めんどくせぇことばかり 『倒壊する巨塔―アルカイダと「9・11」への道』 ローレンス・ライト
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『倒壊する巨塔―アルカイダと「9・11」への道』 ローレンス・ライト

倒壊する巨塔〈上〉―アルカイダと「9・11」への道倒壊する巨塔〈上〉―アルカイダと「9・11」への道
(2009/08)
ローレンス ライト

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(2009/08)
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この本を読んだのは、曽野綾子さんの『働きたくない者は、食べてはならない』の中で紹介されていたからでした。そう大きな期待を持って読んだわけではありません。‘9・11’から、対テロ戦争としてはじめられた‘アフガニスタン紛争’、さらにイラク戦争とその泥沼。2011年のチュニジア・ジャスミン革命に始まり、エジプトの革命までは‘アラブの春’と呼んでよかったかもしれないが、この動きはその後、リビアに伝わり、独裁者の執拗な抵抗によって大規模な内乱となる。‘春’のイメージからは程遠い事態になってしまった。石油利権をめぐってか、リビアにはフランスが御執心で、この内戦に積極的にかかわったことで何とか独裁政権崩壊にこぎつけたが、シリアはさらにひどい。中露がシリア制裁に拒否権を発動していることもあり、なかなか国際社会が手を入れられない。経済も低迷しており、欧米からの積極性も見えない。シリア国軍とは、もはや‘国民を殺す軍’になり果てた。

イスラムはどこへ行こうとしているのか。‘9・11’から大きく変わったはずである。だから、多くの人が‘9・11’への理解を深めたいと考えている。私もそうだ。しかしなんと‘イスラム’は遠いことか。‘アルカイダ’とは、それ以前のイスラム主義集団と何が違うのか。PLOや、ヒズボラとは何が違うのか。ウサマ・ビンラディンとは何者か、ホメイニみたいな人物か?何を主張しているのか。なんでそんな奴の登場を許したのか。困ったことに、とっかかりが見つからない。手のつけようがない。

そう思いつつ、あきらめ加減に‘いずれ’と思っているところで、曽野綾子さんの『働きたくない者は、食べてはならない』の中に、この本の紹介を読んだ。先ほども書いたが、最初から大きな期待を抱いて読んだわけではない。それだけに、衝撃は大きかった。

感情的な文言は皆無といっていいだろう。緻密な調査で得た情報が淡々と、まるでフィクションであるかのように書かれている。上巻では、主にイスラム主義の系譜の中に、ウサマ・ビンラディンがどのように位置づけられているか。特に、アラビア世界をリードしてきたエジプトとサウジアラビアの中で、どのように位置づけられるか。そして、彼がどのようにしてアフガニスタンに関わっていったか。下巻では、アメリカの情報組織がどのように彼に肉薄していったかが語られる。ウサマのスーダンでの生活がどのようなものであったか。さらにアフガニスタンでのタリバンの政権掌握と、タリバン政下のアフガニスタンが唯一、ウサマ・ビンラディンの安住の地となること。そして迎える、2001年9月11日。
感じさせられるのは、その戦いが中東戦争と呼ばれた頃の戦いの焦点であった“パレスチナ”が置き去りにされていること。根底に“パレスチナ”が存在するのは変わらなくとも、サダト以降、徐々にその対立の焦点はずらされてきた。誰よりもイスラムの人々が、無意識化にそれを知っていた。彼らは、彼ら自身が気づいているかどうかは別として、実はパレスチナを理由として戦ってはいない。もはや戦いは、パレスチナから離陸してしまったといったほうがいいだろうか、この本を読んで私にはそう思えたし、それによってイスラム、アラブに対する理解は深まった。と、いま私は感じているのだが。

ジャスミン革命は、あきらかに新し動きだ。それは9・11におけるようなイスラム主義者の活動への絶望から始まり、9・11以上にサダト以後のアラブの権力を効果的に破壊しつつある。しかし、リビアは大規模な内戦を引き起こし、シリアの先はいまだに見えてこない。もちろん、パレスチナなんか棚上げ状態だ。


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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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