めんどくせぇことばかり 本 小説
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『タングル』 真山仁

シンガポールを舞台に描く熱き人間ドラマ

追い詰められたニッポンは再びライジング・サンとなれるのか?

地球温暖化を防ぎ、世界を変える可能性を持つ光量子コンピューター開発の第一人者である東都大学早乙女教授は、開発に前向きでない日本を見限りシンガポールの地で研究を進めていた。

モノ作り大国だった頃の天才的な技術者を募り、シンガポールの若者達を教育しながら前進する早乙女研究所。実現化が見えてきた時に利権を狙う大国たちが介入しようとしてきて……。

そんな中、ニューヨークのファンドから、あの男が早乙女教授の前に姿を現した……。

インドネシア・ジャカルタにスマトラ・ハイダム事業が進めば、発電所ができ、道路や橋が整備され、産業基盤が誕生して地域を潤す。総合商社の突撃隊長の役を果たす望月嘉彦は、寝食を忘れて働いていた。しかし、インドネシアの政局に巻き込まれて罪を着せられ、地元社員の相棒は謎の死を遂げる。

そんな衝撃的な出来事で、この話は始まる。

14年後、望月は商社を早期退職し、新設の大学で教鞭を執っていた。そこへ、シンガポールで始まるという、光量子コンピューター開発に関わる巨大プロジェクトが持ち込まれる。「お前ならまとめられる」と話を持ち込んだのは、“あの時”望月を助けた“日本の黒幕”ともいえる人物、天童だった。

金はシンガポールが出す。成果は日本がいただく。天童はそう言う。


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『タングル』    真山仁

小学館  ¥ 1,740

英雄というのは、自分に出来ることをする人だ 「ジャン・クリストフ」
プロローグ
第一章 ライジング・サン
第二章 ライオン・シティ
第三章 米中旋風
第四章 夢の島
第五章 グッドジョブ
第六章 衝突
第七章 激震
第八章 希望の価値
エピローグ
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光量子コンピューターなんて、私にはわけが分からない。実用されれば、暗号解読対策などのセキュリティ分野、最適化問題の解決、新薬の開発など、さまざまな世界で画期的な進歩が望めるらしい。実際、東大工学部の古澤明教授が研究を進めていて、著者の真山さんも光量子コンピューターを見学させてもらったという。日本が研究をリードしているというのも、この本の設定と同じらしい。

このお話では、光量子コンピューターの開発をめぐる国同士の思惑がぶつかり合って、なかなか難しそうな展開になっていく。それでも物語が暗さにとらわれず、テンポ良く進むように感じるのは、画期的な技術開発の先に、明るい将来を感じられるからだろう。

その“難しそうな展開”の中、かつて望月があらぬ罪を着せられたように、研究者の小森大がシンガポール当局によって拘束される。海外で理由も分からず拘束されるという緊迫感が、冒頭と終盤で物語を引き締めている。

小森大の動静が、つじつまを合わせるために作られているような感じもするが、ただの便利屋さんではない。最後に、話をまとめる重要な役割も、彼が任されることになる。

物語は、戦争中の日本とシンガポールの関係にも触れている。一般には、シンガポール華僑粛正事件と言われるものだ。これを日本による虐殺として取り上げている。

日本がマレーに上陸する以前、マレーには350万人の華僑がいて、英国人の手先としてマレー人をゴム園で働かせ、彼らにアヘンを売って財を成していた。日本軍侵攻に伴い、マレー人は親日、華僑は反日に傾いていった。ごく自然な流れである。マラヤ司令部司令官のパーシバルはチャンギー刑務所の華人犯罪者に部隊を編成させた。華人部隊は中共系1500、国民党系1500が登録された。この部隊は、正規の軍装のないゲリラ兵団として日本軍を悩ませた。

昭和17年2月13日、シンガポールに日本軍が上陸すると、パーシバルはこの国際法違反部隊を解散した。15日の降伏の2日前、華人ゲリラ部隊の大半は、武器を持ったままシンガポールの街中に散っていった。日本軍は銃創の有無などを根拠に処分を進めたが、処分者の総数は、把握された華人部隊の4分の1にもならなかった。

1965年8月9日のシンガポール独立を、「マレーシアから無理やり切り離されるように建国したシンガポールは、臥薪嘗胆を余儀なくされた」とシンガポールの女性が語る場面がある。シンガポールが可哀想に見えてしまう。だけど、英領マラヤ時代の華僑の振る舞いに、マレー人はうんざりしていたのだろう


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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

