めんどくせぇことばかり 2019年08月
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『おかずがいらない炊き込みご飯』 検見﨑聡美

自治会長なんかやってると、地域の内外の、色々な人との交流があります。めんどくさいけど、それを嫌がっているわけにもいきません。

自治会の方々からも、いろいろな情報が寄せられます。「公園の脇の電線が切れてます」とか、「ゴミ集積場の土台が今にも外れそうです」とか。

「そりゃ、困った。んじゃあ、どうしたもんだろう」って思っても、思い浮かぶまで考えてるわけにもいきません。とりあえず、関連しそうなところに話を入れて、なんとか解決の糸口を探り出していきます。最後は人ってことが多いですね。でも、その最後のところを、“金”に代えても話は足り立ちます。“金”がないから人ってだけのこと。

私の住んでいるところは農村地帯です。でも、ここは団地で、住民は地元の人間じゃありません。この土地の縁者というのは、基本的にはありません。団地ができて五〇年。初期の入居者は七〇代後半から八〇代です。私は移り住んで三二年、次の誕生日で還暦です。

半分くらいのケースでは、子どもは巣立ってこの団地には住んでおりません。家もそうですが・・・。高齢の夫婦二人暮らし、あるいは、連れ合いを亡くした高齢のひとり暮らしが少なくありません。家も、どちらかが死ねば、そうなります。連れ合いは、一人だと食べる意欲がわかないと言います。だから、私があとに残ったほうがいいと思っています。

なんでこんな事を書いているかというと、それがこの本と関連しているからなんです。

驚きました。この本、基本的に一人分を前提にしたレシピです。ちょっと前まで、料理の本って言うと、通常、四人家族を前提にした、四人分のレシピでした。「最近は二人分のレシピが、だいぶ多く出されるようになってきたな~」なんて思っていたら、米を一合しか焚いていません。

おっと、今、横にいる連れ合いからクレームが入りました。今どき、一人で一合食べようとする年寄は私ぐらいのものだというのです。なんてことでしょう。さらに、「じゃあ、あなた一人だったら、いったい何合炊くの?」って聞いたら、「ご飯なんか炊かない」ですって。

これはいよいよ、私があとに残ったほうが良さそうです。



青春出版社  ¥ 1,188

忙しくても、料理が苦手でも、簡単で、おいしくて、栄養のとれる「炊き込みごはん」
季節を味わう炊き込みごはん
肉が食べたい日の炊き込みごはん
魚が食べたい日の炊き込みごはん
世界をめぐる炊き込みごはん
話題の魚缶で炊き込みごはん
便利食材の炊き込みごはん
お惣菜使いの炊き込みごはん


一般の炊き込みご飯とはちょっと違うところがあって、この炊き込みご飯の中に全部入っちゃってる炊き込みご飯なんです。著者の方は、それを“オールインワン”と言ってます。ちょっと説明しますね。

普通、ご飯を食べるなら、ご飯があって、肉や魚や卵みたいな主菜があって、野菜たっぷりの副菜があってって感じですね。そのご飯と主菜と副菜が、炊飯器に“オールインワン”ってことです。

そうですね。あとご飯食べる時って、汁ものと漬物があれば、立派な、バランスの取れた定食ものって感じですよね。その定食の、汁ものと漬物以外は全部入っちゃってるんです。おかずはいらない炊き込みご飯です。

まあ、組み合わせには相性ってものがありますね。

《ごぼうに牛肉》、《鮭にとうもろこし》、《タコにアスパラ》、《豚バラにはなんでも》、《イカに大根》・・・。あの、勘違いしないで下さい。今書いたのは、全部、私の思いつき。この本には、もっともっと冒険的な、斬新な組み合わせが載ってます。「相性がある」なんてうそぶいて、縛られているのは、私の方でした。料理はもっと自由であるべきですね。

そんな事を考えながらページをめくると、・・・駄目だ、料理の本の記事は、夕方書くべきじゃない。腹が減ってしまった。昨日はタコとアスパラの炊き込みご飯。この本にはのってないレシピです。「今日はなに?」って聞いたら、鳥と野菜の冷たい鍋にするって。

どうやら二人で食べるなら、少しはやる気が出るみたい。




テーマ : 料理の本
ジャンル : 本・雑誌

『日本を滅ぼす岩盤規制』 上念司

奥武蔵の山に登る時、西武鉄道の駅から近いパーキングに車を止めて、そこから電車に乗ることがよくあります。つい先日も、ちょっと涼しい日があったので、そのパーキングを利用しました。・・・一昨日、ブログで紹介した伊豆ヶ岳に登った話でした。

その日は夕方から自治会連合会のセミナーがあって、一一時半には正丸駅に戻っておりました。そこから一一時五九分の登り電車で車を置いた駅に行き、パーキングに戻ったところ、そこの地主さんが料金箱のお金のチェックと車の確認をしていました。

「こちらの方ですか、いつも便利に使わせていただいています」

そう声をかけて通り過ぎようとしたら、「こちらこそ、ご利用いただいてありがとうございます」ってことで、しばらくお話をしてまいりました。

そこは駅まで一分の、本当に便利なところにあるんです。そのせいか、平日にも関わらず、その日も十分収入につながるであろう台数の車が利用しておりました。

そこは、もとは田んぼだったんだそうです。減反政策で田んぼをやめて持て余していたところ、東急から声をかけられて駐車場にしたもののようです。「宅地だから税金が高くて払いきれなかった」と言ってましたので、農地をそのまま駐車場にして営業するのは違法なので、いったん宅地に変更したんじゃないでしょうか。「だけど、けっこう皆さんに(車を)停めてもらうので、それなりの収入になって助かってます」とおっしゃってました。

