めんどくせぇことばかり 本 近現代世界
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エボラ『新・戦争論』 佐藤優 池上彰

武漢発の感染症のように致死率が低いと、症状が軽い場合が多く、ちょっと用事があればなんとなく外出してしまう。場合によっては、これといった症状が現れない場合もあるので、感染者が感染にも気づかずに外出してしまう。それで、世界の機能がストップしちゃうようなパンデミックになってしまった。

WHOのテドロスが、最初の情報が入ったときに、中国人の受け入れ拒否をストップさせてなければ、こんなことにはならなかっただろうけどね。

それはともかく、ここでの話題は、まずはエボラ出血熱から。“出血熱”というのは、それだけで恐ろしいね。エボラ出血熱は、あまりにも致死率が高く、しかも症状が急速に進むので、感染者が他人に移す前に死んでしまうケースが多い。そのため流行が局地的なもので押さえられていた。

この本によれば、それが今、人口密集地帯で流行するようになり、国境なき医師団も「もはや制御できない段階に入りつつある」と表明している。

何しろ致死率は90%を越える場合もあるそうだ。こりゃすごい。感染したら、まず死ぬってことだ。

自然宿主はオオコウモリで、そこから野生動物に感染する。感染した野生動物を食べたり、死体に触れたりして人に感染する。そこから人から人への感染が起こる。

そう言えば、武漢の市場でも、いろいろな生き物を売ってたそうだ。猪や蛇なんて当たり前。ワニ、ネズミ、アナグマ、ロバ、犬、猫、狐にクジャク。エボラウイルスの自然宿主と同じコウモリも売られていたそうだ。“中国”武漢周辺では、わりとあたりまえの食材らしい。

武漢といえば、春秋戦国時代の楚の国の都。と言うことは、屈原や項羽もコウモリ料理を食べたのかな。武漢周辺にはエボラウイルスを宿したコウモリはいないということかな。

潜伏期間は2日から3週間。症状は、突然の発熱、強い脱力感、筋肉痛、頭痛、喉の痛みなどに始まり、その後、嘔吐、下痢、発疹が出現する。肝機能および腎機能の異常も伴う。さらに症状が進むと出血傾向や意識障害が出現する。出血熱と呼ばれているが、出血が伴うのは1割ほど。最近はエボラウイルス病と呼ばれるそうだ。


『新・戦争論』  佐藤優 池上彰


文春新書  ¥ 913

確実にやってくる「サバイバルの時代」を生き抜くためのインテリジェンス
序章 日本は世界とズレている
第1章 地球は危険に満ちている
第2章 まず民族と宗教を勉強しよう
第3章 歴史で読み解く欧州の闇
第4章 「イスラム国」で中東大混乱
第5章 日本人が気づかない朝鮮問題
第6章 中国から尖閣を守る方法
第7章 弱いオバマと分裂するアメリカ
第8章 池上・佐藤流情報術5カ条
終章 なぜ戦争論が必要か



この本で、国境なき医師団が、「もはや制御できない段階に入りつつある」と表明したのは、2014年~2016年に西アフリカで流行したときのことだろう。ギニアで発生したエボラ出血熱が、感染者の移動でリベリアやシエラレオネに広まったんだそうだ。

感染者は、疑い例を含んで合計28616例、致死率40%だったそうだ。ということは、死者は11500人くらいと言うことか。

今回の“中国”武漢発の感染症もそうだけど、地域によって、ずいぶん致死率に違うが出る。エボラ出血熱は、この時の流行が一番大きかったらしいけど、ギニア3814例、致死率67%。リベリア10666例、致死率45%。シエラレオネ14122例、致死率28%。

アフリカの一部地域の流行に収まっていたために、欧米先進国が医薬品の開発に熱心でなかった。ただ、理由はそれだけではない可能性もある。

戦争と感染症は、歴史の中で、人口を調整する役割を果たしてきた。感染症がアフリカでとどまるものであるなら、あるいは“中国”でとどまるものであるなら、と言う意識が欧米先進国にある可能性である。

この本でも話題に載せられてるんだけど、ダン・ブラウンの『インフェルノ』は、人類の人口爆発を泊めるためのウイルス、それこそインフェルノっていうのはウイルスの名前なんだけど、これを拡散させるのをなんとかやめさせようという話だった。

欧米白人社会は、手を替え品を替えて、次々に新たな環境問題を持ち出してくる。それらの多くは空振りに終わり、ごくまれに大当たりする。鯨とか、地球温暖化とか。

私はそれらの背景に、優生思想があると思っている。そして、多すぎるのは、アフリカ人と中国人。ウイルスも、そこから外に広まらなければ、それでいい。底まで意識しているとは思わないけど、環境問題っていうのは、新たな人種問題のように思える。

富士フイルムがインフルエンザ対策として開発したアビガンという薬は、エボラ出血熱にも効果があるとして注目を浴びた。それが今、武漢発の感染症にも効果があると注目を浴びている。


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ジャンル : 本・雑誌

民族主義『日本の敵』 宮宅邦彦

共産主義という悪魔を、チャーチルやFDRが、少しでも深く理解していたら、もう少しマシな世界になったいただろうに。

FDRなんか、共産主義を、あるいはスターリンを制御できると踏んで、逆にうまく利用され、第二次世界大戦の戦果の多く、世界の半分をソ連にただでくれてやることになった。なにしろ、アジアで共産主義の拡散を封じ込めていた日本を、ぐうの音も出ないほど叩きのめしちゃったんだからな。日本の代わりにアメリカがアジアに出張って、・・・それ以降は失敗ばかり。

ともあれ、第二次世界大戦後の世界は、米ソを軸とする冷たい戦争、冷戦の時代に入った。第二次世界大戦以前の民族主義の高まりを原因とする対立は、共産主義と自由民主主義という二つのイデオロギーの対立に吸収された。第二次大戦前のナショナリズムは、冷戦時代のインターナショナリズムに、強引にねじ伏せられる形となった。

しかし、1989年にベルリンの壁が崩壊し、1991年には共産主義の母国ソビエト社会主義共和国連邦が地上から消えた。これは、共産主義に対する自由民主主義の勝利を意味した。同時に、インターナショナリズムにねじ伏せられていたナショナリズムを解き放つことを意味していた。共産主義に勝利した以上、もはや自由民主主義は民族主義を封じ込めておく大義名分を失った。

1945年以前の民族主義は、再び野に放たれることになったのだ。

東欧では、ソ連の傀儡だった独裁者たちが追い詰められていく。ユーゴスラビアで高まった民族主義なんて、1991年の6月には始まって、六つの民族共和国が七つに分裂するという混乱を生み出した。