『カレーライスと餃子ライス』 片岡義男

〈今日の夕食は何にしようかなと思案しながら、夕暮れの靖国通りをひとり歩く幸せ。〉

幸福な食事はどこにある?神保町、下北沢、京都……専用スプーンを胸にひそませ、今日も続くカレー漂流。
そして青春の食事には、餃子ライスが必要だ。はたしてそんな食事は見つかったか。

記憶と幻想で紡がれる物語。
一枚の写真が頭に浮かぶ。

河原で私がカレーを食べている。荒川の上流だから、石が大きい。その中の一つに座って、私はカレーを食べている。周囲には、近所の子どもたちが一緒だ。女の子もいる。みんなそれぞれ大きな石に座って、カレーを食べている。

その奥には、子どもたちの母親がいる。私の母もいる。木漏れ日が注ぐ夏の河原で、首にタオルを掛けた母は、低学年の小さな子どもが差し出した皿に、カレーをかけている。隣では、裏のおばさんが、皿にご飯をよそっている。

小学校の頃、子ども会で浦山川のキャンプ場にキャンプに行ったときの写真だ。写真は白黒で、私はガリガリの瘠せっぽっち。食べても食べて瘠せっぽっちの子どもだった。

カレーを食べたあとは、スイカ割りをしようと、おじさんたちが言っていた。その前に、もう一杯おかわりをしようと、私は急いで一杯目のカレーを食べている。

そんな写真が頭に浮かぶ。でも、その写真は、私のアルバムにはない。まわりに白い縁取りのある白黒写真で、ハッキリと覚えているのに、なぜかアルバムに、その写真はない。


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晶文社  ¥ 1,870

カレーを主題に下短いエッセー集。それにしても、50も書くか?
1 カレーライスは漂流する
2 餃子ライスはひとりで食べる夕食の幸せ
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エッセーの連載を頼まれ、その打ち合わせ、に向かう各駅停車の中で、主題はカレーライスしかないだろう、と思ったんだそうだ。“週一、千四百字で二十五回”の連載を、カレーを主題に書くって、普通、思えるだろうか。しかも、それはまもなく延長されて、五十回に伸びている。

そう思って、自分のカレーの記憶を辿ってみる。・・・たしかに、意外といけるかもしれないと思った。

なにしろ、男の子には、“母親の黄色いカレーライス”がある。“母親の黄色いカレーライス”だけで、かなりの数、書ける気がする。

うちの「今日はカレーだよ」は、なぜか日曜日のお昼だった。なぜか母は、日曜日のお昼には、力を入れていた。その1つがカレーだった。あれは、家に帰ることを忘れて遊びほうける子どもたちを餌で釣っていたと、後から分かった。

高校1年の夏、山岳部で行った初めての夏山合宿で、私は5泊6日で北アルプスを縦走した。バテバテになりながら、予定されたすべての行程を、人に頼らず、時には頼られて歩き切った。一週間ぶりで家に帰ると、その晩、珍しく、母は夕飯にカレーを出してくれた。一週間ぶりに風呂に入って、たくさんカレーを食べて寝た。その晩、私は布団の中で、カレーを吐いた。大好きなカレーを受け付けないほど、私は疲れ切っていた。

《涙も一緒にスプーンで食べた》を読んで、ついつい泣いてしまった。男なら誰だって、涙を流しながら何かを食べたことがあるからな。私の場合はカツ丼だった。泣きながらカツ丼をかき込んだ。

“餃子ライス”を主題にしても、たしかに書ける。学生時代、お金のあるときは、武蔵境駅前の中華屋で、ラーメンと餃子ライスを頼んだ。風邪をひきそうな時は、野菜スープと餃子ライスにした。

だけど、涙を流しながら食べるには、餃子は合わない。餃子だけではなく、中華はどうも合わないような気がする。


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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『師匠』 立川志らく

《師匠・談志への熱き想いが胸に迫る人気落語家の自伝的エッセイ》

全編を通じて、落語を聞いているかのような、そんな一冊。

円楽が倒れたとき、立川志らくが助っ人で笑点に出た。あの時は会場が色めき立っていた。私も茶の間で色めき立った。色めき立ったといっても、奥さんに襲いかかったわけではない。笑点の雰囲気からは一番遠いところにいるかと思われた男が、多少緊張した面持ちで上手から現れ、円楽の席に着いたのに驚いた。

そして、なんだか、「いいなあ」って思った。

天才にして革命家、そして私の師匠──立川談志。

世間からのイメージは破天荒で、毒舌家で、タレント議員の走り。ただ落語中興の祖として実力は折り紙付きで、圧倒的な存在感を誇った落語家だ。

そんな談志に、大学在学中に弟子入りした立川志らく。まさに「前座修業とは矛盾に耐えることだ」と言わんばかりの理不尽な試練に耐える下積み修業時代。そして、芸道に邁進し、二つ目、真打ちへと昇進していく日々には、師匠への尽きせぬ憧憬の念と、親子関係をも凌駕する師匠から弟子への愛に溢れていた。

