めんどくせぇことばかり 『キリスト教の真実: 西洋近代をもたらした宗教思想』 竹下節子
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『キリスト教の真実: 西洋近代をもたらした宗教思想』 竹下節子

キリスト教の真実: 西洋近代をもたらした宗教思想 (ちくま新書)キリスト教の真実: 西洋近代をもたらした宗教思想 (ちくま新書)
(2012/04/04)
竹下 節子

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本を読むことを“難しい”と思うことがある。この本がそうだ。いったいどんな立場から書かれたものなのか。どんな視点で、どんな方向性で、なにが言いたいのか。

題名であらかた判ることもあるし、著者の傾向を知っていれば惑わされることはまずない。でも売れっ子ならともかく、一度くらい読んだくらいでは、よっぽどインパクトがなければ、私は著者に気を払わない。読んだもの自体が問題で、同じ著者でも優劣はいくらでもある。この本に関しては、事前の情報も知識もなにもなく読んだ。

第一章 ヘレニズム世界に近代の種を巻いたキリスト教
「ギリシャ、ヘレニズムが、途切れることなくローマを通してキリスト教に流れ込んだ」ならまだ理解しやすいけど、「キリスト教がヘレニズムに近代の種を巻いた」って、ずいぶんキリスト教の立場が強すぎやしないだろうか。そう感じた。もちろん相互に作用したことは当然としても、キリスト教はギリシャ、ヘレニズムの中で成立、成長したものであって、なぜあえてキリスト教がヘレニズムに与えた影響を言わなければならないのか。それが博愛と、言葉の通りの普遍性という、きわめて大きなものであったとしても。

第二章 「暗黒の中世」の嘘
この章では、「蒙昧なキリスト教世界」が「高度なアラブ人」に影響を受けたという“正しい歴史認識”が、著者からの集中砲火を受ける。具体的には、キリスト教会がいかにギリシャやヘレニズムを守ろうとしたか。また、“寛容”と讃えられた中世のイスラム世界が、実はどれだけ異教徒に対して過酷であったか。

なぜ著者は、キリスト教の立場をここまで擁護しようとするのか。そういう本なのか。意図するところは何か。自分はどういう心持ちでこの本を読み進めるべきなのか。

第二章の終わりで著者の考えが表明されて、ようやくわかった。もっと早く気が付かなければいけないところだろうが、なにぶん鈍いもので・・・。

偏向した近代西洋史が広く通用しているがゆえに、キリスト教徒の愚かさや頑迷さや残酷さの例はあちこちで何度も強調されているのに対して、イスラムの「寛容神話」の方は無批判に受け入れられている不均衡があることは明らかだ。
つまり著者に言わせれば、「そこまで書いてもまだまだバランスがとれている状態ではない」ということのようだ。

そういう意味合いなら十分わかる。キリスト教対イスラム教。理性主義にリードされたグローバリズムとそれを受け入れざるを得ない世界。理性主義への不信感。幾つもの対立構造がある中で、ようやくこの本の位置が、少しつかめてきた。「キリスト教はその誤解を解かれなければならないほど弱い立場でもないだろう」という先入観が、なかなかこの本を理解させてくれなかった。

実際の歴史には、あらかじめ定められた文脈などないのだから、その文脈を支えるための固定された役割などあるはずがない。考えてもみてほしい。食物連鎖の中ですべての生物がつながっているのと同じように、文明史という全体性においては、すべての文明が他の文明を何らかの糧にしているのである。
と、ありました。良かった。この先、ワクワクしながら読み進められそうだ。

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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