同様に、ソ連崩壊後、“唯一の超大国”となったアメリカ合衆国の力を試すように、中東に問題が発生していく。この本の著者、宮宅邦彦さんは、現在のイラクやシリアをおおう大混乱は、実は第一次世界大戦後始まったオスマン帝国崩壊の新段階ではないかと言う仮説を立てている。

この本は2015年に出された本で、残念ながらすでに時価になってしまっている本である。だけど、国際世界が関心を向けなくなったために報道される機会が減少したかも知れないが、その時の混乱は、何ら解決されたわけではない。

その問題の根源に、冷戦の終了によって民族主義が解き放たれたことにあるのではないかという宮宅さんの仮説は、大変興味深く思われたので、紹介してみたいと思う。


『日本の敵』    宮宅邦彦


文春新書  ¥ 時価

安倍晋三が信頼を寄せる「本物のインテリジェンス」が冷徹な眼で分析した戦略論
第1章 帰って来たロシアの熊
第2章 「イスラム国」後の中東世界
第3章 マーシャルのネットアセスメントとは何か
第4章 ネットアセスメントを中国へ応用する
第5章 中国が狙う対米「第二ラウンド」
第6章 「米国の凋落」は本当なのか
第7章 新民族主義時代の日中韓関係
第8章 中央アジアの地殻変動
終章 日本の敵


トルコは可哀想だった。ケマル・アタチュルク以来、民主化、西欧化を進めたトルコは、1960年代から欧州の一員となることを切望していたそうだ。

冷戦時代、ソ連を封じ込めるため、トルコはNATOに歓迎され、その一員としての役割を果たしてきた。同時に、冷戦後EUが設立された当初からトルコが加盟を切望していたにもかかわらず、EUはそれを拒否している。

どうも、現在のエルドアン大統領は、利用されるばかりのEU加盟をめざすことをやめて、中東における影響力拡大に舵を切ったようだ。エルドアン大統領が、徐々にイスラム化を進めているのは、トルコ民族の原点回帰、民族主義の現れではないかという。トルコには軍部主導の伝統的世俗主義があって、エルドアン大統領のイスラム化に危機感を抱いてクーデターを起こしたのは2016年だった。

世俗主義からのイスラム化が、民族主義の一形態であるなら、その先駆けとも言える1979年のイラン・イスラム革命はどうか。宮宅さんは、そのイスラム過激主義の政権掌握を、欧米世俗主義に迎合した専制君主を倒してペルシャ人シーア派独立国家をめざす、ペルシャ民族主義の復活ではないかという。

その直後に発生したイラン・イラク戦争で湾岸アラブ諸国がイラクを財政支援したのは、アラブに対するペルシャ帝国の逆襲と考えたからではないかという。民族主義が背景にあったということだ。

オスマン朝の滅亡後、イラク、シリア、ヨルダンなど、英仏が勝手に定めた国境線は、アラブの王政や独裁政権によって維持されてきた。大きな変化のきっかけは2001年のアメリカ同時多発テロと、それに続く報復戦争、そのままイラク戦争へと流れ込み、フセイン政権を打倒した。

イラク独裁制の崩壊の影響はチュニジア、エジプト、シリア、リビア、イエメン、ヨルダンにも及び、一連の動きは「アラブの春」と呼ばれたが、これで幸せになった国は一つもない。しかも、一連の戦いの中で、カリフ制の復活をめざすイスラミック・ステイツという過激派が力を持ち、混乱に拍車をかけた。

イラクに今残された残されたものはなにか。イラク北部のスンニー派アラブ、イラク北東部のクルド、イラク南部のシーア派アラブという三つの民族主義であるという。

2001年~2003年のアメリカによる軍事介入のあと、オバマ大統領は非介入主義に切り替えた。これが大きな変わり目だった。王政、君主制、独裁共和制による強権主義が悪と決めつけるのは簡単だが、それを倒して議会制民主主義に置き換えても、中東は収まらない。力の空白が生まれて過激派の聖域となるばかり。

この時、宮家さんは、「2016年の大統領選挙次第」と言っていた。

私は、当時よりも、少しはマシな大統領になったと思っている。



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ユーゴ紛争『反日プロパガンダの近現代史』 倉山満

《弾丸よりもキャッチコピー、優れたキャッチコピーはミサイルよりも威力がある》

これはすごい。あれはプロパガンダだったんだ。なんだか胡散臭いとは思ったけど、やっぱりプロパガンダだったんだ。

だけど、それによってミロシェビッチは最悪の独裁者にされた。一連のユーゴスラビア紛争における戦争犯罪人として身柄を拘束され、獄中で命を落とすことになった。

セルビアが国際的に孤立し、経済制裁によって国民の生活を困窮させ、すべての戦争に負けたことでセルビアの利益を損なった。コソボ紛争ではNATOの空爆まで招き、領土まで失った。その最大の責任が、ミロシェビッチにあるとされた。それがプロパガンダのものすごいところなのか。

ミロシェビッチはアメリカで銀行家をやっていて、経済合理性の分かる親米派だったという。アメリカにしてみれば、このミロシェビッチをうまく使えば、あんな最悪な状況になることは防げたんじゃないかと思うんだけど、その時のアメリカ大統領はクリントンだったんだよね。不幸な巡り合わせというか。

ユーゴスラビア紛争に顔を出してくる一連の政治家たちの中では、一番の真人間がミロシェビッチだって倉山さんは言っている。・・・“あれでも”一番だって。つまりは、その他のやつが、・・・クリントンはじめ、ひどすぎるんだって。

たとえば、クロアチアのトゥジマンはナチス崇拝のファシストで、トゥジマン時代のクロアチア人の家庭にはヒトラーの正造が掲げられていたという。ウスタシャの話が出てくるんだけど、これは知ってた。ナチスの傀儡国家と呼ばれたクロアチアのファシズム団体。だけど、そのあまりの残虐さにSSが逃げ出したとか、ヒムラーがヒトラーに帰国を嘆願したとか。

ユーゴスラビア紛争の始まりは、真っ先に独立戦争を仕掛けたスロベニアだった。そのスロベニアのクーチャン大統領、仕掛けるに当たって、クロアチアをたきつけて、トゥジマンを腰抜け扱いしたそうだ。