しかし、そんな関係も永遠には続かない。

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『師匠』    立川志らく

集英社  ¥ 1,870

立川談志という落語家が、大嫌いだった。
第一章
第二章
第三章
第四章
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子どもの頃、祖父母と一緒に演芸番組をよく見ていた。そのせいか、落語は大好き。落語は好きだけど、一人一人の落語家に、なんのこだわりもない。落語を聞いているその時間、面白い思いが出来ればそれでいい。

以前は寄席によく通った。山の帰りに新宿に着くと、ザックをかついだまま寄席に入った。ザックを通路においても、邪魔にする人なんかいない。それくらい寄席は空いていた。久しぶりに、大学生になった娘を連れて寄席に行ったら、空いている席がいくつもないのを見て驚いた。落語ブームなんだという。それ以来、寄席にはまったく足を運んでいない。

顔と名前が一致するのは笑点に出ている人と、以前から演芸番組によく出ている人、とにかくテレビに出ている人で、志らくのこともなんとなく知っていた。

2011年11月21日、談志は享年75歳、喉頭癌で逝去。

伝統芸能の世界において師弟の別れはない。肉体は消えても、その精神や芸は弟子たちの体に宿り、次代へと伝わっていく。志らくのなかに談志はまだ生きているのだ。

談志のことを何にも知らない志らくの弟子たちは、志らくを通して談志を見ているんだって。

なんだよ、志らく。いやな奴かと思ったら、すっげえいい奴じゃん。このやろう!


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テーマ : 読んだ本
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『流浪の月』 凪良ゆう

2020年本屋大賞受賞 第41回(2020年)吉川英治文学新人賞候補作

せっかくの善意をわたしは捨てていく。そんなものでは、わたしはかけらも救われない。愛ではない。けれどそばにいたい。

新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。

あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人間を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。

いつもながら、ほぼ先入観なく本を選んでいる。一度読んだくらいでは、作家さんの名前は頭に入らない。30代から50代にかけて、人生の表半分を投げていた時期があって、小説を読む気にもなれなかった。だから、今時の、人気の作家さんも知らない。司馬遼太郎時代で止まってしまっていた。・・・どうだ、まいったか。

50代後半から自分を取り戻して、小説を読むようになった。読んでいるうちに、「この人の本は肌が合う」という作家さんに出会う。しかし、やたらに追いかけない。全部読んじゃうと困るから。ちょっとずつ追いかける。

この本の作家さんも知らない。映画にもなったそうだけど、それは読んだあとで知った。だいたい読み始めは、「何だか変なはなしだな」って思っていた。「面白くないな」と思ったら、すぐ読むのをやめる。この本も、その寸前までいった。「やめちゃおうかな」という思いが、頭の片隅をよぎった。

なのに、・・・そのしばらくあとには、引き込まれていた。


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『流浪の月』    凪良ゆう

創元文芸文庫  ¥ 814

映画「流浪の月」原作 2022年5月13日全国ロードショー 広瀬すず 松坂桃李
一章 少女のはなし
二章 彼女のはなし Ⅰ
三章 彼女のはなし Ⅱ
四章 彼のはなし Ⅰ
五章 彼女のはなし Ⅲ
終章 彼のはなし Ⅱ
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不思議な話だった。

身勝手な親に捨てられた少女と、第二次性徴期のホルモン分泌異常を原因として世の中の成り行きに取り残されてしまった青年を組み合わせて、今の日本社会に対して新しい“生き方”を提示してしまった。

長く高校の教員をしていたのだが、教員からしてみると、横並びを強く意識しているのは生徒の方だ。前に立って話をするとき、いつも「横を見るな」と生徒に話した。「横にいる奴は、やがていなくなる。」だから、一人で決めろ、「孤立しろ」と話した。

そう話をすると、生徒は「そんなこと言ってもなあ」と、また横をむく。

家族という枠を外せば、人間なんて、結構もろい。ところが、この枠を外すことが良いことだという風潮がある。おかしなことだ。昔は枠の内部に押し込められた未熟者が騒いでいるだけだったが、最近は外側の大人が、悪意を持って、枠を外すことを主張している。

枠を外された未熟者が町にあふれて、傷をなめ合って、これが新しい生き方とうそぶく。なんとも愚かしい日常の光景。気持ちが悪くなる。傍目には、生きようとしているどころか、生きているようにすら見えない。

