『愛される国日本』 日本戦略研究フォーラム
![]() | 『愛される国 日本』 (2012/10/25) 日本戦略研究フォーラム 商品詳細を見る ~外交官に託された親日国からのメッセージを今すべての国民に贈る~ |

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各界の叡智を結集し、21世紀前半におけるわが国の安全と繁栄のための国家戦略確立に資するべく、国際政治戦略、国際経済戦略、軍事戦略及び科学技術戦略研究を重点的に行うと共に、その研究によって導き出された戦略遂行のため、現行憲法、その他法体系の是正をはじめ、国内体制整備の案件についても提言したい。
という、ありがたい方々だ。
少しいい方が皮肉っぽくなってしまった。私のひねた感情は、この団体の初代会長瀬島龍三氏に向けられたもの。噂や疑惑の絶えない人物であることはともかく、大本営作戦参謀として多くの日本兵を無謀な戦場に送り込んだ。それだけで十分。平気で戦後世界に顔を晒す根性は、私には理解できない。


瀬島氏の話はやめにして、この本のこと。初代会長はともかく、こういった本が出版されることは大事なことだと思う。支那や韓国の当局や報道が、日本がアジアに混乱をもたらしているといった妄言を繰り返しますが、それは彼の国からの“為にする”論であって、世界には日本に好感を持っている国家が少なくない。この本が教えてくれた大切なことは、日本はそれらの国からの好意を十分に生かしきってない。場合によっては棒に振ってしまっているということだ。
この本で取り上げられている親日国は、台湾、トルコ、インド、タイ、ブラジル、ヴェトナム、ミャンマーの七カ国。それぞれの国と絆を築いた大使経験者が、それぞれの国々の親日の様子を教えてくれる。大事なのは“親日”にも違いがあるということだ。たとえばトルコは日本を理想化して好意を持っており、タイはそのままの日本人に好意を持っている。その違いによって、日本側からのアプローチも当然違ってくる。それぞれの国の親日感が、どのような歴史的過程や体験から形作られたものであるかを分析し、それぞれ違うつきあい方が求められる。
厳しい指摘もある。1988年以来、軍需政権下におかれたミャンマーは、欧米諸国からの非難の対象となり、様々な制裁を受けて締め付けられた。日本も欧米諸国に足並みをあわせてODAを抑制した。国の歩みは一様ではない。それも欧米の植民地状態の下で民族は分断され、国家の体裁を保つためには強権を必要とする場合もある。欧米諸国は自分たちの価値基準を押しつけた。日本もそれに同調した。「欧米の顔色をうかがうのではなく、日本独自の立場で」外交関係を気づかなければならない。
この本で取り上げられた七つの国の他にも、日本に好感を持つ国は多い。その一つ一つに違う“親日”がある。そういった国々の一つ一つの“親日”に、日本は誠意を持って応えていく道を歩まなければならない。
私には、初代会長瀬島龍三氏の生き方を認めることはできない。あの頃の参謀本部は高度に官僚化された組織で、まるで現在の日本が抱える官僚の問題の原点であるように思える。その吐き気を催すような無責任体質。日本戦略研究フォーラムには、是非、そういった官僚問題に乗り越える道を提言してもらいたい。
バングラデシュ国旗
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