めんどくせぇことばかり 本 料理
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『おかわり!山グルメ』 小雀陣二

武漢発感染症が止まない。

これに関しては、みんないろいろな思いを抱いている。これだけ流行しているのに、エッチなお店に行くのを我慢できない人。お客には来て欲しいけど、感染源になるのを恐れるお店の人。感染者がいない、あるいはごく少ない中で、自分がきっかけになるわけには行かないという思いの強い村人。自分は感染を恐れているのに、会社の事業拡大に逆らえないサラリーマン。感染は怖いはずなのに、いつも通り酔っ払ってくだを巻いちゃう人。

いろいろだね。2月の下旬に大阪で結婚式を挙げた息子夫婦、滋賀県で暮らしているが、4都県は危ないので、帰ってくるなと言ってある。立ち入ったことを知っているわけじゃないが、お嫁さんには妊娠可能性もあるはず。妊婦さんや、妊娠可能性のある若い女性は、いろいろ心配になることもあるだろう。そうだなぁ。いま、そういう立場にある若い夫婦は、どうしているんだろう。

当然、考えるよね。少子化傾向とは関係なく、丙午現象が起こってしまうかも知れない。『人間万事塞翁が丙午』は、青島幸男だったな。

私は仕事してないから、そんなバカなことも言っていられるが、それでも少しは考える。

山に行くのに、いろいろ不都合がある。閉じている山小屋がある。開いている山小屋でも、いつもとは営業状態が変わっている。今シーズンから、久し振りの泊登山を再会しようとしてたんだけど、なかなか思うように行かない。もともと山小屋利用ではなく、テントを使っていたんだけど、山小屋に併設されているテント場は、山小屋が閉じていれば使えないみたい。

それから、公共交通機関を使うのが、はばかられる。GO TO トラベル開始前は、「そろそろ良いかな」って思ってたんだけど、ここのところの感染者の数字を見て、やはり先に延ばすことにした。

結局、車で登山口まで行って、そこに戻る登山になる。私は、お昼くらいまでに一日の行動の目処をつける登山をしているので、いつも、早朝登山開始になる。家を出るのは4時、5時、遅くても6時。それをやってたら疲れちゃったので、ゆっくり出かけて、テントを張るか、車中泊。

考えていた計画も、調整が必要になってめんどくさい。




エイ出版社  ¥ 1,100

手に入りやすく日持ちする食材を使って、簡単な手順で作れる山向きなレシピ
1 炭水化物、乾物、缶詰活用レシピ
2 生食材、調味料活用レシピ


先日、車中泊で霧ヶ峰に行ってきた。

それはブログでも紹介した。その際、この本の料理を作った。「料理を作った」なんて代物でもないんだけど、代物ではない割りに《山グルメ》ならではのポイントがあるものばかりが紹介されている。

実はそんなに新しい本じゃない。2017年の暮れだ。

一時期話題になったけど、《1分パスタ》っていうのは、この本で知って、山パスタではいつも、《1分パスタ》にしている。ジプロックにパスタを入れて、バイの量の水に浸しておくやつ。沸騰したお湯に入れて1分程で色が変わる。そしたらゆで上がり。

もともとの状態のパスタを少ない湯でゆでる。ゆで上がりに湯がなくなる想定。ゆで上がりに合わせてウインナーを入れて、玉ねぎ入れて、ピーマン入れて、ケチャップ入れて、混ぜ合わせてできあがり。お湯を捨てなくて済む。

あとは、意外と卵が使える。卵専用ケースが良いね。卵の賞味期限は短く記載されているが、それは、千に一つ、万に一つ、その期間を過ぎて生で食べたら危ないのが交ざっている可能性がなくもないので、念には念を入れて設定された日付。

実は卵は、常温でも2ヶ月は大丈夫。それでも心配なら、火を通せば間違いない。

ご飯に目玉焼きのっけた朝ごはんはどう?疲れて食欲が進まないときは、卵雑炊にしらどう?ラーメンに卵を落とせばどう?なになに、それだけで文化的。卵焼きの時は、フライパンをしっかり温めてからね。

朝、ラーメンを食べるというのも、一つの手。
朝からインスタントラーメンなんていうと、眉をしかめる人もいるかも知れない。だけど、インスタントラーメンは汁もあって、朝、一汗かいて食べるときなんかは最適。この本では、卵を入れてトロトロに仕上げるテクニックが紹介されている。

先日、霧ヶ峰に行ったときは、アルファー化米にした。出発時にお湯を入れておき、適当な場所で、レトルトのカレーをかけて食べた。朝カレーもまたおいしい。卵トロトロラーメンは、お昼に食べた。

塩昆布は間違いない。ご飯に混ぜるだけ、うどんに混ぜるだけ、パスタに混ぜるだけ。もしもそこにプラスアルファがあれば、それは文化的と言っていいだろう。

やはり車中泊は窮屈。テント泊であれば、さらに時間を取って、焚き火にフライパンを乗っけられるのになあ。文化はその時味わおう。

そうそう、日頃の手抜き料理のヒントにもなるよ。


テーマ : 料理の本
ジャンル : 本・雑誌

『夜9時から飲めるちょいメシ』 サルボ恭子

山に行かない日の、私の一日。

朝4時起床。1時間程度のランニングに出かける。夏場はクールダウンに時間をかける。玄関先の掃き掃除も、クールダウンのうち。5時半頃終了して帰宅。風呂で汗を流して、朝食の下準備にかかるのが6時少し前。

連れ合いが起きてくるのが7時なので、それから準備をして、7時半頃から朝食。シャキシャキ野菜をよく噛んで、時間をかけて食べるのがいいって言われたので、食事には時間をかけるようど努力をしている。・・・が、三ちゃん農業家庭で、母と祖母から、再三、「早く食え」とせっつかれて育った私は、努力もむなしく食べるのが速い。三つ子の魂百まで。

朝食を終えたら、連れ合いが洗濯と掃除にかかる。私は朝食の片付けをして、連れ合いの仕事が一段落付くまで読書。9時にお疲れ様のコーヒーを淹れて・・・、とまあ、ここまでが“朝”って感じだな。

そのあとは、連れ合いや買い物やスイミング、私は買い物か図書館か読書、あるいはブログをまとめて過ごす。11時半過ぎからは、その日のお昼ご飯の手間にあわせ、12時半頃お昼に出来るように準備を始める。