そんな中でなんとか生きようとすると、否応なく深く傷つく。このお話のように。傷ついた果てに、運が悪ければ野垂れ死ぬだろうし、運が良ければ自分なりの生き方にたどり着くかも知れない。しかし、現実は、その中間だろう。野垂れ死にはしないだろうが、相変わらずの中途半端な生き方だ。

そんな最悪の悲劇よりも、この話のような“ハッピーエンド”の方が、私の好みだ。



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『月下のサクラ』 柚木裕子

事件現場で収集した情報を解析・プロファイリングをし、解決へと導く機動分析係。

森口泉は機動分析係を志望していたものの、実技試験に失敗。しかし、係長・黒瀬の強い推薦により、無事配属されることになった。鍛えて取得した優れた記憶力を買われたものだったが、特別扱い「スペカン」だとメンバーからは揶揄されてしまう。

自分の能力を最大限に発揮し、事件を解決に導く――。泉は早速当て逃げ事件の捜査を始める。そんな折、会計課の金庫から約一億円が盗まれていることが発覚した。メンバー総出で捜査を開始するが、犯行は内部の者である線が濃厚で、やがて殺人事件へと発展してしまう……。

それにしても、機動分析係というのは凄いな。本当に警察の中に、こんなものすごい組織があるんだろうか。・・・どうやらあるらしい。事件の発生が伝えられるやいなや、防犯カメラの映像を収拾して分析し、犯人や逃走経路を特定し、捜査に役立つ情報を提供するチームだという。

その機動分析係に森口泉が配属される。自ら望んで、試験を受けた上での配属である。もっとも、その実技試験では、機動分析係長黒瀬を相手にした尾行試験で見事に見透かされ、大失敗してしまう。それにもかかわらず、泉は希望通り機動分析係に配属される。なんでも、黒瀬の強い後押しがあったようだ。

黒瀬が強く後押しした理由は、泉が持っている類い希な記憶力にあった。「鍛えて取得した優れた記憶力」というが、ここまでくると特殊能力と言っていいだろう。

「それは戦力になる。」・・・泉の記憶力は機動分析係の大きな戦力になると、黒瀬は踏んだのだろう。しかし、戦力としての泉の力は、記憶力だけではなかった。


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『月下のサクラ』    柚木裕子

徳間書店  ¥ 1,640

私は前に、前に進む――。組織に巣くう不条理な倫理。刑事・森口泉が闇に挑む。
プロローグ
第一章
第二章
第三章
第四章
第五章
終章
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警察官というのも、大変な仕事だな。

ゴジラをはじめとする怪獣映画では、最初に死ぬのは警察官か海上保安庁だからな。まあ、公務員だから、民間人よりも先に死ぬのは仕事のようなものだけどね。

それにしてもこの機動分析係、おそらく地道な仕事なんだろうな。膨大な防犯カメラの映像から、事件を割り出していくんだろうが、実際にそれに取り組んでいる場面というのは、ただ映像を見続けているだけなんだろう。考えるとゾッとする。

1時間も続ければ、私は叫びだしてしまうかも知れない。それに耐える精神力の持ち主で、しかも泉のような記憶力があれば、まさに鬼に金棒だな。

会計課の金庫から1億円が盗み取られた事件、これもまず、機動分析係が動く。そしてその捜査の中で、何度となく泉の記憶力が、捜査に新しい展開をもたらす。同時に事件そのものも、思ってもみなかった展開を見せる。

捜査の中で泉は、機動分析係の捜査が、係員から黒瀬への、絶対的な信頼に支えられていることに気付く。ところがその黒瀬が捜査から外され、謹慎を申しつけられてしまう。

捜査が行き詰まる。そんな時、泉の事件解決に向けての強い意欲、仲間を信じる力が、捜査を動かす。

機動分析係という、警察の仕事の中でも、あまりなじみのない仕事に対する興味で、物語に引きつけられていく。さらに、主人公である森口泉が、持ち前の記憶力を生かして機動分析係としての仕事をこなしていく。やがて大きな事件に、機動分析係ごと巻き込まれて、事件そのものに真剣に向き合う森口泉の、刑事としての資質が見出されていく。その天界に釘付けにされた。

上手に読まされた感じ。


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テーマ : 読んだ本
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『ほろよい読書』

『ほろよい読書』という題名だけで、買ってきた。

頭にあったのは、読みやすい、酒にまつわる随筆集あたり。まさか、女性向けの短編小説集だとは、思いもよらなかった。女性向けであるかどうかに関わりなく、私の酒の飲み方は偏っている。

