めんどくせぇことばかり 本 その他

『美しき幻 遙かなる墓標のもとに』 森村誠一

ここで紹介すべきかどうか、とても迷いました。本屋で手にとって、裏表紙の要約を読んで、私は勘違いした。そこには、次のように書いてありました。
知られざる戦争の悲劇 終戦間近のアルプスでなにが !?
大学で旅行研究会に所属している三杉道久は、一年先輩でマドンナ的存在の新村桐子と二人きりで北アルプスを縦走する。桐子の祖父は戦争中、徴兵を忌避してアルプスの最奥地・雲ノ平で消息を絶ったという。数年後、急逝した桐子の遺言に自らの使命を見出した道久は再びアルプスへ・・・
作家・森村誠一が平和への祈りを込めて世に問う渾身の書き下ろし長編。
気になる「徴兵を忌避」という言葉もあるが・・・。書いたのが森村誠一とは言っても・・・。だって、・・・。そんなこと言ったって・・・。

・・・そこで気が付かなきゃダメだよね。でも、北アルプス雲ノ平を舞台にしていて、主役が「ふたたびアルプスへ・・・」なんて言われたら、・・・ねえ。読んじゃうよね。

森村さんの書いた『悪魔の飽食』は、単行本として出されたときに、すぐに読んだ。当時は、日本の戦争責任を告発するのがブームで、家永三郎、千田夏光、本多勝一、吉田清治、森村誠一、挙げ句の果ては『ゆきゆきて、神軍』なんてドキュメント映画まで作られた。


時期的には1970(昭和45)年前後からそういった動きが激しくなり、そこから20年~30年余りの間は、無人の野を行くがごとき有り様。逆に、“保守”というだけで、“軍国主義者”と決めつけられるようなご時世。

戦争に行ったのは大正生まれの人たちで、大正生まれの人たちの戦争と言っていい。昭和生まれでも、なかには志願していった人達もいるが、昭和3年生まれの私の父は、祖父の激しい反対にあって断念した。当時、17歳。森村さんは昭和8年生まれだから、当時、12歳。おそらく、この違いは限りなく大きい。少なくとも、戦争に行った大正生まれの人たちを、“軍奴”を切り捨てる傲慢さは、父にはなかった。


実業之日本社  ¥ 590

星座を見上げながら、桐子が、「私たちの星座を探しましょうよ」と言った
マドンナとの出逢い
流英の一夜
予期せぬ邂逅
「ただ一人の異性」の遺言
孤独の抵抗
元測量部隊隊員の証言
雲ノ平への道
山上の神域と人間の海の間
撃墜王と呼ばれた男
米軍兵士の述懐
北アルプスの新緑の森に


雲ノ平は好きです。夢のような場所だと思います。もう一度、行ってみたいところだな。そう思うのは、人があまり来ない静かな場所というイメージがあるからで、登山ブームでたくさんの人が訪れる雲ノ平なら、行かなくてもいいや。うちの近所に、一日歩いても誰にも合わないで住む山なら、まだまだある。

森村さんは山好きなんだろうけど、中でも北アルプス最深部の雲ノ平は汚れのないものの象徴。新村桐子もそう。汚れなき存在とそれに対する存在とをきれいに分けて、汚れなきものが汚れたものに勝利する物語。勧善懲悪を貫いた水戸黄門みたいなもの。

とても、政治色の濃厚な物語で、現政権への憎悪に満ちている。その憎悪を貫くためなら、無辜の先人たちへの呪詛をためらわない。

心身に不調を抱える時には読まれませんように。




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『竜宮城と七夕さま』 朝田次郎

JALグループの機内誌『SKY WARD』に掲載されたエッセイをまとめたものの模様。飛行機なんかめったに乗らないから、当然お目にかかったことはない。今までのエッセイ集の中にも、『SKY WARD』のものがあったんだろうな。

JALのHPから『SKY WARD』を調べてみたら、月間で出されているもののよう。しかも、今月号の編成が紹介されていて、バックナンバーの内容も調べられるようになっている。

コラムは、だれが書いたものかは明らかにされていない。ちなみに8月号のコラムは、《スポーツ聖地紀行》、《旅の風景を支える人》、《ご当地カレー進化論》の3本。どうも、浅田次郎さんが書いたのはどれかな。題名からすると、《ご当地カレー進化論》。之しかなさそうだな。

飛行機に乗るのは好きではない。旅なら、もっぱら自家用車か、電車・バス。自家用車の旅は、必要に迫られてのこと。私だってできれば電車・バスを使いたい。そんな旅のお供には、やっぱり本がいい。そんなときの本には“軽さ”が必要。

