めんどくせぇことばかり 『ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂』 マーギー・プロイス
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『ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂』 マーギー・プロイス

ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂
(2012/06/26)
マーギー・プロイス

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手にとった理由は、ひとえに、「なぜアメリカ人の作家が“万次郎”を書くのか」ということにあった。著者のマーギー・プロイスは、児童文学家、劇作家だそうで、この『ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂』 が初めての小説で、数々の児童文学賞を受賞したそうです。

万次郎がアメリカの捕鯨船に救出されたとき、彼は漁船遭難と鳥島での耐久生活という大変な試練を経験していた。持って生まれた豊かな人間性と運命に導かれて、万次郎は“アメリカを発見する”。自由と民主主義を行き渡らせようと前に進む社会、進んだ科学技術、ホイットフィールドというアメリカ的良心、神の前においてすら行なわれる有色人種への差別。そして彼は、二つの世界をつなぐ架け橋となっていく。

そういう目で見てみれば、万次郎の生涯には質の高い児童文学を生み出す素材に満ちている。アメリカ人という立ち位置で、それを実行したのがこの著者マービー・プロイスということのようだ。読んでみてから考えたことだが、たしかに児童文学ならではの話の作り、表現が、たしかに幾つも見られた。

ただし、しっかりと資料にあたり、事実に基づいたあらすじ、エピソードによって大部の物語を進めている点、万次郎と当時のアメリカを知る上でも良い材料となりそうだ。【訳】の金原瑞人さんの“訳者あとがき”次のようにある。

事件や出来事はほぼ史実をふまえている。まるで作り話のような、キャサリンにあてて書いた詩とか、ナイフでウミガメを仕留める場面とか、ゴールドラッシュのカリフォルニアに行って稼いた金でホノルルに行ったとか、全て記録に残っているらしい。
著者自身も巻末の“歴史的な背景”について”のなかでこう書いている。
十七章の万次郎が「頭のなかにしまいこんだ手紙」、三十六章の万次郎がホイットフィールド船長に書いた手紙、三十八章の万次郎が島津斉彬公に話した内容などは全て彼の書き残していることです。この作品の登場人物の多くは実在の人物です。ホイットフィールド船長、船長の妻、ふたりの子どもウィリアム・ヘンリー、万次郎の友だちのジョブとテリー、・・・。キャサリンも実在の人物で、五月祭の小さなかごと万次郎にもらった手紙(二十四章)をとても大切にしていて、八十歳になってもそばにおいていたそうです。
私はこの本を、児童文学だと思って読んだわけではありません。日本や日本の様子についての描写の幼稚さや、捕鯨の捉え方など、幾つかの点には苛立ちながら読んだ点もあります。でも、アメリカ人である著者が、子供たちのために書いた“万次郎”と考えれば上々の出来だし、読んでおいてよかったと思える本でした。

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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