めんどくせぇことばかり 2016年12月
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『刀伊入寇 藤原隆家の闘い』 葉室麟

この本を読んだのは、2か月近く前のことなんです。股関節の手術で入院中です。そう言えば、手術を受けたのが10月27日だから、あれからまだ、2か月しか経ってないんだよね。もう、ずい分前のことのような気がする。

・・・そうそう、入院中ね。手術から1週間ほど経った頃のことです。思いのほか、術後の足の回復具合がよく、患部は痛いけど、歩いてたしね。あとは患部のガーゼくらいって状況で、「早ければ術後2週間で退院って言われたけど、今、退院でも大丈夫そう」とかって思ってたんです。

ところが、ちょうど術後1週間の日にした血液検査で、肝機能が以上の低下してしまって、とても日常生活を遅れるレベルにないってことになっちゃったんですね。なんか、肝機能を補うための、体中からニンニクの香りが漂うようなぶっとい注射されて、様子を見るってことになっちゃった。

これが痛いとか、ここが苦しいっていう自覚症状があってのことではないので、なんか悶々としてしまって、頭も痛くなきゃ、熱もないんだからね。原因は薬剤性のもので、どうもアルコール分解酵素が薬剤を余計に分解して、肝臓に影響を与えたとか、与えないとか。アルコールということになると、また連れ合いが過敏に反応するしね。結局、私の入院は、術後3週間まで続き。最短予測から1週間オーバーですんだんだけど、職場復帰期日は迫るしね。悶々・・・。

気がつけば、本が足りない。隣のベットの若いやつと違って、パソコンというのは自宅のこたつに座らなきゃ動かない私ですから、お手上げです。図書館の本なら外れてもお金損するわけじゃないから、連れ合いに、「文句言わないから、適当に借りてきて、・・・もらえたら嬉しいです」って頼んだの。その中の一冊がこれでした。その時に感じたことがメモに残してあってね。それ見ながら、あの時のこと、思い出しながら書いてるの。・・・看護婦さん、ありがとう!


実業之日本社文庫  ¥ 690

日本国存亡の危機 かつてなき国難に立ち向かった実在の貴族の闘い!



30ページほど読んで思い出した。この本は読んでる。まあ、いいや。面白いし、・・・面白いし、・・・面白いから

“刀伊入寇”っていうのは不思議な出来事で、刀伊っていうのは女直でしょう。半島北方の女直が、なぜ高麗をすっとばして玄界灘を渡るのか。彼らが日本に襲いかかるモチベーションって、いったい何なのか。それから、まさに摂関政治真っただ中。それも、中枢中の中枢に藤原隆家のような男が存在したことも不思議なことだな。

叔父、藤原道長との清掃に敗れ、中関白家が落ちぶれていく中、道長が栄華を誇る京の都を後に、太宰権帥として九州の武士団を率いる隆家のモチベーションは・・・?

隆家は、九州における戦いの中で、京都での日々を思ったはず。権力の座をめぐっての争いの醜さ。同時に、だからこそ、誰もが美しいものを求めてやまない心を持っていた。敗者の悲しみや切なさに発露される美しさに心惹かれ、栄華の周辺で悲哀に沈む女たちを慈しんだ。そんな雅の心こそ、命を懸けて守るに値する。隆家なら、そう考える。

“一所懸命”の武士の思いが固まるには、まだちょっと早いからね。

著者は、この物語の中に、自らの思いを書き込んでいる。『国は侵さず、侵されず』・・・。以前、このブログでも葉室麟さんの書いた『日本人の肖像』という本を紹介した。そこで触れた、著者の考えに合致する。だけど、この時代の、この話にはふさわしくない。




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アルベルト・フジモリ(覚書)『朝日は今日も腹黒い』 高山正之

アルベルト・フジモリ氏がペルーの大統領を務めたのは、1990年から2000年までの10年間。彼が大統領になる前のペルーはひどかった。実質成長率は-5%。貿易収支もマイナス。外貨準備高もマイナス。税捕捉率4%。インフレ率7600%。汚職は上から下まで、ペルーの隅々まで及び、テロ集団センデロ・ルミノソが表社会にまで跋扈していた。

大統領に就任したフジモリは、学校を新設し、死刑制度を復活させてセンデロ・ルミノソト対決し、これを制圧した。経済では為替を自由化し、関税を引き下げ、貿易を自由化し、国営企業を民営化した。その後の5年でインフレ率は10%と正常化し、世銀を安心させて融資を引き出した。
ITmediaビジネスonline 2016/11/17
2016年は誰が手にした? ノーベル平和賞なんていらない理由
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1611/17/news027.html
(抜粋)
2016年のノーベル平和賞、誰が受賞したのかご存じだろうか。答えは、コロンビアのサントス大統領。名前を聞いてもピンとこない人が多いだろうが、そもそもなぜ彼が賞を取れたのか、疑問の声が多い。なぜなら……。

ったく、まあ、そんなわけでね。今回のコロンビア政府とコロンビア革命軍との和平には、何かと和平をまとめたがるノルウェーが関与した。そしてノーベル平和賞は、ノルウェー・ノーベル委員会が決定する。そんで、サントス大統領が平和賞を受賞するというのは、なんだかノルウェーという国の、自画自賛なのだ。ノルウェー・ノーベル委員会はコロンビア社会のその後に、はたして責任を取ることができるんだろうか。