お昼ご飯の片付けを終えたら、私は昼寝。しばらくはうとうとして過ごして、午後2時頃からブログのまとめか読書。4時くらいからは、その日のニュース、特に海外のニュースを確認する。5時、つまみを作って、一杯飲み始める。この時間、1日ではじめてテレビをつける。ニュースを見るか、相撲でもやってれば、もう幸せ。

入浴を済ませて、7時過ぎに夕食。夕食の準備と片付けは、連れ合いの出番。私に特定の食べたいものがあれば私がやるが、1週間に1回程度。夕食後も、録画したテレビの番組を見て過ごす。8時を過ぎる頃には、そろそろ起きているのか寝ているのか、自分でもはっきりしない。

9時前、促されて寝床に入る。その頃には、ほぼ意識はない。

「それじゃあ、この本、必要ないじゃないか!」




家の光協会  ¥ 1,430

晩ごはんを食べる時間もない。でも、食べたい。ちょっとでいいから晩酌も
玉ねぎ×鶏もも肉   もやし×豚ひき肉   にんじん×豚バラ肉
キャベツ×ソーセージ じゃがいも×手羽先  ブロッコリー×牛切り落とし肉
大根×サーモン    なす×鶏胸肉     ピーマン×合い挽き肉
トマト×たこ     きゅうり×ツナ    小松菜×厚揚げ
きのこ×豆腐     アスパラガス×アサリ パプリカ×手羽先
白菜×豚薄切り肉   長いも×まぐろ    かぶ×鯛
れんこん×さば    アボガド×えび    
火を使わない簡単おつまみ
野菜1つでもできる、簡単レシピ


たしかに、午後9時以降に起きていることは、まず、ない。

なにしろ仕事をしてないから、食べたいものを、食べたいときに、食べたい分だけ食べている。そんな私からすると。忙しく仕事をしていて、食べたいときに食べられない現役世代が気の毒になる。

中でも、「仕事を終わったら、外は真っ暗」なんて、なんて気の毒な。疲れと空腹を抱えて家路につく人を、食事を準備して待っててくれる家族がいれば良いんだけどなぁ。もし、そうじゃないとしたら、可哀想すぎる。

もし私がそうだったら、まず、絶対、飲みに行っちゃうな。私の場合、一杯じゃ済まないからな。毎晩、飲み過ぎて、時期に身体を壊すな。

そう、それじゃ困ります。一人だとしても、家に帰るのが一番。

家に帰って、“のんびりお酒を片手にご飯をささっと作れたら・・・、それは頑張っている私へのごほうび、明日が機嫌よく過ごせそう。”

そんな、「ちょいメシ」レシピを揃えたのが、この本。特徴は、《とにかく簡単》、《お酒にもご飯にも合う》、《主材料は二つ》、《同じ二食材で三つの料理》、《特別な道具は使わない》、《野菜たっぷり》ということ。

分かるでしょ。私の“おつまみ”にピッタリ。

それにね。この本に紹介されている「ちょいメシ」の大半は、そのままご飯に乗っければ、毎日のお昼ご飯に早変わり。

たとえば表紙にあるのは、にんじんと豚バラのフライパン重ね蒸し。

フライパンににんじんを並べ、豚バラを重ね、塩を振って、ローリエの葉を散らす。その上ににんじんを並べ、豚バラを重ね、塩を振って、ローリエの葉を散らす。水を入れ、ふたをして、蒸し煮にする。

これを皿に盛ったご飯の上にのっけたら、とてもいいお昼になるような気がしませんか。



テーマ : 料理の本
ジャンル : 本・雑誌

『最後の料理人』 徳岡孝二

埼玉県の小川町は、関東平野の西の果て。

町の西側には奥武蔵の山が立ち上がり、東秩父村の谷間を縫うようにして流れてきた槻川が、小川町の真ん中を流れている。山の恵みは一旦ここに集まり、古くから小川和紙、小川絹、それに加えて建具、酒造といった伝統産業で栄えた来た。

中でも手漉き和紙は1300年の歴史を持ち、「細川紙」の技術は、国の重要無形文化財に指定され、ユネスコ無形文化遺産に登録された。

私の生まれた家は、山を越えた奥、秩父の影森にあるが、武甲山の裾野から山に入り、横瀬との間の丘陵部を通って、高篠から定峰峠を越え、東秩父を経て小川町に至る。

かつては馬を持っていて、和紙の原料となる楮を山で集め、馬で小川に運んだそうだ。帰りには、馬の背に米を乗せたと聞いたことがある。

今では全国展開をしている《ヤオコー》や《しまむら》は小川町から起こった企業であるように、古くから起業家精神旺盛な土地として知られた。江戸から川越を抜け、秩父に至る往還を考えれば、秩父に入る者はここで宿を取り、秩父から戻る者もここで宿を取ることになる。つまり街道の町としても重要性が高く、六斎市が立つなど商業が栄えた。

町の中心には割烹旅館や料亭が建ち並び、大変賑やかなことであったようだ。そんな賑わいは今はないが、いくつかの割烹旅館や料亭が、今でも営業を続けている。

そんな料亭の一つに、自分のクラスの生徒を勤めさせたことがある。もちろん、アルバイトなんかじゃなく、料理人として。1学期の終わり際、彼は母親を亡くした。彼は就職希望だったが、母親を亡くしたことが、進路に関する考え方にも影響したようだ。

「手に職をつけたいが、専門学校に行くような余裕はない」ということだった。そんなわけで、しっかりした老舗料亭の料理人の道を進むことになった。

実は、たまたま、そこの息子さんを知っていた。縁があったんだろうと思った。ちょうど1年ほどした頃、同じクラスだった女の子が交通事故で亡くなった。その葬儀の際にあったが、「もう、包丁を握らせてもらってる。どこかの工場に勤めるより、こういう場所で働けて良かった」と言っていた。

しかし、彼がそこにいたのは、たしか3年間だった。他の料亭に写ったわけではない。どこかの工場で働いていた。


『最後の料理人』    徳岡孝二


飛鳥新社  ¥ 1,650

料理一筋65年。普段は決してしゃべらない達人が、平成の終わりに初めて秘話を明かす
第一章 修業の時代
第二章 師匠はお客様
第三章 四季の料理
第四章 世界の名物、日本料理



