めんどくせぇことばかり 『歴史でたどる領土問題の真実 中韓露にどこまで言えるのか』 保阪正康
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『歴史でたどる領土問題の真実 中韓露にどこまで言えるのか』 保阪正康

『歴史でたどる領土問題の真実 中韓露にどこまで言えるのか』 保阪正康『歴史でたどる領土問題の真実 中韓露にどこまで言えるのか』 保阪正康
(2011/08/10)
保阪 正康

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日本が抱える三つの領土問題は、「その解決に、三国に対して共通の方程式はない」との立場を、国民のだれもがまず固める必要がある。
                        ミィ6
最近、よく領土問題に関する本を見かけるようになった。この本はそれらの中でも少し違った視点を提供してくれている。

昭和前期までの大日本帝国軍の力を背景にした「近代日本の領土拡充史」と、それを背景にした日本人の領土観に言及している点である。それらを前提にして敗戦があり、昭和前期までの領土空間の崩壊があると、本書は語る。その崩壊の過程、崩壊からの日本国際構築の過程で、三つの領土問題が浮かび上がるという考え方と、この本を読んで私はとらえた。

昭和前期までの領土空間の崩壊の過程で、ソ連(ロシア)との領土問題が発生する。また、占領終了間際に行われた李承晩ラインの設定により、韓国との領土問題が発生。韓国は1905年の竹島の正式な日本編入と、韓国の保護国化、併合史をリンクさせてきた。さらに支那は、尖閣周辺の海底資源の可能性が明らかになるや、その領有権を主張してきた。おりしも沖縄の本土復帰の時期と重なった。
北方領土
それぞれ背景が全く違うのだ。本書ではロシア、韓国、支那との領土問題を、それぞれ『歴史』、『条約』、『資源』というキーワードで説明している。
竹島
ロシアとの問題は歴史が土台にある。歴史認識を共有し、外交を加えて解決されなければならないとする。韓国の問題は条約が基底にある。第二次日韓協約、併合条約、サンフランシスコ講和条約で竹島がどのように位置づけられているか。条文の解釈自体が重要と主張する。支那との問題は、その周辺に存在するとされている資源についての理解を持ちながらの外交が必要であるという。これらのことに関する日本国民の意識、そして理論化が重要な意味を持ち、それなくして解決への道は開かれないというのが本書の主張である。
尖閣諸島
偏狭な、底の浅いナショナリズムへの警告の意味もあるだろう。日本がロシア、韓国、支那といった世界でも個性の強さでは名の知れた国々と領土をめぐる駆け引きをするなら「日本固有の領土」などといった通りいっぺんの決まり文句ではどうにもならないと言っているのだ。確かにその通り、それこそ‘強固なまでの理論武装’を個々の日本人が持つ必要さえあるだろう。

管直人元首相が竹島問題をめぐって使った「日本固有の領土」という言葉には、本書でも取り上げられているが、限りない危うさが感じられる。そもそも領有問題が生じる領土は‘微妙な辺境’にあるのが常であり、主権国家意識が生まれる前においては、その都度の力関係においてやり取りされてきた。そこには「固有の領土」意識などは、存在する余地すらない。仮に、「固有の領土」などという言葉で、歴史的根拠を主張したり、政治的駆け引きをする面倒を省略しようとするなら、日本は間違いなく、その軽率さのしっぺ返しを食らうことになるだろう。
 

『教科書が教えてくれない 日本の領土の歴史 (歴史探訪シリーズ 08・晋遊舎ムック)』

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テーマ : 領土・領海・・経済水域
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こんばんは

領有権問題は奥が深いですね・・
ルーツを辿ってみた処で答えが見出せる類の
ものではありませんものね・・
『歴史』、『条約』、『資源』がキーワードになるというのは
理解できるような気がします。
そして政治的思惑や、国際法etc・・
バイアスのかかった歴史教育を強いてきたところと
冷静で論理的な対話が成り立つとも思えませんが
日本人はもう少し真摯にこうした問題にも
向き合うべきなのだろうとは思います・・。

No title

北方領土・竹島・尖閣
この問題がキチンと解決すると良いのですが。
様々な要因を考えると・・・解決出来ると思えないですが。
せめて国内外に日本固有の領土である事を発信してもらいたいです。
が・・・余計に揉めるかな^^;

No title

あ、これ読みました。偶然ですね。
イーグルさんの書評と、自分の書いたブログ内容を比較すると。
自分のは幼稚で恥ずかしくなりましたが。
しかし、本読んでの感想はそれぞれ。
自分は「なんか領土問題が明らかになってないのはアメリカの思惑が強いな」
と感じました。
アジアが平和になったら困るんでしょうね。
そういう外交の駆け引きにも、日本は未熟すぎて心配になります。

コメントありがとうございます

コメントをいただき感謝します。

「固有の領土」という主張は、愛国心に裏打ちされた強い主張のように感じられますが、一言返されればあとは怒りをあらわに顔を真っ赤にするしかなくなりますよね。

所詮は領土問題に簡単な解決方法なんてないということを前提に、そこが自国領であることの理論武装をしっかりして、後世に受け継がせていくことが必要なんでしょうね。

ありがとうございました



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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本












































































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