めんどくせぇことばかり 『東北・蝦夷の魂』 高橋克彦
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『東北・蝦夷の魂』 高橋克彦

高橋克彦の本を最初に読んだのは、やっぱり大河ドラマになった『炎立つ』が最初だったか?・・・いや、違うな。『火怨』を先に読んで、『炎立つ』に戻ったんだ。で、『風の陣』『天を衝く』の順番だな。大好きな作家。しかし、この本が出るまで、しばらくのあいだ書けなかったという。あの、東日本大震災以来。

そしてこの本が出来上がった事自体、高橋克彦の東北への思いが底流にある。出版社から声をかけられて、インタビュー形式で、上記の本には表しきれなかった思いや歴史を語ったもの。話は“東北人のコンプレックス”から始まる。
東北・蝦夷の魂東北・蝦夷の魂
(2013/03/15)
高橋克彦

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『風の陣』『火怨』『炎立つ』『天を衝く』の作者。大震災の後、一時、筆を置いた東北の作家が・・・

『大和』と書いて『ヤマト』と読む。このことに疑問をいだいた人がどれだけいるだろうか。あまりにも当たり前すぎて、それを疑問と感じることさえなかったと言ったところが大半では・・・。

なぜ祖先たちは、『日本』という名称を名のったのか。『日本』のもとになった「ヒノモト」。これも、本来は「ヒイノモト」、・・・。このくらいにしておきましょう。これから読む人に悪いから。

この二つの謎解き、なかなか興味深い。

さて、その謎解きとも関わって、“日本”という国がどうやって誕生していったのかが語られる。国譲りを強制された出雲こそ“和”である。“和”は畿内一円から追われ、九州にいついたものは“隼人”と呼ばれ、東北にいついたものは“蝦夷”と呼ばれるようになったという認識が底にある。“和”は“和”である前に、まず“輪”であり、この国に生きる者たちの精神のあり様を著した言葉であった。
東北は朝廷など中央政権に負け続けている。

阿弖流為が坂上田村麻呂に、安部貞任が源頼義に、平泉の藤原泰衡が源頼朝に、九戸政実が豊臣秀吉に、そして奥羽列藩同盟が明治新政府により賊軍とされた。

負けた側の歴史は抹殺される運命にある。五回も負けた東北の歴史はズタズタにされ残っていない。

しかし、東北にもずっと人の営みがあり、古代から現代まで歴史があった。

平成二十三年六月、かつて、奥州藤原時代の首府であった平泉の、世界遺産への登録が決まった。しかし、平泉は、前に一度、世界遺産への登録を逃している。著者は、世界文化遺産にふさわしいとして平泉が提示した『浄土思想を軸とする国造り』が受け入れられなかったという。確かに中世の、極東の、日本という国の片田舎に、“万人平等”を掲げた国造りをめざすリーダーが存在したこと。代替わりしながらも百年にわたって“万人平等”が目指されたこと、確実に実を結びつつあったことなど、簡単には受け入れられる話ではない。

著者は、“現世に浄土を招来しようと本気で努力したリーダーたちが千年前の東北にいた事など、理解してもらえるはずがない”と思っていたという。しかし、平泉は世界遺産に登録された。
自分が苦境にありながら他者を案じる優しさ。ともに手を携える温かな心。苦難に無言で絶える強さ。上も下もない平等のまなざし。あらゆる生き物に対する愛情。それらがメディアを通じて全世界に伝えられた。岩手、宮城、福島、ことごとくが清衡の拵えた平泉文化圏の中にある。世界は知ったに違いない。清衡の拵えた国は滅びたが、その心は今も変わらずその地に暮らす人々の胸の中に残されているのだ、と。
それを教えたのが、東日本大震災と大津波だった。その東北の“優しさ、温かさ、強さ”に、こんどこそ“中央政権”は応えましょう。
   

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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