めんどくせぇことばかり 暦と宗教 『小説フランス革命 X 粛清の嵐』
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暦と宗教 『小説フランス革命 X 粛清の嵐』

暦とは時間の流れを自然原則に沿って管理する体系で、社会的集団の合意のもと政治的に成立し、宗教的裏づけにより補強されたイデオロギーである。日本は明治五年十二月三日を明治六年一月一日としてグレゴリウス暦に移行し、以後、これを西暦と呼んでいる。言わずもがなだが、西暦はイエス生誕の翌年を期限とした暦であるわけで、本来、日本人という社会的集団の生活様式、あるいは宗教生活を前提としたものではない。それが‘文明開化’だったと考えるしかないが、捨て去ったものは大きい。
睦月新年を親しい人たちと睦みあう
如月暖かくなったとはいってもまだまだうすら寒い日もある頃、服を重ね着すること。「衣更着」から
弥生「風雨改まりて、草木いよいよ生ふるゆえに、いやおひ月といふを謝まれり」より
卯月卯の花の咲く頃
皐月「五 月雨月」、「早苗月」の略等との説
水無月水不足がささやかれ始める月
文月一般には「文披月」から。七夕のために貸す文をひらく
葉月木の葉のもみぢて落つるゆえに、葉落ち月
長月語源は夜が長くなるので 「夜長月」、あるいは雨が長く降るので「長雨月」
神無月俗説に諸国の神様が出雲に集まり不在になるので神無月。「神の月」の意も
霜月霜降りの月
師走師(僧侶)が忙しく走り回るところから派生したとされる
意味を思えば、どうしてもひと月ずれている。それにともなって、節句も祭りも本来の意味を失いがち。かえすがえすも、失ったものはあまりにも大きい。西暦を返上しろとは言わないが、それでも旧暦を取り戻すことは可能だろう。

ちょっと、暦について考えてみたのは、他でもない。『小説フランス革命』の中で革命暦、共和暦が出てきたからだ。
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(2013/03/26)
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カミーユ・デムーラン、ジョルジュ・ダントン、マクシミリアン・ロベスピエール・・・革命初期を知る者の多くは死に、ついに三人になった。
ヴァンデミエール(葡萄月)ブリュメール(霧月)フリメール(霜月)ニヴォーズ(雪月)ブリュヴィオーズ(雨月)ヴァントーズ(風月)
ジェルミナル(芽月)フロレアル(花月)プレリアル(牧草月)メスィドール(収穫月)テルミドール(熱月)フリュクティドール(果実月)
『だったら、なんで暦を変えちまったんだよ』
それについては、議席も反論できなかった。グレゴリウス暦は悪習でしかないとして、共和政が開始された一七九二年九月二十二日に始まる革命暦もしくは共和暦の採用を、今年十月五日に決めたからだ。すでに部分的には、キリスト教を否定してしまっているのだ。
本書に登場する一節である。この時フランスは、確かに「イエス紀元」を“悪習”と呼んで捨てたのだ。しかし、千年をはるかに超えて神を崇めてきた人の世は、そうは簡単に変われない。神は、他の何者かに置き換えられるだけのことだ。崇高なる高みにある神は、最も大きな力に置き換えられた。政治の舞台である議場こそが神聖なる神殿となった。ソ連でも、Chinaでも、北鮮でも、ベトナムでも、キューバでも。

この本の中で、ジャック・ルネ・エベールに与えられたセリフは象徴的である。
神さまなんかいらねえ。かわりに理性があればいい。聖人なんかいらねえ。かわりに聖マラ、聖ルペルティエ・ドゥ・サン・ファルジョー、聖シャリエと、革命の殉死者たちがいる。龍を退治する天使もいらねえ。聖断頭台さまがいるんだ。
まさしくその通り。断頭台こそが力。断頭台こそが天使となったのだ。暦を捨てたことこそが、実は決定的な変化だった。適応できるという判断は、人間の過信だった。

日本も同じだ。私たちは、私たちに適した生活様式が必要である。私たちの宗教生活に適した暦によって生きることが、自分を見失わない最良の策の一つである。世界に開かれた時代であっても、使い分けはできる。私たちは、私たちにあった暦による生活を取り戻すことにより、より豊かな時間を過ごすことができるはずだ。

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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