満州事変の原因 『真実の満洲史【1894-1956】』
満州事変の原因 |
一九三一年九月十八日、一万数百人の関東軍は奉天公害の柳条湖で満鉄線路を爆破して総攻撃を開始した。南満州主要都市を瞬く間に占領し、独断越境した約四千の朝鮮軍の増援を得て管轄外の北満洲にまで進撃した。十一月、馬占山軍との戦闘を経てチチハル、ハルビンを占領し、一九三二年二月、東三省を制圧する。
張作霖の死語、張学良は蒋介石の下に入り、それを示すために満洲の五色旗を中華民国の青天白日旗に変える易幟を行う。中華民国に参加した張学良は、「国権回復運動」と呼ばれる激しい排日運動を展開する。満鉄に対して二本の平行線を敷設、武装警官が日系企業を襲って閉鎖を命じ、設備を破壊したり、鉱山採掘を禁止して坑道を壊したりした。満鉄の付属地には柵をめぐらし、通行口には監視所を設けて、大連から入ってきた商品には輸入税を支払っているにもかかわらず、付属地から持ち出す物品には税金を課した。
また「懲弁国賊条例」を制定し、日本人や朝鮮人に土地を貸したり売ったりした者を、土地盗売者として処罰した。その他、六十に及ぶ法令を発して、土地・家屋の商祖禁止と、以前に貸借した土地・家屋の回収を図った。このため、満洲に入植した多数の朝鮮人が土地を奪われ、抵抗したものは監獄に入れられた。
日本国民の関わった揉め事の多くが、実は朝鮮人の起こしたものだった。日本人はこの当時現地の人とほとんど接触がなかった。揉めるのは基本的に日本国民となった朝鮮人で、「俺は日本人だ」と言って、言質で威張っていた様子である。当時、満洲には二十万人の日本人しかおらず、支那人の間に入り込んで暮らした者はほとんどいない。
![]() | 『真実の満洲史【1894-1956】』 宮脇淳子 (2013/04/24) 宮脇淳子 商品詳細を見る 満州史は、私たちの母国である日本の近現代史 |
ヴェルサイユ条約 |
大戦中に英・仏・伊・日が結んだ約束を全部無効にし、アメリカの要求に従って一からやり直そうとするもの。
【航海の自由】
七つの海を支配する大英帝国の縄張りを、自由に航海させるよう要求したもの。同時に、海軍大国になった日本に対する挑戦。
【民族自決】
日本支配下の朝鮮半島における三・一運動、中華民国における五・四運動などの反日思想の思想的根拠となった。アメリカは支那への進出を図って、すでに支那に力を持つ諸国の行動を抑えにかかるが、これが支那人のナショナリズムを刺激し、日本やイギリスに見境なく挑戦してくるようになる。
【バルカン半島と中東の新秩序構築】
ハプスブルク帝国を八つ裂きにし、オスマン・トルコを抹殺するもの。この両国から二十もの独立国が誕生し、現在では両国の旧版図に五十もの国がひしめく事態となる。
アメリカ大統領ウィルソンは、東アジアでは徹底した反日政策をとる。同時にロシア革命に対しては寛大な姿勢を示して、レーニンへの側面支援を展開。大英帝国の海洋覇権に挑戦し、英・仏・日が合意していた対独戦後秩序を全否定。日本がはじめて世界に主張した人種差別の撤廃を、突如、全会一致採決を導入して葬り去り、自ら国際連盟を主張しながら自らは参加しなかった。
ワシントン条約 |
日・米・英・仏。日英同盟を解消させるために結ばれたもの。
【九カ国条約】
日・米・英・仏・伊・ベルギー・オランダ・ポルトガル・中華民国。支那に権益をもつ八カ国が、中華民国を主権国家として認めようというもの。この頃の中華民国を代表して出席したのは広東軍政府の孫文だが、支那を分割していた軍閥の一つに過ぎず、中華民国を代表できる立場にはなかった。
一九二二年にはソ連が成立しており、二一年にはコミンテルンからマリーンが派遣されて孫文に合っている。孫文はワシントン会議に呼ばれていないので、九カ国条約に拘束されず、利害関係の深い日本が批判を受ける立場になった。
【五カ国条約】
米・英・日・仏・伊。海軍軍縮条約。主力艦である戦艦を制限して建艦競争による財政負担からの開放を目的とした。日米交渉における「米・日=10:6」を日本が受け入れるかどうかに注目が集まったが、この条約の焦点は違うところにある。米英交渉である。「米・英=10:10」とする条約は、十九世紀以来、世界第二位と第三位の海軍力を合わせた量を上回ることを国是としてきたイギリスには、本来受け入れがたいものであった。
イギリスは、第一次大戦の借金のカタに日英同盟を解消させられ、日本の恨みを買った。軍縮条約も屈辱そのものだった。
イギリスは新興大国アメリカを警戒し、アメリカは日本を恐れて嫌がらせに走り、日本は同盟を解消されてイギリスを恨んだ。太平洋に関係するNo.3までの大国がそれぞれ孤立し、暗躍するソ連の動向や支那の事態に共同して対処することができなくなった。それがワシントン会議であった。
左の二冊は著者、宮脇淳子さんの、右の三冊は、本書の中で参考として使われているものです。


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