この間、山に行くのに電車・バスの旅をした。持って行ったのは、アーサー・C・クラークの『地球幼年期の終わり』。「SFならぴったり」と思ったんだけど、さすがは、アーサー・C・クラーク。SFとは言っても、内容は高度に哲学的。窓の外の雨の風景とともに、明日の運命に不安を感じさせられた。


小学館  ¥ 1,512

国内外での抱腹絶倒の出来事から身辺に起こる様々な出来事を描く傑作エッセイ集
唸る男水を飲む砂漠への帰還煩悩を去るヒマ
寿命の考察続-シロクマ奇譚宗旨変え続-宗旨変え布袋考
中華料理の歴史涼しかったあの頃GOOD LUCKハンパ者真夜中の対話
皇帝たちの温泉総統の抜け穴大雁塔とドラ焼き君は虚無僧を見たか鬼は外 福は内
「白」の時代ヴェルサイユの奇跡キムチ大好き竜宮城と七夕さま時間の暴力
北京秋天温泉礼賛トリュフの味誰だっけ加速する人生
高麗屋inラスベガス鬱と鬣习と丰学生街の喫茶店納豆礼賛
御幣担ぎ流れる獅子王○か×か初めてのキャッチボール


その点、この本なら間違いない。“軽さ”がいい。浅田さんのエッセイは、『SKY WARD』という機内誌の中で、“旅のお供”という意味合いでは、きわめて重要なポジションを占めているのだろう。“軽さ”こそが、重要なのだ。

“軽い”。たしかに“軽い”には“軽い”。その軽さが心地よい。だけど、本当にただ“軽い”だけのエッセイなら、おそらく誰も読まない。その中に、「たしかに」と、読者をうなずかせるもの一つや二つは織り込まなくてはね。400字詰め原稿用紙7~9枚のエッセイのなかで、結構、難しい作業だな。

この本の題名になっている『竜宮城と七夕さま』は、この本に掲載されている40のエッセイの中の一つ。この中で浅田さんは、もう一度、幼いころに聞いたおとぎ話を振り返っている。

竜宮城で浦島太郎をもてなした料理はなに?・・・そうだよね。目の前でタイやヒラメが躍ってくれてるのに、尾頭付きをつつくわけにはいかないよね。

織姫と彦星の年に一度の逢瀬が雨にたたられては可哀そう?・・・「だいたい一年も会えなかったら、男と女の中は続かない」っていうのは、浅田さんの実体験だそうだ。

《幼いころの知的体験は、知識というよりも、ほとんど肉体の一部となる/肉体の一部になったものだから忘れ去るということがない》・・・映画やテレビと違い“お話し”には具体的な強制力がなく、その分だけ自分勝手な思考や想像が可能だし、必要となる。

「大事なことだ」という自覚のもとに、孫に本を読んでやる。ところが孫が面白がる本と私が強制したい本が違う。「こっちの本の方が面白いんだ。この野郎」と言っても仕方がないので、孫の好みに従う。何度か読んでやってるうちに、孫が感じていた“おもしろさ”が見えてきたりする。この間、孫に読まされた、《村を救ったカエル》。最後は涙が流れた。

“軽い”ようで、“深い”? まあ、あまり気にせず、旅先につくまでの間、読んでみましょう。




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『地球幼年期の終わり』 アーサー・C・クラーク

SFは好き。だけど、アーサー・C・クラークはあまり読んでない。ほんの何冊かは読んでるはずなんだけど、あまり覚えてない。アーサー・C・クラークを読むには少し子ども過ぎたのかもしれない。

やっぱりこの本も、『2001年宇宙の旅』あたりと同じように、人類の“進化”であるとか、“使命”であるとかをテーマにしたスケールの大きいストーリー。テーマをそらすことのない展開が、私には少し息苦しい。人間がふざけているので、冗漫な流れのほうが、どうも私には合っている。

それにしても、この作品が、イギリスで出版されたのが1953年。日本で1964年。“SF小説史上の最高傑作”と言われているそうだけど、上で文句言っておいてなんだけど、“最高傑作”と言われるのもよくわかる。

だって、この本を読んでいて、「あれ、この展開は、あの本と同じだ」って、何回思ったことか。つまり、私がこれまで読んだ本の中で、強く印象に残っているものの中に、『地球幼年期の終わり』を元にして、あるいは刺激を受けて書かれたと思われる本がいくつもあった。