まあ、そんなことはともかくとして、ラテン・アメリカには、コロンビアよりも前に、強烈な反政府組織を、徹底抗戦によって制圧し、ぼろぼろな状態にあった政治経済を立て直し、国家を正常化した先輩がいた。それがペルーのアルベルト・フジモリ大統領だ。

しかし、コロンビアの革命軍にしたって、ペルーのセンデロ・ルミノソにしたって、白人支配のなかで滅茶苦茶な国家運営が行われたことで成長した反政府勢力だ。フジモリ大統領は、センデロ・ルミノソを徹底制圧したが、そういった勢力を生み出した滅茶苦茶な国家運営にも手を入れた。官僚組織の徹底したリストラと、国会のリストラ、つまり、白人支配層を分解した。フジモリ大統領の改革は、《軍を従えた大統領のクーデター》と言われたのは、そんな理由である。

ノルウェー・ノーベル委員会は、ノーベル平和賞の選定にあたって、アルベルト・フジモリなんか考えても見なかったろう。なにしろ、白人の支配をくつがえした罪人だからね。実際、ペルーにおいても、それは随分と罪深いことで、フジモリは本当に罪人扱いされている。やったことは何かというと、かつて白人たちがやってたことに比べると、屁のようなことでしかない。 


新潮社  ¥ 1,512

“あの新聞"のイヤらしさを一挙大放出! 週刊新潮の超辛口コラム 堂々の第11弾!!
第一章  朝日の正しい読み方教えます
第二章  本当にズルい国を見分けるために
第三章  朝日が書かない本当の歴史
第四章  お隣の国も相変わらずで・・・
第五章  とにかくこの世は嘘ばかり

オーストラリアは、日本が米英戦を始めると、まもなく日本に宣戦を布告。何かを勘違いして中立国のポルトガル領東ティモールに攻め込んだ。ここには大日本航空の定期便が乗り入れていた。オーストラリア軍はその基地を襲って大日本航空職員ら民間人22人を拘束した。日本軍がポルトガルの承認を得て攻め込むと、すぐにオーストラリア軍は逃げた。

オーストラリアは、「日本軍がラバウルを攻撃した」と言うが、日本海軍が泊地を持つソロモン諸島の直ぐ側に、宣戦布告してきた国で、しかも、わざわざポルトガル領を攻撃して、そこで業務にあたっていた日本人民間人を拘束する国のラバウル基地があり、それが有用であれば、攻め取るのが当たり前。

「日本軍がダーウィンを攻撃した」と言うが、米英に協力して戦略拠点となったダーウィンが、宣戦布告した相手に攻撃されるのは当たり前。

まったく、日本人相手、有色人相手なら、どんな恥知らずな真似も当たり前という白人の姿勢は、ずいぶんと前から変わっていない。


《続きを読む》を、ぜひ・・・



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『弓と禅』 オイゲン・ヘリゲル

ドイツの哲学の先生だよ、この人。略歴によれば、1924~29年の足掛け6年間を東北帝大講師として、日本での生活を体験している。1884年生まれだから、40歳から45歳にかけて日本にいたわけですね。

冒頭にあるのが、『ヘリゲル夫人より日本の知人へ』と題する手紙。1955年4月18日に博士が亡くなって、この手紙の日付が5月10日。夫を見送って一段落して、夫人が最初にしたのが、日本の友人たちに手紙を書くことだったんですね。交流の深さが感じられますね。

この間、日本と同様、いや、それ以上の敗戦という体験の中に、ドイツはあった。米軍は、博士の私物の接収を行い、それはまるで掠奪さながらだったようです。《彼が愛した弓の道具や、日本の思い出となる品々も、ことごとく奪い去られた》そうだ。

・・・く、悔しい!

《日本の文化と禅とが密接につながっており、日本のいろいろな芸術、武士の精神的態度、日本人の道徳的、美的、知的生活も、その特性を、禅的基礎に負うている》とは、鈴木大拙の言葉だそうだ。つまり、いかなる芸術、たとえば弓矢の道さえも、自己自身でもって内面的に何事かを遂行するという意味を持つのであって、弓と矢は、たとえそれらがなくても獲得しうるあるものに対しての、いわば一種の方便にすぎない。

つまりヘリゲル博士は、禅を体得するための方便として、弓矢の道を選んだわけだ。

今、実際、日本の禅がブームだという。困ったな。“禅”だって。まったく説明できない。とは言っても、一応、秩父34ヵ所の26番円融寺の檀家で、円融寺は建長寺の方の臨済宗だからね。・・・だけど、禅についてなんて、なんにも説明できないことに変わりはないけど。

さらに輪をかけて、“弓”だからな。一時期、高校の弓道部に関わったことがある。素人指導者は“当てる”ことを意識しすぎて、練習を見ていた外部の方に叱られたことがある。「当てることを意識するな」、「型が早すぎる」って。“えー!! ・・”実は、「もっと早くやれよ、まどろっこしいな」とかって思っていたもんですから。・・・折を見て、その世界から逃げ出しました。