甲類の焼酎をお湯割りで飲む。一年を通して、これ一辺倒だ。人が来るときには、ビールだとか、日本酒だとか準備するが、一人なのに日本酒を飲むなんて、正月くらいしかない。ワイン、シャンパン、・・・飲まない。カクテル、・・・知らない。

何が一番好きなのかと言われれば、日本酒なのかも知れない。ウイスキーを水割りで飲むのも好きだな。でも家で、一人で飲んでいるうちに、甲類の焼酎をお湯割りで飲む形に落ち着いた。自分の面倒くさがりな性格も、多分に影響しているに違いない。

良さそうな題名の本を買ってきたので、いつもは昼間は飲まないんだけど、こんな時くらいいいだろうと、銅製のカップに焼酎のお湯割りを準備して読み始める。

あら?小説。・・・短編か。・・・ん?女性向け?

焼酎のお湯割りが、昼間から、それこそ昼に浮いてしまいましたとさ。


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二葉文庫  ¥ 715

今をときめく作家たちが、お酒にまつわる人間ドラマを描いた心潤す短編集
ショコラと秘密は彼女に香る 織守きょうや
初恋ソーダ 坂井希久子
醸造学科の宇一くん 額賀澪
定食屋「雑」 原田ひ香
ber きりんぐみ 柚木麻子
 
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焼酎のお湯割りは“昼”に浮いてしまったが、せっかくだもの。しっかり読んだ。

今日も一日よくがんばった自分に、ご褒美の一杯を。

酒好きな伯母の秘密を探る姪っ子、将来に悩む日本酒蔵の跡取り娘、自宅での果実酒作りにはまるアラフォー女性……など、「お酒と女性」をテーマに今をときめく女性作家達が描いた、5つの短編小説集。

人の生き方が多用になって、なかでも女の人の行き方が多用になって、それが心配でならない。選択肢が広がっているようで、目につくものは危うさばかり。還暦過ぎの私の世代は沈黙するしかない。

ただ、家の結びつきが弱くなって、子供の数も少ない。その上地域社会の結びつきも希薄。人と人の重層的なつながりが失われて、親子がむき出しになる。重層的な人のつながりが失われたところに、洪水のように外の情報が流れ込むから、人は抵抗する術もなく“一人”になっていく。つながりを失ったむき出しの個人ほどもろいものはない。

女の人たち、頑張って!一人にならないで!

読んでいると、ついつい心配になって、物語の登場人物になって教えてあげたくなってしまう。

すでに続編が出ている模様。人気になったんですね。私はもういいかな。


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『青べか物語』 山本周五郎

騙し、騙されるのに、なぜか幸せだったりする。

若き日の周五郎が見た「人間の生」。うらぶれた漁師町で暮す人々を切々と描く現代小説。

根戸川の下流にある浦粕という漁師町を訪れた私は、沖の百万坪と呼ばれる風景が気に入り、このうらぶれた町に住み着く。言葉巧みにボロ舟「青べか」を買わされ、やがて“蒸気河岸の先生”と呼ばれ、親しまれる。貧しく素朴だが、常識外れの狡猾さと愉快さを併せ持つ人々。その豊かな日々を、巧妙な筆致で描く自伝的小説の傑作。

沢木耕太郎「山本周五郎と私 青春の救済 山本周五郎」、服部康喜「解説 若き周五郎、人生の海に漕ぎ出す」を収録。注釈付文字拡大新装版。

10月に『赤ひげ診療譚』を読んだからということではないのだが、本屋で山本周五郎の本を選んでいるときに、なぜか“青”が気になった。いつもの山本周五郎の本とおんなじ様なつもりで、なんの先入観なく読み始めると、いきなりの違和感。なにしろ時代物でない山本周五郎なんて思ってもいなかったもんだから、いきなり面食らってしまったというところだな。

時代物ではないとは言え、現代ではない。昭和の初め頃らしい。根戸川は利根川、浦粕は浦安らしい。漁師町の人たちから蒸気河岸の先生と呼ばれている「私」が、町の人たちと交わる様子が、淡々と描かれている。

小説と言うより、ほとんど日記だな。

ただ、それが面白い。それが面白いということは、山本周五郎の文もあるが、それ以上に町の人たちが面白いということだ。


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『青べか物語』    山本周五郎

新潮文庫  ¥ 693

騙し、騙されるのに、なぜか幸せだったりする。若き日の周五郎が見た「人間の生」
「青べか」を買った話      蜜柑の木
水汲みばか           青べか馴らし
砂と柘榴            人はなんによって生くるか
繁あね             土堤の春
土堤の夏            土堤の秋
土堤の冬            白い人たち
ごったくや           対話(砂について)
もくしょう           経済原理
朝日屋騒動           貝盗人
狐火              芦の中の一夜
浦粕の宗五郎          おらあ抵抗しなかった
長と猛獣映画          SASE BAKA
家鴨(あひる)         あいびき
毒をのむと苦しい        残酷な挿話
けけち             留さんと女
おわりに            三十年後
山本周五郎と私 沢木耕太郎
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今63歳の私が子どもの時分、私の町にはまだ面白い人がいた。