漫画も合わせてね。

『地球幼年期の終わり』    アーサー・C・クラーク

創元SF文庫  ¥ 864

優れた科学技術を備えた超知性体が人類に理想社会をもたらした。そして、その先に待つのは・・・
  • プロローグ
  • 第1部  「地球とオーバーロードたちと」
  • 第2部  「黄金時代」
  • 第3部  「最後の世代


最初に頭に浮かんだのは『デビルマン』。ちょっとネタバレして悪いけど、・・・いや、SF小説でネタバレはまずいね。やめとく。でも、ほら、・・・あそこにも“使命”が関与してくるじゃないですか。そして、その“使命”から外れて、人間の側に立って、デビルマンは戦うんだよね。

・・・この言い方なら問題ないな。でもね。私がここでデビルマンを持ち出した理由は、それだけじゃないんですよ。びっくりだよ。私なら、そこからもう一つ物語を作りたい。・・・ああ、言いたい。

おそらくは、『地球幼年期の終り』の強烈な影響のもとに書かれたんだろうと思われるのが、半村良の『妖星伝』。『妖星伝』は『地球幼年期の終わり』の半村良流の焼き直しと言ってもいいんじゃないかと思う。ずい分前に読んだんでうるおぼえではあるんだけど、とにかく面白かったからな。たしか、時間が意思を持ち始めたんだよね。つまり、終末に向かい急ぎ始めた。超知性体がそれを母星に伝えなければいけないんだけど、宇宙船が故障してしまう。その代わりに、超生命体となった人間の生命エネルギーを宇宙船とするために、超生命体は人間に使命をもたせた。

・・・何十年も前に読んだ本なのに、そこそこ覚えてるねえ。

『百億の昼と千億の夜』も、そう。もしかしたら、これが一番、強く影響を受けているかも知らない。超知性体のボイラーの中のできごとなんだよね。・・・すべてが・・・。

進化した新人類が、エスパーとしての能力を持つなんてのも、色々なバリエーションで物語化されているよね。

でも、本当は私の一番の興味は、この物語に書かれていない、悪魔の姿をしたものたちと人間の、過去の関わりの中にあるんだ。・・・でも、これは、言っちゃあいけないんだよね。




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『KZ'Deep File いつの日か伝説になる』 藤本ひとみ

あとから知ったんだけど、これは、『探偵チームKZ事件ノート』というシリーズの中の一つのお話。藤本ひとみさんは、この手のライトノベル系とも言えるお話も手がけているんですね。いやいや、大変面白く読ませてもらいました。あとにも書きましたけど、旅のお供にはちょうどいい本ですね。
古都、長岡京で開かれる旧財閥の懇親会。厳重な警戒の中、ナイフを持ち込む少年の目的は!?二つの蜂の巣、誘拐された幼女、からむ因縁の糸はどこに続くのか!? 真実を追う少年たちの夢と挫折、友情と葛藤を描く、書き下ろし長編。
これは、“売らんがため”の口上書きね。

でも、あんまりいい口上じゃないな。読んでみると、もっともっと面白いよ。なにしろ、私はこの本を買って後悔してたんだから。

・・・というのもね。私、通常、あんまり作者にこだわらないんです。誰が書いたかって、あまり気にしないの。もちろん読むたびに面白ければ、次第に名前も覚える。まあ、藤本ひとみさんじゃあ、“覚える”もへったくれもないんだけどね。だから、藤本さんの名前で買っちゃったのよ。内容をちっとも確認せずに。帰ってからペラペラめくったら、ちっともフランスじゃあないし、ちっとも歴史ものじゃあないし、・・・そういうことで、後悔したわけ。

じつはここのところ、仕事が忙しくてね。本を選ぶ暇がないもんだから、バタバタしながら本を買ってくる。ネットの場合もあるけどね。それこそ、はずれがあって当然くらいの状況だな。なんて、図に乗ってひっくり返ってペラペラめくっているうちに、・・・なんだよ、面白い。

まったく、私は恥ずかしい。こんな面白い本を読みそびれるところでした。たしかに、日ごろの自分の趣味・趣向とはだいぶ違うんだけど、そんなこととは関係なく面白い。

旅の電車の中で外の景色を見るのに疲れたときに、こんな本がお供なら、いい旅になるだろうな。


講談社  ¥ 1,512

若者たちが持つ快活さと真摯さ、繊細さ。いつの間にか消えていき、二度と戻ってこないもの
序章
第1章  呪いの都
第2章  ゲノム編集
第3章  我がKのために
第4章  奇妙な祠
第5章  因縁の糸
第6章  時を超える闇
終章


