『屋山太郎が読み解く橋下改革―大阪維新は日本を救えるか』
![]() | 屋山太郎が読み解く橋下改革―大阪維新は日本を救えるか (2012/05/22) 屋山 太郎 商品詳細を見る |
以前、橋下徹氏の改革について、当ブログに書いたことがある。自分が以前に書いたものを後で読みなおすというのはいつも恥ずかしいものだが、今回もその例にもれなかった。
私が橋本氏について書いたのは、国旗掲揚、国歌斉唱に関わる論議が盛んに行われている頃だった。私自身は、橋本市の改革に賛成である。しかし、改革をそこから利益を得ている者たちとの戦いと位置づけ、対象との対立関係を明確にして徹底的に攻撃していくやり方に反発を抱いた。自分が教員で、かつて国旗掲揚、国歌斉唱に反対していた時期があり、若い教員が自力で日教組の呪縛から抜け出す機会が奪われるのではと考えた。
大阪の現場が、当時、私が考えたような甘っちょろいものではないものではないことは、その後よくわかった。橋本氏の改革が、いま妥協を排除してやりぬかなければ大阪がダメになる、という気持ちに発するものであることがよくわかった。
この本は、第1章から第3章までで、橋本氏の改革の本質を明確にしている。大阪の問題は日本の問題そのものであり、大阪には日本の問題が典型的に現れている。第3章の章題は「大阪発―霞が関行き超特急維新列車」と付けられている。そして日本の問題とは“官僚支配”である。
第4章、第5章では、日本を蝕む官僚支配の病根の深さと広さが明らかにされている。自分が公務員の端の端の端くれのせいか、私の目には、身を削って仕事をする現場の公務員たちの姿が焼き付き、本書で紹介されている官僚支配の恥知らずさなあり様に呆然としてしまう。しかし、たしかにここに書かれていることは事実だ。
先日、消費増税関連法案をめぐる民主、自民、公明三党の実務者協議が決着し、今国会での法案成立に向けて大きく前進した。背後には官僚たちの姿が見え隠れする、どころの話じゃない。結局官僚たちの思うつぼにはまった。橋下徹氏の改革は、大阪で大きな支持を受けた。霞が関行きの維新列車の原動力は関西電力ではなく、全国の官僚支配を憎む国民の支持である。

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