隣の町には、ソフトボールの監督をしている“タンコロけいさん”という人がいた。ところ構わず「かー、ペッ!」っとタンコロを吐く。私も友人と一緒の帰り道に見たことがある。前から自転車に乗ってやってくるおじさんが、すれ違うとまもなく、「かー、ペッ!」っとタンコロを吐いた。私と友人は、大笑いしながら、走って帰った。

いつもズボンの社会の窓を開けて、そこから急所を出して歩いているおじさんもいた。“ふるチンまっさん”と呼ばれていた。小学生の私たちから見ると、まっさんのあそこはとても大きかった。まっさんは他に自慢できることがないので、大きなあそこを小学生に見せて自慢しているんだと聞いた。そんなものの他にも自慢できることがある大人になりたいと思ったものだ。

父の友達の奥田さんは、うちに来ると酔っ払って、子どもの私に、「もうちょっと戦争が続いていれば、自分は特攻で死んでた」と、特攻隊のことを何度も話した。「おじさん、もう何度も聞いたよ」と言うと、「何度でも聞け」と、よけい話が長くなった。父が病気で倒れると、奥田さんが来ても、父の前では酒を出さなくなった。寂しそうに帰って行く奥田さんに、私は母に言いつかって、あとから追いかけて酒を渡した。

あれ…、面白い人たちは、今の時代にはいなくなっちゃったんだろうか。

『青べか物語』は、山本周五郎が25歳から6歳にかけて浦安で送った一年余の生活と、そこでの見聞をもとに書かれている。山本周五郎の時代物のような面白さではないが、なんかこう昭和を思わせる、…じわじわくるものがある。


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『メメント・モリ』 原田宗典

長年にわたる鬱病がもたらした煩悶、終わりのみえないスランプ、不倫相手との訴訟沙汰、家庭崩壊、自殺未遂、そして違法薬物使用による逮捕……。一瞬の暗転――死の淵より舞い戻り、火宅の人たる自身の半生を小説的真実として描き切った渾身の作。懊悩の果てに光り輝く魂の遍歴。

原田宗典さんの書いた小説は、初めて読んだ。読むに当たっては、なんの先入観もない。不倫相手との訴訟沙汰、家庭崩壊、自殺未遂、薬物に溺れた上で逮捕されて有罪判決と言う小説の内容が、「自身の半生を小説的真実として描き切った」ものであることも、読んだあとで知った。

その小説的真実が、順不同に並べられた夢の断片のように語られていく。夢はなんの予告もなく、突然、打ち切られる。そのままなんかの関連を持って次の夢につながるのかと思いきや、まったく別の夢が語られていく。だから、話は、1・2・3・・・と、順番立てて進んでいくのではなく、その断片は○で表される。その傾向からして、おそらく一人の人間の夢であろうとは思われるのだが。

そんなぶった切り小説であるにもかかわらず、なぜか読んでしまう。文章が軽妙で、先へ先へと読み進めたくなる。


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『メメント・モリ』    原田宗典

岩波現代文庫  ¥ 1,078

火宅の人たる自身の半生を小説的真実として描き切った渾身の作
○~○


少し前、テレビのコマーシャルで、「メメント・モリ」という言葉を聞いて驚いた。見ていても、私にはなんのコマーシャルなのかも分からない。孫に訊いたら、ゲームのコマーシャルであるらしい。ゲームの中で、「メメント・モリ」という言葉が、どんな脈絡で使われているのか興味があるが、ゲームにまったく通じていないので諦める。

鬱病、家庭崩壊、自殺未遂、大震災、麻薬逮捕。21世紀の碌でなし文学誕生。生からの一瞬の暗転として確固たる死を想え。不測の事態で流動する恥多き人生のただ中でこそ。時間を自在に往き来しながら、時に幻想的に、あるいは軽妙なユーモアのうちに、切実な記憶の数々を有機的につなぎ、やがて生命の喜ばしき光に到る……。泥沼のスランプを脱した著者10年ぶりの復活を証して、異彩を放つ長篇小説。

どう読み込めば、上記のような論評を生み出せるのか分からない。私には無理だな。

メメント・モリという言葉について、この本には「死を想え」と、ラテン語の直訳を紹介するが、もうちょっと丁寧に言えば、「自分がいつか必ず死ぬことを忘れるな」ということになる。「調子に乗るな」ほどの戒めの言葉であろう。