トゥジマンや、ボスニアのイゼドベゴビッチは、チトー時代から民族運動をやってる札付きで、ミロシェビッチは逆に、過激な民族主義を警戒する側だったようだ。





アスペクト  ¥ 時価

国内外の反日勢力が仕掛ける情報戦&謀略戦に負けないために知っておきたいこと
はじめに  ――もう反日プロパガンダには騙されない!
第一章 現代日本を取り巻くプロパガンダ
第一節 歴史問題
第二節 アメリカのプロパガンダ
第三節 中国のプロパガンダ
第四節 朝鮮のプロパガンダ
第二章 プロパガンダが得意だった戦国日本人
第一節 戦国時代の基本はプロパガンダ戦
第二節 織田信長
第三節 豊臣秀吉
第四節 上杉謙信
第五節 毛利元就と徳川家康
第六節 石原莞爾と武藤章
第七節 世紀のザル法! 特定秘密保護法
第三章 近代日本のプロパガンダ
第一節 強力だった明治の外交
第二節 明石元二郎
第三節 石井菊次郎
第四節 満洲事変 プロパガンダ戦敗北まで
第五節 正論が通らなくなる謎
第四章 世界史におけるプロパガンダ
第一節 四面楚歌が世界最初のプロパガンダ?
第二節 異教徒を改宗させる宣教委員会
第三節 イギリスを世界大戦に勝たせた近代プロパガンダ
第五章 反日プロパガンダに勝つ方法
第一節 ユーゴ紛争にヒントがある
第二節 外国人参政権
第三節 「北朝鮮に拉致された中大生を救う会」の戦い
第四節 アベノミクス vs. 日銀の死闘






六つの共和国が七つに割れた、ユーゴスラビア紛争。

六つが七つ?

スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェコビナ、セルビア、モンテネグロ、マケドニア、コソボ、・・・本当だ。いつの間にか七つになってる。

いつの間にかってのはよくないね。だけど、当初、心底心配してたユーゴ紛争なんだけど、徐々に戦場と戦っている者たちが変化していって、その変容にこっちの頭がついていかなくなっていった。ついには、「ああ、なにかとドンパチやってるところね」という状況になってしまった。・・・恥ずかしながら。

もとはといえば、ソ連という共通の的に掲げていた武器が、そのソ連が勝手に潰れて以降、昨日までの同じユーゴスラビア国民に向けられるようになって、ボスニア・ヘルツェコビナみたいなセルビア人、クロアチア人、ムスリム人混住の地域では同じアパートに入っている者同士でひどいことになって・・・。

イスラム教徒がやられた強制妊娠施設では、女を拉致し、強姦して妊娠させ、中絶できない時期になったら解放するようなマネをしてたんだそうだ。もちろん、やられた側はやり返す。そうしてやった側、やられた側、生まれた子ども、その家族たち、そういう人たちが、紛争が収まった今、同じ街に住んでいる。貧乏だから、街を出ることもできない。

そんな状況なわけだから、誰が悪い、彼が悪いという話じゃない。そういう話じゃないんだけど、最も忍耐を迫られるのは、最大勢力のセルビアだったってことになる。実際、セルビア共和国の中でも、コソボのアルバニア人が暴れてもセルビア人は忍耐を強いられた。

それでもセルビアは軍事的にも力があったから、やり合ってもクロアチアやボスニアには負けない。ところが、彼らがアメリカやNATOを巻き込んで空爆しろと声高に叫ぶ。

その時、ボスニア・ヘルツェコビナは、アメリカの広告代理店を巻き込んでいたそうだ。私が覚えているのは、「エスニック・クレンジング」という言葉だ。これは、戦争広告代理店によって生まれた歴史に残るキャッチコピーなんだそうだ。「セルビアは民族浄化をやっている」、セルビアを空爆しろ!

ユーゴスラビア紛争は、キャッチコピーはミサイルよりも強いことを知らしめる出来事だったわけですが、そんな話が明るみに出たのは、イゼトベゴビッチが広告代理店の料金を踏み倒したからなんだそうです。





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ナチスの原爆『ナチスの発明』 武田知弘

ナチスに関する言及は、あってはならない聖域か?

倉山満さんの本にも書いてあったな。以前、麻生太郎副大臣が憲法改正に関するシンポジウムの中で、「憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね」と発言したことに関するもの。

「ヒトラーは憲法を変えてなどおらず、停止しただけだ」と倉山さんは言うが、たしかに事実上停止されてるんだけど、正式には停止すらされてない。国会議事堂放火事件を政治利用して憲法の認める基本的人権のいくつかを停止し、さらにその状況下で全権委任法を成立させてる。全権委任法は、憲法を越える権限の譲渡であったから、事実上、ワイマール憲法は停止された状態になる。

誰も気づかないうちにナチス憲法が制定された“あの手口”なんて存在しないし、ファシズム体制が構築されたことを言っているのなら、それはかなり暴力的なものだった。

だから、やはりナチスを引き合いに出すことには慎重であるべきだ。少なくとも、“手口”云々とおちょくり半分で取り上げるべきではない。

その上で、ナチスに関して研究していくことは、実は大きな意味があると思う。その意味でも、この本はとても貴重な本だと思う。もっともっと、続いて欲しいとも思う。

よく韓国が、世界に対して、日本をナチス同等の悪であるかのような宣伝をする。ほらほら、あのオリンピックのサッカーの試合で、韓国の選手が竹島に関わるプラカードを持ちだして問題になったとき、韓国は旭日旗をハーケンクロイツ同等だと、問題を相対化しようとした。今は旭日旗問題だけが残されて、韓国人の新たな反日運動のカードとなった。

ナチスを悪魔化してしまえば、悪魔に良いところを見いだすなんてあり得ないことになる。だけど、ナチスは人間の集まりだ。それ以上に、ナチスの行なった“悪”と同じ根っ子を持つ行為は、今でも世界各地に存在する。やはり、しっかり研究すべきところだと思う。

そう言えば、この本の最後に、《ナチス原爆製造の謎》という項目があった。



『ナチスの発明』    武田知弘


彩図社  ¥ 713

今まで語られることの少なかった、ナチスの功罪の「功」の部分に光を
第1章 世界を変えたナチスの発明
第2章 ナチスがめざしたユートピア
第3章 だれがナチスを作ったのか?
第4章 夢の残骸


《原子爆弾は、アメリカが世界で最初に発明した、ということになっている。そのためアメリカは、対日戦争を早期に終結させ、その後の超軍事大国になることにできたというのが、現在の歴史認識だ》

ずいぶん思わせぶりなことが書かれている。

1938年 ウランの核分裂を発見
1940年3月 世界初の原子炉が完成
1940年6月 フランス最先端原子力研究施設を没収

これはすべてドイツにより成されたこと。その後、ドイツは、当時のすべてのウラン産出地域を占領し、ウランの輸出を差し止め、原爆製造において圧倒的に優位な立場にいたんだそうだ。

