めんどくせぇことばかり かちかち山 鬼の子綱 『昔ばなし』 古川のり子
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かちかち山 鬼の子綱 『昔ばなし』 古川のり子

 カチカチ山  
爺婆がうさぎを飼っている。畑を荒らす狸を爺が捕まえる。狸を括りつけて婆が番をする。狸が「えらいわい」というので縄をゆるめたやる。狸は婆を殺し、婆に化けて婆汁をつくる。爺に狸汁だと欺いて食わせ、「婆食った爺や」と言って逃げる。婆の皮と骨、それから頭は裏庭に捨てられていた。兎が仇討ちに行く。狸を木伐りに誘い、狸の背負った木に、カチンカチンと火をつける。狸が何の音かと聞くと、かちかち山がカチンカチンと鳴ると答える。火がぼうぼう燃えると、ぼうぼう山がボーボー鳴ると言う。狸はやけどする。兎は大和の薬屋になって兎の小便の水薬を売る。次は兎は木の船、狸は泥の船を作る。狸は溺れて死ぬ。

兎も狸もただ善良なだけ、凶悪なだけの存在ではなく、善良/凶悪、間抜け/狡猾という、相反する性格を兼ね備えている。

ずる賢くて悪戯者の兎は、『古事記』の神話に登場する。“因幡の素兎”である。大国主が大穴牟遅と呼ばれていた頃の話である。兎は隠岐から気多岬に渡るために、海のサメを欺き、何頭いるか数えてやるから並べと言って、その上を渡っていく。まもなく気多岬というところで、言わなきゃいいのに自分の成功をサメに自慢して皮を剥がれることになる。さらに大穴牟遅の兄神たちに騙されて海水を浴びて風にあたる。あとからやってきた大穴牟遅に真水で洗って蒲の穂に包まれる治療を教わって助かることになる。ここでの兎も狡猾であって間抜けと相反する性格を兼ね備えている。

『昔ばなし』 古川のり子『昔ばなし』 古川のり子
(2013/05)
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あの世とこの世を結ぶ物語

 鬼の子綱 
両親の留守に娘が鬼にさらわれ、女房にされて鬼の子を身籠る。父親が川向うの島に渡って鬼の家を尋ねると、娘が「父の来るところでない。鬼に食われる」と父親を石の唐櫃に入れる。鬼が帰ってきて、「人間臭い」と言うが、娘が「腹の中の赤子の匂いだ」と言ってかくまい、男子を産んで小綱と名付ける。娘は、父親と小綱を連れて船に乗って逃げるが、鬼が気づいて川水をすごい勢いで飲み、船は川岸に引き寄せられる。娘がとっさに腰巻をめくり尻を叩いたので、鬼は大笑いし水を吐き出し、三人は助かって里に帰る。小綱は成長して人を食いたくなり、「殺してくれ」と柴の中に入って火をつけてもらい灰になった。その灰が風に吹かれて蚊になり、蚊は今でも人を食う。

天の岩戸伝説で、太陽神アマテラスが岩戸に隠れたことは、その死を意味している。アマノウズメが女性器を露出して踊り、周囲を笑わせることによって太陽神アマテラスを岩戸から引き出す、つまり再生させている。アマノウズメの女性器の露出や鬼の子綱の娘が「腰巻をめくり尻を叩いた」のは、笑いを誘って勢いを強くする働きをしているのである。また、「女の尻を叩く」とは男女の結合を意味し、産む力を活性化する働きがある。

鬼の子が人を食うようになって殺される話もある。家人がその子の遺体を切り刻んで戸口に刺すと、人を襲いにやってきた鬼がそれを見て、恐ろしくて逃げるという。節分に焼いた鰯の頭を柊の枝に通して戸口に指すのは、その鬼の子の遺体の代わりだという。鬼火焚や正月の火祭りの燃え残りを持ち帰って戸口に刺すのも同様である。

鬼の子は焼かれて灰になり、その灰が風に吹かれて蚊となり、今での人を襲う。蚊ばかりではなく、虻、蝿、シラミになる話もある。つまり害虫となるのである。


   

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No title

こんばんは。「だいこくさま」の童謡を思い出しました。

♫大きな袋を肩にかけ~だいこくさまが来かかると~ (から始まって4番まで物語になってます)
♫だいこくさまは誰でしょう 大国主のみこととて~国を作りて世の人を助けなされた神さまよ~

この歌が好きで我が子にも子守唄がわりに歌っていました。

紺屋の鼠 さま

> ♫ ここは因幡の白兎 皮をむかれて赤裸 ♫ ですね。
>
> 懐かしいですね。久々に思い出しました。

ありがとうございました



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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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