ところが古代ローマでは、この文字を書き込んだ髑髏の絵画を背景に、宴の席が設けられたそうだ。その場合、メメント・モリには、「どうせ一度の人生さ」という側に傾く。そうなると、「調子に乗るな」よりも、「今を楽しめ」となる。

「自身の半生を小説的真実として描き切った」この小説にも、「どうせ一度の人生さ」という側の、メメント・モリを想わせる。

自分の生き方とは隔たっているだけに、興味深く読めたのかも知れない。


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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『無名騎手』 蓮見恭子

一人の引退した無名騎手の孤独死。女性騎手・夏海はその後処理に出向くことに。その頃、スポーツ紙では勝利馬の誤記という致命的なミスが起きていた。そして不穏な事件が相次いで起こる--

ここのところ小説づいている。

遠くに住む孫にクリスマスプレゼントを買いに行ったら、隣りに古本屋があったので、そこでまとめて何冊かかってしまった。そのうち、3冊が小説だった。『白虹』『幸福な生活』、そしてこの『無名騎手』の3冊。それぞれまったく違う分野の本で、とても面白かった。ただ、この3日間、まったく外に出なかった。明日は少し外に出て、日に当たっておこう。

最強馬イクイノックスが引退するという。ものすごい馬だった。有馬記念で見られるのを楽しみにしていたが、少し不安があったんだろう。そういう時はやめた方がいい。どんだけ、いい子孫を出してくれるか、本当に楽しみだからね。

この物語の中では刑事の宅野が、かつて身を持ち崩すほどの競馬ファンという設定になっている。ヤクザもんが自宅に借金の取り立てにやって来て、奥さまが心を病まれてしまう。仕事を失いはしなかったが、結婚生活は失われた。私はそこまで行く前に弁えたが、結婚早々、定期を二つ解約した。

競馬には、それだけの魅力があるということ。だからこそ、物語が生まれる。それこそ、いくらでも生まれる。

これもその一つ。ちょっと、風変わりなところがあって、とてもよかった。


『無名騎手』    蓮見恭子

角川書店  ¥ 時価

騎乗数を減らしつつある女性騎手夏海の必死さが、幻の天才騎手の謎に迫る
プロローグ
一、土曜日
二、日曜日
三、月曜日
四、火曜日
五、水曜日
六、木曜日
七、金曜日
八、土曜日
エピローグ


昨年度で騎手を引退し、今年度から調教師に転身した福永洋一さんが若手騎手として苦労していた頃、武豊騎手はまさに、飛ぶ鳥を落とす勢いだった。若手騎手が新馬戦や未勝利戦で勝った馬でも、次のレースで有力となれば、実績のある先輩騎手に回される。

GⅡやGⅢを勝てるような有力馬はなおさらで、GⅠレースとなれば、武豊騎手を筆頭とする実力騎手に持って行かれてしまう。そのうち外国人騎手がJRAのレースで騎乗するようになると、実績のない騎手には、ますます良い馬は回ってこない。

福永さんは、武騎手に猛抗議したことがあると聞いたことがある。・・・厳しい世界だなぁ。


激しい競争、故障との闘いのなか、戦線から脱落してゆく無名騎手たち。女騎手・夏海は、上がらぬ戦績に焦っていた。そんな折、自殺した先輩騎手の遺品整理に訪れた夏海は、かすかな異変に気づく。この騎手は本当に自殺をしたのだろうか?同じ頃、あるスポーツ新聞社で起こるはずのない誤植事件が。自殺した騎手の名が、勝利騎手として掲載されたのだ。そして、競馬界の闇に迫る夏海を阻む者が。勝つのは、俺だ―。勝利への意地と、痛切な叫び。新鋭による競馬サスペンスミステリー。

昨日(10日)も、落馬事故があった。中共8レースで、サツキスマイルに騎乗した古川奈穂騎手が、3角で前の馬と接触し、落馬するアクシデントに見舞われた。左鎖骨を骨折したらしい。その程度で済んでよかった。

デビュー3年目の今年、開化した感があった。前の2年で17勝だったが、今年は25勝した。この本にも落馬事故が元で、乗り鞍が減少してしまうことがあると書いてあった。しっかり直して、また来年、活躍する姿を見せて欲しい。

可愛い娘でね。こんな可愛い娘が、4コーナーから起ち上がった馬込みの中で、男の騎手たちと意地の張り合いをしていると思えば、応援せずにはいられない。

著者の蓮見恭子さんは、この本の前に『女騎手』という本を書いている。そっちも読んでみよう。


テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

『幸福な生活』 百田尚樹

「ご主人の欠点は浮気性」帰宅すると不倫相手が妻と談笑していた。こんな夜遅くに、なぜ彼女が俺の家に? 二人の関係はバレたのか? 動揺する俺に彼女の行動はエスカレートする。妻の目を盗みキスを迫る。そしてボディタッチ。彼女の目的は何か? 平穏な結婚生活を脅かす危機。俺は切り抜ける手だてを必死に考えるが……(「夜の訪問者」より)。愛する人の“秘密"を描く傑作集!
こういう怖い話を書くなよ。ゾッとするよ!

