左翼ジャーナリストが使うひどい言葉 『国境の島の「反日」教科書キャンペーン』 仲新城 誠
2011年から2012年にかけて、八重山が日本全体の注目を浴びた。最初、問題の所在がどこにあるのか、私にははっきり分からなかった。要は、2011年の9月、正規の手続きで決定された育鵬社版公民教科書に対して、八重山採択地区協議会内の一地区である竹富町教育委員会が反旗を翻して東京書籍版公民教科書を採択したことにはじまる。これ自体、大したことではない。非は竹富町教委にあり、しかるべき機関から指導が入り、竹富町教委がそれを撤回すれば済む話だ。ところが沖縄ではそうはならず、問題は複雑化した。
全国紙でも大々的に取り上げられるようになったのは、沖縄県教育委員会が竹富町教委の立場に立って仲裁に入り、育鵬社版公民教科書の‘逆転不採択’を決定したあたりからである。さらに裁定は文科省にも持ち込まれ、‘逆転不採択’を無効としたにもかかわらず、竹富町教委がそれを取り下げなかったこと。文科省が‘教科書無償配布’の枠外を認めて、独自予算による東京書籍版公民教科書に道を開く流れにつながっていく。この間、沖縄のマスメディアは一貫して育鵬社版公民教科書、ひいては育鵬社そのものと、それを採択しようとすること自体を取り上げて騒ぎ立て、沖縄ゆえのわがままを押し通して、‘教科書採択’、‘教科書無償配布’という制度そのものの土台を揺るがせることに、その力を発揮し続けた。
上記の本は、この顛末に関して大変わかりやすく、詳しく書かれている。さて、著者は現在八重山日報の編集長。八重山日報は石垣市、竹富町、与那国町で購読されるローカル紙で、発行部数は6000部。八重山地区における大手には八重山毎日新聞があり、1万4000部。「県紙」と呼ばれる沖縄全域をカバーする新聞は沖縄タイムスと琉球新報で、2社合わせて30万部。この出来事において、八重山毎日、沖縄タイムス、琉球新報は、八重山採択地区協議会が育鵬社版公民教科書の採択を決める前からその批判を始められた。批判は育鵬社版の採択を主導した石垣市教育長玉津博克はじめ、育鵬社版に手を上げた地区協議会メンバーへの個人攻撃も辞さない激しいものとなった。自らのイデオロギーのみを正義とする批判は、その対象を悪と決めつけるもので、個人攻撃を受けた者たちの人権を踏みにじることなど、正義のイデオロギーの前には少しも考慮されるところは感じられない。
日本への編入から沖縄戦、アメリカ軍政下から復帰後の米軍基地の居続けまで、一貫して被害者の立場を強調する沖縄民族主義こそが彼らの正義を支えるイデオロギーである。育鵬社版に書かれた“国境”の問題、つまり尖閣をめぐる支那、台湾との角質は、“日本国”としての問題であり、彼らのルサンチマンをエネルギー源とする民族主義からすれば、決して相容れることのできない存在でしかない。正義を背負ったジャーナリストは、全身全霊を込めて悪を叩く。本書に登場する、それらの言葉を紹介する。正義のジャーナリストと、正義の教育者の、正義の言葉の数々である。
両紙とも、育鵬社版が選定された直後、協議会の委員名を実名で報道した上で、誰がどの教科書に投票したのかを明らかにする記事さえ掲載した。
著者はいま、沖縄の教育界、言論界では少数派として苦戦を強いられている。彼の戦いの対象は、沖縄県教職員組合、地元マスコミを主体とする極左勢力による異常なまでの言論統制である。話題になった“教科書採択”に関わる問題は、沖縄における“言論統制”を全国に明らかにした点においても重要であった。それら極左勢力に、支那が盛んに働きかけている。

「沖縄ノート」と間違えないで。この『新・沖縄ノート』こそ、本当に沖縄のことを考えぬいた、沖縄人の書いた本だと思います。各章とも大変面白いが、第3章の「歴史のなかに見る沖縄の姿」が大変重要であると感じました。