料理人は、しゃべらないもんだそうだ。

ものを言うと、つばが飛ぶ。板場でつばを飛ばすなんてもってのほかのことだから、本当は料理人はしゃべらないんだそうだ。テレビの料理番組に出てくる料理人は、よくしゃべる。しゃべらないと番組にならないからね。徳岡孝二さんは《最後の料理人》を自称するくらいの人だから、そのあたり、簡単に譲るようなことはない。もちろん、その方が気持ちいい。

時代が変わってしまったと言うことはある。かつてはごく一部の成功した人だけが“料亭”なんてところを利用していた。料理人も含めて、その料理を口にする者も、先人たちが築き上げた日本の文化をしっかり受け継いでいく義務があった。

作り手が料理を取り巻くあらゆることに心を砕けば、料亭自体のたたずまいにしろ、玄関に焚いた香にしろ、部屋のしつらえにしろ、花や軸にしろ、料理を盛り付ける器にしろ、客はそれに応えてくれたそうだ。そこには古くから日本人が大切にしてきた、人と自然の関わり、人と人との関わりの、一つの完成された形が守られていた。

そんな客がめっきり減ってしまったことを徳岡孝二さんは嘆いている。「平成に入った頃から少しずつ」と言ってるから、1990年頃、つまりバブルの時代だな。

そりゃ、よく分かる。嫌らしい時代だったからな。平気で人の魂のよりどころである山を削ってゴルフ場を作り、無理やり宅地を開発し、川は暗渠になってブロックで塞がれた。バブルに浮かれて金に目の色を変え、一番大切な自然を儲けに変えていったような成金さんたちじゃね。

そういう人たちが徳岡さんの吉兆にも行ったんだな。

日本料理には、日本人が大事にしてきた人と自然の関わり、人と人との関わりの、一つの完成された形としての粋がある。根底にある人と自然の関わり、人と人との関わりを取り戻していかないと、日本文化の粋たる日本料理も、本当に失われちゃうことにもなりかねない。

口うるさい小言にも聞こえるが、かつての料理人がこういうものであったと知っておくのも、おそらく重要なことだろう。



テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『いつも卵があるといい』 堤人美

「兄さ、飛騨が見える」、野麦峠まで兄に背負って来てもらったみねは、そうつぶやいて息を引き取った。

映画の『ああ、野麦峠』で、結核にかかって物置小屋に隔離されて寝ているみねの枕元に、友人の女の子が生卵を置いていくシーンがあったような気がする。卵って、とっても大事なもんだったんだろうな。

子どもの頃、大人たちは、今みたいに子どもについて回れるほど暇じゃなかった。野球の試合だって、「勝ったで!」、「負けた」って報告するだけで、見に来てくれることなんかなかった。ある日、早起きして試合に出かけに外に出た私に、祖母が鶏小屋から取ってきたばかりの、うんこのついた卵の先端を上手に切り取って、「飲め」って。「力が出るから」って。飲んだよ、もちろん。おかげで力だけじゃなくて、“うん”までついちゃった。

以前もブログで紹介したかも知れないが、子どもの頃、うちで鶏を飼っていた。家族で食べる分と、余れば近所に配る程度。朝、ごはんの前に鶏小屋に行って卵を取ってくるのは、つつかれたりすることもあるのでなかなか刺激的。卵を産まなくなった鶏は食っちゃったな。休みの日に、父が捌いてね。これまたとても刺激的。何度かやった記憶があるが、とても思い出に残る一日だった。

そのうち祖父が身体を悪くして、鶏を増やすのをやめ、最後の鶏を食って、養鶏は終わった。うちの鶏はいなくなっても、卵は食った。買って食った。だけど、当時はまだ流通が悪かった。うちで飼ってるときは、生卵が好きだったけど、買った卵を生で食う気にはなれなかった。

先日、NHKの《ガッテン》でやってたけど、卵は大幅に賞味期間を過ぎても悪くならないんだってね。常温で2ヶ月、冷蔵庫で4ヶ月って言うんだから驚きだ。買った卵も生で食えば良かった。手のひら程度の大きさの命が生まれるだけの栄養に満ちていて、しかもそれだけ長持ちって言うんだからね。すごい食べ物だな。

《ガッテン》でも取り上げられていたけど、もう卵なんか語り尽くされたような気がしていたけど、見ていて、いまさら“目からうろこ”みたいなところがあった。さらには、いまだに、卵だけで一冊の料理の本が出る。まあ、それだけ奥深いと言うことだろう。




グラフィック社  ¥ 1,650

メインにも脇役にもなり、お手頃で、どこでも手に入れることのできる優秀食材
思い出の卵
ふんわり卵
茹で卵
漬け卵
落とし卵
目玉焼きとオムレツ
卵でソース
簡単卵


まったく卵って言うのは、それだけでも良いし、他の食材との相性も抜群。宮沢賢治風に言えば、「そういうものにわたしはなりたい」。大河ドラマであれば、「梵天丸もかくありたい」って言うところだな。

朝ごはんは私の担当。なにがしかの魚を焼くか、魚がないときは卵を使う。野菜と一緒に使うことが多い。本当に相性の悪いやつがいないね。中でも最高は、ネギかな。ネギ入りの炒り卵。池波正太郎は、ネギがたっぷり入っているのが好みだったそうだ。ニラを混ぜて卵焼きにしてもいい。納豆オムレツを食べれば、間違いなく素晴らしい一日が過ごせそうな予感がしてくる。孫の好きなのはチーズを溶かしてトロトロにしたやつ。

“ふんわり卵”のコツが書かれているが、私は思いきりだと思う。思い切りと、この本のコツでもダメだった人は、ボウルに溶いた卵に、マヨネーズを入れれば、嫌でも“ふんわり卵”になってしまう。

最後に登場する、“簡単卵”。これはたまらないぞ!

たまらないんだけど、あえて挑戦する。塩焼きそばに目玉焼きを乗っけたのがある。焼きそばに卵は合う。しかし、私はやり方が違う。

完成した焼きそば、塩焼きそばでなくてもいい。完成した焼きそばを皿に盛る。油っ気の残るフライパンに卵を割り入れ、しゃもじで君をつぶして軽く混ぜる。火をつけて、卵が固まりかけたところに焼きそばを乗せる。しゃもじを下に入れて、全体を鍋にくっつかないようにしておく。焼きそばにふたをするように皿をかぶせ、フライパンごと皿を返す。形を整えて、“卵焼きそば”のできあがり。

一時期、「卵はあまり食べない方がいい」って言われたことがあった。コレストロールの取り過ぎにつながるって。

人間は肝臓でコレストロールを合成していて、体内で重要な役割をしているという。だからこそ、不足しないように、体内で合成できるようになってるんだろう。食事で補給されたコレストロールは、合成されたコレストロールほどには体内に吸収されないんだそうだ。しかも、人間の身体は、食事で補給されたコレストロールが多ければ少なく合成し、少なければ多めに合成するように調節されているという。すごいね。

いくら食ってもいいってわけじゃないけど、いざという時、卵には力がある。勝負の時には、生で飲め。ロッキー・バルボアを見ろ!