『弓と禅』    オイゲン・ヘリゲル
福村出版  1,512

著者は大正の終わり頃に、日本に大学教授として滞在したドイツ人哲学者

師匠が、ヘリゲルさんに弓の指導をする言葉があります。《弓を射ることは、筋肉を強めるためのものではないと言うことに注意をしてください。弓の弦を引っ張るのに全身の力を働かせてはなりません。そうではなくて、両手だけにその仕事を任せ、他方、腕と肩の筋肉は、どこまでも力を抜いて、まるで関わりのないようにじっと見ているのだということを学ばねばなりません》。次に呼吸法では、《息を吸い込んでから、腹壁が適度に張るように息を緩やかに押し下げなさい。そこで暫くの間、息をぐっと止めるのです。それからできるだけゆっくりと、一様に息を吐きなさい。そして少し休んだのち、急に一息で空気を吸うのです。こうして呼気と吸気を続けて行ううちに、その律動は、次第にひとりでに定まってきます》

すごい師匠だな。わけが分からない。

師匠が、ヘンゲルさんに弓を引かせる。その発展段階に合わせて、ひとえに虚心坦懐に・・・。形であるとか、呼吸法を伝授するものの、それはあくまでも、ひたすら弓を引かせることを通して伝えられる。ヘンゲル博士は、懸命にそれに従いつつも、師匠の指導法に疑問を抑えられないこともある。それを承知で、師匠はなおも、ひたすら弓を引かせる。

そんなことを4年も続けたある日、その時がやってくる。《ある日のこと、私が一射すると、師範は鄭重にお辞儀をして稽古を中断させた。私が面食らって、彼をまじまじと見ていると、「今しがた、“それ”が射ました」と、彼は叫んだ。》その一射こそ、「あなたが射たのではなく、“それ”が射たのだ」と、師匠は言うのだ。さらに、その後がいい。

《さあ、何でもなかったように、稽古を続けなさい》・・・これが“禅”か。




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受け入れる(覚書)『元気な日本論』 橋爪大三郎・大沢真幸

《可口可楽》って、わかりますか? 別に四文字熟語ってわけじゃありませんよ。ただの、中国語。そう、コカ・コーラね。

日本列島の話し言葉の世界に、漢字のシステムが入ってくる。たしかに橋爪さんが言う通り、最初に行われたのは固有名詞を漢字で表記してみることだったろう。大学の時に、第二外国語で中国語を取ってる女の子に、自分の名前を中国語読みするとどうなるのか聞いたけど、丁度その正反対だな。

前5世紀にの動乱で、呉や越の人が稲作文化を引っ提げて日本列島に入ってるとはいっても、漢字を習得しているのは、かなり限られた人たちだったろうからね。なかったとは言えないだろうけど、少なくとも定着はしてなかった、。実際に、大きな規模でシナから漢字が入ってきたのは呉・東晋・南朝の時代で、次の大きなうねりが遣唐使による持ち帰り。初期のものを呉音、後期のものを漢音と呼んで、だいぶ発音に違いがある。

雄略天皇は、〈ワカタケル〉って音で呼ばれていたらしい。漢字の教養のあるものが、おそらくシナから渡ったものが、その音に、《獲加多支鹵》っていう漢字を当てはめた。それに続く漢字が《大王》。《大王》は〈オオキミ〉に当てられた漢字なので、日本では集団の長のことを〈キミ〉と呼んでいたらしい。つまり、《王》は〈キミ〉ということになる。

面白いですね。〈キミ〉に《王》という字をあてることによって、シナにおける《王》の持つ意味を〈キミ〉が装うことになる。

本当は、歴史を学ぶ最初のところで、こういう話を聞いておくべきだったんじゃないかな。

そして、〈カミ〉ね。それに《神》という字をあてた。易姓革命のシナでは、皇帝に権力の正当性を与えているのは天命であり、《天》がそれを下すわけだよね。皇帝は特定の氏族の《王》を超えて天下を支配する。《天》は特定の氏族の《神》を超える、最上級の概念である。

ところが、〈オオキミ〉に支配の正当性を与えているアマテラスは、〈オオキミ〉の属する氏族の〈カミ〉であって、上下の差をつけることができるとしても他の氏族の〈カミ〉と次元は同じである。同じ次元の中における上下の違いだけで、〈オオキミ〉は、他の〈キミ〉の上に立つ。〈カミ〉たちの手前、上位の次元にある天を設定するってことになっていたら、結構ややこしいことになったでしょうね。

