グローバリスト」は「極右」なのか
Ⅰ  満洲におけるソ連情報機関と日本
Ⅱ  「スペイン内戦」の不都合な真実
Ⅲ  「憲法フェティシズム」の果て
Ⅳ  「欧州共同体」という大いなる幻想
Ⅴ  「不戦条約」と日本の運命
西ドイツ軍戦史部のクラウス・マイヤー少佐が著した『ゲルニカ 1937年4月26日』には、ゲルニカ爆撃の真実の様子が書かれている。
  1. ドイツ空軍によるゲルニカ空爆は、一般市民をターゲットにする無差別爆撃ではなく、明確な軍事目標を狙った作戦であった。
  2. 一般市民に犠牲が出たとしても、それはそのこと自体を目的にしたことではなく、他の軍事目標を狙った攻撃の付随的損害であった。
当時、国民派の攻勢により退却中の人民戦線部隊にとって、ゲルニカは退却の途上にある一都市であり、人民戦線の部隊が駐留し、軍事工場も存在する拠点の一つであった。

地上の国民軍を支援する独伊空軍部隊は、人民戦線軍の退却を妨害するため、軍事目標である橋などを狙った爆撃を行った。その際、視界不良の中投下された爆弾が市街地を直撃し、一般市民に犠牲が出た。犠牲者は、これまで1654人とされてきたが、スペインの戦史家ヘスス・サラス・ララサバルの研究によれば、120人というのが真相に近いという。

ゲルニカ爆撃は、一般市民を狙った無差別爆撃ではなく、地上軍と連携した空軍が敵の退却を妨害するために行う「航空阻止攻撃」であった。

ピカソの《ゲルニカ》を、効果的に政治的プロパガンダに利用したのがスターリンであった。第二次大戦中、パリに住んでいたピカソは、連合国軍によるパリ解放後、フランス共産党に入党し、1950年にスターリン平和賞を受賞した、向こう側から見た立派な人だった。




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『日本人が知らない最先端の世界史2』 福井義高

費用がかかりすぎる、非現実的だと批判されながらも、全長3000キロ以上の米・メキシコ国境に頑強な壁を設置するという提案を主張し続けている。合法移民の削減も提唱し、不法移民の強制送還を延期するオバマ大統領の大統領令を取り消すと表明。さらに、米国内で暮らす不法移民を削減するため、対策強化を主張する。米国内に住む1100万人以上の不法移民を強制送還するという公約や、すべてのイスラム教徒の入国を一時的に禁止するという公約は、あまり口にしなくなったものの、撤回はしていない。
これは、トランプ大統領の公約ね。
移民の継続は深刻な問題をもたらす。合法、不法とも、移民をストップしなければならない。
これは、トランプじゃないよ。誰かと言うと、冷戦期のヨーロッパにおける左翼の大立者、ジョルジュ・マルシュフランス共産党書記長の、1981年の発言。
不法移民流入を阻止せねばならない。この目的を達するため、国境警備要員を増やさなければならない。合法移民に関する法律も、合衆国が移民のの数と質をもっとコントロールできるように改正せねばならない。
難民の受け入れに関しては、まず、合衆国は、無責任な他国内政への干渉によって難民が生じることにもっと用心しなければならない。本当に難民かどうか、より確実に難民申請を審査せねばならない。
国はアメリカっぽいよね。だけど、トランプじゃない。1968年予備選でリンドン・ジョンソン大統領を再選断念に追い込んだリベラルの雄、ユージン・マッカッシー民主党上院議員が1992年に刊行した『世界の植民地 今日の合衆国』の中の一節だそうだ。

つまり、ヨーロッパでもアメリカでも、かつて左翼・リベラル勢力は移民反対勢力だった。そりゃそうだ。自分の国の労働者にとってみれば、移民流入は労働供給増を意味するのであって、賃金の低下や失業をにつながる出来事なのだから。弱者の側に立つ左翼・リベラル勢力とすれば、移民に反対しなければならない。・・・そういう立場のはずだ。

流れが変わったのは、冷戦の終了だという。それと前後してグローバル化や多文化主義がエリートのドグマとなり、左翼・リベラル勢力が移民賛成論に転じる。・・・この本では、アメリカ合衆国労働組合のナショナルセンターであるAFLやCIOが、2000年に移民政策を転換して移民拡大を組織の方針としたことが、それを象徴する出来事だったとしている。

こうして、移民推進が政治・経済・言論エリートのコンセンサスとなり、移民反対を唱える者には“極右”のレッテルが張られることになった。 


祥伝社  ¥ 1,728

歴史を学ぶことは重要である。しかし、都合よく利用しようとすれば、手痛いしっぺ返しを食う
序章 「反グローバリスト」は「極右」なのか
Ⅰ  満洲におけるソ連情報機関と日本
Ⅱ  「スペイン内戦」の不都合な真実
Ⅲ  「憲法フェティシズム」の果て
Ⅳ  「欧州共同体」という大いなる幻想
Ⅴ  「不戦条約」と日本の運命

利益第一の経営陣にとって、移民すなわち安価な労働力は望ましい。表面的には、社会的敗者を犠牲にして経済成長をもたらす。だから経営者や経済成長市場論者、それを代弁する政治家や知識人は一貫して移民賛成論を唱える。1990年以降は、ここに学問や報道のエリートたちが合流してくる。

この本にも登場するハーバード大学のジョージ・ボーハスという教授がいて、子どもの頃に、キューバから難民としてやってきた人なんだそうだ。そのボーハス教授は、「政治的に正しい物語は間違っている。移民は全員にとって良いわけではない」と言う。

経営陣には高い労働力に代わって、安い労働力が手に入る。流入移民は、故郷で求められなかった仕事にありつける。この二者が勝者である。そして敗者は、流入移民に仕事を奪われる先進国の大衆である。

それでも彼らは、移民がもたらす賃金低下などの負の効果などを否定するため、不可解な仮定を設定し、データを操作することをやめない。
まさに遠い昔のハバナの革命学校におけるマルクス・レーニン主義者の教師たちを思い出させる。彼らは信じていた。残された成すべきことは、他のすべての人々も同様に信じるよう強いることであった。

さすがは社会主義国家から亡命してきたボーハス先生、わかってらっしゃる。ソ連崩壊で敗れた社会主義者の夢は、こんなところで社会に呪いをかけていた。人種や民族の個性を失わせ、国家の意味を消滅させて、人を単なる労働力として管理する。まさに、彼らの理想がそこにある。
ペラペラ~とめくっていて、序章読んだだけで、おもしろくって、ついつい使わせてもらっちゃった。移民賛成論者が何を言おうと、この国の本家本元は、英国プロテスタント文化のもとに人々を同化・統合してきた社会、WASPの作り上げたアメリカなのだ。それを、“アメリカ合衆国の民意”という。

脱国家的エリートらが、「極右」、「ポピュリスト」とトランプ大統領を攻撃している。そうして彼が葬り去られたとき、次にどんな時代が来るのだろう。





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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本


















































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