めんどくせぇことばかり 家康が統治の手本とした英雄 『李世民(上)玄武篇』 塚本青史
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家康が統治の手本とした英雄 『李世民(上)玄武篇』 塚本青史

李世民(上)玄武篇李世民(上)玄武篇
(2012/12/26)
塚本 青史

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“世の民”のため・・・、それで“世民”か。考えてなかったな。その言行をまとめた『貞観政要』は、家康も統治の手本にしたという。370年の太平の基を築いた太宗李世民、上巻は李世民が皇太子の兄とそれに与する弟を玄武門で倒すまで・・・。

漢が弱体化して黄巾の乱が始まったあたりから、支那大陸は長い混乱期に突入する。魏・呉・蜀の三国時代から晋王朝による統一を見るが、この時代も混乱期の一様相と捉えていいだろう。北方からの異民族の侵入に持ちこたえられなくなった晋は滅び、南部に東晋を再興する。しかし、もはや漢民族が支那全体の主役になることはない。宋・斉・梁・陳と続く漢民族の王朝も南部で攻防を繰り返すのみであった。

“五胡十六国”・・・その名称からも激しい時代であったことが分かる。匈奴、鮮卑、羯、氐、羌といった、民族入り乱れての興亡。そこから力をつけてくるのが鮮卑である。モンゴル系民族であるということだが、漢王朝の時に南下し、その混乱に乗じて自立し、支那の文明を受け入れつつ新たな大陸の主役となっていく。

鮮卑拓跋氏の北魏がが華北を統一しいくつかの王朝が交代して隋が登場する。この隋が南朝の陳を滅ぼして支那を統一するのが589年である。隋の二代皇帝煬帝こそが、本書に登場する“隋の皇帝広”である。著者、塚本青史氏は、以前に『煬帝』を書いている。
 

面白いのだが、煬帝こと楊広の青年期までの様子と李世民は、理性的で、一歩下がって人間を見るあたり、かなりの部分で重なるのだ。本文の中でも“同じようにひねた子”と書かれている。実際、楊広も李世民同様に颯爽としていた。人柄が、人を招き寄せる。乱世にあって、これこそが徳はないだろう。李世民にはそれがあった。また、一時期の楊広にも・・・。
李世民1長孫無忌、李孝恭、杜如晦、魏徴、房玄齢、高士廉、尉遅恭、李靖、蕭瑀、段志玄、劉弘基、屈突通、殷嶠、柴紹、長孫順徳、張亮、侯君集、張公謹、程知節、虞世南、劉政会、唐倹、李勣、秦瓊・・・

李世民の“二十四功臣”と言われる者たちだ。“裏切らない”・・・そんな李世民の徳を慕って彼のもとに集まった者達である。彼らが、李世民の統治の支えとなった。

本書、上巻では、そんな李世民が世にでる様子と、李淵を炊きつけて挙兵させ、“唐”が建国されていく様子が描かれる。後半は皇太子である兄李建成、弟李元吉との確執が、玄武門の変に向かう様子が、緊張感を持って描かれる。もう、ドキドキもの。

さて、兄に代わって皇太子の地位についた李世民。似たもの同士の楊広は、やがて我を失い、楊氏の王朝を道連れに無様に死んだ。李世民はいったいどうなるのか。違う道を歩むとすれば、その原因はいったい何なのか。下巻が楽しみだ。

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テーマ : 歴史・時代小説
ジャンル : 本・雑誌

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No title

李世民は、たぶん中国の歴代皇帝人気ランキングをすれば、地元の中国でも1位なんでしょうね。だいたい平民から成り上がった皇帝は、権力を持つようになって、ダメになっていくパターンですけど。李世民は、皇帝になってからも、上々の出来で珍しい皇帝な印象を受けます。ただ、個人的にはなんとなくリアリスト過ぎて、好きになれないですかね。

Re: No title

‘雑多と混沌’からなる支那を統一支配するとき、どうしても皇帝という個人は観念化せざるを得ないと思うんです。観念化された自分と現実のはざまで、おそらく煬帝は自己を保つことができなくなったのではないか。李世民が煬帝と同じ道を歩むことなく‘貞観の治’と呼ばれる統治を継続できたのは、仰る通り‘リアリスト過ぎ’た点にあるのではないか。煬帝が李世民のようになれなかったのは、なまじの‘リアリスト’だったからではないのか。下巻でそのあたりがどう描かれるのか楽しみです。

もう刊行されているのですが、その前に手に入れてしまった本がたまっておりまして・・・

ありがとうございました



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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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