アメリカのマンハッタン計画は、それに対抗する策で、ドイツから亡命したユダヤ人科学者たちがアメリカに進言したものだった。そして進んだ技術力と経済力があって、原爆は製造できたというのが貞節である。

ジェット機、ロケット、誘導爆弾など連合国に先駆けてナチスが開発した兵器は多い。だからこそ、ロケット技術もそうだが、ナチスの技術は争奪の対象だった。終戦後、中でも、最も手際よくナチスの技術者を引き抜いたのはアメリカである。

当時、原爆にはウラン型とプルトニウム型の2種類あった。日本には、ウラン型が広島に、プルトニウム型が長崎に落とされた。アメリカが実験に成功したのはプルトニウム型の原爆で、ウラン型の原爆は実験されていないんだそうだ。

・・・ウランは長らく、ドイツの独占されていたから、アメリカがウランを自由に手に入れられるようになるのは、ナチスがヨーロッパの支配を失ってからのはず。

枢軸国側のスパイであるベラスコは、ナチスは1944年までに原爆を完成させていたが、ヒトラーの命令で投下されなかったと証言しているという。軍需相シュペーアの回想録には「ヒトラーは原爆を嫌っていた」と書かれているという。

ヒトラーがためらった原爆を、アメリカは二発も日本に落とした。


今の段階で、それは“可能性”でしかないが、ナチスの揺るすべからざる悪の側面は、今の世界にも間違いなく存在する。



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『ナチスの発明』 武田知弘

ナチスってのは、実はいろいろな意味を持っているはずなんだ。

だけど、ドイツはもちろんのこと、ヨーロッパでは“ナチス”の取り扱いに、とても敏感なんだそうだ。そりゃ、当たり前か。オーストリアにはナチス禁止法があって、ナチスの禁止と脱ナチズムを法で定めている。当のドイツでは、ナチスのマーク、旗、制服、言い回し、挨拶や敬礼などが禁止されていて、違反すれば罰金か最高3年の懲役となる。

ハーケンクロイツ、ハイルヒトラー、ジークハイル、ヒトラー敬礼なんかだな。

そういや、しばらく前に、日本のアイドルグループが、とある曲のパフォーマンスの中で、ドイツの軍服風のコスチュームで、ヒトラー敬礼風の動きを見せることが問題視されたことがある。

アメリカのユダヤ人団体で、サイモン・ウィーゼンタール・センターというんだそうだ。ホロコーストの記録保存や反ユダヤ主義の監視を行っているという。そこから抗議を受けて、謝罪を求められ、アイドルグループを主催するソニーミュージックが謝罪した。

どこでどうこの情報を仕入れたのかしらないが、この団体の講義の内容は、「10代の若者がナチス風の衣装を着てステージや観客席で踊っているのを見ることは、ナチス大量虐殺の犠牲者に多大な苦痛を引き起こす」 というものだそうだ。

歴史修正主義を許さないことでも知られた団体だそうだが、人類の歴史って言うのは、修正というものが必要なものだ。それを許さないって言うのは、どうでしょう。歴史修正を許さないユダヤ人も、パレスチナではずいぶん無理を押し通しているが。


そういや、スペインの高級ファッションブランド「ロエベ」が、同じように抗議を受けている。新しいコレクションとして売り出したシャツがダメだという。謝罪したホロコースト犠牲者の制服に似ているって指摘されたシャツって、私が夏場に来ているパジャマの袖が長くなっているだけなんだが。01-loewe-concentration-camp-uniform.jpg

これをデザインした人に謝らせて、発売をやめさせることに、・・・いや、やめておこう。スペインならば、日本とは感覚の違いがあるのかも知れない。


『ナチスの発明』    武田知弘


彩図社  ¥ 713

今まで語られることの少なかった、ナチスの功罪の「功」の部分に光を
第1章 世界を変えたナチスの発明
第2章 ナチスがめざしたユートピア
第3章 だれがナチスを作ったのか?
第4章 夢の残骸


たしかに、ナチス時代のドイツは最先端の科学技術を誇ったと言って良い。

第二次世界大戦末期には“V2”と呼ばれたミサイル、爆弾つきロケットを、連合軍の基地に対して使っている。V2は発車台つきトレーラーから10分程度の作業で発車でき、迎撃もできない。連合軍がこれを防ぐためには、ドイツを降伏させるよりなかったという。ロンドンには3000発が打ち込まれ、1万人近くの死者が出ていた。ただ、4発で軍用航空機1機分に相当するほどコストが高く、連合軍の激しい空爆の中では生産もおぼつかなかった。

ドイツが制御を失ったとき、この技術者たちは、各国による分捕りの対象となった。ナチス親衛隊も技術者たちを追っていた。逃避行の間に多くはソ連軍につかまった。リーダーのフォン・ブラウンと数人は、希望通りアメリカに投降することができた。かくして、戦後、米ソの熾烈な宇宙開発競争が始まったんだそうだ。

ジェット機、テレビ放送、ラジオ放送、アルミニウム合金、合成ゴム、化学繊維、ヘリコプター、電子顕微鏡、リニア・モーターカー。

いずれも、ナチス時代のドイツが絡んでくる。これはすごい。

その上、社会福祉の充実度合いがものすごい。

「大衆車」という意味を持つという名車フォルクス・ワーゲンは、「労働者にも買える車を」というヒトラーの政策に後押しされた生まれたもんなんだそうだ。

金持ちの特権であったバカンスであるが、長期休暇を労働者にも与えなければならないというのは、ナチスの労働政策の理念の一つでもあったそうだ。さらに、労働者のレジャーに対する配慮は、おそらくいまの日本よりも上。なにしろ、当局がスポーツを奨励していて、戸のスポーツは勤務時間中に認められていたそうだ。

労働者でも、一生に一度は海外旅行をして、「外国から祖国を見る機会を与えよう」なんてことまで行なわれていた。海外に行くばかりでなく、当時のドイツは観光大国で、海外から50万人ほどの旅行者が訪れ、それに配慮した周遊コースが準備されていたそうだ。訪れた人の多くはドイツ好きになり、ドイツの国際的評価に影響を与えていた。

ナチスは、少子化も乗り越えた。「結婚資金貸付法」というのがあって、平均的な労働者の給料の半年分を、無利子で借りられた。それだけじゃない。この貸付金は、子どもを一人生むたびに返済が1/4免除され、4人で全額免除になったそうだ。