テーマ : 料理の本
ジャンル : 本・雑誌

『養生スープとごはん』 梅﨑和子

子どもの時分は、なにかというとすぐ熱を出した。

もっと小さいころは足が悪くて、親は遠くの病院まで私をおぶって通ったそうだ。バスと電車を使って片道でも2時間は優にかかる病院だったから、さぞ大変だったろう。

身体が弱いことが自分でも分かっていて、できるだけ親に手間を取らせないようにしてたな。熱の出る予感っていうのがあって、鼻から出てくる息に感じる熱が、ごくわずかでも高く感じるようになったら、まず間違いない。学校でそれを感じたら、帰りに父の会社の診療所によって、薬をもらって帰る。

もちろん当時は粉薬で、オブラートに包んで飲んだ。けっこう大きな塊も、文句も言わずに飲んだ。これはけっこう大変で、めったに熱なんか出さないの下の兄が、たまに風邪を引いて薬を飲む段になると、よく愚図って母親を困らせた。母から、「お前は薬を飲むんがうまいんね」って褒められて嬉しかった。

それがどうしたもんだか、高学年になるとパタッと熱を出さなくなった。とても活発になって、活動範囲も広がり、運動も大好きになった。医者に行くのも、熱を出すんじゃなくて、けがが多くなった。川に落ちて前歯を欠き、上の唇が取れそうになった。崖を滑り降りたらバラ線が隠れていて、ふくらはぎをえぐっちゃった。スズメバチの巣を取りに行って、・・・。

薬を飲む機会というのが、なくなった。中学校あたりからは、まず飲んでないな。

私の連れ合いは特定のなにがしかの欠陥を抱えているわけではないが、その人生を通じて、まんべんなく医者通いをしてきている。不調があれば医者に行き、薬を服用して対処するという生活を送ってきている。それは結婚してからもずっとそう。子どもたちの健康管理もそうだった。

たまに不調なことがあると、医者に言った方がいいとか、薬を飲むように言われるんだけど、飲んだことはまずなかったなぁ。

足の手術で入院していたとき、いくつかの薬を飲んだが、なかに他の薬が胃を荒らすのを防ぐ、子どもでも飲めるというごく弱い薬を処方してもらっていた。日頃薬を飲みつけない私には、それが効きすぎてしまったようで、肝機能の数値が悪化して、何日か退院が遅れたことがあった。

それだけ薬というのは効き目があるということだろう。それだけに怖いところもあるということなんだろう。

だから、基本的には、健康は食事で整えたい。だけど、効き目が明らかになるようにいっぱい食べると言うことが出来るものでもないので、少量でもその食材の力を余すところなく引き出して栄養にしたい。そうだ、スープにしよう。




主婦の友社  ¥ 1,628

旬の野菜を数種類とり合わせひとつのなべに重ねてつくる養生スープとごはん
具だくさん汁はおかずです!汁とごはんで簡単食養生
野菜のみそ汁に合う組み合わせ
1章 重ね煮だから飽きないおいしさ 野菜だけの、シンプルスープ
2章 野菜+豆、穀物、魚介、肉で おかずになる、ボリュームスープ
3章 玄米や分づき米+雑穀、豆、いもで スープに合わせるシンプルごはん
4章 さっと作って、スープに添えたい 野菜の、小さなおかず


この本の特徴は、食材を重ねて煮るというところにある。

実は、梅﨑和子さんは、この本以前に『重ね煮の養生スープ』という本を出している。この新しい本も、本質的には同じ。食材の選び方、重ね方に、東洋的な陰と陽の考え方が取り入れられている。陰の食材と陽の食材を、重ね煮で調和させることで、身体の中の陰陽を整えるという考えのよう。

まずは、食材を〈陰⇔中庸⇔陽〉に分けて考える。

陰              中庸               陽
キノコ 海藻 果物 果菜 葉菜 芋類 穀物 牛乳  卵  貝類  魚介類  肉類

重ね方は、土の上で育つ野菜は下に、土の中で育つ野菜は上に。穀物はさらにその上に配置する。一つの鍋に、陰陽両方の野菜を入れて煮るのがいいようだ。

これに水を加えて煮ることで、根菜は下に、葉菜や果菜は上に向かってぶつかり合い、素材の甘み、うまみ、栄養を最大限に引き出すということなんだけどな。

それから、重ね煮では皮はむかない。あくも取らない。あくの強い野菜でも、他の野菜と調和して、あくをうまみに変えるんだそうだ。まあ、そのへんは、昔からの常識をもとにして、里芋の皮をそのまま煮るわけにはいかないし、時間の経ったジャガ芋もそう。芽はしっかり取って。竹の子は米ぬかで湯がき、ふきは塩ずりして塩ゆで。

実は、この本に書かれているほど律儀にやってるわけじゃない。野菜のスープはキャベツ、タマネギ、カボチャ、ニンジンと重ねてにて、ミキサーにかけて、夕食前に飲んでいる。なんだかけっこう適当なんだけど、カボチャやニンジンを多めにすると、けっこうおいしい。

あとは毎朝のみそ汁くらいのもので、けっこう大雑把に取り組んでいるんだけど、連れ合いは長年悩まされた口内炎の症状が改善している・・・という話もある。私も、山行後の疲労回復が、早くなった・・・かもしれない。FMラジオの電波の入りが良くなった・・・ような気がする。

まあ、そんなもんなんだけど、高いお金を出してサプリメント剤を飲み続けるよりは、きっとマシだと信じてる。



テーマ : 料理の本
ジャンル : 本・雑誌

『沢村貞子の献立』 飯島奈美

沢村貞子さんって、頭の良さそうなおばあちゃんだったな。

1908年の浅草生まれか。そりゃ、苦労されたろうな。祖母を思い出すな。私の祖母が1902年だから6歳年下だ。すごい時代を生きた人たちだよね。なにしろ第一次世界大戦よりも前に生まれた人たちだからね。