四人の中学生を主人公にした話。保険金一家殺害事件がどうの、ゲノム編集によるデザイナーベイビーがどうのって話が絡まって進んでいく話。縦糸には、第二次世界大戦末期、配線が色濃くなる中、政商として成り上がった財閥創業家が軍から委託された裏の仕事と、終戦後の混乱の中で発生した二人の人物の失踪事件が編み込まれている。

散漫になるかと思われるほど色々な糸が使われていることに不安を覚えながら中盤までを読むことになるが、終盤に向かって、それが一つの意味を持たされていく様子が心地良い。

その糸の一つに、石綿、アスベストの製造と、その被害の話がある。この折り込み方が非常に巧妙で、その始まりは、なんと・・・。ちょっと、これは、これから読む人のためにやめておこう。

子供の頃、父の会社が石綿を作っていた。父は休みの日でも会社に行って仕事をすることがよくあった。その仕事が簡単に終わりそうな時は、自転車の荷台に私を乗せて連れて行くことがよくあり、仕事をこなす間、私を工場の中で遊ばせておいた。なんだかわからないけど、休みの日の工場にも人がいて、なんだかんだと珍しいものをでしてきて遊んでくれた。木くずだとか、鉄くずだとかね。

その工場の隅っこには、いつもふわふわした綿くずのようなものが、けっこううず高く積もっていたような記憶がある。あれは何だったんだろうか。

父が死んだあと。同じ時期に同じ工場で働いていた方が仏壇に手を合わせに来てくれた。その方は会社から依頼を受けて、石綿を製造していた時期に努めていた人に連絡を取って、アスベストの外を説明し、医者に掛かることを勧めて回っていた。

いずれにせよ。私は1960年生まれ。いろいろな意味合いで、日本は“混沌”の中から立ち上がってきたんだ。

そうそう、この本にはもう一つ、“早良親王の怨霊”というすごい糸が使われていることをお伝えして、終わります。




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『ファイト』 佐藤賢一

なんだー。なんだ、なんだ???

佐藤賢一さんの本らしく、いつもながらの“語り言葉”で話が進んでいくけど、これはまだ、カシアス・クレイと呼ばれていた頃のモハメド・アリだろ。・・・なんて思ってるうちに、おいおい、試合が始まっちゃったよ。「うっ、もらった」って、パンチの一発一発まで、この“語り言葉”で、モハメド・アリの語りの中で進められていくのか。・・・なんなんだ、この本。

なんだよ。まったく。・・・ボクシングってのは、痛いスポーツだな。

最初の私の意識の中に現れる彼は、カシアス・クレイだった。でも、この本の中で彼が語る通り、最初のタイトルマッチでソニー・リストンに勝った翌日に、彼はイスラム教徒であることを発表した。さらに一週間後には、エライジャ・モハメドから与えられた《モハメド・アリ》に名を変えた。この試合が1964年だから、いくらボクシング好きとはいえ、1960年生まれの私の意識に、カシアス・クレイの名があるはずがない。

おそらく、同居していた叔父に、あとから吹き込まれた記憶だろう。どうやら、「カシアス・クレイの方がかっこいいのに・・・」という思いと一緒に吹き込まれたものらしい。

叔父たちの影響で、ボクシング大好き少年に育った私だけど、対戦相手に罵声を浴びせるあの姿勢、蝶のように舞い、蜂のように刺したそのあとで、勝ち誇るあの態度、どうしても好きになれなかった。私がモハメド・アリを好意的に受け止めることができるようになったのは、ラリー・ホームズとの戦いからだな。そう、ぶざまなモハメド・アリだった。


『ファイト』    佐藤賢一

中央公論新社  ¥ 1,836

ヘビー級王者、人種差別、戦争、老い…。全ての闘いでベストを尽くした不屈の男・モハメド・アリ。
第一試合 対ソニー・リストン
第ニ試合 対ジョー・フレージャー
第三試合 対ジョージ・フォアマン
第四試合 対ラリー・ホームズ

そして、アトランタ・オリンピックの開会式。聖火台に成果を点火する大役を担って現れたのが、パーキンソン氏病と戦うモハメド・アリだった。

母は、パーキンソン氏病で、けっこう若いころに発病したらしい。薬が合ったのか、症状はそんなに進んでいたようには思わない。母の兄も、私が赤ん坊の頃に、足の異常を発見してくれた伯父もパーキンソン病で、最後は症状が進んで死んだ。パーキンソン病は、その症状以上に、若い頃から母を苦しめた。