なるほどね。だから、脆弱な部分を補うために、『日本書紀』にみられるような、様々な装置が必要だったわけだ。

この件。第一部に書かれてるんだけど、とても面白い。ぜひ読んでみて・・・
『元気な日本論』    橋爪大三郎・大沢真幸
講談社現代新書  ¥ 994

日本列島で起こったあれこれの出来事が、人類史の中でどういう意味を持つのか
第一部 はじまりの日本
 1 なぜ日本の土器は、世界で一番古いのか
 2 なぜ日本には、青銅器時代がないのか
 3 なぜ日本では、大きな古墳が作られたのか
 4 なぜ日本には、天皇がいるのか
 5 なぜ日本人は、仏教を受け入れたのか
 6 なぜ日本は、律令制を受け入れたのか
第二部 なかほどの日本
 7 なぜ日本には、貴族なるものが存在するのか
 8 なぜ日本には、源氏物語が存在するのか
 9 なぜ日本では、院政なるものが生まれるのか
 10 なぜ日本には、武士なるものが存在するのか
 11 なぜ日本には、幕府なるものが存在するのか
 12 なぜ日本人は、一揆なるものを結ぶのか 
第三部 たけなわの日本
 13 なぜ信長は、安土城をつくったのか
 14 なぜ秀吉は、朝鮮に攻め込んだのか
 15 なぜ鉄砲は、市民社会を生まなかったか
 16 なぜ江戸時代に、儒-国-蘭学が学ばれたか
 17 なぜ武士は、尊王思想に取り込まれたか
 18 なぜ攘夷のはずが、開国になるのか 

天を受け入れなかった日本が、仏教は受け入れた。たしかに、隋という強大な統一王朝の登場という脅威もあるけど、それ以上に重大だったのは、仏教徒は、すでに一思想体系というだけでなく、建築、暦法、漢字、衣料など、文化全般を網羅する体系となっていた。それを拒否することは、先進文化を拒否することに等しかった。

日本は仏教の取入れへの投資を本格化させた。それまでの古墳築造への予算を一切やめ、仏教の取入れに回された。ところが、本質的に仏教は難解な思想であり、さらに、日本人は思想的必要性から仏教を取り入れたわけではなかった。精神的には、従来の神々への信仰があり、それが農耕はじめ、生活全般をおおいつくしていた。

経典は、漢訳されたもの、つまりは漢字で書かれたものが入ってきた。日本の僧侶はそれらの経典を読むことができて、意味を取ることもできた。しかし、経典が日本語訳されることはなかった。

一般の人々は、お経を漢訳のままで、音として聞いていて、意味を取ろうとはしていない。音は受け入れているが、意味は受け入れていない。だから、日本人は仏教の教えの意味をつかんで、それを内在化するということをしていない。たしかにそうだね。本で受け入れられているのは、元来の日本人の宗教心と対立しない仏教の形式だけである。

ヨーロッパにおけるキリスト教も、もともとはそういうところがあって、なにしろ改宗したゲルマン人は、キリスト教を理解してなんかいなかった。教会だって、わざわざ聖書をラテン語のままにして、ゲルマン人にはわからないままにした。しかも、仮に読めるようになったとしても、解釈することは許されなかった。

のちの宗教改革は、聖書をゲルマン民族の俗語に訳した。俗語に訳すことで、ゲルマン民族にも神の言葉を内在化することが求められるようになった。

仏教が入ってきたからと言って、日本では、それ以前の宗教世界が壊されずに残ったからね。身近な精神世界は普通の日本語で表現され、そこには以前からの神様たちがいたんだね。それとは別に、当時日本が必要とした形式としての仏教というものも、それはそれで併存し、日本人の精神世界を形式面から重層的にしていったんだな。




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『居酒屋ぼったくり』 秋川滝美

すでに、第6巻が出されるほどの人気シリーズ。店の屋号が題名という直球勝負。その題名だけで、客との人情の絡んだ料理ものと、簡単に察しはつく。

『誰でも買えるような酒や、どこの家庭でも出てくるような料理で金をとるうちの店は、もうそれだけでぼったくり』が口癖だった父。いつの間にかそれが店の屋号になったのは、常連客の悪乗りが原因だったようだ。ともあれ、少しでも客をうならせる味を追う店主と、武骨な店主を補って余りあるほど愛嬌をふりまく女将の店、“居酒屋ぼったくり”。

不意の事故で亡くなった夫婦の跡を継いだのは、二人の娘たち。手ごわく、同時に温かい常連客を相手に、目指すのは、客をうならせる料理と酒を出せる店。
・・・土台はそんなところ。で、あとは「義理人情が絡んだ、料理と酒の本」というくくりでいいのかな。

実は私、読んだのは第1巻なんですよ。こんなものすごい題名なのに、これまで目に留まらなかったんですね。それで、6巻まで出てるような本なら、1巻から読んでおこうと思ってね。

紹介されている料理は、なかには真似してみようかなってものもある。レシピが書かれてるわけじゃないけど、だいたい想像はつく。酒の方は、あんまり詳しくないんで、何にも言えないけど、正月には『吉乃川の厳選辛口』で燗をつけてやってみよう。


『居酒屋ぼったくり』    秋川滝美
アルファポリス  ¥ 1,296

名に似合わずお得なその店には、うまい酒とおいしい料理、そして義理人情がある


第1巻を読んでみて、料理とか酒とか、参考にさせていただく部分はあったんだけど、私は2巻以降は、もういいや。いや、好き好きだと思うんですよ。・・・というのは、「この本が」、というより「この居酒屋が」。この居酒屋では、私は窮屈だ。あっという間に、違うことを企んでしまう。