この本によれば、農業は今、高度なエンジニアリング産業になっているそうです。そう受け止めて頑張っている日本の専業農家は強いそうです。保護なんかいらないそうです。

ええ、農家にはたくさん補助金が入ってるはずですよね。

そんなことを思ってたら書いてありました。日本が補助金を出して守ろうとしているのは、家庭菜園、あるいはそれに毛が生えた程度の兼業農家だそうです。それはかつての自民党政権の票田だそうです。それらの農家は農業以外の仕事を持って主な収入とし、その他に減反政策を受け入れて補助金をもらってきました。兼業である農業からの収入は、あまりあてにされてもいないようです。

そう言えば、この間まで務めていた学校の直ぐ側に、栗の木が三本植わっている広い土地があって、そこは農地だって行ってましてね。栗畑ですって。輿石東さんの家の車庫は農地だって話もありましたね。

そういういい加減な土地の税を上げて、売却させ、やる気のある農家に高度なエンジニアリング産業としての農業にチャレンジさせれば、日本の農業振興は難しくないと、上念さんは言ってます。

農地をあえて宅地に変えて、駐車場収入を稼ぐというのは、日本の農業にとってはどんなもんなんでしょう。そこからの帰りの車の中で、考えてしまいました。


飛鳥新社  ¥ 1,400

「岩盤規制」について正面から論じた本。毎年30兆円の負担増となって国民を苦しめる実態
第1章 財務省―危険すぎる!財務省を監視せよ
第2章 農業―精神論に侵された本当は世界最強の日本農業
第3章 放送・通信―視聴者をバカ扱いするテレビ局
第4章 銀行―金融行政の被害者はいつも一般庶民
第5章 NHK―純資産8300億円!金満体質を告発
第6章 医療・病院―「医療費激増」の真犯人
第7章 保育園―待機児童が解消されない本当の理由
第8章 朝日新聞―朝日新聞はいつ潰れるのか?


NHKは、やっぱり分割民営化ですね。

元財務官僚の高橋洋一さんが言っているそうですが、NHKを「公共放送NHK」と「民間放送NHK」に分割するのがいいというのです。「公共放送NHK」は受信料制度によってきっちり社会的な使命を果たせばいいというのです。

だったら、受信料も、グググッと安くなりそうですね。そして、「民間放送NHK」は他の民間放送局と競合してやっていけばいいということです。

今のNHKは、本当、受信料マシーンですよね。二〇年も前のことですが、「自治会館にあるテレビの受信料を払え」と集金人の方が、当時も自治会長だった私のところに回ってこられました。

還暦を過ぎてらっしゃる方のようでしたが、当時、三〇代の私は、「あなた、そんな仕事をして、恥ずかしいと思いませんか」と叩き出させていただきました。玄関の外から「訴えるぞ」という声が聞こえたので、玄関を開けて、「本当に恥ずかしいと思わないんですか」と声をかけたら、私の頭越しに連れ合いのまいた塩が飛んでいきました。その半分は、私の頭にかかりました。

銀行にしろ、病院にしろ、保育にしろ、背景にはかなり深い闇があるようです。中でも、それらの問題の大本に、財務省があるみたいですね。

「少子高齢化社会だから、お金がかかる。だから、増税」

財務省って、そんな仕事をしていて恥ずかしいとは思いませんか。




テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『最高のチャーハン』 しらいのりこ

私も基本的には、中華料理屋のチャーハンを目指しました。

でもどうしても、自分のうちで作るチャーハンは、お店のもののようにパラパラにはなりません。火力が弱い上に、家族の分を作ろうとすると、御飯の量が多くなってしまいます。

家庭の火力で少しでもお店のチャーハンに近づけようとすれば、まずは一人前ずつ作ること。次にフライパンをカンカンに熱してから始めること。そして、フライパンを火元から離さない。つまり、フライパンは振らない。ガス台に乗せたまま、両手にしゃもじを持ってかき混ぜることです。

かなりお店のチャーハンに近くなりますが、家族みんなでテーブルに集まって、「せーの!」でがっつくわけにはいかなくなります。何が一番大事かって考えたら、みんなで一緒に食べること。だから、出来る範囲内で、できるだけ美味しいチャーハンを作ることを目指しました。

いつの間にか子どもたちが家を出ていったので、今はチャーハンを作っても二人分です。そこそこ美味しくできますよ。

この本、なんと言っても、炒めたご飯に酒をふりかけて、ふんわり仕上げるというところが大きな特徴でしょう。そして50種類のチャーハンが紹介されていますけど、いずれも具材はシンプルです。一人分の経費も大半が一〇〇円台か二〇〇円台です。

「毎日食べても飽きない味」というのもうたい文句の一つですが、それは“味”だけではなく、“値段”の上でも、毎日でも大丈夫。そういうことになれば、今後、年金が支給されるようになるまでの五年間、基本的に無収入の私にはうってつけ。


『最高のチャーハン』    しらいのりこ

家の光協会  ¥ 1,080

油控えめでうまみ調味料不使用。チャーハンは「パラパラ」だけが正解じゃない!
パート1 定番チャーハン
パート2 ごちそうチャーハン
パート3 お手軽チャーハン
パート4 糖質オフチャーハン


《ごはん好きの、ごはん好きによる、ごはん好きのための炊飯系フードユニット「ごはん同盟」》というのがあるんだそうですが、ご存知でしょうか。おそらくご存じないでしょう。なにしろ、この本を作ったしらいのりこさんと夫のシライジュンイチさんの夫婦二人で活動中なんだそうです。知るはずもありませんね。

