めんどくせぇことばかり 物語のしくみ・宗教のしくみ 『17歳のための世界と日本の見方』 松岡正剛
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物語のしくみ・宗教のしくみ 『17歳のための世界と日本の見方』 松岡正剛

英雄伝説の三段構造
これは、世界中の英雄伝説を収集して分析したジョゼフ・キャンベルが、その共通性を発見し、意味づけしたものである。それによれば、英雄伝説は、次の三つの構造から成り立っているという。

セパレーション-旅立ち イニシエーション-通過儀礼 リターン-帰還

「セパレーション-旅立ち」で、英雄は家を出たり、故郷を離れたりと冒険の旅に出て行く。

「イニシエーション-通過儀礼」で、英雄は艱難辛苦にあう。死に直面したり、敵に出会ったりする。困難の中で英雄の前には助言者が現れる。助言者はたいてい意外な人物で、みすぼらしい老人であったり、最初は敵だと思っていた人物であったり、不思議な力を持った子供であったりする。さらに冒険を続けると、英雄は「隠れた父」との出会いが待っている。それは、幼い頃にわかれた父親だったり、敵の親玉が本当の父だという場合もある。また、本当のお母さんだったり、結婚相手だったり、親友というバリエーションもある。英雄はいよいよ重大な戦いに臨み、勝利をおさめる。

「リターン-帰還」には、何がしかの障害がある。助けた国の王に留まることを求められたり、王女との結婚を求められたりする。英雄は迷いながらも、それを振りきって故郷へ帰る。

人は生きるためには“ものがたり”が必要である。それは、誰かが、あるいは多くの者の手を経て、編集されてきたものである。人々の期待に答えられないものになれば、その都度、“ものがたり”は、一部、あるいは全部、書き改められる。それを知ることが、人を知ることであり、歴史を知ることである。
『17歳のための世界と日本の見方』 松岡正剛『17歳のための世界と日本の見方』 松岡正剛
(2006/12/25)
松岡 正剛

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-セイゴオ先生の人間文化講義- セイゴウ先生は1944年生まれの日本文化研究第一人者だそうです

紀元前六〇〇頃 宗教編集者の登場
ホメロスは、紀元前八〇〇年ころ、トロイアの物語を叙事詩という形で編集した。

紀元前六〇〇頃、世界中のあちこちに、宗教編集者たちが登場する。ゾロアスター教をまとめあげたゾロアスター。ユダヤ教をまとめあげた第二イザヤ、エズラ、ネへミア。ジャイナ教を起こしたマハーヴィーラ[ヴァルダマーナは「栄える者」という尊称]。仏教を起こしたブッダ。哲学や定理をまとめたものならば、支那の老子、孔子、荘子。ギリシャのピタゴラス、ヘラクレイトス、ソクラテス。まるで、あふれだすように、新思想、新宗教が編纂されていく。

私はおそらく“鉄”が原因であろうと思う。前一二〇〇頃、隆盛を誇ったヒッタイトの衰亡をもって、彼らが独占してきた製鉄技術が拡散する。鉄は生産能力を高め、富の偏在を生み出し、戦いの時代を作り出していったはずだ。かつての倫理は崩壊に向かい、新たな思想が求められ、やがて臨界値に達したかのように“編集者”が各地に登場したのだろう。
ゾロアスター教の二元論とユダヤ教
ゾロアスターは様々な物語の神を善と悪という二つの対比で編集した。善は光の神。悪は闇の神。それに連なる光の一族、闇の一族という系譜をつくり、人間の世界をも光と闇の二元論で解こうとした。二元論的思考によれば、他者は必ず“闇”のレッテルを張られることになる(もちろん、自分にそのレッテルを貼るのならば別だが・・・)。自分の“光”を明るくしようと思えば、その分だけ“闇”もまた濃くならざるをえない。いつしか牙や角や羽が生え、手や足ばかりでなく顔までたくさんあって、もちろん口は裂けている。

ユダヤの民は、自国の滅亡や捕囚生活の中でバール神に取り込まれそうになった時、自らの信仰を守るために、自分たちの信仰こそを善とする立場を確立する必要があった。自然と、バール神には“闇”のレッテルが貼られた。これによって、ユダヤ教自身が、“宗教によってた民族に優越する”考え方を、自らの中に取り込むことになる。

  

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こんばんは!

右を見てみると、「悪韓論」は売れているようですね。
拙ブログの読者でもある、私の同級生の女の子、いや熟女から勧められて、今、読んでます。同時並行で4・5冊読んでいるものですから、この本はなかなか先に進みません。

私は宗教に関しては触れないようにしていますが、二元論は日本にはなかったようで、戦後、ユダヤ人が持ち込んだと言われます。西洋では古代哲学からして、愚者と賢人、毒か薬かと言った二元論的思考ですが。この思考で日本らしさが失われる、という人もいます。○×式の試験がその典型だと言います。(教育をダメにした。)
また、天国か地獄か、といった宗教観は日本には馴染まない。私めはそんなんを想ったのでございます。では。

うさぎ屋 さま

東大寺二月堂の“お水取り”は拝火教の影響とか。
ゾロアスター教なら、二元論の直輸入ということになりますが、すでに砂漠の毒は抜かれていたか?
あるいは、日本人お得意の換骨奪胎が行われていたか?

ありがとうございました



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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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