もう地元では、職場の宴会以外、居酒屋に出入りしなくなって久しい。。飯のうまい店もあったし、酒のいい店もあった。主人や女将さんの人柄に惹かれたこともある。でも、人と人との付き合いってのは、長くなればなるほど、面倒なことが増える。面倒も含めて、一切合切つきあっていこうってのが常連なんだろうけど、私は、常連の“じょ”の字くらいのところで腰が引けてしまう。
それだけならいいけど、向こうの方から“おことわり”された店もある。あるいは、知らないうちにつぶれていた店もある。

店の方も、客の方も、人間として凸凹してないと、居心地が悪い。自分がダメな人間だからだろう。「いいところもあれば、悪いところもある。差し引きすると、ちょっと悪い方が勝つくらい」ってのが丁度いい。人間にとっての“居心地”なんて、そんなもんだと思うよ。だから、居心地のいい店で、常連になるなんて、至難の業。だって、私がその前にとんずらするか、あるいは、店の方がつぶれてるからね。

「いっそのこと、料理も酒も、自分でやった方が楽だ」っていうことになると、その程度の料理と酒でやってきたということになる。そう考えると、私はずっと、居酒屋にぼったくられて来たのかもしれない。

《居酒屋ぼったくり》は、私にとっては、さほど居心地のいい場所じゃないんだけど、こういうところがいいって人だっていると思う。ぜひ、試しに読んでみてね。




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女とゾルゲ(覚書)『汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師』 手島龍一

女性はスパイ活動には適さないので、あまり利用しなかった。とくに日本の女性は、政治、経済、社会に関する教養が少なく、夫の職業についても関心がないので、政治家の夫人でも夫の仕事を知らないから、情報源としてほとんど利用価値がない。
本書p198
取り調べに対して、ゾルゲが語ったところだそうだ。ゾルゲは、関係した女たちに取り調べが及ばないように、担当の取調官に匂わせていたようなので、特に日本女性に対しては、あえてそう語った部分もあるだろうけどね。

だけど、逆に言えば、「身体だけが目的でした」ということで、それはそれで考えものだと思うんだけどな。

バクー油田をもとに、コミンテルンは潤沢な資金を諜報活動に費やした。スターリンにその“目”があったということだって考え方もあるかもしれないが、けっこうこの部分、共産主義者に共通していることを考えると、共産主義ってものが、そういう能力の裏付けを持っている。つまり、資本主義という、強力な力を持った絶対悪を倒すためには、あらゆる手段が正当化される。そういう、マルクス以来の信念が、共産主義にそういう力を持たせている。

金はある。共産主義者としての、マルクス以来の信念もある。だけど、おそらくそれだけでは、まったく足りなかったはずだ。もう一つが、人間としての魅力。国土を焦土化され、300万を超える死者を出して戦争に負けたんだから、できれば自分の手で八つ裂きにしてやりたいくらいだけど、その魅力だけは、認めざるをえないだろう。

マガジンハウス  ¥ 1,620

磁力のようなスパイの魅力に抗えず、人はいつか、秘密を語り始まる
第一章  「パナマ文書」の紳士録
第二章  「パナマの仕立屋」の世界
第三章  パーフェクト・スパイの迷宮
第四章  伝説のスパイの現像
第五章  裏切りの風土ーダブル・エージェントとは何者か
第六章  銀座を愛したスパイ
第七章  サイバースペースの反逆者
 

旧伯爵家のご令嬢なんていうから誰のことかと思ったら、ただの山本権兵衛の孫娘だけど、「何も引き出せる情報はなかった」とゾルゲが言うとおり、ただの身体だけの付き合いか。終戦直後、焼け跡の銀座通りをさっそうと闊歩していた山本権兵衛の孫娘を見かけたと美輪明宏が言っているという。すこし、足りなかったんだろうか。

ドイツ大使館月の武官オイゲン・オット将軍の妻ヘルマ夫人の寝室に、ゾルゲは出入り自由だったそうだ。日本夫人と違ってドイツ人婦人は、夫の仕事に関心があり、政治、経済、社会的教養も豊かな存在であったらしい。

ゾルゲを取り巻く日本女性の一人に石井花子という女がいる。彼女の手による『人間ゾルゲ』が角川文庫から出ているそうだが、ゾルゲが借りる日本家屋に週に二度のペースで通っていたという。

ゾルゲは、女に利用価値があるなら、多少、作りがだいたいな女でも抱いてやる。精神的不安定から秘密を保てない恐れがあるなら、精神的な安定をもたらすために、その女を抱いてやる。それは、彼にとっての、共産主義者としての正義を貫くための“仕事”なのだ。

ただ、日本女性は違う。

リヒャルト・ゾルゲだの、尾崎秀実だの、いまだに持ち上げる風潮で取り上げる人がいるのには驚いてしまう。




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確固たる縄文(覚書)『元気な日本論』 橋爪大三郎・大沢真幸

そうか。鉄器時代に先んじること数千年の間、青銅器の時代があったんだ。『青銅は稀少で、高価である』・・・、ということなんだ。たしかに、その後の鉄器が農耕に使われて、農業生産力を飛躍的に向上させたのに対し、青銅器は農耕に使われてない。貴重な青銅で武器をつくり、それを手に入れられない者たちを圧倒する軍事力を手に入れた。青銅性の武器と戦車が、いわゆる青銅器時代の大きな特徴なんですね。