「ごはん同盟」においては、この本を作ったしらいのりこさんが試作係、夫のシライジュンイチさんが試食係を務めているそうです。一番最後にお二人の写真があるんですが、「あれ?かかり分担が逆なんじゃないの?」と思わせられてしまいました。

失礼いたしました。料理に携わる仕事をなさっている方は、やはりふくよかな方が、料理も美味しそうに見えますよね。「おかわりは世界を救う」の理念の基、日夜ごはんを美味しく味わう方法を生み出して、発信を続けているんだそうです。

さて、昨日のお昼ごはんはチャーハンにしました。もちろん冷蔵庫にあるものだけで、作りました。ねぎ、ニラ、ちくわ、白菜の漬物、卵のチャーハンです。にんにくで香り付けして、味は塩コショウにしました。酒を振りかけてみましたが、私には明らかな効果が分かりませんでした。

チャーハンの時は、中華スープも欲しいですね。簡単なスープの紹介もあってよかったです。胸肉やささみでスープを取ればいいんですね。スープを取った肉は、そのままチャーハンに使いましょう。

さて、五年間はチャーハンで生きていくか。




テーマ : 料理の本
ジャンル : 本・雑誌

気温が上がらないって言うから伊豆ヶ岳に行ってきた

奥多摩に行こうと思ってたんです。この日は涼しいって言ってたから。麦山の浮橋が渡れるようになったって言うから、三頭山に登ろうって。

朝、超早起きをして計画書作ってたら、ちょっと時間に余裕がないんです。

夕方四時から、自治会連合会のサマーセミナーがあって、出席することになってるんです。間に合うとは思うんですが、念には念を入れて、今回は地元の低山を歩くことにしました。そこから新たに考えたら時間かかっちゃうから、何度も登ってる伊豆ヶ岳へ。

「ワクワク感ないからつまんないかな」って思ったんですが、いざ、登山靴に履き替えて、タオルを頭に巻いて、歩き始めれば、そんなことありません。山ん中歩いてるだけで心が浮き立つし、沢の流れも、道も、同じではあっても、どこかしら以前とは違うもんです。

炎天に苦しめられながらじゃ嫌ですけど、そうじゃなければ、自分から、何かしら面白みを見つけなきゃね。

「大蔵沢を歩いたらどうだろう」なんて考えながら歩きましたが、滝一つだけ高巻きすれば、私でもなんとか行けそうです。来年の暑い日に行こうかな。
伊豆ヶ岳周辺_190826_0022 (岩の隣の祠は馬頭尊 正丸峠はここで登山道に入らずに直進します)

伊豆ヶ岳周辺_190826_0021 
(大蔵沢)

あまり暑くないので、時間を短縮できる急坂の道を選びました。さすがに汗びっしょりになりましたが、稜線に出ると、大蔵沢側から吹き上げてくる風が涼しくて、なんて気持ちいい。ゴジラの背のような稜線からは、奥武蔵の山々が見渡せました。
伊豆ヶ岳周辺_190826_0018 (急坂を登りきった稜線 大蔵沢方面から涼しい風が吹き上げてきて気持ちいい)

伊豆ヶ岳周辺_190826_0017 (伊豆ヶ岳の手前、五輪山目前、ゴジラの背中)

伊豆ヶ岳周辺_190826_0016 (伊豆ヶ岳の手前、五輪山目前から奥武蔵 正面は二子山)

伊豆ヶ岳周辺_190826_0015 (五輪山山頂)

伊豆ヶ岳につきました。誰もいません。先行してた人がいたはずですが、時短の急坂を通ったので私のほうが早かったようです。朝、作ってきたおむすびを食べました。一つは梅干し、一つは野沢菜の漬物です。汗を書いて疲れた身体に力が注がれるようです。
伊豆ヶ岳周辺_190826_0014 (伊豆ヶ岳山頂 写真中央部向こう側にも広く続く山頂)

山伏峠への下りは少し先へ、古御岳側に下ったところに分岐があります。そこからしばらくの下りの急なこと、急なこと。ここのところ、関東地方では、夜から明け方に雨が降るパターンがあって、赤土の急な登山道が、見るからに滑りそう。おそらく上り以上に時間をかけて、用心深く下りました。
伊豆ヶ岳周辺_190826_0013 (この分岐の直後から急坂 下るのも大変だけど、登るのも大変そう)

伊豆ヶ岳周辺_190826_0012 (ここは両側が切れ落ちてました。ちょっと怖かった)

下りきったところは舗装道路。名栗と秩父を結ぶ道です。げんきプラザの近くに出ます。道路に掲げられてた掲示板には気温が記されてましたが、二一度でした。これは涼しい。
伊豆ヶ岳周辺_190826_0011 (舗装道路に下りたところ 道路を挟んで反対側に武川岳への登山口)

げんきプラザの先に、伊豆ヶ岳の方から流れてくるナガ入という沢があって、私、この河原がなんか好きなんです。そこで伊豆ヶ岳ラーメンにしました。伊豆ヶ岳周辺_190826_0010 (橋を渡って左側、尾根に上がる急坂)

伊豆ヶ岳周辺_190826_0009 (ここでお昼にします)

伊豆ヶ岳周辺_190826_0008 (伊豆ヶ岳ラーメン とんこつ味 今日は具なし)

お昼を食べて、伊豆ヶ岳に連なる稜線に登り返します。登ったところが長岩峠。少し行くと大蔵山です。そのまま大蔵山から下ります。途中、亀岩、ふたご岩を経て、大蔵沢沿いの、朝歩いた道に戻ります。長岩峠の長岩は、亀岩の別名のようです。
伊豆ヶ岳周辺_190826_0007 (大蔵山山頂 ここから下ります)