「道子さんを殺したのは、私なのよ――」
認知症が進んでから母はよく喋るようになった。しかし、その話の大半は出鱈目だ。妻は自分がいつ殺されたのと笑うだろう。施設を見舞うたびに進行していく症状。子どもの頃に父が家出して以来、女手ひとつで自分と弟を育ててくれた母をぼくは不憫に思えてならない。久しぶりに訪れた実家の庭でぼくは、むかし大のお気に入りだった人形を見つける。40年ぶりに手にした懐かしい人形。だが、それはおそろしい過去をよみがえらせた……(「母の記憶」より)。
そうか、それでお母さん、“子どものために”、懸命に池を作っていたのか。

なんだか、後味が悪い話が大半だった。「後味悪い」という言い方は不適切かも知れない。自分が、“こう”と予測していたものとは違う終わり方。それも、単に“違う”というだけではなく、予想も出来なかった方に落とされた様な感じ。プロレス技でいえばバックドロップ、柔道でいえばで足払いって感じ。

上記の二つの話も、そういう傾向にあった。たとえば、他にもこういう話がある。優しい夫が、寝言で「ひろし」と、男の名前を呼ぶんだ。もう、これだけで一つの方向性が与えられるよね。でもね、最後の最後に、その方向性が見事に裏切られる。まさに攻め込もうと出した足を払われて、重心をひっくり返された気分だった。いったいどんな裏切りかたがあるか、考えてみて。

そこまで見事に裏切られる話じゃなくても、ホッとするもの、アレッとなるもの、ホウッと唸るもの、ギョッとするもの、ウンと頷くもの、エーっとなるもの・・・そのままには終わらない話ばかり。


『幸福な生活』    百田尚樹

祥伝社文庫  ¥ 713

国民的作家が魅せる超技巧!衝撃のラスト1行!ページをめくる勇気がありますか
母の記憶     夜の訪問者
そっくりさん   おとなしい妻
残りもの     豹変
生命保険     痴漢
ブス談義     再会
償い       ビデオレター
ママの魅力    淑女協定
深夜の上客    隠れた殺人
催眠術      幸福な生活
賭けられた女

サスペンス、ファンタジー、ホラー……、様々な19話の物語、そのすべての最後の1行が衝撃的な台詞になっているという凝った構成。

『永遠の0』『ボックス!』『錨を上げよ』で話題の百田尚樹は長編だけじゃなかった。星新一、阿刀田高、筒井康隆という名手顔負けの掌編小説集を世に送り出した!

妻は星新一のファンだったが、私は読まなかった。阿刀田高や筒井康隆は読んだけど、“掌編小説集”と呼ばれるような本は読まなかった。短編と呼ぶほどの長さもない、もっと短い短編。ショートショートと呼ばれるのが、これに当たるのかな。

上記にあるとおり、最後の1行が衝撃的なセリフになっているだけに、それは1枚めくった右側のページに限定されている。一つの掌編小説は、必ず右側のページの1行で終わる。全部が全部そうか確かめてないけど、物語は、題名だけが書かれた左側のページで始まり、めくると12ページに及ぶお話が展開されている。そして13ページ目をめくると、最後の1行で終わる。

物語の着想は、稀代のストーリーテラーのこと、私なんぞが考えても分かるわけがない。ただ、その着想に沿って、最後、13ページ目の1行を、先に決めたんだろうな。

「できちゃったの」、「今朝、亡くなったらしいよ」、「それでは、ごめんあそばせ」、「伝説の怪物プロレスラーがこんなところに!」

これら、13ページの最後の1行が、重心を一気にひっくり返す、強烈な一撃になっている。

一話、二話と読み進むと、次の話では、どうひっくり返されるのか、こうだろうか、ああだろうかと、思いもよらない手口でひっくり返されるのを、心待ちにする始末。

面白かった。


テーマ : ショートショート
ジャンル : 小説・文学

ありがとうございました



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イーグルス16

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こんな本、あんな本
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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。

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中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。

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高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。

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今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本
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