めんどくせぇことばかり 『津波救国──〈稲むらの火〉浜口梧陵伝』 大下英治
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『津波救国──〈稲むらの火〉浜口梧陵伝』 大下英治

津波
紀伊国有田郡広村を襲った津波は六メートルの高さだったという。それを考えれば、2011.3.11に東北を襲った津波はあまりにも巨大である。でも、“東北”という広い範囲にわたって、無数の浜口梧陵がいたことも、また事実。防災無線で避難を呼びかけ続けた女性。危険を犯して水門を閉じに行った消防団員。逃げ惑う車の整理を続けた警察官。多くの人達が“公”を貫いて命を落とした。親を、子を、家族を、友人を救い出すために、危険の中に見を晒したひとり一人の人たち。その後始まる救援の中でも、自分を顧みずに被災者のためを図る自衛隊員、最悪の事態を防ぐため、命を投げ出したに等しい東電職員、止むに止まれず東北に向かったボランティアの人達。

なんと、人のために立ちたい人の多いことか。

『津波救国──〈稲むらの火〉浜口梧陵伝』 大下英治『津波救国──〈稲むらの火〉浜口梧陵伝』 大下英治
(2013/03/29)
大下 英治

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安政元年の南海大地震で「稲むらの火」を掲げて村民を津波から救済

安政元(一八五四)年十一月四日午前十時過ぎ、紀州広村は強い地震に見舞われた。揺れがおさまったあと、浜口梧陵は海岸に向かった。海の様子をみるためである。言い伝えでは、大地震のあとには、しばしば大津波が寄せ来ることがあるという。波の動きが尋常ではない。梧陵は行き会う人ごとに声をかけ、高台への避難を呼びかけた。しかしこの日、津波はやって来なかった。翌朝、村人の多くはそれぞれの家に引き上げた。

その日の午後四時、ふたたび地震が発生した。前日のものとは比べ物にならないほどの大地震となった。安政の南海大地震である。現在、その地震の強さは、マグニチュード八.四と推定されている。揺れは、三度、四度に及んだ。梧陵は家族に避難を促し、海へ向かった。地がさけ、水が吹き出すところもあった。脆い家は崩れ、けが人も出ている。梧陵はむらを走り回り、避難を呼びかけた。

「津波だー❢」

この時の津波は、最高で六メートルあったとされている。梧陵自身、逃げに逃げた。途中、波に飲まれたが、かろうじて小高い丘に流れ着き、ようやく命拾いした。悲惨な状況があたりを覆い尽くしていた。災難を逃れて高台の八幡神社に逃れた者たちも、今や悲鳴を上げて、親を尋ね、子を探し、兄弟を互いに呼び合っている。

午後六時、広村は、第二波、第三波の津波に襲われていた。暗さが逃げる村人の進路を奪い、方角を失った者たちを波が飲み込んでいく。

梧陵はとっさに周りの者たちに命じた。「むらのすべての稲むらに火を放て」

高台にてんてんと広がるすべての稲むらに、火が放たれた。闇の中で、どちらに向かえばいいかわからずさまよっていた人々が、それらの稲むらの火を頼りにして高台に駆け上り、なん人もの命が救われた。その少しあと、一層大きな波が村を襲っていた。

波濤の襲来は、前後四回に及んだが、最後の一波が最大であったという。濱口梧陵の判断が多くの人々を“生”へと導いた。

   

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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