ガン撲滅運動、アスベスト対策、労働環境の改善、女性労働の促進、合成着色料の禁止などなど・・・

ナチスの人種差別、民族差別、身障者差別は、たしかに許しがたいものであった。しかし、それはいずれもナチスの新発明ではなかったことを理解すべきだ。

先進的な技術にしたって、社会福祉にしたってそうだ。ナチスの時代になって降って湧いたわけではない。世界が躊躇していたものを、彼らはあらゆる面で“押し進めた”のだ。



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『トランプウソつかない』 髙山正之

南北戦争で北軍は、奴隷解放、人道主義を北部20州の旗印にしながら、うちケンタッキー、ミズーリなど5州もが奴隷州のままだった。奴隷解放は口先だけで、南部に対するネガティブキャンペーンだった。

おまけに人道を言う北軍の戦い方は非人道の極みで、その代表がウィリアム・シャーマン将軍。彼はアトランタを陥落させると南軍の戦意を阻喪させるために邸宅も街も鉄道もすべてを破壊し、焼き尽くした。

アトランタが消滅すると彼はそこから400キロ東の大西洋岸まで50キロ幅ですべてを焼き払って行った。世にいうSherman‘s march to sea(海への進軍)だ。東京大空襲の雛形はこんなところにあった。

この狂気の焦土作戦で南軍の将軍ロバート・リーが降伏し、62万人を殺した南北戦争は終わるが、米国人のもう一つの本性、慈悲なき復讐心がむき出しになる。敗軍の将リーは足かせを嵌められて晒し者にされ、彼の広大な邸宅は北軍戦死者の墓地にして汚された。今に残るアーリントン墓地がそれだ。

本当にいやらしい連中だな。そのいやらしさは、今のアメリカ人にも、しっかり受け継がれている。

1999年、東芝相手に奇妙な訴訟が起こされた。東芝のパソコンでいくつもの作業を同時にやるとフロッピーディスクコントローラー(FDC)が故障する可能性がある。だから賠償しろと言う。不具合が起きたというクレームは一切なかった。相手はクリントンへの大口献金者でもあるウエイン・リオ弁護士。東芝はパソコンの欠陥を承知で売っている。だから1兆円払えと譲らない。

主張の根拠はNECが“今のFDCに過重負荷をかけると故障する恐れがある”と改良FDCを載せたのに、東芝はそれをしていないということ。

ばかばかしいがリオ弁護士にはクリントン大統領がついていた。東芝は結局、総額1100億円の和解案を飲んだ。和解金捻出のため有価証券を売り払ったものの、650億円の赤字を出した。

アメリカは弱った獲物は見逃さない。今回は東芝の子会社ウェスチングハウス社が汚い仕掛けをして、今度こそ東芝に1兆円の背負い込ませた。




新潮社  ¥ 1,512

暴言大統領と思ったら大間違い 彼の言動にアメリカ人の黒い本音が潜んでいる
第一章  朝日の断末魔が聞こえる
第二章  世界が認める日本人の凄さ
第三章  正しい歴史を知れば怖いものなし
第四章  今日も朝日にウソが載る
第五章  「フェイクニュース」の元祖はどこか  


日本では、アメリカの歴史教科書が話題になることはほとんどない。しかし、これがけっこうすごい。アメリカで教科書を出版しているマグロウヒル社の高校歴史教科書に、ハワイ大准教授のハーバート・ジーグラーがこう書いている。

「日本は韓国女20万人を力づくで拉致、天皇の贈り物として日本軍兵士の性の奴隷にした。使用後は皆殺しにした」

おそらく韓国からなにがしかの働きかけがあったのか知らないが、この文章は最初から最後まですべて韓国人が書いたものとしか思われない。それをこの准教授は、丸呑みしたんだろう。

マッカーサーは厚木につくなり「吊るすべき戦犯を39人捕まえろと命じた」とブリタニカ百科事典にある。“39人”は、米国にインディアン殲滅史に「リンカーンが命じた処刑者数」としてこの数字が出てくる。

米国のインディアン処分は狡猾だ。最初は、ワンパノアグ族を手なづけ、別の部族と戦わせて滅ぼしていく。その繰り返しで最後に残った部族を白人が自ら片付ける。リンカーンの頃には大どころではミネソタ州に残ったスー族が残るだけになった。リンカーンはその領土をすべて取り上げ、代わりに十分な食料や衣料品を提供すると約束した。しかし、食糧もなにも届かない。抗議すると担当のアンドリュー・ミリックは「空腹なら草を食え」と言った。

スー族が彼を殺すと、リンカーンはそれを待ってスー族退治を命じ、降伏した頭目たちを「公平な裁判」にかけた結果、全員を処刑した。その数が39人だった。

マッカーサーには、こういう偏執狂的ないやらしさがある。

日本がマッカーサー案の憲法を受け入れ、日本語の翻訳のすり合わせが終わったのが3月5日。GHQスタッフがアメリカへ飛んでアメリカ時間3月6日にワシントンで開かれる極東委員会に提出と、やたらと急ぐ。マッカーサー憲法受け入れの見返りに、4月3日の極東委員会で天皇の不起訴が決まる。

ここからが偏執狂の真骨頂。4月29日の天皇誕生日に、東条英機以下28人のA級戦犯の起訴を行う。翌年5月3日の憲法記念日は、東京裁判を開廷した日。12月23日、今上天皇の誕生日は東条英機らを処刑した日。

米国で、リー将軍の像を廃棄しろという意見がある。「彼は南軍の将。奴隷制の擁護者」という言い分だ。それについてのトランプのコメントが問題だとメディアが騒いでいる。彼はこういった。「こんなことで歴史と文化が切り裂かれるのを見るのがつらい」と。クリントンの女房を選ばなかったのは、アメリカにも良心があることの証明か。


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『世界の歴史はウソばかり』 倉山満

そう言えば、市立図書館が、ずいぶん長く閉鎖されている。

もちろん、新型コロナウイルスの関係でね。3月5日に行ってみたら閉まってて、そのまま3月いっぱいってことだった。これには驚いた。図書館で借りて読む本は、私の読書の2割くらいは占めている。それ以来、その分だけ本屋、古本屋率が上がるわけだ。まあ、3月いっぱいってことならなんてことはない。そう思っていたら、閉鎖期間が延長された。

図書館で、そんなに濃厚な接触はない。しかし、感染者が出た場合のことを考えると、どうか。何が起こるか。たとえば、私が感染者だったらどうか。

・・・この地域で感染者が出ました。どうやら感染後、市立図書館に何度か通っていた模様です。図書館はすでに閉鎖されておりますが、その感染者が借りた本を、手にした可能性のある方は名乗り出て下さい。その人が借りていた本は、『昼下がりの背徳』、『真夜中の保健室』、『二度目の男』です。

・・・これはマズイ。やはり図書館には、もうしばらく閉鎖していてもらおう。

『世界の歴史はウソばかり』か。

私も嘘をつくからな。母から、「お前は嘘をつくから」とよく言われた。母の財布からお金を抜いてね。どうしてそんなすぐバレることをやったんだかね。「盗ったでしょ」「盗ってない」「本当は盗ったでしょ」「盗ってない」「怒らないから本当のことを言いな」「盗った」バシッ!