母は、症状が進む前に、ガンで死んだ。私が36の年だ。ちょうど、アトランタ・オリンピックの年だった。最初は、6月に脳溢血で倒れた。その時点で半分くらいあきらめたのに、7月に入って奇跡の超回復。リハビリもはじめ、やれやれと思ったのもつかの間、胃がんの末期、一ヶ月も持たないと宣告された。

オリンピックの頃は自宅に帰り、私は18歳まで母に育てられた家で、母と最後の時を過ごした。母は、病気を姑からなじられたことがあり、病院に行くのさえ嫌がった。その間にガンが進行したのだろう。最初の脳溢血も、原因は胃ガンだろう。

モハメド・アリの姿は、二人の兄たちと一緒に見た。皆、無言で見た。

母が死んだのは、オリンピックが終わってしばらくした、残暑の厳しい日だった。




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『和僑』 楡周平

兄が家を継ぐことに何の疑いもなかったから、私が家を出ることにも、何の疑いもなかった。兄は、私が中学生の時に、東北の大学に入学して、家を出た。もちろん、いつか帰ってくる前提で。その下の兄も家を出たあと、両親、祖父母との生活が苦痛で、高校を卒業すると同時に、前のめりになって家を出た。それ以来、家は帰省先になり、祖父母と両親が死んだ今、そこは兄の家になった。珍しくもなんともない話だけどね。

父には弟が三人いて、下の二人は故郷の秩父を出ている。もう、父の世代から、秩父に仕事はなかった。農地解放でボロボロにされ、畑も満足にない家なので、惣領以外は、自然と目が外に向く。

本書の中で、故郷を捨て、アメリカに渡り和僑となった時田さんの立場はよくわかる。ただ、親は、家を出る次男、三男のことを憂慮していたし、長男はそんな両親の思いを汲んでくれていたので、私は故郷と縁を切らずに済んだ。

いま、観光シーズンになると、秩父という名をよく聞く。そのたびに誇らしい思いとともに、なんだか複雑な感情が入り混じる。「もう、そろそろだろう」っていうところかな。兄の代になり、孫もできた今、自分の方から疎遠を旨として行動している。もう、60をまじかにしている私が秩父に暮らしたのは、18まででしかないんだから。今更、故郷を笠に着るのも、うすらみっともなく感じる。

巨人の星の明子姉ちゃんみたいに、電柱の影から見守ってね。訪れるなら、一人の旅人として、思いは秘めるというのが、適当でしょう。

まあ、できることなら、本書の時田さんのように、地元に貢献できる道があるなら、そんなにうれしいことはないでしょうけどね。


『和僑』    楡周平

祥伝社  ¥ 1,728

メイド・イン・ジャパン“ローカル”を引っ提げて、出るぜ、世界へ!示せ日本の底力
「老人を集めて、豊かな老後と、地方再生を」 逆転の発想で大反響を呼んだ『プラチナタウン』刊行から7年。その構想は現実に国が掲げる地方創世の切り札となった。そしていま、この物語はネクストビジョンを示す。

TPPで打撃を受けることが予想される、農林畜産業。減少を続ける人口。増える老人。そして、いつか減る老人。地方には仕事がない。若者は故郷を出て行かざるを得ない。

今の日本が、実際に抱えている様々な問題を、丁寧に描いて、とても上手に問題提起している。それが描かれる前半部分は、読んでいても、重いものを突き付けられている感覚がある。それとともに、主人公の山崎市長が、それにどう対峙するのかと、期待が高まる。

その解決策を模索していく後半の展開は、速度感もあって、心地いい。一次産業を立て直すことが、日本再生につながるという筋立ても面白い。

“日本のあたりまえ”が、海外では“売り物”になるといった展開だけなら、ただの“クールジャパン”で終わる。そこを、“和僑”とつなげることで、展開をダイナミックにしている。

「都合のよすぎる話の展開」というなかれ。実際の人生も、けっこう都合よくできていることもある。

ただのお話しと捉えてもいいが、きっと本気で考えているやつもいる。平成27年の本だから、読んだ人も多いでしょうが、もしまだだったら、おすすめです。




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『アメリカ第二次南北戦争』 佐藤賢一

REUTERS 2017/05/02
トランプ大統領「ジャクソン大統領なら南北戦争回避できた」
http://jp.reuters.com/article/jackson-idJPKBN17Y0A6
(抜粋)
トランプ米大統領は、アンドリュー・ジャクソン大統領の任期(1829─1837年)がもう少し後だったら、南北戦争は回避されたかもしれないと発言した。また、南北戦争がなぜ起きてしまったのかと述べた。1日放送された米衛星ラジオのシリウスXMラジオとのインタビューで語った。