青銅製の武器と戦車で武装した人々が権力を握り、他の者たちは、その圧倒的な武力の前に支配される。ときには奴隷化される。そんな時代が1000年も、2000年も続けば、それは世の中は、徹底的にそっち側に偏る。

そのあとに登場する鉄器は安い。そして大量生産できる。武器ばかりではなく、農具にも転用されて農業生産性が上がり、人口も増える。戦場に投入される兵力そのものが大きくなり、鉄製武器で武装した農民歩兵が戦争の主体となる。農民たちは大事な存在になったんですね。

それが日本ではどうだったかというと、青銅も鉄も、どちらも日本では海外から入ってきたわけだけど、それが弥生時代にいっぺんに入ってきた。だから、青銅器だけの時代っていうのを、日本は経験していない。青銅器時代の、圧倒的な武力を独占する支配層と、一方的に支配される階層を前提とし構築された社会っていうのを日本は知らない。貴族制、奴隷制も、日本にはなかった。

青銅器時代っていうのは、やがて鉄器に駆逐されていく、敗れ去る時代。そのため、どうしても軽んじてしまうところなんだけど、この数千年間を経験するかしないかの違いは大きいね。


『元気な日本論』    橋爪大三郎・大沢真幸
講談社現代新書  ¥ 994

日本列島で起こったあれこれの出来事が、人類史の中でどういう意味を持つのか
第一部 はじまりの日本
 1 なぜ日本の土器は、世界で一番古いのか
 2 なぜ日本には、青銅器時代がないのか
 3 なぜ日本では、大きな古墳が作られたのか
 4 なぜ日本には、天皇がいるのか
 5 なぜ日本人は、仏教を受け入れたのか
 6 なぜ日本は、律令制を受け入れたのか
第二部 なかほどの日本
 7 なぜ日本には、貴族なるものが存在するのか
 8 なぜ日本には、源氏物語が存在するのか
 9 なぜ日本では、院政なるものが生まれるのか
 10 なぜ日本には、武士なるものが存在するのか
 11 なぜ日本には、幕府なるものが存在するのか
 12 なぜ日本人は、一揆なるものを結ぶのか 
第三部 たけなわの日本
 13 なぜ信長は、安土城をつくったのか
 14 なぜ秀吉は、朝鮮に攻め込んだのか
 15 なぜ鉄砲は、市民社会を生まなかったか
 16 なぜ江戸時代に、儒-国-蘭学が学ばれたか
 17 なぜ武士は、尊王思想に取り込まれたか
 18 なぜ攘夷のはずが、開国になるのか 

古代の戦争は殲滅戦で、相手の共同体を破壊して消滅させてしまう。一つは遊牧社会が農耕社会に対して容赦のない収奪者となる場合。ただし、遊牧社会は農耕社会に寄生することで成立する場合が多いので、完全に殲滅してしまうことはないんじゃないかな。遊牧社会が文明化して農耕社会を乗っ取ってしまうケースでも、農耕民まで消滅させちゃったら自分の首を絞めることにもなりかねない。ただし、自分で定着して農地を耕すっていうんなら話が違う。

遊牧民が定着するにせよ、農耕民がより条件のいい農地を求めるにせよ、異民族同志の争いならば、戦いは熾烈なものとなる。戦闘員は殺し、女には自分の子供を産ませる。自分で入植したり、あるいは相手を奴隷として働かせてもいい。

だから、居住地を守るために壁を作る。場合によっては万里の長城までつくる。ところが、日本においてはどうか。戦闘が多かった弥生時代であっても、作ったのは環濠止まり。“ぬるい”・・・、この本ではそういう言葉を使っている。皆殺しにされるという認識がない。奴隷にするという認識がない。“ぬるい”戦争で済んだというのは、ありがたい話だ。

《“自分と敵”という線を引かない》・・・、そういう発想が、日本列島に住む者にはなかったのではないかという。長い縄文の期間に同質性と、その意識が高められ、弥生人の流入によっても、それに大きな変化が起こらなかったのではないだろうか。それだけ、日本人にとって、縄文とは確固たるものだったんだろうな。




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『汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師』 手島龍一

私なんか完全に対局にあって、まず、人が私に向かって何か喋りたくなるなんてありえない。だって、いつも、近寄ってくるなオーラ出しちゃってるしな。飲み会のときに若い連中から、「いつもなんで不機嫌なんですか」って言われる。・・・どうも、すみません。

でも、これまでに何度か、「あれ、喋りすぎてるなぁ」って感じたことはある。なかでも、Yさん。この本を読んでみると、あの人は、スパイになるべきだった。特別関係を持つ必要のない頃は、なんか軽々しくて、ベラベラと口数の多い、あんまり好きになれないタイプの人だろうと思いこんでいた。

それが、本当にたまたま二人で飲み屋に入ることになると、酒が回るほどに、喋っているのは私の方だった。あとになって、どうして自分があんなにYさんに話をしてしまったのかと後悔したが、それがYさんの“人となり”、人としての魅力なんだろうと、納得した。