祖母は、浅草なんて夢にも出てこないような秩父の、それも武甲山の麓も麓、それより先に人の住んでない場所の生まれ。“滝”っていう小字の家に生まれて、“薮”っていう小字の祖父の家に嫁いできた。

自分のことは、「オレ」と言っていた。私が大学生の頃だったか、ある日帰省した折に、一緒にオーストラリアのアボリジニーの生活を紹介する番組を見ていた。アボリジニーが木の皮の裏にいたなにかの幼虫、芋虫みたいなのをつまんで口に入れるのを見て、私が「そのまま食ってる」って言ったんだ。そしたら祖母が、「まったくなあ、オレは焼いて食ったけどなあ」って言ってた。

食ってたんだ。・・・貧しかったからな、秩父の山の方は。

同じ時代だとは言っても、沢村貞子さんは浅草だからね。食わないよね、芋虫は。

著者の飯島奈美さんは、料理研究家と言うよりも、職業としてはフードスタイリストというお立場のよう。テレビCMを中心に、広告、映画などで料理が出てくるとき、料理とともにそのシーンの設定に携わる仕事みたい。

『かもめ食堂』、『南極料理人』、おっ、『深夜食堂』も飯島さんの仕事なんだ。その飯島さんは15年前、古本屋で沢村貞子さんの『わたしの献立日記』を見つけたんだそうだ。“新潮社の単行本”と書かれていたので、おそらく 、下に紹介してあるナスとショウガとシシトウの表紙の本だと思う。フードスタイリストの仕事の中で「生活感」がキーワードになるような仕事の時、よくこの本を参考にしたそうだ。

そんなふうに沢村さんの“献立日記”に接していたところに、NHKからEテレで放映された「365日の献立日記」の仕事をもらったんだそうだ。

この本は、それを元に、飯島奈美さんのレシピや、沢村貞子さんの著作の引用を咥えて構成されたもののようだ。



『沢村貞子の献立』    飯島奈美


リトルモア  ¥ 2,200

季節の食材をふんだんに使った、気取りのない料理がいいなあ
春の献立①②③④⑤⑥
春の惣菜
夏の献立①②③④⑤⑥
夏の惣菜
秋の献立①②③④⑤⑥
秋の惣菜
冬の献立①②③④⑤
冬の惣菜


沢村さんは、57歳から87歳までの27年間、1日も欠かさず献立日記をつけてたんだそうだ。

大学ノートに横線を引いて、1ページを4日分に分けて、日付に天気や気温と共に、その日の献立が書かれている。おそらく夕食の献立でしょうね。それから朝食の献立も書かれているな。

沢村さんは3度結婚しているが、3度目のパートナーは既婚者で、正式に結婚したのは60歳の時だそうだ。その方と生活するようになってからは、その方を支えるのが生きがいになり、仕事も制限して毎日台所に立ったという。

いろいろ工夫して、バラエティに富んだ料理を食卓に並べる毎日。時に献立に迷ったときのために、献立日記をつけ始めたんだそうだ。

飯島さんが古本屋で手に入れた『わたしの献立日記』は、大学ノートに残された献立日記をもとに、沢村さんのエッセイを添えて世に出されたものだろう。

女優を引退しても文筆活動を続け、NHKの連続テレビ小説「おていちゃん」は、沢村貞子の自伝的エッセイ『私の浅草』をもとに作られたものだそうだ。

その『私の浅草』は、日本エッセイスト・クラブ賞を受賞したって言うんだから、これまたすごい。

紹介されている献立を見ても分かる。相手の健康を気遣って、少量ずつ品数を多めに出すようにしているんだな。椀ものもみそ汁一辺倒じゃなく、おそらくこれも飽きの来ないように気を遣ってる。

私はそこまでの気は遣わないが、それでもとても参考になる。

とろろのおすまし、梅若汁、鶏スープの冷たい素麺、ポタージュ、鶏のかき玉スープ

鶏スープの冷たい素麺がうまそうなんだ。鶏スープの取り方が斬新。知らなかった。鶏ひき肉を水に入れ、よくかき混ぜて火にかけるんだそうだ。ひき肉に火が通ったら目の細かいざるでこして、塩で味を調える。これを冷やして素麺を食ったら、こりゃうまいに違いない。

ちなみに、この鶏スープの取り方は他にも使えるし、出汁を取った鶏ひき肉は、そぼろにしておけば、これまた他に使える。

一刻も早くやってみたいな。・・・あっと、今日、昼に、冷や麦を食っちゃったな。・・・どうしよう。



テーマ : 料理の本
ジャンル : 本・雑誌

『おつまみ横町』 瀬尾幸子

14年ぶりに献血をしてきた話を、先日、ブログに書いた。その時の血液検査の結果が、日赤から送られてきた。

昨年4月で仕事を辞めて、この1年、実は健康診断してなかったから、ちょっと心配してた。というのも、その前の年、仕事場で最後に受けた健康診断の結果、肝機能を表す数値、γ-GTPが基準値の上限をかなり上回ってしまってた。にもかかわらず、おそらくあれ以来、1日も酒を抜いた日がない。

それなのに、数値が良かった。基準値が9~68のところ、私の数値は39。14年前に献血をしたときの53よりもさらに低い数値だった。う・れ・しー! 今夜は飲むぞー!

“中国”武漢からまき散らされた感染症が、“中国”の情報操作とWHOの“中国”に傾いた判断のおかげで、パンデミックを引き起こしてしまったようだ。おかげで芸能人の志村けんさんや中江久美子さん、外交評論家の岡本行夫さんまで亡くなってしまった。ったく、どうしてくれるんだ。

長引く自粛生活にお疲れの方も多いだろう。私はと言えば、公共交通機関を使わない安全な地元の山で日帰り登山を楽しんでいたが、GW直前に、埼玉県山間部を抱えた自治体の多くが、「しばらく来ないで」ってお願いを掲載してた。お願いを無視して登っちゃうほど厚かましい真似は出来ないし、“お願い”を発していないところもないわけじゃない。それでもやはり、家で過ごす時間が増えている。早朝のランニングが、せめてものうっぷん晴らしかな。

もともと、有余る時間を抱えた隠居だから、いろいろな時間の使い方は工夫している。この間読んだ本に、『爺の暇つぶし』ってのがあったが、まさにそれだ。

本を読む時間が増えてるね。ただ、図書館が閉店してるから、買わなきゃいけない。いつもは半々か四分六分くらいなんだけど、全部買ってると、さすがにお金がかかる。無収入の身には厳しい事態。だから、このところ、古本屋も活用している。

