めんどくせぇことばかり 『小説フランス革命Ⅷ 共和政の樹立』 佐藤賢一
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『小説フランス革命Ⅷ 共和政の樹立』 佐藤賢一

『小説フランス革命Ⅷ 共和政の樹立』 佐藤賢一『小説フランス革命Ⅷ 共和政の樹立』 佐藤賢一
(2012/09/26)
佐藤 賢一

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ミラボー亡き後、羅針盤をなくした船のように迷走する革命。入り乱れる各派の思惑を引きちぎるように革命に進路を与えたのはダントン。しかし、ミラボーのように革命を操ることはできなかった。


第八巻は、八月十日事件に始まり、タンプル宮への幽閉、裁判を通して王の処刑までのお話。筆者の筆で血肉を与えられた世界は、教科書や資料からでは分からないその時代の音、色、匂いまでも感じさせる。

8月10日事件
一七九二年夏のパリに響くラ・マルセイエーズの歌声。

八月十日のテュイルリー宮殿前庭に轟く銃声、砲声。たちこめる煙と硝煙の匂い。

槍先にさしたランバル大公妃の首をかかげてタンプル塔に押し寄せる暴徒の嬌声。

アベイ監獄において遂行された、人民裁判という名のリンチで処刑された王党派、宣誓拒否僧の亡骸。

撲殺され、裸に剥かれて、首を引きちぎられた貴族の女。

路上にまで流れ出る血。踏みつけられて撒き散らかされた血痕。生臭い匂い。

血を求める国民公会の喧騒。怒号。

タンプル宮で、初めて訪れる家族の安らぎ。睦み合う夫婦。

処刑場の熱狂。純粋な興奮。断頭台の静寂。

刃の落下する無機質な音。骨を断つ音。飛び散る血しぶき。

ルイ16世処刑

小説を読んで事実を知った気になるのは大きな間違いだが、想像力による臨場感なくして歴史は理解し得ない。

ミラボーを失って、革命は迷走する。各派の思惑が入り乱れ、フランスは針路を失う。さらに周辺国の干渉により国家としての危機に陥る。追い詰められた感情が、革命を先鋭化させる。立役者になるのがダントン。八月十日事件が始まる。

しかし、革命に深化により流れにのったのは観念的理論派のロベスピエールだった。観念性が暴徒の行動に理論を与えた。機に乗じるロベスピエール。革命は、世間を知らない観念論者の手に委ねられ、まだ見ぬ世界を夢想する。パリの大地はルイ十六世の血を飲み込み、名実ともに共和制の時代へと足を踏み入れる。

しかし、革命の“のど”は、それだけの血を吸い込みながら、いまだに潤されることはなかった。革命はもっと血を欲しがっていた。

それはまた次のお話。


『小説フランス革命Ⅶ ジロンド派の興亡』 佐藤賢一

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テーマ : 歴史・時代小説
ジャンル : 本・雑誌

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コメント有難う御座いました!

なんて難しい><
拙者の脳ミソでは・・・・

勉強になります☆

凄くリアルですね。引きこまれました。
机上で学んで感じ取れなかった強い緊張感があります。
このように学ばせて戴くと、
(フランス革命そのものもそうですし
革命後の共和政体期の短かったこと
またその後、第一帝政、王政復古、第ニ帝政とセダンの戦いの帝政崩壊まで
君主制が続いたんですよね・・そして漸く第三期の共和制が樹立後に起きた
革命政府パリ・コミューンの哀しみの”血の一週間”など)
総体的に深く、真摯に歴史に向き合えるように思います。
こちらには興味深い記事が多くて訪問させて戴くのが楽しみです。

Re: 勉強になります☆

コメントありがとうございます。

佐藤賢一さんはとても上手で、大好きな作家さんです。
1968年生まれで、まだまだお若いし、これからどんな話を読ませてくれるか、とても楽しみです。
もちろん、「小説フランス革命」の続きも・・・

ありがとうございました



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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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