だけど、世界のウソだって、私と同じレベルの“すぐバレる嘘”なんだ。私は、欲しかったんだ。一回5円のくじで、エイトマンのシールを当てたかったんだ。10円、20円、30円。・・・50円くらいまでは気づかれなかったから、もうちょっと盗っても大丈夫だと思っただけなんだ。

世界の国がやってることも、あまり変わらない。




ビジネス社  ¥ 1,210

世界の国々が知られたくない、暗黒の歴史を大暴露!格調高きヘイト本
序 章 日本人がまったく知らない国民国家論
第一章 典型的な「国民国家」フランス
第二章 国民国家の理論でナチズムをやっている中国
    主権国家にすらなれていない韓国
第三章 常に異ネーションをかかえた帝国ロシア
第四章 国体と政体の区別がない「人工国家」アメリカ
第五章 「民族主義」のヒトラーに破壊された国民国家ドイツ
第六章 エンパイアから始まった国民国家イギリス
第七章 七世紀には国民国家だった日本


1945年5月8日にドイツは無条件降伏し、6月からは連合軍の占領下におかれた。飛び地となっていた東プロイセンがソ連とポーランドに分割されたほか、敗戦前の約4分の1の東側の領土を失った。

ナチスの排除は国際公約で、それが、戦後、西ドイツが独立国として生き残る条件でもあった。同時に、共産党も議会制民主主義と相いれないという理由で排除した。

戦後のドイツは、かつてのナチスや現在の中国と違って歴史上の最大版図を取り戻すような野心はもたず、ヨーロッパ連合と言う超国家的機関を通じて他の国を間接支配するという知恵をつけた。

第二次世界大戦で失った領域を国土とするポーランドや、オーストリアはじめ旧ハプスブルク帝国のハンガリー、チェコ、スロバキア、クロアチア、スロベニア、バルト三国も参加するヨーロッパ連合の、ドイツは盟主として君臨していると言っていい。

その状況に異議を唱えたのがイギリスだった。イギリスは2016年7月の国民投票でヨーロッパ連合からの離脱を選択した。

そのイギリスはというと、第二次世界大戦以降、労働党に負け続けた保守党を立て直し、イギリス病と呼ばれる長い不振から国民国家を取り戻そうと立ち上がったのがマーガレット・サッチャーだった。

彼女は、ドイツや日本にならおうとする流れの中で「大英帝国に学べ」と強いイギリスを目指した。国内政局に勝ち、フォークランド紛争に勝ち、冷戦に勝って、勝つことでイギリスを立て直した。勝利することで国がまとまっていく、イギリスにとって政治はそのための方法論であった。

サッチャーの立て直したイギリスを破滅の方向に向かわせたのが、1997年に首相になったトニー・ブレアだった。スコットランド出身のブレアは労働党から出た首相で、スコットランドやウェールズの自治権を拡大し、イギリスの憲法秩序を担ってきた貴族院の権限を縮小した。内においては国家の解体、外においては超国家統合を指向したのがブレアだった。

2014年にスコットランドの独立をめぐる住民投票が行われたが、これはブレアが始めたことの結果だった。ブレアは在任中にスコットランド議会を創設し、住民投票で独立の可否を問う権限を与えた。ブレアのあと、保守党から首相になったのがデーヴィッド・キャメロンで、スコットランドの住民投票は彼の時に行われたが、スコットランドの独立を食い止めるために、さらなる自治権拡大を約束しなければならなかった。そのキャメロンは、EU離脱の可否を国民投票にゆだねると言う約束をしてしまった。

イギリスの政治の仕組みは、歴史を通じて下院が方針を決め、上院が細かな技術論を検討するという役割分担があった。しかし、キャメロンの決定は、国家の命運を決める権限を国民投票にゆだねてしまうというものだった。



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聖火リレー『ナチスの発明』 武田知弘

東京オリンピック・パラリンピックの延期が決まった。

1年程度と言うことなんだけど、1年にこだわる必要があったろうか。1年で武漢ウイルスの流行が沈静化する補償はどこにもないのに。ただ、“補償”などと言い出せば、実はそんなものはどこにもない。できるだけ後ろにずらした方が、沈静化の確率が高まるって言う程度だな。

いずれにせよ、沈静化しさえすれば、100%のオリンピックを行なうことができる。日本を、日本人を悲しませることが無上の喜びという人は、日本も含めて、極東アジアに少なくない。そういう人にすれば、100%の開催にはイチャモンをつけたいところだろうけど、東京開催が決まってからの7年間、一生懸命やってきた人のことを考えれば、やっぱりなんとかしてあげたいよね。

延期による選手の浮き沈みはあるだろう。だけど、それは受け入れてもらわざるを得ない。最高の選手たちだから、それこそギリギリの仕上げをする時期がずれるのは、やはり大きい。特に年齢の言った選手にとって、1年延長は、もはや選手に選ばれることも厳しくなるかも知れない。

だけど、この事態を考えれば、それであきらめる選手かどうかというところに尽きると思う。勝負事なんだから。

延期の決定が、聖火リレーの始まりとギリギリのところだったので、100%の準備をしてやきもき、そして延期決定で撤収ってケースもあったよう。でも、新たに延期時期が決まれば、聖火もって走れるんだから。ちょっと楽しみが先に伸びたと思って、今は感染症に打ち勝つことを考えよう。

それこそ、重い病気に冒された人が、聖火リレーに選ばれたという報道を見た。今、生きている証に走ろうとしていたことだろう。ぜひ、聖火同様、その日が来るまで、命の火を決して消さないで。

そうそう、その人だけじゃなく、オリンピック前に死なないようにしよう。


『ナチスの発明』    武田知弘


彩図社  ¥ 713

今まで語られることの少なかった、ナチスの功罪の「功」の部分に光を
第1章 世界を変えたナチスの発明
第2章 ナチスがめざしたユートピア
第3章 だれがナチスを作ったのか?
第4章 夢の残骸