それから料理もいい。一昨日は、らっきょうの仕事をした。まるまる半日使った。料理のレパートリーを増やしてみるのもいい。もともと、山の食当から始まった料理好き。簡単で、安くて、うまいのがいい。

今まで数限りなく料理の本を求めてきたが、それを見ながら一から作るんじゃなくって、それが記憶に残っていて、食材を見たときに、「あれが作れそう」って、ひょいって出てくるんだよね。


『おつまみ横町』     瀬尾幸子


池田書店  ¥ 1,100

簡単で、安くて、おいしい、一杯をさらに楽しくする酒の肴集
第1章 横丁酒場の絶品おつまみ
とりあえず
サラダ
刺身
煮物・蒸し物
焼き物
炒め物
揚げ物
和え物
豆腐
〆の一品
第2章 サクッとつくれるおつまみレシピ集
クイックおつまみレシピ35
文字だけおつまみレシピ25




カブがうまい。

これも、以前、本で見たのを作ってみた。作るってほど、手数かからないんだけど。カブの皮をむいて、細めのくし切りにする。これにオリーブオイルと塩こしょうだけ。今どきのカブは果物のように甘い。

細切り昆布ともやしのナムル。

細切り昆布が半額で売ってるときは、いつも必ず買う。食べやすい長さに切って、熱湯で簡単に火を通す。もやしも同様。ボウルに細切り昆布ともやしを混ぜて、ごま油、塩こしょう、あるいは鶏ガラだしで味をつける。海藻をたくさん取って、生えろ髪の毛。

さて、『おつまみ横町』の第二弾、こちらは『もう一軒 おつまみ横町』。第一弾は、ブログで紹介したことがあったんじゃないだろうか。

どちらも、料理のアイデアの宝庫。

料理は、いろいろな食材の出会いの妙。生か、焼くか、煮るか、蒸すか、揚げるか。味はどうする?塩、しょうゆ、味噌。だったら、酒はなんにする?

新書版と同じ大きさの本で、料理の手順は三手まで。食材の数も、調味料も含めて、抑えられている。料理作る時って、これを作るから食材を買いに行くってなると面倒。「うちにこれがあるから、あの料理にしよう」って時に、「あっ、あれがない」ってことになると残念だよね。

それから、その他の特徴は、先に書いたけど組み合わせの妙。ジャンクではあっても、うまいものはうまい。コーンバターなんて、単品で出てくる料理じゃないけど、茶碗いっぱい食いたいと思ったことはない?水切りした豆腐を、そのまま刺身で食べてみたくない?生鮭を塩鮭にして食ったら、これはうまい。

今、飲み始めた。焼酎のお湯割り。つまみは長いもを細かい短冊にして、お茶塩をかけたもの。うちは、安いお茶を買って、ミルサーで粉末にしている。粉末を湯飲みに入れて、お湯を注いで飲む。粉末にしたお茶ごと飲める。この粉末で、抹茶塩に近いものを作って、これを書ける。ほんのりお茶の香りがする調味料になる。

実は、水切りした豆腐もある.連れ合いと二人暮らし。豆腐一丁は一度で使い切れないから、残ったら水切りしておいて、いろいろに使う。それを刺身にして食ってみよう。わさび醤油で。

γ-GTP値が正常だと、酒がうまいな。




テーマ : 料理の本
ジャンル : 本・雑誌

絹さやのみそ汁『このレシピがすごい!』 土屋敦

私は、男だけの三人兄弟の三番目。

だから、三人目の出産が近づき、女の子を期待されてたのに、ちんちんをつけて生まれてきてしまった。長男の父には姉がいる。私にしてみれば伯母である。伯母は嫁いだ家で立て続けに三人男の子を産み、最後に女の子を産んで、お仕舞いにした。父はそれを考えたが、母と相談して私が末っ子になった。

父は後に、「お前が女の子で生まれていたら」と酔っ払って言ったことがある。私にとっては怖い父親だったのだが、そのときだけはカッとなった。私は、父の頭を叩いて逃げた。あとで母が取り持ってくれた。母は、それを口に出すことはなかったが、なんだか私に対する扱いが怪しく思えることがあった。

なにかと私に、手伝いをさせたがった。手伝いは、祖父母からもさせられた。だけど、祖父母から命じられる手伝いは、畑仕事だったり、卵を取るために飼っている鶏の世話だった。母のは違う。まるで、娘に対してそうするように、私に手伝いをさせるのだ。

風呂掃除、洗濯物の採り入れ、お使いや、夕飯の準備の手伝い。一番嫌いなのは、お使い。だいたい肉屋か、魚屋。肉屋でおばさんたちに交じって並ぶのは嫌だったな。あとから来たおばさんが、私より先に肉屋に声をかけたりね。いつまでも声を出せないでいると、肉屋の方から救ってもらった。

夕飯の準備の手伝いは嫌いじゃない。菜っ葉やネギを切ったり、うどん粉をこねたり、お釜の火の面倒を見たりするの。どれも単純で簡単なことばかりだけど、いろいろなことをやらされた。

あの手伝いっていうのは、間合いがあるんだな。兄は、その間合いを見切ってるから、危険な時間帯に、決して間合いの中に入ってこない。その点、私は違う。間合いが見切れないというのではなく、嫌がりながらも、どこかで手伝いに惹かれているところがある。だから、ぐずぐず間合いに入ってしまう。






扶桑社新書  ¥ 時価

レシピというものは、それを作った人とその家族の幸せに直接に関わっている
たなかれいこ 蓮根のはさみ揚げ
土井善晴 サンマの塩焼き
米沢亜衣 豚のカリフラワー煮
栗原はるみ たこの香味サラダ
有本洋子 絹さやだけのみそ汁
奥園壽子 豚の角煮
奥園壽子 黒豆
佐藤雅子 小あじの牛乳漬け
阿部なを にしんの醤油漬け
辰巳芳子 煮サラダ
野崎洋光 牡蛎の青海蒸し
河田吉功 ほうれん草とにんにく
辻嘉一 なめこ汁
春田光治 魚のプロヴァンス風煮込みスープ
山本彩香 ヌンクー
オーディド・シュウォーツ ラブナ
難民支援協会 ニラたっぷりの卵焼き
浅野陽 常夜鍋
檀一雄 大正コロッケ
平松洋子 揚げ卵はさみバケットサンド
丸元淑生 タラのグラシオサ風
開高健 生ウニのオムレツ