伊豆ヶ岳周辺_190826_0005 (亀岩はでかい 亀さんの背中は森のようです)

伊豆ヶ岳周辺_190826_0004 (ふたご岩 このあたりの山は岩の山のようですね)

伊豆ヶ岳周辺_190826_0003 (大蔵沢の河原に降りてみました 水が冷たくて気持ちいい)

途中でも見たんですが、線路にはすすきがありました。やはり、もう秋なんですね。山に登りたくなる時期ですね。正丸駅には一一時半頃つきました。電車は一一時五九分なので、家につくのは午後一時をすぎるでしょうから、夕方からのセミナーの前に、一休みできそうです。
伊豆ヶ岳周辺_190826_0002 (ほら、線路沿いにすすきが)

伊豆ヶ岳周辺_190826_0001 (正丸駅 秩父に向かう電車がトンネルに吸い込まれていきます)

この日歩いたのは、以下のようなコース。
8月26日伊豆ヶ岳




テーマ : 登山
ジャンル : スポーツ

越生の藤原入を歩いてきた

今日は二七日ですね。ここに書かれているのは一昨日、二五日のことです。

なんだか涼しい感じが出てきましたが、勘違いです。涼しくなった気になって山なんか歩いたら、熱中症になっちゃいますから気をつけましょう。

というわけで、また沢歩きです。

この前は越生の黒山三滝の男滝、女滝の上、三滝川を歩きました。あんまり沢に下りる人はいないようで、倒木や両岸から張り出した藪がすごかったです。

今日は、男滝、女滝から下り落ちる三滝川に、天狗滝の下で合流する藤沢入を傘杉峠に向けて歩いてみました。傘杉峠と三滝の間、登山道はほぼ藤沢入に沿っているので、なんかあったら登山道に逃げればいいかと思ってました。実際、歩いてみると、道は何度も川と交差するものの、それ以外の場所は、だいぶ川から離れます。ある程度、「川を行く」意識が必要です。

それから、こっちもあまり人が沢に下りた様子がなくて、倒木と藪がすごいです。次からは鉈を携帯しましょう。
藤原入_190825_0016 
(登山道と交差 橋の下をくぐります 登山者と合うと、ギョッとされます)

藤原入_190825_0015 
(こんな浅瀬をじゃぶじゃぶと、・・・ガキですね)

藤原入_190825_0014 

藤原入_190825_0013 

藤原入_190825_0008

邪魔をするのは、やはり倒木と両岸から張り出す藪。それが引っかかってるのは、やはり滝の部分ですね。藪は無視して進めばいいし、倒木は枝が古くなってるので、折って道が作れました。

最上流部以外では、滝は大きなものではありませんので、思い切って入っていけば、越せます。最後、傘杉峠手前で沢が別れて、右の登山道に沿った方は越せそうもない滝がありましたので、左を選びました。地図を見て決めるべきでした。そうすりゃ、登山道に出て、もっと楽ができました。

左の沢は、その後、二つ大きな滝が出てきました。両方とも高巻いたんですが、さらにその先は杉の林のとても急な斜面です。杉を頼りに両手をついて登りました。
藤原入_190825_0007 
(分かりづらいけど、奥に大きな壁があります)

藤原入_190825_0006 
(高巻きして、ここは壁の上部)

藤原入_190825_0005 (杉林の急斜面を這い上がって、ここは稜線の登山道)

出たのは、傘杉峠から稜線伝いに顔振峠に向かう登山道です。そこから、大平山の、役行者像の前を通って、天狗滝に下山しました。
藤原入_190825_0004 (役行者 前鬼・後鬼つき)

藤原入_190825_0003 (天狗滝に向かう沢沿い きれいな花と石から生えてる葉っぱ)

藤原入_190825_0002 (分岐 天狗滝間近)

沢を歩くのは気持ちいいんだけど、最後は必ずこうなるからなぁ。上部で登山道に逃げられるんなら、早めにそうするのがいいかな。
藤原入_190825_0001 (三滝下の釣り堀 塩焼きの煙が、とてもうまそう)

沢を歩いている時の写真は、めんどくさくて、ジプロックに入れたままとったので、なんだか変にボケてます。・・・ボケてるのはいつものことですが。

この日歩いたのは、以下のようなコース。
藤沢入地図




テーマ : 登山
ジャンル : スポーツ

『国家と教養』 藤原正彦

明治中期生まれの知識人は、大正デモクラシーの時代の主役です。芥川龍之介、武者小路実篤、志賀直哉、有島武郎、里見弴などなど。

やはり彼らは、欧米列強の圧力に抗して、だからこそ西洋文明の吸収に奔走した明治主役の知識人とは違います。直接海を渡り、そうでないとしても洪水のように流れ込む圧倒的な西洋文明に接し、自らの内に日本の伝統を濃厚に抱えながらも、ある意味でそれを否定せざるをえなかった明治主役の知識人と違い、大正デモクラシーの主役たちは伝統を否定するという葛藤を知知りません。

葛藤もなく近代を受容する新しい世代を、例えば夏目漱石は痛烈に批判します。

「日本の開化は西洋からの圧力に対抗するためにやらざるを得なかった、外発的で無理を重ねたものだ。軽薄で虚偽で上滑りしたものであり、それは子どもがタバコを咥え、さもうまそうな格好をしているもの」「上滑りは悪いからおよしなさいというのではない。事実やむを得ない、涙をのんで上滑りに滑って行かなければならないというのです」

