めんどくせぇことばかり 『幕末外交と開国』 加藤祐三
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『幕末外交と開国』 加藤祐三

幕末外交と開国 (講談社学術文庫)幕末外交と開国 (講談社学術文庫)
(2012/09/11)
加藤 祐三

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無能無策な幕府が黒船の“軍事的圧力”に屈したという「日本史の常識」を検証

『無能無策な幕府が、黒船の「軍事的圧力」に屈し、不平等条約を強いられたという「日本史の常識」を検証する』という意味合いから考えれば本書の目的は十分に達成されている。しかし、高校日本史教科書をみると、多少、著者の懸念は残っているように思える。
実教出版「日本史B新訂版」
【日本の開国】
 アメリカは日本を、対清貿易の中継地や捕鯨船の補給地に利用しようと考えた。このためアメリカは東インド艦隊を再度日本に派遣して開国を求めた。ペリーを司令長官とし、蒸気船を含む4隻の艦隊は、1853(嘉永6)年6月、琉球を経て浦賀に来航した。老中阿部正弘を中心とする幕府は、開国を求めるアメリカ大統領フィルモアの国書を受け取り、翌年の返答を約束して帰国させた。・・・・翌1854(嘉永7)年1月、ペリーはふたたび来航し、厳しく回答を求めたので、幕府は、ついに日米和親条約(神奈川条約)に調印した。・・・

阿部正弘体制のもとに幕府は体制の立て直しを進め、特に外交には大きな変化が見られたことへの評価がない。著者の言うように『最初の対話で発砲交戦を避けることができた』ことへの評価も皆無である。朝鮮においては、江華島事件の前段階における使者の門前払いもそうだが、日本より先に朝鮮に接触したアメリカ、フランスがともに発砲、交戦に至ったことを重大に考えるべきである。阿部正弘体制のもとに、「避戦」の基軸に据えた‘交渉外交’が行われたことは、もっと評価されていい。

アヘン戦争以来、舵を大きく切り、新たな事態に対応するための改革を行っていった幕府のあり方。さらに実際のペリーとの交渉と、交渉による条約の締結は、確かにもっと評価されていい。それは、『黒船に恐れをなし、屈辱的な条約を強いられたのではない。幕府による日本最初の本格的外交が平和裏の開国をもたらしたのである』と、‘学術文庫版あとがき’に著者の弁があるが、その通りだと思う。ただし、この段階までは・・・

ただし、その後の「修好通商条約」の締結と、そこに至るハリスとの交渉に関してはそれではすまない。この間、阿部正弘が亡くなり、井伊直弼体制のもとに条約調印となるが、そこには阿部体制時代の新たな時代に積極的に挑む姿勢が感じられなくなる。‘阿部体制であったなら’と考えるのは未知の領域であるが、仮にそう考えたにしても、万全の態勢が整っていたわけではない。アヘン戦争から13年、開国を勧告するオランダ国王の国書から9年がたっている。この間、幕府はオランダを通して様々なことを学ぶこともできたはずである。開国、通商関係の構築がいかに不可避であるか。それへ向けての通貨問題、言語問題等々、さまざまに学ぶべきことはあったはずであるが、それはされていない。ジョン万次郎の通訳への起用さえ実現しない。もしもそれが行われていれば、‘修好通商条約’と言わず、‘和親条約’の段階で、より良質の立ち回りができたはずである。

もしも、それが幕藩体制ゆえの限界であったのなら、やはり幕府は倒れざるを得なかったと言うべきである。ハリスにより失われたものは、限りなく大きい。ハリスは倒幕の最大の功労者と言ってもいいだろう。 それだけ幕府にとっては決定的な痛手となった。もちろん、その後の日本にとっても・・・。

『ペリー』 佐藤賢一
マッカーサー ミズーリ号上演説
ペリー提督日本遠征日記 『逆説の日本史 18 幕末年代史編1』

 
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テーマ : 歴史
ジャンル : 政治・経済

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本












































































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