安倍内閣は楽天のポチ? 『逆説の日本史 19 幕末年代史編2』 井沢元彦
産経ニュース 2013.6.7
信長の代表的政策に楽市、楽座、関所の撤廃がある。この政策が庶民に支持されたからこそ、信長は天下統一一歩手前まで行くことが出来たわけだが、では何故この政策が支持されたのか。
油という商品がある。生産方法はごく簡単で植物の実や種を搾ればいい。大々的に栽培すれば価格はどんどん安くできるはずだ。
ところが、実際には極めて高価で、生産原価から考えたら有り得ないほどの値段で売られている。
何故か?
室町幕府ではなく寺社勢力がこうしたものの製造に関する許認可権を持っており、製造許可を受けるには高いライセンス料だけでなくパテント料まで上納しなければならない。それでも参入する業者はいる。カネさえ寺社勢力に払えば市場を少数の業者で独占できるわけだから、自分たちの利益を見込んで価格に上乗せすればいいからだ。
こうした特権的同業者組合を「座」(油なら油座)というが、彼らは儲かる。特にその背後にいる寺社には「寝ていてもゼニが入る」、苦しむのは庶民だ。
油は「工業製品」だが、野菜などの「農産物」も例外ではない。マーケットに商品として売るには市に出さねばならない。ところが、この時代の市とは門前町など、その多くが寺社の仕切る場所なのである。そのテナント料は法外なものを請求されるから、売主も消費者価格に上乗せせざるを得ない。これも「寺社には寝ていてもゼニが入り、苦しむのは庶民」という構図である。
しからば「消費者革命」を唱えて、寺社は無視してやすい油や農産物を作って売れば、かつてのダイエーのようにもてはやされるのだろうか。実はそんなことをしたら命がない。寺社は自分たちを守るために、僧兵集団を作って自衛していた。戦国時代だから自衛しなければならなかったのだが、そのうち僧兵集団は寺社の権益を守るために走狗と化した。なにしろ、庶民から絞り上げたカネがあるから、武力をいくらでも強化できる。
関所などというものも、本来は治安を守るための検問所であったはずだが、この時代は寺社や地方大名による関銭(通行料)徴収の道具にされていた。商品だけでなく人間が通るだけでもカネを払わねばならず、その収益は「寝ころんでいる連中」のところへ行くわけである
世の中間違っている。どうすればいいか?
処方箋は簡単である。
少なくとも庶民の生活が楽になるためには、寺社(許認可権)など無視して、すなわち規制を撤廃して誰もが生産に参入できるようにする。市場も「楽」すなわち「フリー」にして誰もが参入できるようにすることだ。もちろん法外なテナント料をふっかけることもしない。
そして、人間や商品の流通の妨げになっている関所は百害あって一利なしだから完全に撤廃する。
これが「楽市、楽座、関所の撤廃」ということだ。
ところが、これをやられては寺社が困る。「寝ていてもゼニが入る」というわけには行かなくなるからだ。当然「信長を潰せ」ということになる。ホンネは「そんな改革が進められたら酒を飲み女を抱いて遊んで暮らすことができなくなるではないか❢」と言う代わりに「信長は仏敵」だという。 (逆説の日本史 19 幕末年代史編2 第四章特別編)

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自民でアベノミクスに批判 薬のネット販売反対「いつから三木谷のポチになったか」 自民党は7日、政府がまとめた成長戦略や経済財政運営の指針「骨太の方針」の素案に関する党内論議を行った。最近の円高・株安傾向を反映してか、政権の経済政策「アベノミクス」への批判や、財政出動を求める声が相次いだ。 成長戦略の目玉である一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売の原則解禁には安全性の観点から反対意見が続出。橋本岳衆院議員は「衆院選の総合政策集で一般薬の安易な解禁は行わないと記述したのを覆すのか。自民党はいつから(産業競争力会議メンバーの)三木谷浩史楽天会長のポチになったのか」と痛烈に批判した。 |
![]() 橋本岳 | 「2010年のお盆頃でした。岳さんのお宅からすごい怒鳴り声、そして奥さんの悲鳴が響いてきたんです。そして家から逃げ出してきた奥さんが近くの家に逃げ込んで110番して、パトカーが出動する騒ぎになった」 「奥さんが“グーで36回殴られた”と訴えていたそうです。“殴られていたのに、よく回数を数えていたものだ”と話題になりました」 落選中とはいえ、岳氏は自民党公認の選挙区支部長で、次期選挙の立候補が確約された身だ。そんな立場の人物が妻への暴力行為で警察沙汰になるとは、尋常な話ではない。(週刊ポスト2012年2月3日号) |
![]() | 『逆説の日本史 19 幕末年代史編2』 井沢元彦 (2013/04/10) 井沢 元彦 商品詳細を見る 井伊直弼と尊皇攘夷の謎 |
油という商品がある。生産方法はごく簡単で植物の実や種を搾ればいい。大々的に栽培すれば価格はどんどん安くできるはずだ。
ところが、実際には極めて高価で、生産原価から考えたら有り得ないほどの値段で売られている。
何故か?
室町幕府ではなく寺社勢力がこうしたものの製造に関する許認可権を持っており、製造許可を受けるには高いライセンス料だけでなくパテント料まで上納しなければならない。それでも参入する業者はいる。カネさえ寺社勢力に払えば市場を少数の業者で独占できるわけだから、自分たちの利益を見込んで価格に上乗せすればいいからだ。
こうした特権的同業者組合を「座」(油なら油座)というが、彼らは儲かる。特にその背後にいる寺社には「寝ていてもゼニが入る」、苦しむのは庶民だ。
油は「工業製品」だが、野菜などの「農産物」も例外ではない。マーケットに商品として売るには市に出さねばならない。ところが、この時代の市とは門前町など、その多くが寺社の仕切る場所なのである。そのテナント料は法外なものを請求されるから、売主も消費者価格に上乗せせざるを得ない。これも「寺社には寝ていてもゼニが入り、苦しむのは庶民」という構図である。
しからば「消費者革命」を唱えて、寺社は無視してやすい油や農産物を作って売れば、かつてのダイエーのようにもてはやされるのだろうか。実はそんなことをしたら命がない。寺社は自分たちを守るために、僧兵集団を作って自衛していた。戦国時代だから自衛しなければならなかったのだが、そのうち僧兵集団は寺社の権益を守るために走狗と化した。なにしろ、庶民から絞り上げたカネがあるから、武力をいくらでも強化できる。
関所などというものも、本来は治安を守るための検問所であったはずだが、この時代は寺社や地方大名による関銭(通行料)徴収の道具にされていた。商品だけでなく人間が通るだけでもカネを払わねばならず、その収益は「寝ころんでいる連中」のところへ行くわけである
世の中間違っている。どうすればいいか?
処方箋は簡単である。
少なくとも庶民の生活が楽になるためには、寺社(許認可権)など無視して、すなわち規制を撤廃して誰もが生産に参入できるようにする。市場も「楽」すなわち「フリー」にして誰もが参入できるようにすることだ。もちろん法外なテナント料をふっかけることもしない。
そして、人間や商品の流通の妨げになっている関所は百害あって一利なしだから完全に撤廃する。
これが「楽市、楽座、関所の撤廃」ということだ。
ところが、これをやられては寺社が困る。「寝ていてもゼニが入る」というわけには行かなくなるからだ。当然「信長を潰せ」ということになる。ホンネは「そんな改革が進められたら酒を飲み女を抱いて遊んで暮らすことができなくなるではないか❢」と言う代わりに「信長は仏敵」だという。 (逆説の日本史 19 幕末年代史編2 第四章特別編)


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