漱石にしてみれば、大正デモクラシーの時代の知識人は、葛藤もなく無邪気に舶来の教養を身に付けた世代で、日本という根を持たない。自分たちの獲得したものが西洋崇拝に発した借り物の思想であることに気づかず、その危うさも自覚しない者たちということです。

大正デモクラシーを謳歌しているうちにロシア革命が起こると、彼らはあっさりマルクス主義にかぶれ、昭和に入ってはナチズム、そして軍国主義に流されて、さらに戦後はGHQを礼賛し、思惑通り左翼思想にかぶれ、昨今では新自由主義やグローバリズム。

危ないですね、日本の教養人。


 『国家と教養』    藤原正彦

新潮新書  ¥ 799

教養なき国民が国を滅ぼす 教養こそが大局観を磨く 大衆文学も教養である
第一章 教養はなぜ必要なのか
第二章 教養はどうやって守られてきたか
第三章 教養はなぜ衰退したのか
第四章 教養とヨーロッパ
第五章 教養と日本
第六章 国家と教養


義理、人情、忠義、名誉、勇気、正義、惻隠、涙。心にすとんと落ちてくるこれらの言葉。かつては講談本を通して自分に流れる血の中に、それらの日本的情緒を確信したようです。一九六〇年生まれの私は、活字に合わせて漫画がそれを教えてくれました。今の若い人たちには、漫画の影響力が圧倒的なんでしょうね。

葛藤なく、無邪気な西洋崇拝を基に構築された教養は、身体感覚を持たないがゆえに、新たなブームに流されやすい。これは違うと、私の中の惻隠の情がストップをかけるとか、卑怯なことはするなと私の中の義理人情が涙を流すってことが起こらないんです。

だから、本当に信用すべきは、漫画はじめ、日本ならではの文化に触れて、自分の中の日本的情緒を育てた庶民の感覚なんでしょう。

じゃあ、日本ならではの文化ってどうやって形成されてきたもんなんでしょう。やっぱり、自然環境、気候風土だと思うんです。もちろん自然災害の危険が大きい場所だったことも含めてね。

小さい頃から川や海で遊んで、山を歩き、風に吹かれるってことが、とても大事なんでしょうね。春の新緑の季節、秋の紅葉の季節は山がいいなあ。この季節に山を歩くと、頭で気持ちがいいって考える前に、身体が喜んでいるのが分かります。夏は川や海がいい。日本の夏は暑い。だけどきれいな川があります。海もあります。冬は雪で大変だけど、冬には冬の良さがあります。

その自然を切り崩して、自然からは切り離された快適さ、人工の快適さを手に入れてきたけど、もしも身体感覚に裏打ちされた日本人らしい教養ってものがあるならば、このへんでやめておこうって私の中の“朝日に匂ふ 山さくら花”が囁いてくれるでしょう。




テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

『台与の正体』 関裕二

天皇で名に“神”の文字を持つのは、初代神武、十代崇神、十五代応神の三人。

神武と崇神は、どちらもハツクニシラススメラミコトという和名を持つんですから、同一人物と考える人も多いそうです。神武の記事は最初と最後だけで、崇神の記事は逆に最初と最後が欠けているということなので、二人の記載を合わせて一人分ということです。

その上、二代から九代までは「欠史八代」と呼ばれて存在の疑問視されているそうです。天皇ではないが、重要な関係にあった者で埋められているのかもしれません。

関さんは、応神天皇も初代と考えるにふさわしいと言ってます。なにしろ、名前に“神”を持つ天皇ですから。

ただ、そういうことになると、日本書紀はヤマトの建国という一つの時代を、わざわざ三つに分けて書いたということになります。建国の由来は、その支配の正当性を示す上で非常に重要なもののはずです。正史であれば、それこそ後世ににまで伝わるように、明らかにしなければならないところです。それをわざわざ分かりにくくしたということは、日本書紀は天皇家の正当性を主張するために書かれていないということになりそうです。

応神天皇とその母である神功皇后を、常に守り続けたのは武内宿禰で、蘇我氏の祖とされている人物です。日本書紀の編者は、蘇我氏の古くて由緒正しい血筋を記録にとどめたくなかったのではないかというのです。建国の由来をわざとわかりにくく書いて、天皇家の正当性をあやふやにしてしまったとしても、蘇我氏の古くて由緒正しい血筋を記録にとどめたくなかったのではないかというのです。

いったい誰が?



河出書房新社  ¥ 1,728

卑弥呼をついだという台与に着目し、歴史作家・関裕二が古代史最大の謎に迫る!
第1章 台与と邪馬台国と神功皇后
第2章 ヤマト建国と近江
第3章 ヤマト建国の真相
第4章 神功皇后と近江
第5章 神功皇后と台与の正体


当時、久しぶりに大陸を統一した隋の時代に入って、新時代の到来に脅威をいだき、周辺諸地域は構造改革を急いでいきました。日本史を勉強するようになって最初に登場するのがまさにこの時代。聖徳太子の遣隋使であるとか、冠位十二階であるとか、十七条憲法であるとかが行われていったって教科書に載ってます。これこそまさに、構造改革の始まりですね。

当時、外戚の地位で政治を握った蘇我氏は、まさに聖徳太子の後ろ盾として、この構造改革を推し進めていました。クーデターを起こしてその蘇我氏を倒したのが中大兄皇子と中臣鎌足のコンビです。中大兄皇子は隋を引き継いだ大陸統一国家である唐に挑戦し、国を滅ぼしかけています。中大兄皇子は、国家存亡の危機を天智天皇として即位してなんとか乗り切ります。