Yさんを、ただの女好きの公務員で終わらせてしまったのは、日本にとって大きな損失だったな。

この本の著者は、手嶋龍一さん。外交ジャーナリストで作家という肩書だけど、もとはNHKの人でしょ。2001年の9月11日、あの時、ワシントン支局長を務めていたんだって。そうか。あの時のNHKの報道は、手嶋龍一さんだったんだ。いったいどういう経緯でインテリジェンスの世界に言及するようになったのか。

NHKの海外支局勤務の人間として、真剣に外交に取り組む毎日からということに尽きるんだろう。ただ、お父さんの影響下に、人間と世間を見る目を見に付けてきたこともあるだろう。

そう言えば、手島さんは、私の知ってるYさんに、お顔がそっくりなんだ。とても優しそうでね。顔の作りも関係あるのかな。


《斜め上からこんにちは》
http://anincline.com/teshima-ryuichi/
マガジンハウス  ¥ 1,620

磁力のようなスパイの魅力に抗えず、人はいつか、秘密を語り始まる
第一章  「パナマ文書」の紳士録
第二章  「パナマの仕立屋」の世界
第三章  パーフェクト・スパイの迷宮
第四章  伝説のスパイの現像
第五章  裏切りの風土ーダブル・エージェントとは何者か
第六章  銀座を愛したスパイ
第七章  サイバースペースの反逆者

そうそう、《パナマ文書》。すごかったね。モサック・フォンセカっていう法律事務所を通して、オフショア金融センターの低税率で税金逃れしてきた企業や人の資料が流出した。その数、21万4000件。情報提供者は“ジョン・ドゥ”。いったい、何者か。

まあ、シナ人がすごいな。なにしろ、腐敗追求を最重要課題として取り組む習近平が、率先して脱税に手を染めてるんだからさ。その他にも、天安門の虐殺者こと李鵬の娘はタックス・ヘイブンを活用して浪費の限りを尽くしているという。ニューヨーク・タイムズは温家宝の不正蓄財は2700億円をくだらないと報道した。失脚した薄煕来の妻谷開来は愛人のイギリス人ニール・ヘイウッドを通じてタックス・ヘイブンに関わった。薄熙来が中国共産党の内部抗争に関わると、薄一族の金の流れを握っていたヘイウッドは、“知りすぎた男”として消されてしまった。

怖い世界だな。この間、プーチンが来日したけど、プーチンもモサック・フォンセカを通じて脱税してた。安倍首相は“太陽”となって、ウラジミールの上着を脱がそうとしたけど、脱がしたって、何重にも着込まれた防弾チョッキしか出てこないんじゃないか。本当は、北風となって、ウラジミールの足元をすくってやった方が、きっと効果があった。

ロシア経済が息を吹き返すためには、プーチンが下りるしかない。そう思ってたけど、プーチンは、絶対に下りるわけに行かない状況なんだな。だったら、そういう行動を取るべきだったな。

あれ、《パナマ文書》のことばっかり書いちゃった。これが主題というわけでもないのにね。キム・フィルビーにリヒャルト・ゾルゲら、時代を変えてしまった、・・・それもおそらく、人類にとって不都合な方向へ・・・スパイたちの話、是非一読を。私は、彼らの魅力から逃れられないかもしれない。

巻末に、手島さんおすすめのスパイ小説数篇が紹介されてます。




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サヴァ 絶対王政(覚書)『日本人の武器としての世界史講座』 茂木誠

なんかいい歳こいて、高校の世界史教科書程度の理解で、なんにも分かってなかったことを思い知らされて、少々へこんでいる。物事の背景にあるものをしっかり見ようと思っていても、根が、貧乏ながらまっすぐ育てられたもんだから、読んだこと、聞いたことが字づらが頭の何処かに張り付いちゃうんだな。張り付きっぱなしで何十年も経過して、こうやって恥をかくことになる。「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」とは言うものの、その“一時”と“一生”は、もはやあまり大きな違いでもなくなってきた。

西洋史をスキルな状態で理解するには、そこにどう神が関わっているかを理解することにあるじゃないですか。ずっと勘違いしていたのが“王権神授説”。「王様の権力は神さまから授かったものだから、逆らうことは許されない」と言うだけの認識だった。・・・ずっとね。それ自体がまちがいってわけじゃないけど、それだけじゃ“時代の理解”からはほど遠かった。

前提にあるのは、教皇の権威の低下だね。神に許された王権に、教皇を介在させるか、させないかの違いは大きい。教皇を経ないで、直接神から与えられた王権だからこそ、絶対不可侵。王権の絶対不可侵性、サヴァランを、日本では主権とやくしたんだそうだ。ちなみに“サヴァ”は英語ならスーパー、「超越的な」という意味のラテン語だそうだ。・・・なんか、腑に落ちた

ビジネス社  ¥ 1,080

世界史の知識があると、ニュースがこんなに面白くなる

絶対不可侵性を帯びたスペイン王フェリペ2世が、「カトリックの守護者」として、オランダのゴイセンを火あぶりにすべく、スペインの方を飛び地のオランダに適用することを決めた。

これに抵抗し、オランダ独立戦争(1568~1648)を戦うことになるオランダ人の理屈は、次のようなものである。
たしかに我々はスペイン王の臣民であるから、スペインの法を守る義務はある。しかし、それ以前に、我々はキリスト教徒であって、神の方に従う。国王フェリペ2世のやっていることは、明らかに神の意志に反する。だから、我々はスペイン国王に反逆する。