奴隷所有者で、アメリカ・インディアンを米南東部から強制移住させたことでも知られるジャクソン大統領は、南北戦争開始の16年近く前に死去している。

しかしトランプ大統領は、ジャクソン大統領は「南北戦争に関して起きたことに非常に怒っていた」と語った。「彼は『理由がない』と述べた。人々は南北戦争を理解していない。何故だ、という問いを持たない。なぜ南北戦争が起きたのか、なぜそれが解決できなかったのか」と述べた。

この放送後、トランプ大統領はツイッター上で、ジャクソン大統領が南北戦争の16年前に死去したことは知っているが、彼は「それが起きると予想して怒っていた。2度と起こしてなならない!」と述べた。

1861─65年に起きた南北戦争を、ジャクソン大統領が回避できたとトランプ大統領が考える根拠は明らかではない。

南北戦争については広範な研究が行われ、「奴隷制」が根本原因のひとつと考えられている。

「びっくりしたな~、もおう」・・・三波伸介風に・・・。いえいえ、トランプ大統領の些細な間違いにではありませんよ。その些細な間違いを指摘して、「奴隷制」を“根本原因”と言ってはばからない人たちに。

そんな人たちに読んでもらうなら、・・・やっぱりこの本かなぁ。

光文社  ¥ 時価

2006年に出た本 直木賞作家が鋭い批判眼と歴史観を以て描いたアメリカの本質

奴隷制を基礎としてプランテーションを経営する南部の悪い奴らを、北部の奴隷制に反対する人たちが成敗したわけか? それが第一に原因ではないとしても、原因の一端となっていると、それがアメリカの常識と、そう言っているわけか。

あの戦争の前は、アメリカってのは現在のEUみたいなもので、統一度の高い、・・・少なくとも集権国家ではなかった。ただ、覇権国家イギリスの工業力に張り合おうとしていた北部諸州は、それを目指していた。イギリス工業に原料の綿花を提供していた南部諸州は、ワシントン以来の、統一度の低い連合体に満足していた。野心を持って、南部諸州に変化を求めたのは北部諸州である。

北部諸州の利益を代表するエイブラハム・リンカーンが大統領選に勝ったことで、南部諸州は合衆国からの離脱を選択する。たしかに、奴隷制は問題化されていたが、それ自体は国を割るような問題ではない。事実、アメリカは、ラテン系ヨーロッパ人、スラブ系ヨーロッパ人、アイルランド人と、移民後発ヨーロッパ人の低賃金労働が工業の発達を支えた。とどめは、シナ人の苦力だ。あれは、準奴隷労働だろ。南京条約のあと、まもなく苦力狩りが始まるから、北部諸州が奴隷制を“道徳的誤り”として、南部人の人間性を攻撃し始める頃には、もう、新たな奴隷は準備されていた。だから、戦争なんかするまでもなく、南北が折り合いを付けることは、さほど難しいことじゃなかったはずだ。

「なぜ止められなかったのか」と疑問を呈したトランプ大統領の発言が、そのことを指しているなら、彼は全く正しい。60万を超える死者を出す戦争だ。白人同志がそれだけ殺し合う理由として、奴隷制ってのはねぇ。ありえないよ。

アメリカは、この南北戦争を、《American Civil War》って、呼んでるよね。アメリカの人の悪さがよくわかるネーミングだな。

分離を図った南部諸州、いや、アメリカ連合国を破ったアメリカ合衆国は、連合国を絞り上げて、90年代の工業の大発展期を迎える。米による日本占領のモデルケースは、南部占領だった。




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『鴨川食堂 おまかせ』 柏井壽

ちっとも順番に読んでないけど、これが最新作の第四弾。第二弾と第四弾を読んだんだな。今のところ・・・。じゃあ、このあとは、第三弾、第一弾って感じかな。・・・まったく順序に意味は無いけどさ。

人情を語るのに、やはり、料理はいい材料になるね。やはり、第二弾を読んだときと同じように、いずれの話も、自分に置き換えてしまって、ただただ、切ない。料理は、思う人に食べさせるものだからね。だから、食べ物のことを語ることそのものが、お話になるんだね。

そこに交錯する思いは千差万別で、おそらく人の数だけ物語はある。ただ、普通、人はそれを胸に秘める。秘められたものだからこそ、力を持つ。口に出しちゃあ、いけないんだ。口にした途端、その力は失われちゃうからね。ただ、何年も、何年も経って、かつてそこにあったさまざまな関係性や、強すぎた思いや、そういった色々なものが解きほぐされて、新たな装いに移り変わったとしたら・・・。秘められた思いは、明かされることで、大きな力になりうる。