うちは貧乏だけど、畑があった。野菜作りってのは季節のものだから、時期になると決まったものがたくさん取れる。三ちゃん農業でだけど、祖父母が元気な頃は市場にも出していた。祖父母が高齢化して、市場に出さなくなると、家で食べる分が増えた。時期により、なすばっかり。キュウリばっかり。そして、絹さやばっかり。

その絹さやの、筋をとるの。

絶望的な量の絹さやが、広げた新聞紙に山になっている。新聞紙に山になっている絹さやの筋取りを言いつけられると、それはやはり嫌だ。「相撲、見ながらでいいから」と言われても、終わりが想像できない量なんだから。

それでも、筋を取り始めると、ちょっとずつ気持ちが変わる。端から端まできれいに取れると、それなりにうれしい。どうすればそうなるのか。そうならないことには、どんな原因があるのか。自分が悪いのか。もともと絹さやに原因があるのか。

そのうち、一緒に相撲を見ている祖母が、絹さやの山に手を出してくれる。祖母のやるのを見ると、やたらとうまい。うまいし、早い。これで安けりゃ言うことなし。

そんなことを言ってるうちに、山は丘になり、やがて平らになる。

料理家の有元葉子さんは、省略の人だという。伝統的な料理から、何か省略できることはないか、不要な材料はないかなどを厳しく検討し、新しいレシピに生まれ変わらせるのだという。

そういう意味で、この本の著者は、有元さんの「絹さやだけのみそ汁」を取り上げている。ありきたりの料理人や料理研究家なら、もう一種類加えたり、吸い口を添えたりせずにいられなくなるのだが、有元さんは、そんな因習を苦もなく、楽しげに突き抜けたと評価する。

まったく文句ない。そこに有元レシピの魅力の一端があると思う。

だけどこれ、私は子どもの頃から、絹さやの時期が始まってから終わるまで、毎日食べていた。



テーマ : 料理の本
ジャンル : 本・雑誌

『油揚げ、豆腐、こんにゃく』 有元葉子

お寿司と言えば、お稲荷さんのことだった。

そういう人、多いでしょ。・・・多いよね。・・・多いはず。・・・どうなんだろう。

何しろ海なし県の埼玉出身ですからね。しかも、私が生まれた秩父は、とにかく輸送事情が悪かった。陸の孤島が常態だった。・・・それは言い過ぎにしても、物流につながる道路は140号だけ、鉄道は秩父鉄道だけ。

西武鉄道が秩父まで通じたのは、今から50年前。私が小学校4年生の時。西部線沿いに、車で飯能にも抜けられるけど、峠越えの道だからね。ここにトンネルができて大型車が通るようになったのは、私が22歳の時だ。

おかしな話なんだけど、そうなると生活全般にわたって外(秩父盆地の外)の人たちと時差が生まれる。好きな本の記憶、映画の記憶、遊びの記憶、さまざまな風物の記憶が10歳以上年長の人と同じことが良くあった。竹の子の皮に梅干しをくるんでしゃぶるのがおやつだったなんて、連れ合いの両親もそんなことをしてたって。

子どもの頃、海の魚は鮭とめざし。どっちも、今は欲しくてもスーパーには売ってないくらい塩っぱいの。あとは、アジとサンマの開き。アジやサンマは、開きで海を泳いでるんかと思ってた。・・・それはないやろ!

たしかに、それはない。それはないけど、魚が出たときには、うれしかった。身を余さずに食べた。連れ合いと一緒になった頃、「山育ちなのになんでそんなに魚を食べるのが上手なの」と驚かれた。

だから当然、お寿司というのは、お稲荷さんのこと。江戸前寿司の握りというものがあるのは、大人から話としては聞いたが、塩辛い鮭や開きの握りくらいしか思いつかないんだからどうしようもない。

“お寿司”はもちろん母の作ったやつ。お寿司を作る日は、前の日に、いつも回ってくる豆腐屋から油揚げをたくさん買うから分かる。あしたは“お寿司”だってなると、ワクワクする。しかもそれは、親戚の叔父叔母がいとこたちを連れてくるときが多かったから、“お寿司”の記憶は、バラ色、いや黄金色に輝いている。

母の“お寿司”は、最近、何かの折に食べる市販のものと比べると、甘さ控えめで、かつ油揚げが柔らかい。下ごしらえをしないで、砂糖をたくさん使うと、油揚げが甘いばかりでゴアゴアしちゃう。これは田舎くさい。その点、連れ合いの“お寿司”は母のものに似ていて、とてもうれしい。

この本は、油揚げと豆腐とこんにゃく料理の本。《日本のソウルフード》と有本さんは言うが、まさにその通りだと思う。




家の光協会  ¥ 1,760

いつも使っている食材が、こんなにおいしく食べられるなんて!
油揚げ・厚揚げ・がんもどき
豆腐
こんにゃく・しらたき


この間、土井善晴さんも言ってた。「お揚げさんを、おいしくいただくには、この手間を惜しんではいけません」

“この手間”ってのが、鍋に湯を沸かし、熱湯に押さえつけて、ほんの少し湯がき、ざるにあげて水気を切ること。油抜きだな。熱湯を回しかける油抜きが一般的だけど、面倒でもこれをやると仕上がりが違う。関東で言う油揚げの甘辛煮、関西で言う油揚げの炊いたん。柔らかい油揚げが炊けるかどうかは、これで決まる。炒めたり、焼いたりするときは、油抜きの必要はないそうだ。

この“炊いたん”は、うまい。これは使い勝手が良い。先日は、うどんにのせて、きつねうどんにした。もちろん、“お寿司”になる。面白いのは、短冊の“炊いたん”は小鉢に入れて、ご飯のお供にしてもいい。丼にご飯を盛り、のりを敷いた上に短冊にした“炊いたん”を散らしてきつねご飯もいい。卵でとじて、“炊いたん”丼も、間違いなくうまいだろう。

大村益次郎は、村田蔵六を名乗った頃から、酒の時は、いつも豆腐をつまみにしたという。そのままでうまい。醤油をかけてうまい。刻みネギをのせてうまい。暖めてうまい。味をつけてうまい。・・・何をしたって、豆腐はうまい。