結局、オランダ人はオランダ人で、教皇を介在させずに神と結びついちゃったわけですね。そういう意味では、カトリックの守護者たる絶対君主と新教徒は、おんなじように、教皇から自由になったんだな。

反乱軍を率いたオラニエ公ウィレムは、本来、オランダ総督で、国王を裏切ってオランダ人の指導者となった。のちに、スペイン王の放った刺客に暗殺されるが、オランダ国王というのは、そのオラニエ公の子孫である。

まあ、新教徒は、王の法よりの神の法を優先するという、ごく自然な成り行きだな。フィリペ2世だって、神の支配を行き渡らせようとしたわけだけどね。グロティウスは、人が法をつくる以前の神の法、つまり自然法を原則として、国家の枠を越えた世界共通の方、国際法を主張した。いずれにせよ、法は、それ自体、神の意志と無関係には存在しない。それは誰にとっても同じこと。

ナチスの高官アイヒマンは、国家公務員として法に従い、忠実に任務をこなして、ユダヤ人の殺戮をいかに効率化するかに心を砕いた。・・・神の意志に沿おうとして。・・・アルゼンチン潜伏中をイスラエル秘密警察に逮捕され、死刑となるが、その時、「私は無罪だ。法に従った人間をなぜ裁く?」と語ったという。




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『赤いヤッケの男』 安曇潤平

一人で歩いていると、もう、神経が研ぎ澄まされちゃって、ちょっとした風の鳴き声、木と木のこすれる音、木漏れ日の揺らぎ、そんな小さな音や動きに、なぜか心がとらえられてしまう。いつも、いつもというわけじゃない。なんか、そういう場所があるんだよね。そんなこと、思いもよらないで歩いていることもあるのに、通るたびに研ぎ澄まされる、そんな場所。

ザックを後ろに引かれたことがある。ずいぶん前のこと。土曜日、半日仕事して、それから土合に向かう電車に飛び乗った。徐々に暗くなる中、1時間程度の避難小屋に向かう途中。1度じゃないよ。何度も、何度も、何度も・・・。こわかった~。

これはもっと前の話。どっか適当な場所にテント張ろうかなって、夕方から夜にかけて林道を歩いているとき、両側から木が茂っていたが、明るい月の木漏れ日で足元は不自由しない状態。・・・前方から月の木漏れ日が・・・。そう思ったら、月に照らされた自分の影は前に伸びている。じゃあ、前方の月あかりは・・・? そう思って見上げると、・・・木の葉の陰にうすぼんやり浮かんだ人の顔。

雲取に向かうお清平。茂みから聞こえる女に人の声。

いずれも、私は一人。いずれも、夕方から夜、そしてとっぷりと暮れたころ。やはり、“逢魔が時”はあやういね。


『赤いヤッケの男』    安曇潤平
MF文庫 ダ・ヴィンチ     ¥ 669

山の怪談の第一人者・安曇潤平が放つ、“山の霊異記”
八号道標
赤いヤッケの男
孔雀

笑う登山者
J岳駐車場
もう一人の客
残雪のK沢岳
クライマーズ・センス
銀のライター
ゾンデ
霧の梯子
牧美温泉
アタックザック
山小屋の掟
急行アルプス
究極の美食
追悼山行
カラビナ
鎌策婆
ハーケンは歌わない
荒峰旅館
暴風夜
N岳の夜
猿ぼぼ
八号道標とか、アタックザック、笑う登山者とか、山で死んだ人が登山者にたたるのはよくないよね。死んだんだったら、あきらめて成仏してほしいよね。山に関係なく殺されてさ。そんで、山に死体遺棄されたっていうのなら、化けて出るのは仕方ないけどさ。自分で山に行っといて、死んじゃったのはかわいそうだけど、そこに来た登山者にたたるってのは、そりゃ理屈が通らない。霧の梯子の女に人はかわいそうだけどね。あの場合は祟って出ても仕方がないか。

そうそう、死体遺棄するんだったら、秩父の山はやめてね。東京の人は、すぐ「“秩父”なら・・・」って思うのかな。よくないよ、そういうの。

・・・?「怖いんだろ」って? ・・・そうだよ、怖いんだよ。何か出てわけでもないのに、もう怖くて、怖くて仕方がなくて、どう気持ちを奮い立たせようと思っても、ぐぐぐぐぅって、引き込まれるように、嫌な予感に取り込まれていくことって、山ではあるんだよね。そんなときは、人里に降りた方がいい。ろくな目に合わないから。

でも、一番怖かったのは、山の中で野犬に遭遇したとき。これは怖かった。前足たたんでさ。野犬に戦闘態勢とられると、かなり怖いよ。あの時は、本当に危機を感じたもの。いろいろなものを投げて撃退することができたけどね。

急行アルプスとか、カラビナとか、猿ぼぼとか、牧美温泉とかさ、亡くなった方の温かい気持ちがしのばれるような話はいいね。やっぱりお化けでも、そういう話が好きよ。

読み終わっちゃったことが残念。もっと読みたいな。ちょっと怖い話でもいいからさ。




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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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