『一生一途に』 竹浪正造
![]() | 『一生一途に』 竹浪正造 (2012/08/01) 竹浪 正造 商品詳細を見る ![]() 94歳正造じいちゃんの戦争体験記と57年間のまんが絵日記 |
著者、竹浪さんのまんが絵日記が世に出たきっかけは、テレビ朝日の人気番組「ナニコレ珍百景」なのだそうです。私も見たことがあります。息子が、この番組がおもしろいというので一緒に見たのですが、なんとこの素晴らし本が出版されるきっかけになったとは、侮れませんね。
著者、竹浪正造さんは大正7(1918)年生まれ。1918年といえば第一次世界大戦が終わり、パリ講和会議が開かれた年。対米・英戦のはじまる1941年には23歳となるわけですからまさしく大東亜戦争の主役たる年齢層といっていいでしょう。 まんが絵日記『一生一途に』の出版は、『はげまして はげまされて』に続く第二弾のようです。前作は読んでおりません。この『一生一途に』は、終戦にともない、夫妻が朝鮮から命からがら引き揚げてくる様子から始まります。この“引き揚げ”で、少なからぬ人たちが悲劇に見舞われた。しかもその時奥さんは、大きなお腹を抱えての逃避行だったそうである。・・・良かった。本当に・・・ この世代は、同時に戦後日本の経済復興を担った世代でもあります。まさしく、生き抜いているだけで激動の人生といっていいでしょう。生きてきたその事自体が劇的なのです。そして、そんな時代を支えあった奥さんの死。悲しみを乗り越えて、妻なくして生きる人生。
日本、いや、世界でも例を求めることが難しいあの時代を生き抜いてきた、そして戦後の日本を背負ってきた竹浪さん等、その世代に人達の目には、今の日本は一体どう写っているのだろう。

- 関連記事