めんどくせぇことばかり 『シェイクスピアの人間学』 小田島雄志
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『シェイクスピアの人間学』 小田島雄志

読書好きの少年だった中二の頃、『ベニスの商人』を読んで“ワルモノ”シャイロックがやり込められて「スカッ」とした私は、同じく読書好きな同じクラスの女の子に面白い本を聞かれてこの本を紹介した。多感だったあの頃の教室の真ん中で、私はその女の子から大きな声で質問された。「ねぇねぇ、★★君、ペニスってなんのこと?」
・・・
極めて印象深い物語だ。

ヴェニスの商人…あらすじ

バッサニオはポーシャに一目惚れし、どうしても求婚したいのだが、如何せん先立つものがない。親友のアントニオに借りに行くが、彼もちょうどまとまった金がない。アントニオはバッサニオのために金貸しシャイロックのところへ金を借りに行く。万が一返済不能の場合は胸の肉1ポンド切り取らせるという条件でアントニオは金を借りた。

そのアントニオの不幸を告げる手紙が届けられる。アントニオの船がすべて沈没し、借金の返済ができず、シャイロックから訴えられたのだ。シャイロックはにくらしいアントニオをやっつける千載一遇のチャンスに小躍りした。

バッサニオの愛を受け入れたポーシャは知り合いの裁判官と相談し、夫の親友の危機を救うため、裁判官に変装して法廷に乗り込むが、シャイロックの証文を盾にとった法廷闘争には一点のスキもない。アントーニオ危うし。だが、ポーシャは切り札を隠していた。証文を盾に主張を曲げないシャイロックに対して、ポーシャも証文を盾に攻め立てた。

「肉を切り取るのはよいが、血は一滴も流してはならぬ。この証文には肉1ポンドとのみ書いてある。血を流してよいとはどこにも書いてない。」

こうして、勝訴したアントニオのもとに、船の難破はすべて間違いだったという知らせが入り、めでたく幕を閉じる。

シェイクスピアの人間学シェイクスピアの人間学
(2007/04)
小田島 雄志

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小田島雄志氏がシャイロックについてどう見ているか、興味があって読んでみた
シェイクスピアの全戯曲を翻訳したという著者によれば、シェイクスピアは“王だろうが、市民だろうが、庭師だろうが、台詞を言っている時は世界の中心にいるのです。主人公意識を持って台詞を行っています”ということになるのだそうで、以下、シャイロックがアントーニオへの恨みの台詞をアントーニオの友人たちにぶつける場面。
ユダヤ人には目がないのか?手がないか?五臓六腑が、四肢五体が、感覚、感情、情熱がないとでも言うのか?キリスト教徒とどこが違う、同じ食い物を食い、同じ刃物で傷つき、同じ病気にかかり、同じ薬で治り、同じ冬の寒さ、夏の暑さを感じたりしないとでも言うのか?針を刺しても血が出ない、くすぐっても笑わない、毒を飲ましても死なないとでも言うのか?だから俺たちは、ひどい目にあわされても復讐しちゃあいかんとでも言うのか?
いやいや、立派な主役さながらの台詞。確かにただの敵役とは言い切れないところは、こういうところから来るんだな。なんといっても『ヴェニスの商人』といえば、一番印象に残るのはなんといってもシャイロック。“なんでシャイロックはアントーニオにこんな意地悪を言うんだ”っていうのは、ユダヤ人差別の背景なんてなんにも知らない中二の時にこの話を読んで、一番に疑問に思ったところ。主役といえば“イイモノ”としか思っていなかったから、シャイロックはやっぱり“ワルモノ”。でも、アントーニオもポーシャも忘れても、シャイロックのことだけは忘れなかった。
シャイロックの時代のイギリスには反ユダヤ感情が渦巻いていました。もとをたどれば、一二九〇年にエドワード一世が発布したユダヤ人追放令が生きていて、ロンドンにユダヤ人は、いわゆる非合法で住んでいた。正業につけない彼らの多くが人から嫌われる金貸し業を営んでいました。当時のイギリス人は、金が利子を生むことを罪として否定しながら、やむなく彼らから金を借りることもあり、その罪悪感が屈折して反ユダヤの感情に転嫁していきました。
ということになるなら、ユダヤ人こそがいい面の皮だったわけだ。シェイクスピアはひとえに“ワルモノ”ユダヤ人のシャイロックが、最後には“イイモノ”キリスト教徒にやり込められる話を書いたわけだ。ところが、“一万人の心を持つ”というシェイクスピアがたんに、その時代の人々の共感できる“心”を描けば、シャイロックこそが作中人物でもっとも印象深くなるのは当然の事だった。シェイクスピアは、彼の意図を超えて、「ユダヤ人の悲劇」を描いていたということか。
   

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本






















































































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