そう言えば、この聖火リレーっていうのは、ナチス・ドイツが始めたことだった。

1936年、ナチス政権下で開かれたベルリンオリンピックが聖火リレーの始まりで、それ以前には行なわれていなかった。ほぼ今行なわれているのと同じ聖火リレーが、ナチスによって始められた。

というのは、古代オリンピック発祥の地であるギリシャのオリンピアでオリンピックの火を採火し、アテネのスタジアムでトーチにともされ、トーチを受け継いで、開会式のメインスタジアムまで運ぶという“聖火リレー”のあり方。これはナチスが始めたということだ。

ベルリンオリンピックの際は、ギリシャのオリンピアから、ブルガリア、ユーゴスラビア、ハンガリー、オーストリア、チェコスロバキアを経由してドイツに入るというものだった。

準備されたランナーは3000人、トーチ3000本は大鉄鋼会社のクルップ社が寄贈した。当時の聖火リレーは、、試行錯誤の連続で、事実、途中で消えてしまい、マッチでつけ直すということもあったそうだ。

そんなことがありながらトーチはベルリンに入り、メインスタジアムまで受け継がれ、最終ランナーであるベルリン在住の子どもによって聖火台まで運ばれた。彼がトーチをかざし、聖火台に炎が燃え上がると観衆の熱狂は頂点に達したそうだ。

私たちが子どもの頃は、運動会といえば、何度も何度も予行演習が行なわれた。特に、入場行進と、体操だな。入場行進なんて、嫌さ加減が顔に表れるどころか、身体全体にじんましんができるくらい何度もやった。グラウンドを回って、正面にさしかかったところで、正面に向かって、右手を斜めにピンと伸ばす。ナチス敬礼とか、ヒトラー敬礼と呼ばれるやつだ。

全然知らずに、やらされていた。中学校でもやらされた。私の担任は組合活動に熱心な人だったけど、彼も知らなかったみたいで、疑問も抱かず、生徒にそれを強制していた。

第二次大戦後のドイツやオーストリアでは、ナチス賛美の行為として、取り締まりの対象になっているそうだ。だけど、聖火リレーは生き残った。オリンピアからもたらされた聖なる炎。それは古代ギリシャ文化に、自分たちの文化の源流の一つを感じているヨーロッパ人には、特別な高揚感をもたらしたんだろう。そしてそれが聖火台に燃え上がったときの熱狂は、たとえナチス起源であっても捨て去るにはあまりにも惜しかったということだろう。

たしかにナチスはよっぽどなんだけど、よっぽどなのをいいことに、ヨーロッパは何でもかんでも全部ナチスにひっかぶせてしまった。本来は、その功罪を検証すべきだったのに。

そんないわれのある聖火リレー、もう一回、初っぱなに戻って、オリンピックを盛り上げよう。


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アメリカ『変見自在 中国は2020年で終わる』 髙山正之

今年の冬は例年と違って冬晴れが続かない。先日の19・20・21日の日月火曜日、珍しく気持ちのいい晴れが続いた。日曜日は最初から二日酔い予定だったものの、月火曜日は山に行けるはずだった。事実、月曜日は車で山に出かけた。登山口近くの駐車スペースに車を止め、ザックを肩にかけようとしたら、腰が砕けた。

家を出る前から嫌な予感はあった。にもかかわらず、それを認められず、無意識に否定していた。登山口まで1時間の運転で、腰はすっかり悪化していた。そこからまた1時間かけて家に帰る間に、さらに悪くなった。

もしも“嫌な予感”の段階で自重していれば、おそらく翌日の火曜日には出かけられただろう。それもだめになった。週間予報では、しばらくはっきりしない天気が続くようだ。

晴耕雨読とばかり、天気が悪いときは本でも読んでいればいいわけだけど、腰が痛いとそれも難しい。

年に一度発行される、髙山正之さんの『変見自在』も、ちょうど読み終わってしまった。しばらくぐずついた天気は続くようなので、もう一度頭から読み返してみようかな。京はその中から、アメリカに関することを取り上げてみた。


日露戦争のさなか、地元紙サンフランシスコ・クロニクルはすさまじい反日キャンペーンを張った。日系人は故郷に送金するだけで地元に金を落とさない。写真だけで伴侶を決め、結婚に愛はない。日本人は白人の知恵を盗む。

当時、高峰譲吉が副腎からアドレナリンを抽出し、結晶化に成功した。ところが米国人ジョン・エベールが「高峰は研究を盗んだ」と、勝手にエピネフリンと名付けた。後にエベールのウソはばれるが、米医学界は今もエピネフリンを正式名にする。

日露戦争が終わった頃、サンフランシスコ大地震が起きた。日本人は同情し、今の金で50億円もの見舞金を寄せた。それは他国からの義援金の総額よりも多かったが、このあとサンフランシスコは日系人児童を公立学校から閉め出した。

アメリカ人によるものではないが北里柴三郎も嫌な思いをした。古くからヨーロッパ人たちを苦しめてきたペスト。そのペストが1894年にイギリス支配下の香港ではやった。北里が香港に入ると、到着の二日後にペスト菌を発見し、その二日後にはネズミが媒介するのを確認したという。ネズミを駆除して、ペストはまもなく沈静化した。

白人がたどり着けなかった答えを、日本人が数日で出してしまった。すると、フランス人医学者のアレクサンドル・イェルサンが「私もペスト菌を発見した」と発表した。北里の発見の一週間後である。

欧米医学界はイェルサンの証言を即座に認め、ペスト菌の学名を《キタザト・イェルシニア・ペスティス》とされた。その4年後、北里の名が第1回ノーベル賞候補として上がった。血清療法の功績が評価されたものだが、ノーベル賞は助手のフォン・ベーリングが受賞した。さらにペスト菌の発見から70年後、ペスト菌の長い学名が短く変更された。《イェルシニア・ペスティス》と、北里の名前が削られていた。





新潮社  ¥ 1,595

世界の正しい歴史を知り、真実を読み解いて、世に蔓延るまやかしを一刀両断!
第一章 今日も朝日にウソが載る
第二章 世界に蔓延るデタラメの数々
第三章 非道国家はますます健在
第四章 歴史を知れば全てが分かる
第五章 困った隣人とどう向き合っていくか


日清戦争後のしばらくの間、日本と“中国”の関係はまれに見る良好なものだった。満州民族王朝の清は日本に敗れたことの意味を真剣に考え、漢人の学問である四書五経をやめて、日本人がやったように洋学を志してみた。それで京師大学堂、後の北京大学を建て、海外留学を奨励した。