しかし天智天皇が亡くなり、一時、壬申の乱で藤原姓を賜った鎌足の子孫は影を潜めるが、天智天皇の娘である持統天皇が天武天皇の後を継ぐと、そこで鎌足の子の不比等が権力の足場を確保していきます。

改革派のリーダー蘇我氏をクーデターを起こして葬った藤原氏が、その改革の手柄と権力を横取りしたわけです。そして、日本書紀が出来上がる時代、権力の座にあったのは藤原不比等。藤原氏の正当性を訴えるために書かれた日本書紀を書くことで、蘇我氏の古くて由緒正しい血筋を消し去ったのは、蘇我氏の改革の手柄と権力を横取りした藤原不比等ということです。

細かいところは色々とあったでしょうが、大筋では間違いないでしょう。そんな藤原氏が大嫌いですが、それが私たち日本人の歴史です。お隣の国のように、そうであって欲しいように歴史を書き換えるようなことはいたしません。

ただ、不比等が隠そうとした蘇我氏の真実、そして建国の様子は知りたいもんですね。関さんに頑張ってもらおう。




テーマ : 料理の本
ジャンル : 本・雑誌

『日本を滅ぼす岩盤規制』 上念司

《「岩盤規制」とは、言ってみれば「おバカ校則」みたいなものだ》と著者の上念司さんは言ってます。“校則”ってことになると、ついこの間まで関わっていたので、・・・ちょっとね。

家でも学校でも、自分がぶちのめされて育てられましたので、色々な決まりごとは理屈じゃなくて、そういうもんなんだと受け入れてました。

私は昭和三五年生まれですから、中学校は坊主頭ですよ。坊主って言ったってツルッツルってわけじゃありません。丸刈りですね。いつも、父親にバリカンで刈ってもらってました。三分刈りです。別になんとも思いませんでした。中学生になれた嬉しさのほうが遥かに先行してました。

でも、そうじゃない奴もいたみたいで、隣の中学校の話なんですが、中学三年になる年の春にナイフを持って校長に訴えた奴がいました。それがきっかけになって、坊主って校則はなくなりました。

今でも、おかしな校則が、ずいぶんあるみたいですね。でも、基本的にはあれでしょ。若い人はすぐいきがった格好をしたがります。そして、そういう格好って、だいたい不良から始まるもんです。そういう不良とは、学生を距離取らせようってのが校則に反映されるんでしょ。

髪の毛の指導とか、スカートの丈の指導とかが嫌いで困りました。性に合わないんです。ああいうの・・・。

定時制に務めた頃は、整容指導みたいなのはありませんでしたので、助かりましたけど。なぜ定時制ではないかと言うと、年齢がバラバラで、タバコすってるのもいれば、化粧して仕事しているのもいましたから。それに、とにかく学校に来ることが優先で、それ以外のことでなんだかんだ言ってる場合じゃなかったんです。

それが本来の姿だと思いますよ。身だしなみなんて、色々みっともない思いをして身につけるもんだと思うしね。馬鹿な格好をしてたって、しっかり勉強をしてればいいんです。でも、残念なことに、馬鹿な格好をしている奴は、それだけの奴って場合が多いです。残念ながら。

だから、普通の全日の高校なら、整容指導をしないでいると、すぐに学校の雰囲気が崩れるのも事実です。そうなると、中学生はそれを敏感に感じ取って、入学希望者が減ります。もしも、一倍を切ってしまって、二次募集をしなければならなくなれば、偏差値は急降下です。私もそういうところにいた経験がありますが、嫌なこともあったけど、なんだか楽しい奴もいっぱいいましたよ。まあ、県立の高校ですからね。県全体でみれば、偏差値の低い学校だって必要なんですから、それでもいいんです。

それでもいいはずなんだけど、先生方は妙に真面目ですから、その理屈が通らないんですよ。まったく、嫌んなっちゃいます。



飛鳥新社  ¥ 1,400

「岩盤規制」について正面から論じた本。毎年30兆円の負担増となって国民を苦しめる実態
第1章 財務省―危険すぎる!財務省を監視せよ
第2章 農業―精神論に侵された本当は世界最強の日本農業
第3章 放送・通信―視聴者をバカ扱いするテレビ局
第4章 銀行―金融行政の被害者はいつも一般庶民
第5章 NHK―純資産8300億円!金満体質を告発
第6章 医療・病院―「医療費激増」の真犯人
第7章 保育園―待機児童が解消されない本当の理由
第8章 朝日新聞―朝日新聞はいつ潰れるのか?


あんまりおバカな校則は困るけど、校則で儲けてる教員とか、校則で天下ってる教員とかは聞いたことがありません。岩盤規制は、それで儲けていたり、天下っていたりしている奴がいるわけです。これは困りもんですね。

「文科省は、加計学園による今治市での獣医学部新設を妨害し続けていた」

加計学園問題って、国家戦略特区に指定されることで、五二年間も獣医学部の新設の申請ができないという異常な状態が、ようやく解消されたという話だったそうです。

獣医学部新設なんて自由な経済活動に過ぎないですよね。あの時、言われていたのは「獣医師は足りている」ということでした。確かに、都市部における犬猫病院の獣医師は足りているとけど、口蹄疫や鳥インフルエンザの予防に苦しむ地方自治体は多くの獣医師を欲していたそうです。

それに、犬猫病院の獣医師が足りているとしても、だからといって新規参入を拒むっていうのは自由な経済活動を阻害する行為に過ぎませんね。

信長の支配地に入れば容易に市に参入できたし、新しい商売にも参入できました。それ以外の場所では多種多様な“座”が新参者の参入を許しませんでした。“座”は公家や寺社に上納金を納めて保護を受けていました。中でも延暦寺は、武力を抱えていましたからたちが悪いんですね。