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全国紙でも大々的に取り上げられるようになったのは、沖縄県教育委員会が竹富町教委の立場に立って仲裁に入り、育鵬社版公民教科書の‘逆転不採択’を決定したあたりからである。さらに裁定は文科省にも持ち込まれ、‘逆転不採択’を無効としたにもかかわらず、竹富町教委がそれを取り下げなかったこと。文科省が‘教科書無償配布’の枠外を認めて、独自予算による東京書籍版公民教科書に道を開く流れにつながっていく。この間、沖縄のマスメディアは一貫して育鵬社版公民教科書、ひいては育鵬社そのものと、それを採択しようとすること自体を取り上げて騒ぎ立て、沖縄ゆえのわがままを押し通して、‘教科書採択’、‘教科書無償配布’という制度そのものの土台を揺るがせることに、その力を発揮し続けた。
![]() | 『国境の島の「反日」教科書キャンペーン』 仲新城 誠 (2013/02/28) 仲新城 誠 商品詳細を見る 沖縄と八重山の無法イデオロギー |
上記の本は、この顛末に関して大変わかりやすく、詳しく書かれている。さて、著者は現在八重山日報の編集長。八重山日報は石垣市、竹富町、与那国町で購読されるローカル紙で、発行部数は6000部。八重山地区における大手には八重山毎日新聞があり、1万4000部。「県紙」と呼ばれる沖縄全域をカバーする新聞は沖縄タイムスと琉球新報で、2社合わせて30万部。この出来事において、八重山毎日、沖縄タイムス、琉球新報は、八重山採択地区協議会が育鵬社版公民教科書の採択を決める前からその批判を始められた。批判は育鵬社版の採択を主導した石垣市教育長玉津博克はじめ、育鵬社版に手を上げた地区協議会メンバーへの個人攻撃も辞さない激しいものとなった。自らのイデオロギーのみを正義とする批判は、その対象を悪と決めつけるもので、個人攻撃を受けた者たちの人権を踏みにじることなど、正義のイデオロギーの前には少しも考慮されるところは感じられない。
日本への編入から沖縄戦、アメリカ軍政下から復帰後の米軍基地の居続けまで、一貫して被害者の立場を強調する沖縄民族主義こそが彼らの正義を支えるイデオロギーである。育鵬社版に書かれた“国境”の問題、つまり尖閣をめぐる支那、台湾との角質は、“日本国”としての問題であり、彼らのルサンチマンをエネルギー源とする民族主義からすれば、決して相容れることのできない存在でしかない。正義を背負ったジャーナリストは、全身全霊を込めて悪を叩く。本書に登場する、それらの言葉を紹介する。正義のジャーナリストと、正義の教育者の、正義の言葉の数々である。
沖縄タイムス 連載『ゆれる「国境の学び」』 2011・8・1~
[改革は]『新しい歴史教科書をつくる会』系の自由社、育鵬社の選定を想定しているのではないかとの疑念が広がる。『愛国心』を強調する両社の歴史教科書では沖縄戦の『集団自決(強制集団死)』について日本軍の関与には触れていない。原因を米軍に求める記述がなされ、沖縄戦の実相からかけ離れている。 『教科書の岐路 八重山の選択』 石垣町教育長の玉津博克は、集団自決の体験者と面会した際、体験者の体験談を表情も変えずに聞いていた。 『八重山教員に危機感「戦争に向かわせる教科書」』(8・17第二社会面) 『教科書選定「憂慮」相次ぐ 退職教員ら4団体声名』(8・19一面トップ) 『史実歪曲 我慢ならん 「集団自決」体験の吉川さん』(8・20社会面トップ) 『杉並・横浜から八重山注視 市民団体、「偏った歴史観」に反対』(8・23第二社会面) 社説 2011・8・24
琉球新報 2011・8・16 [自由社、育鵬社の]教科書は、『愛国心』を強調し、沖縄戦の『強制集団死』(集団自決)への日本軍の関与に触れない記述を貫き、他の五社と一線を画す。こうした特定の教科書の採択を初めから意図した『改革』なのか 『生徒は大人の背中を見ている』 2011・9・1 肝心の子どもたちやその保護者が置き去りにされ、その教科書を選ぶかという教育の課題が政治・社会問題化している。 『八重山協は「意図的」選定で緊急アピール』(8・16一面) 『「史実を伝える教科書を」戦争体験者が訴え』(8・16社会面トップ) 『戦前回帰の教育懸念 現場意見無私を憂慮』(8・21社会面トップ) 『「軍隊の実態伝えて」 八重山教科書きょう選定』(8・23社会面トップ) 住民の会、沖教組八重山支部、沖縄県退職教職員会の抗議声明
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![]() | 『新・沖縄ノート―誰も語れなかった沖縄の真実』 惠隆之介 (2011/12/21) 惠 隆之介 商品詳細を見る |
「沖縄ノート」と間違えないで。この『新・沖縄ノート』こそ、本当に沖縄のことを考えぬいた、沖縄人の書いた本だと思います。各章とも大変面白いが、第3章の「歴史のなかに見る沖縄の姿」が大変重要であると感じました。


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