この本にもあるんだけど、この間、煮たほうれん草と一緒にミキサーにかけて、スープにした。このやり方でもうまい。これはたまたまだけど、今日の夕飯のおかずは麻婆豆腐だそうだ。

なんてことだ。

さて、こんにゃくだ。

あの怪しい根っ子を食えるように工夫したのは、やはり、“中国”の食うや食わずだろう。

おでんに使うこんにゃくなんて、味が入りにくいよね。今まで私が食べたこんにゃくに煮付けの中で一番うまかったのは、埼玉県東秩父村大内沢のみかん農家のおばあちゃんが作ったやつ。しっかり味が入っていて、「ええ、こんにゃくがこんなにうまくなるのか」ってビックリしちゃった。

秩父の山村は、こんにゃく農家も少なくないから、ここのものだけではないでしょうが、ちゃんと作ったこんにゃくは、ちゃんとうまい。


テーマ : 料理の本
ジャンル : 本・雑誌

『このレシピがすごい!』 土屋敦

いやー、こんなに良い本なのに、読んでなかった。

ブログで紹介している本は、新刊も、古本も、図書館の本もごちゃ混ぜ。読むにあたって計画性はない。本屋に行ってはたまたま目についた本を買い、古本屋でも同様、図書館の場合は代わり映えしないので、とりあえず一周してみる。その都度、持って帰れる分量を持ち帰る。

当然ながら、本はたまる一方。連れ合いの神経に障るのは分かってるから、いつ何時捨てられても文句はないという約束になっている。「これだけは捨てないで」という本は別にしてある。でも、捨てられたことはない。

自分で捨てたことはある。大処分は、今までに二度やった。二度目の大処分以来、義父母が亡くなり、娘と息子が独立して、かつて6人で暮らした家に、連れ合いと二人で暮らしている。もう、本の大処分はしなくても済みそうだ。

とりあえず最近手に入れた本は、身近に置いてある。読み始めて、気持ちが入っていかない本は、読むのをやめる。苦痛を感じながら読むと、読書が嫌いになる。そのため、四・五冊が一気になくなることがある。

そんなときは、過去の本にあたる。過去の本の中には、間が悪くて読んでない本もある。気持ちが入っていかなかったけど、今度は面白く読めそうな本もある。読んだけど、もう一度読みたくなる本もある。

この本は、間が悪くて読んでなかった本。おそらく、他の料理の本を優先しているうちに、読みそびれたんだろう。なにしろ、料理の本とはいっても、料理エッセイで、全部文章だから。

著者の土屋敦さんは、料理研究家で書評家なんだそうだ。その土屋さんがこれまで目を通してきた料理本の中から「これはすごい」と感じたレシピを拾い上げ、料理家の料理に対する哲学、料理家自身の料理に対する姿勢を含めて紹介したものである。

なんだ、なんだ。そうか、これはと思ったレシピがあったら、一々それに入れあげておけば、こういう本ができるのか。私は、その“本”の方に反応してしまうからな。




扶桑社新書  ¥ 時価

レシピというものは、それを作った人とその家族の幸せに直接に関わっている
たなかれいこ 蓮根のはさみ揚げ
土井善晴 サンマの塩焼き
米沢亜衣 豚のカリフラワー煮
栗原はるみ たこの香味サラダ
有本洋子 絹さやだけのみそ汁
奥園壽子 豚の角煮
奥園壽子 黒豆
佐藤雅子 小あじの牛乳漬け
阿部なを にしんの醤油漬け
辰巳芳子 煮サラダ
野崎洋光 牡蛎の青海蒸し
河田吉功 ほうれん草とにんにく
辻嘉一 なめこ汁
春田光治 魚のプロヴァンス風煮込みスープ
山本彩香 ヌンクー
オーディド・シュウォーツ ラブナ
難民支援協会 ニラたっぷりの卵焼き
浅野陽 常夜鍋
檀一雄 大正コロッケ
平松洋子 揚げ卵はさみバケットサンド
丸元淑生 タラのグラシオサ風
開高健 生ウニのオムレツ










料理本の中の料理にも、もちろん思い入れは湧くんだ。だけど、一人の料理家が、あるテーマを持ってその本を作ってる。料理は、そのテーマを完遂するための展開の一つと受け止めてしまうんだ。

例えば、一人の料理家の人生を描いた小説があるとする。その料理人が心血を注いだレシピを作り上げたとする。料理人はそれを、不治の病で余命幾ばくもない愛する人のために作ったとする。愛する人は、それを一匙、口に運び、涙を流す。後に料理人は、一生、人に喜んでもらえる料理を作っていくことを、今は亡きその人に誓うんだ。

そのレシピがどんなものであるかは、もちろん重要だ。作ってみようと考えるかも知れない。しかしそれは、物語の中の、重大ではあっても、要素の一つ。

私が料理の本を読むときは、もちろん一つ一つのレシピに向き合うことになるんだけど、それはあくまでも、その本のテーマを前提としてのこと。あくまでも反応するのは、本に対してなんだな。

だけど、著者の土屋さんは、私とはやはり違う。ここの料理を検証することで、その料理家の料理への向き合い方、料理哲学みたいなものを抽出していくんだな。本を越えて、人に興味が集約されていくようだ。この本には、その上で、その人を語るに最もふさわしい料理が紹介されているというわけだ。

私は本に、それ以上のものを求めない。書いた人が誰なのかも、問題としない。だから書いた人の名前をなかなか覚えない。著者の土屋さんはそうではないね。

そんなことを始める前は、ただの失業者だったようだ。それが、本の書評を書いて、小金を手にするような生活を始めた。その始まりは、ある料理の本の書評を、《料理本批評家》というハンドルネームで送ったことだったそうだ。それが認められ、600円を手にしたことが、彼を図に乗らせてしまったようだ。

なにしろ、自分の趣味である「料理を作ること」と「本を読むこと」を両立させる《料理本批評家》のような仕事で食っていけないかと、ほとんど犯罪に近いような考えから始まったことだというのだから。

無職の男の最初の妄想から15年を経て、ご本人は、ようやく《料理本批評家》になれたとのたまう。まあ、実力でそうなったのだから、大したもんだ。しかし、私は思う。このような良い本を読んで、著者に続こうなどと言う愚か者が出てこないことを祈りたいところだ。

私の記憶に残る料理も、いくつか取り上げられていた。中には、作ってみたことのある料理もあった。後日、紹介してみたい。



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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本












































































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