既得権益の上にあぐらをかいて、新たな時代の幕開けを拒んでいたのは延暦寺。それこそ鉄壁の《岩盤規制》だったわけです。

やっぱり焼き討ちでしょうか。霞が関三丁目。




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ドイツ『国家と教養』 藤原正彦

アメリカは、自分の意志でヨーロッパを捨てた者たちによって作られました。

ここで彼らが捨てた《ヨーロッパ》には、そのヨーロッパに受け継がれてきた伝統とか知性、教養といったものが含まれていると藤原さんは書いています。アメリカはヨーロッパとともに、それらの伝統とか知性、教養も捨てたんだということです。だからアメリカは、知性を軽視する傾向があると。

この伝統とか知性、教養という部分の多くは中世と呼ばれる時代に形成されてきています。そう考えると符合します。アメリカに中世はありませんから。

アメリカは、そういったヨーロッパ的なものと決別し、新たな未来を開くための指針として、功利性、実用性を重視しました。そこから生まれてくるのが新自由主義、金銭至上主義といった浅ましい経済思想です。

そう、役に立たないものって重要なんですね。ケンブリッジ大学では一九六〇年代まで大学入試にラテン語があったそうです。実生活の役に立たない教養で情緒を養っておかないと、資本主義のもたらす醜悪さに飲み込まれてしまいます。

しかし、近現代に決定的な影響を与えた第一次、第二次世界大戦はヨーロッパを震源として起こった戦争です。第二次世界大戦は第一次世界大戦の余震のようなものですから、なんと言っても第一次世界大戦ですね。アメリカと違って教養の伝統のあったヨーロッパでそれは起こっています。戦争は相手のある話ではありますが、あの時、主役を務めたのは、やはりドイツです。知性と教養の最高峰とも言うべきドイツが第一次世界大戦の主役でした。

ということで、この本の中で藤原さんは、欧州における教養の質を一つのテーマとして取り上げています。その部分がとても興味深かったので、ちょっと取り上げてみたいと思います。

第一次大戦期のドイツは、世界でも有数の文化国家でした。しかし、少し過去を振り返ると、一六世紀の農民戦争、一七世紀の三十年戦争で人口が激減し、国土も荒れ果てました。そのため、他の西欧諸国のような国家形成が進まず、オーストリアとプロイセンの二つの中心軸を持った三〇〇をこえる領邦国家群といった状況でした。

お隣のフランスでは、中央集権化を達成したブルボン朝がフランス革命で倒されていました。周辺の王政国家はこれを許さず干渉戦争を仕掛けます。共和制フランスは祖国防衛に萌えた国民皆兵軍を組織して、対フランス同盟軍を打ち破ります。このフランス国民皆兵軍を率いていたのがナポレオンでした。

ナポレオンに蹂躙されたドイツでは、国家存亡の危機の中で果敢な政治改革、軍政改革、教育改革が断行されていくのです。ドイツの教養主義の根幹には、このときのフランスへの対抗心があったんです。


 『国家と教養』    藤原正彦

新潮新書  ¥ 799

教養なき国民が国を滅ぼす 教養こそが大局観を磨く 大衆文学も教養である
第一章 教養はなぜ必要なのか
第二章 教養はどうやって守られてきたか
第三章 教養はなぜ衰退したのか
第四章 教養とヨーロッパ
第五章 教養と日本
第六章 国家と教養

国家主義を背景に育成されていったドイツの知識層は一%です。一%の知識層が社会の中心となりドイツを率いていきました。その体制は一般大衆にとってもごく当たり前のこととして受け入れられ、一%の知識層が国をリードするばかりか、九九%の大衆を見下す構図ができあがってしまったんだそうです。

ちょうどそれがビスマルクの時代に集約されていきます。普墺戦争、普仏戦争と周辺の大国を打ち破り、統一ドイツが成立していきます。「あの人たちに任せておけば間違いない」と、大衆が思い込むのもわかります。

イギリスの上流階級、貴族とジェントリーは働きません。しかし彼らにはノブレス・オブリージュの伝統がありました。その地位にあるものは、それに応じた義務を追わなければならないわけです。ですから彼らは地方の行政や司法の仕事を無給で引き受けるそうです。慈善事業に取り組んで地方に貢献します。戦争があれば率先して戦場に赴きます。

イギリスの上流階級はドイツと違って、一般大衆との間に分断がないんですね。そして高い品性と教養は、上流階級には当たり前のことで、しだいにイギリス人一班の手本になっていったようです。

イギリスの上流階級は、ドイツの知識層と同様、国民を寡頭支配し高い教養を持ち合わせていました。しかし彼らは、ドイツの知識層のように大衆から遊離していたのではなく、むしろ大衆のお手本となっていた点で大きな違いがあったんですね。そして彼らの品性と教養を支えるのが、バランス感覚とユーモアです。

ドイツはなにか美しい原理や原則に陶酔すると、国を上げてその方向に突っ走ってしまいます。第一次世界大戦、第二次世界大戦、戦後の贖罪、シリア難民の受け入れ、いずれも一種の陶酔が感じられるというのですが、たしかにそうかも知れません。

その点、イギリスは何かあっても、その状況を俯瞰してみようとしますね。EU離脱も、イギリス人のそんな物の考え方、バランスのとり方が影響していると、藤原さんは言ってます。