秘められた思いは、物語として大きな力を持った時、人の生死を止揚する。


小学館文庫  ¥ 616

憶い出の食を捜していただけなかったら、私はずっと過去ばかりを追いかけてしまっていたと思います
第一話  味噌汁
第二話  おにぎり
第三話  豚の生姜焼き
第四話  冷やし中華
第五話  から揚げ
第六話  マカロニグラタン

夢をあきらめて故郷に帰るか、それとも挑戦を続けるか。憶い出の味噌汁を味わって、それを決めようとする、18で故郷をあとにしたきりの司法浪人。

「4年待って欲しい」と、一流になることを目指して、料理の道に邁進した恋人。その4年目の今年、別れの日に彼が食べさせてくれたおにぎりを依頼。そして、この4年間に決着をつけ用とする女。

別れた女が作ってくれた豚の生姜焼き。自分は、あの女にとって特別だと思いたい男。

冷やし中華。なぜ私は、あの冷やし中華を食べたいのか。それがわからない女。

そのから揚げを食わせてくれた男は、自分の過ちを恥じつつも、まっとうに生きる人だった。若者は、その思いをしっかり受け止められるのか。

自分の浮気がもとで、我が子と別れた女。別れる日、女は、自らの思いをマカロニグラタンに託した。それを、美味しく食べた子は、今。
取材だけでも、本当に大変だと思うんだけど、ぜひ、頑張ってほしいなあ。もっと読みたいよ。私、心の底から思ってるんです。強い人って、物語を持っている。たくさんの物語を持っている。本を読むって、疑似体験だけど、読むほど人は強くなれる。さまざまなパターンの悲しさや切なさを、読むことで体験して、心が鍛えられる。もしそれを、自分のものとして考えられるならね。

「旨さを感じ取ったんは舌でもなければ胃袋でもない。心なんですわ」・・・これ、《第五話 から揚げ》に出てくる、流れのセリフです。
GWには、滋賀県で働いている息子が帰ってくるし、娘家族もやってくる。息子や娘も、何かしら、思い出の味って持ってるのかな。まあ、せいぜいうまいものでも食わせてやろう。さて、包丁でも研ぎますか。・・・今、夜中の12時だけど・・・。



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『果てしなき追跡』 逢坂剛

逢坂剛の《イベリアシリーズ》をワクワクしながら読んでいた。1999年に始まったシリーズで、完結の第7巻が2013年。間があくので、本屋に行くたびに確認した。新しいのを見つけた時の、あの気持が懐かしい。あの時は、《第二次大戦中のスペイン》という特定の舞台があって、そのなかで架空の人物、北都昭平を活躍させた。

今度は、ちょっと様子が違う。主人公は、“函館で死んでなかった”土方歳三だ。・・・そうか、“函館で死んでなかった”という時点で、この土方歳三も、架空の人物であることには違いないか。

函館で負傷した土方歳三は、気を失ったままで、沖合に停泊中のアメリカ船に運ばれ、アメリカに渡ることになる。本人の意志も何も関係ない。なにしろ、アメリカ船のなかで目を覚ました土方は、記憶を失ったいたのだから。

その土方の面倒を見るのが、同郷の娘、時枝ゆら。しかし、二人は、船を降りるやいなや、密入国者として追われる身となる。右も左も分からないアメリカで、たちまち追われる身となる二人。追うのは、初対面の土方に目を潰された因縁を保つシェリフ、マット・ティルマン。

舞台は、アメリカ西部。登場するのは、船乗り、カウボーイ、インディアン、KKKから派生したQQQ、それを追う国境警備隊。逢坂剛ならでは、と言った感じだな。「面白くないはずがない」という意味です。



中央公論新社  ¥ 2,052

函館で死んだのは、土方歳三ではなかった。本物の土方は、沖で停泊中のアメリカ船に担ぎ込まれた


土方は、案内役のピンキーをさらったQQQの行方を追う。その土方を、シェリフのティルマンが追う。ティルマンの行先に土方が居るはずと、別れ別れになってしまったゆらが追う。ゆらが追ってくることを承知して、ティルマンが由良に罠を張る。

題名は『果てしなき追跡』。たしかに果てしない。追い、そして、逃げる彼らがさまようのは、アメリカ西部の大地。そう、まだこの国が一つの国家になって間もないころの話。この国が一つになった南北戦争の傷跡が、あちらこちらに残る時代。

