最近読んだ沖縄関連の本
大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判。鳩山由紀夫元首相を原因としておきた普天間基地移設問題をめぐるゴタゴタ。支那が東シナ海での活動を活発化させたことに始まる尖閣諸島問題の先鋭化、および支那不安定化に伴い重視される在沖米軍の存在。オスプレイ配備をめぐる騒動。
沖縄が注目を集めている。これまでもそうだった。そのたびに本土人は自責の念をかきたてられ、各種補助金が沖縄に手当てされることを容認してきた。沖縄はいつも涙を飲んでいるように見えて、基地関連費用が県の経済を支える体制は、ますます強固になっていった。最近は、“沖縄はもともと我が領土”などという支那の戯言まで聞こえてくる始末。驚くことに、沖縄そして日本にはそれに呼応する連中が存在する。
変化といえば、もう一度‘沖縄’という存在を問い直そうという立場からの出版が見られることだろうか。大東亜戦争の中で‘唯一の地上戦’という犠牲を強いられた沖縄。日本からアメリカに譲渡され、ひとり本土経済発展から取り残された沖縄。在日米軍基地の75パーセントを日本政府、本土日本人から押し付けられている沖縄。今まで語られてきた、そういった沖縄。でも、それだけではない沖縄の姿が、最近の出版の中で語られ始めている。琉球王国時代から、支那帝国と日本の間で国を保ってきた沖縄の外交力、交渉力には、外交べたの日本の政治家のお手本にしたいほどのしたたかさを持っている。それは今、ひとへに日本国に対して用いられている。
ここのところ一年くらいの間に読んだ沖縄関連の本を、以下にあげてみました。
薩摩の侵略から琉球処分、沖縄戦と続く歴史を、‘甚大な被害’と捕える立場から書かれた本である。ではあるが、かといって本土を批判する立場から書かれたものではない。一沖縄人として沖縄の歴史と行く末を憂慮している本である。
この本を読んだ当時、私は、「沖縄を救えなかった。戦争には負けてはいけなかった」と書いている。このことに関しては今でもそう思っている。しかし、「彼らは復帰運動で日の丸を振った。だからと言って‘沖縄は日本だ’と言い切るのは傲慢では・・・」という書き方をしている。この点、今ならこうは書かない。沖縄は、何よりも日本と同じ地平の文化に属し、別種の歴史を歩んだ時期はあるものの、近代以降一体化された歴史を持つ、切り離すことのできない日本の一部である。確固たる教育と、県民の努力により、補助金に頼る財政に見切りをつけ、県の独自性の上に新たな日本人としての自覚を育てていくべきである。
『「戦争中、唯一国民を巻き込む地上戦の行われた沖縄は日本本土の被害を最小限に食い止めるための犠牲であった」、「沖縄には在日米軍基地の大半が集中している」、「我慢の限度を超える騒音だけでなく、米兵による事件、事故の犠牲まで押し付けられてきた」 。沖縄を取り巻く感情は、あまりにも複雑である。その複雑さに耐えかねて、上記のような“被害者像”だけで沖縄を語ろうとするなら、それは“日本”を苦しめ続ける。もちろんそこには沖縄も含まれる。』
上記のような文脈で書かれた本。しかし、『政府は、予算や基地問題でも、他の都道府県の時と同じような感覚で交渉するが、沖縄は違う。沖縄は政府対自治体の交渉をしているのではない。我々は日本国と外交交渉をしているのですよ。それが全く分かっていない。沖縄の歴史を見ればすぐに理解できるはずだが』という沖縄の在り方が今後も続けられるなら、沖縄が傷つけているものは決して‘本土’だけではなく、切り離すことのできない日本の一部である沖縄そのものなのではないだろうか。この本にはそういう視点がある。
整備兵として沖縄戦を迎えた、ある一人の日本への物語。
「なぜこんな無謀な戦争を始めたのか」というセリフが、この物語の主人公の言葉として語られている。このセリフの背景には少なくとも、‘戦う必要のない戦争だった’という心情がある。果たしてそうか。この戦争に突入する世界の状況、ヨーロッパ諸国の状況、アメリカの狙いといったものが、いま徐々に研究の対象になりつつある。無謀な状況に日本を追い込んだのは世界だ。
「なぜこんな無謀な戦争を始めたのか。」少なくとも、このことは日本にだけ向けられて済む問ではない。でなければ、沖縄はどこへも進めない。