海外留学先で最も多かったのは日本だった。日本側もすぐに各大学が積極的に中国人留学生を受け入れた。魯迅・周恩来・陳独秀も、年に1万もの若者が日本にやってきて学んだ。彼らはそこで世界を知り、秋瑾は女性解放運動に、陳独秀や宋教仁は議会制を叫んだ。中国人が純粋に国を憂え、燃え上がった時期だった。

「日中が提携すれば白人国家がアジアに持つ権益を危うくする」と駐北京ドイツ公使フォン・グレイルが黄禍論をぶち上げた。“中国”進出を至上命令と考えるアメリカも同様だった。彼らは日中提携を阻むため、日本に向かう中国人留学生に目をつけた。アメリカは北京に精華大学を建てて顎足つきで漢人の若者をアメリカ留学に誘った。反日の急先鋒となる顧維鈞、胡適、董顕光などがおり、宋美齢もその一人だった。

親密だった日中の関係は袁世凱の時に暗転した。米国に促された袁世凱は日本食の強い議会を解散し、満州権益の延長申請に過ぎなかった21箇条の要求を政治問題化し、日本を“中国”の的に仕立てた。

アメリカはパリ会議で発言権のない“中国”代表に演説を許し、ジャーナリストの董顕光が反日をあおり、顧維鈞と米公使のポール・ラインシュが学生をたきつけ、それが五・四運動になった。日中の関係はアメリカの思惑通り180度転換した。

あれから100年、習近平は「五・四運動の核心は漢人の愛国主義」と、アメリカ外交の勝利を称えた。

だけど、その習近平が米トランプ大統領に苦しめられている。朝日新聞やリベラルは、どのシーンでも“中国”・北朝鮮・韓国の側に立ってトランプをこき下ろすけど、その分、トランプ大統領の当たり前の目に対する信頼が増す。





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“中国”『変見自在 中国は2020年で終わる』 髙山正之

これも、いい歳をして深酒に溺れた報いなのか。満を持して出かけた山歩きだというのに、腰の具合がおかしくて、あきらめて帰る羽目になってしまった。

全部、前の晩の家に準備をして、あとは着替えてご飯を食べて出かけるだけにしておいた。しかも、ちゃんと5時には目を覚ました。その時点で、すでに違和感はあった。でも、大したことはなかったし、違和感もすぐに消える質のものと思っていた。ザックを車に積み込むとき、まだ違和感はあるものの、これ以上悪くなるとは思っていなかった。

まだ明け切らない6時半に車で出発。登山口の駐車場まではおよそ1時間。初めての場所なので緊張感はある。道は大丈夫だろうか。凍結はないだろうか。そんなことを考えていたら、腰のことなんか忘れていた。

最後に峠を越えた。峠の登りで道が黒い。凍結しているようだ。ローに落として慎重に走る。早く最高点を超えたい。最高点でトンネルに入る。出口は下りになるはず。ようやくホッとする。峠を越えて、登山口への最後の登りとなる。今度は白く霜が凍り付いている。それもすぐ終わり、登山口の駐車場に到着。

身なりを整える前に、登山口を確認した。標識もしっかりしていて安心する。身なりを整えようと車に戻り、ハッチバックを明けて片肩にザックを担いで車から下ろそうと思ったら、腰に力が入らない。

ザックを型から外して、身体を動かしてみる。・・・1時間車を運転している間に、腰はすっかり悪化していた。・・・天を仰ぐもどうにもならない。また1時間車を運転して帰るしかない。

1時間後、家に帰った。荷物は車に入れたまま、居間に入って横になった。それきり動けなくなった。

今、横になってから10時間が経過して、ようやく動けるようになって、これを書いている。今日は、動けない間に、読書が進んだ。





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世界の正しい歴史を知り、真実を読み解いて、世に蔓延るまやかしを一刀両断!
第一章 今日も朝日にウソが載る
第二章 世界に蔓延るデタラメの数々
第三章 非道国家はますます健在
第四章 歴史を知れば全てが分かる
第五章 困った隣人とどう向き合っていくか


徳川綱吉に四十七士の切腹を進言した荻生徂徠は牛込から品川に引っ越したとき、「徳の国に近づけた」と喜んだという。孫文にだまされ続けた宮崎滔天は、黄浦江をさかのぼってはじめて上海を見たとき、「涙が止まらなかった」と『三十三年之夢』にあるという。

孫文の趣味は女。これは本人が犬養毅に聞かれていったこと。広東蜂起に失敗して日本に逃げてきたときも、15歳の浅田春と14歳の大月薫に同時に手を出すロリコンぶり。世界を股にかけて革命を語り、金を出させて女と遊ぶロリコン詐欺師。

徳の国の刑罰は凄惨で、生きたまま生皮を剥ぐとか、三日かけて体中の肉を削ぐ凌遅の刑などというのがある。日清戦争においては、生け捕った日本兵の耳と鼻を削ぎ、目をえぐり、さらに性器を切り取って、それを口に押し込んで窒息死させた。海戦においては、停戦して幸福信号旗をあげ、日本艦が近づくと魚雷を発射して遁走した。

最近のことだが、尖閣で“中国”の漁船が巡視艦に体当たりして船長が拘束された。その直後に“中国”に進出していたフジタの社員4人が、スパイ容疑で拘束された。船長は19日間拘束されたが、フジタの社員も19日後に解き放たれた。

習近平は、「われわれの血に侵略のDNAはない」と公言しながら満州人、チベット人、ウイグル人を根絶やしにしようとしている。国際的批判に対しては「内政干渉だ」と開き直る。

本来、歴史的な“中国”とは万里の長城の内側を言う。時にその外に出るのは外から来た民族が建てた王朝だった。最後の王朝の清は万里の長城の内側を支配した満州人とモンゴル、チベット、ウイグル人の同盟国家であった。

アメリカ合衆国国務長官のスティムソンは清王朝の故地である満州を“中国”の領土であるとして、日本を“中国”に対する新薬社として悪役に仕立て上げ、“中国”を日本に対抗させた。蒋介石に武器と金をつぎ込んで日本にけしかけた。済南事件では16人の日本人が惨殺され、福州事件では教師夫婦が殺され、250人の日本人が無残な下をさらすことになる通州事件を経て、7万の蒋介石軍が日本租界に侵攻してくる第二次上海事変へと続いていく。

誠実を貫き通すことは悪いことではない。しかし、時にはそれにつけ込むことを狙っている輩がいる。それを承知で相手を利することはない。相手に隙を与えず、うまく立ち回ることだ。国際政治の真実を知れば、それがよく分かる。





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Author:イーグルス16

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前近代から近現代へと変貌し続ける世相の本質をつかみ生き方の支柱を示す。
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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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