この時代に、インディアンは消されていき、黒人は“解放”という名のもとに放置されていく。それでも、トムソーヤや、ハックルベリー・フィンが走り回るには、少し時間がかかる頃。

そんなアメリカに、日本は関わりを持っていくんだよね。さまざまな追跡のはてに、すべての解決が最後に描かれる。しかし、それは、予想したものとちょっと違うようだ。んんん?・・・そこで終わっちゃったんですよ。続きは次巻ということ。また、本屋でため息をつく日々が始まる。
幕末維新の頃、アメリカに渡ってカウボーイと関わった話が、昔あった。三船敏郎と、チャールズ・ブロンソンと、アラン・ドロンの共演というスゲー映画だった。『レッド・サン』だったかな。秩父の革新館っていう革新的な名前の映画館で見たぞ。



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『鴨川食堂 おかわり』 柏井壽

NHKのドラマで見ました。面白かったです。ショーケンが食堂の主、流役をやってました。まだまだ元気で、とても嬉しかったです。・・・で、「いまさら、なんでこの本?」と思われるでしょうが、特別わけはありません。ちょっと、気持ちが疲れていたんでしょう。人情の世界に触れてみたかったんです。

ドラマを見たのも、たまたまのことなんですが、この本を読んだら、ドラマの元になったお話がここにありました。内容は、下の目次に示した6編なんですが、冗漫になることを避け、脂身を削ぎ落として、淡白な味に仕上がってますね。その点は、ドラマ以上と言っていいでしょう。

他の本と一緒に積んでおきましたが、先程言ったとおり、世界情勢の本とか読んでたら、ちょっと気持ちが滅入って、この本を取ってペラペラめくってたら、1日、他の本に戻ることができなくなりました。日曜のお休み。孫が遊びに来ていましたが、テレビに釘付けになっている間、お昼寝の間に読みました。とてもいい休日を過ごすことができたような、ありがたい本でした。



小学館文庫  ¥ 616

お気持ちに見おうた分を、こちらに振り込んでもらえますか

第一話  海苔弁
第二話  ハンバーグ
第三話  クリスマスケーキ
第四話  焼飯
第五話  中華そば
第六話  天丼


《食を探す》、そうこの本では言っているけど、《思い出の味を再現する》っていうことですよね。鴨川食堂の主人である鴨川流は、料理人としての力量と、かつての職業である刑事としての犯罪捜査の経験、何より持ち前の人間味で依頼人の期待以上の料理を提供する。

“いついつ、どこどこの店で食べた”という話であれば、依頼人本人がそこへ行けばいい。“すでに店を閉じてしまっている”って言う時に、はじめて元犯罪捜査員の腕が意味を持つことになる。とは言え、これってかなり難しい捜査だよね。本当に見つけられるだろうか。さらに、“昔、死んだ母が作ってくれた”ってレベルの話になるとね。・・・そんなこと、考える必要ないか。ただただ、人情話に心を潤すことができればね。

幼いころの思い出の味の多くは、試行錯誤しながら、自分で再現した。って言ったって、土台が大した料理じゃない。ポテト、きゅうりもみ、ねぎみそ、たらし焼き、しゃくし菜炒め。素材+一手間だけだな。そういうの作って、しんみりしながら一杯やるのっていいよね。そういや最近、やってないな。ここ数年、心の余裕をなくしてたかな。

ただねぇ。本当に切なくなるほど再現したい味って、それとはまた違うんだよね。「野球の試合の日、ニワトリ小屋の前で、祖母に飲ませてもらった産みたて生卵」とか、「日曜日の昼に、母親が作って、家族みんなで食べたカレー」とか、「大学受験前日の夜に、井の頭公園に下宿してた兄貴が食わしてくれたとんかつ屋のとんかつ定食」とかって、その状況自体が“味”なんだよね。

その状況は、二度と再現することはできない。だから、切なくて涙が出る。

鴨川流は、それをやるわけだよね。そうそう、で、その味が、食べた依頼人に、実は本人でさえ忘れていたその時の状況を思い出させるわけだ。その時、依頼人が感じる切なさは、それは絶対に取り戻せないってことを思い知らされるから。・・・でも、だからこそ、人生は素晴らしい。

その仕事に応えようとする依頼人に流れが放つセリフが、「お気持ちに見おうた分を、こちらに振り込んでもらえますか」ということになる。そこまで言っちゃあ、カッコつけ過ぎってもんでしょう。




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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本












































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