沖縄県民が自分の足元を見つめ、前へ進むために書かれた本。今のままでは沖縄はどこへも行けない。本土をへきえきとさせているように見えて、結局は自分が一番傷ついている。これまでも沖縄は血を流してきた。でも、血を流したのは沖縄県民だけじゃない。それに築かなければ沖縄は前に進めない。
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沖縄が注目を集めている。これまでもそうだった。そのたびに本土人は自責の念をかきたてられ、各種補助金が沖縄に手当てされることを容認してきた。沖縄はいつも涙を飲んでいるように見えて、基地関連費用が県の経済を支える体制は、ますます強固になっていった。最近は、“沖縄はもともと我が領土”などという支那の戯言まで聞こえてくる始末。驚くことに、沖縄そして日本にはそれに呼応する連中が存在する。
変化といえば、もう一度‘沖縄’という存在を問い直そうという立場からの出版が見られることだろうか。大東亜戦争の中で‘唯一の地上戦’という犠牲を強いられた沖縄。日本からアメリカに譲渡され、ひとり本土経済発展から取り残された沖縄。在日米軍基地の75パーセントを日本政府、本土日本人から押し付けられている沖縄。今まで語られてきた、そういった沖縄。でも、それだけではない沖縄の姿が、最近の出版の中で語られ始めている。琉球王国時代から、支那帝国と日本の間で国を保ってきた沖縄の外交力、交渉力には、外交べたの日本の政治家のお手本にしたいほどのしたたかさを持っている。それは今、ひとへに日本国に対して用いられている。
ここのところ一年くらいの間に読んだ沖縄関連の本を、以下にあげてみました。
![]() | 本音で語る沖縄史 (2011/06) 仲村 清司 商品詳細を見る |
この本を読んだ当時、私は、「沖縄を救えなかった。戦争には負けてはいけなかった」と書いている。このことに関しては今でもそう思っている。しかし、「彼らは復帰運動で日の丸を振った。だからと言って‘沖縄は日本だ’と言い切るのは傲慢では・・・」という書き方をしている。この点、今ならこうは書かない。沖縄は、何よりも日本と同じ地平の文化に属し、別種の歴史を歩んだ時期はあるものの、近代以降一体化された歴史を持つ、切り離すことのできない日本の一部である。確固たる教育と、県民の努力により、補助金に頼る財政に見切りをつけ、県の独自性の上に新たな日本人としての自覚を育てていくべきである。
![]() | 報道されない沖縄 沈黙する「国防の島」 (2012/04/28) 宮本 雅史 商品詳細を見る |
上記のような文脈で書かれた本。しかし、『政府は、予算や基地問題でも、他の都道府県の時と同じような感覚で交渉するが、沖縄は違う。沖縄は政府対自治体の交渉をしているのではない。我々は日本国と外交交渉をしているのですよ。それが全く分かっていない。沖縄の歴史を見ればすぐに理解できるはずだが』という沖縄の在り方が今後も続けられるなら、沖縄が傷つけているものは決して‘本土’だけではなく、切り離すことのできない日本の一部である沖縄そのものなのではないだろうか。この本にはそういう視点がある。
![]() | 兵隊先生 沖縄戦、ある敗残兵の記録 (2012/03/16) 松本 仁一 商品詳細を見る |
「なぜこんな無謀な戦争を始めたのか」というセリフが、この物語の主人公の言葉として語られている。このセリフの背景には少なくとも、‘戦う必要のない戦争だった’という心情がある。果たしてそうか。この戦争に突入する世界の状況、ヨーロッパ諸国の状況、アメリカの狙いといったものが、いま徐々に研究の対象になりつつある。無謀な状況に日本を追い込んだのは世界だ。
「なぜこんな無謀な戦争を始めたのか。」少なくとも、このことは日本にだけ向けられて済む問ではない。でなければ、沖縄はどこへも進めない。
![]() | 『新・沖縄ノート―誰も語れなかった沖縄の真実』 惠隆之介 (2011/12/21) 惠 隆之介 商品詳細を見る |

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