「現実を見てバランスを取る、ということができないドイツと同じ船に乗っていては、生きた心地がしないと考えたからです」

歴史を振り返れば、イギリス人のドイツに対する、そんな恐怖感、・・・なんだか分かりますね。





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アンリ4世『ブルボン朝』 佐藤賢一

もと神奈川県民だった連れ合いに言わせると、“秩父顔”というのがあるようです。これは私が父や祖父、また兄弟たちとにているというレベルの話ではなく、秩父生まれの、特に男たちの顔には特徴があるというのです。眉毛がはっきりしていて眼光が強く、目尻は歳とともに垂れるんだけど、柔和になるどころが険しくなるというものなんです。まあ、秩父は山国ですから、その中で通婚が繰り替えされていけば、何らかの特徴が現れておおかしくありません。

《ベアルン男》って、そういう呼び方があるんですね。

ベアルンはフランス南西部、もうスペイン国境に近いというピレネー山麓にあるそうです。後の大王アンリ四世は、ここベアルンで生まれました。

ベアルンは、もう少し広い括りで言えばガスコーニュ地方、そのガスコーニュに暮らす人々ガスコーニュ人をフランス語でガスコンと言うそうです。山がちな厳しい自然環境、いくさの絶えない過酷な政治環境にあって、このガスコンの猪突猛進の熱血漢は有名なところだそうです。

底なしの勢力で疲れを知らずに動き回り、頭の中まで例外でなく、狡知に長けた食えない連中というのは、やはり後ろに回って囁かれる悪口というところでしょう。

このガスコーニュ、語源はバスコニアという言葉だそうです。バスコニアと言えば、バスク人の国。バスク人がここに住み着いたのは六世紀のことだそうで、ゲルマン民族の移動以来の西ヨーロッパにおける民族のシャッフルが終わりかけた頃でしょうか。

言語も文化もスペインともフランスとも起源が違うそうで、ずっと大国に挟まれた山中にあって、独自の文化を失わずに現代に至るんだそうです。ベレー帽、あれの起源はバスクのものだそうです。

日本にも縁があって、日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルはバスクですね。「以後よく広まるキリスト教」、一五四九年のことです。だから、アンリ四世よりも二世代ほど前の人。なにしろ、ザビエルが海外への宣教活動に乗り出したのは、宗教改革に対するローマ教会の巻き返しですね。対抗宗教改革の主役になったのが、イエズス会を設立したイグナティウス・ロヨラにフランシスコ・ザビエル。二人ともバスクだったっていうんだからすごいじゃありませんか。その力の原動力はガスコン、猪突猛進の熱血漢というところでしょうか。

彼らは一様に、頭髪も眉も黒々と、目鼻の作りもあくが強く、いうところのバスク顔をしていたようです。


『ブルボン朝』    佐藤賢一

講談社現代新書  ¥ 1,080

フランス王朝史の白眉、 3つの王朝中、最も華やかなブルボン朝の時代を描く

はじめに ブルボン家とは何か
第1章 大王アンリ四世(一五八九年~一六一〇年)
第2章 正義王ルイ十三世(一六一〇年~一六四三年)
第3章 太陽王ルイ十四世(一六四三年~一七一五年)
第4章 最愛王ルイ十五世(一七一五年~一七七四年)
第5章 ルイ十六世(一七七四年~一七九二年)
第6章 最後の王たち
おわりに 国家神格化の物語


ただ単にヴァロア朝の血筋が血筋が絶えたから、さかのぼって分家の血筋に当たる中でもその筆頭の、ブルボン家にお鉢が回ってきたという話じゃないんですね。

なにしろフランスを真っ二つに割ったユグノー戦争の真っ只中。親の影響で新教徒となったアンリ・ド・ブルボンだったが、生き抜くためには何度も宗旨変えをしています。
なにしろ、サン・バルテルミの大虐殺は、アンリ・ド・ブルボンとマルグリット・ドゥ・ヴァロアとの結婚を期に発生したもの。マルグリット・ドゥ・ヴァロアといえば、あの“王妃マルゴ”のこと。

この渦中に、まさしくアンリ・ド・ブルボンがいたわけです。
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カトリック派によるユグノー虐殺は宮廷にも及び、若夫婦の部屋も血まみれの様相だったそうです。それでもマルゴの部屋にいれば安全なところ、あえてアンリは国王シャルル九世に保護を求めています。王がアンリに改宗を迫ると、さもなくば虐殺の現場に放り出すと迫ると、アンリは陛下の仰せに従いますと、あっさり改宗を受け入れています。

アンリにはどちらでもいいのです。アンリは旧教であるとか、新教であるとかの前に、フランス人でなければならないという意識がなによりも大事なことだったんです。

アンリに改宗を迫ったシャルル九世が亡くなり、あとを継いだアンリ三世が跡継ぎを残さずに亡くなった時、アンリ・ド・ブルボンは再度再度ユグノーに戻っていました。ユグノーの国王など迎えられないと、パリを始めとするカトリックの抵抗は凄まじく、フランスは分裂したままでした。ここから先が、アンリ四世の八面六臂の大活躍。

カトリーヌ・ド・メディシスの嫡孫イザベルをフランス国王にと介入してくるスペインを向こうに回して、もしもアンリ四世というガスコンでなければ今のフランスはなかったでしょう。

彼自身が自らカトリックに改宗してナントで戴冠し、すべてのフランス人の父たるフランス王になりました。さらにナントの勅令でフランスを一つにしました。

ベアルンは、歴史の大きな転換点に、極めて重要な人物を送り出してくれます。

アンリ四世が生涯に抱えた愛人、一定期間続いた女だけで、七三人を数えるそうです。私なんかじゃ、ゾッとするばかりです。





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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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