めんどくせぇことばかり 壊された日本型雇用 『日本型雇用の真実』 石水喜夫
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壊された日本型雇用 『日本型雇用の真実』 石水喜夫

新古典派経済学に支配された労働経済学の主張は、知的欺瞞に過ぎません。職業は、個人とともにあるか、社会とともにあるか。日本社会は、この問いに関し、まず現実に向き合わなくてはなりません。なぜなら、職業は会社とともにあり、長期雇用慣行のもとで職業技能は会社の中で培われているからです。

『日本型雇用の真実』 石水喜夫『日本型雇用の真実』 石水喜夫
(2013/06/05)
石水 喜夫

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新古典派経済学に支配された労働経済学の主張は、知的欺瞞にすぎない

アダム・スミスに始まり、リカード、マルサス、J.S.ミル等によって提唱された労働価値説を基本とする古典派経済学は、マーシャル等、新古典派経済学に引き継がれる。同時に、彼らの労働価値説はマルクス経済学に受け継がれていく。労働は、いまだに人間から阻害されている。

彼らが失業問題について提示する問題の組立は、この問題を解消するために労働市場をいかに改革すべきかを柱として設定されている。問題をこのように設定すれば、賃金決定における労働組合の影響力をいかに削ぐか、いかに労働法を規制緩和するか、いかに労働行政を改革するか、などの解答に行き着くことになる。

1981年に誕生した、米レーガン政権は、「強いアメリカ」を提唱し、経済的には近代の原点に回帰し、アダム・スミスの自由主義市場経済に国の行く末をかけた。所得税減税、福祉支出の削減、通貨供給量の削減して政府を小さくし、市場原理を働かせて民間の活力を高める。いわゆる「レーガノミクス」であるが、大きなネックとなったのが対ソ強硬路線による国防費の増大であり、問題となる財政赤字を作り上げた。

通貨供給量の削減は高金利とドル高を生み出し、アメリカ輸出産業の大打撃を与えた。この時代の日米貿易摩擦は、アメリカ自身の経済運営の帰結なのであって、原因を日本市場の閉鎖性に求めるのはお門違いである。アメリカは内需拡大など様々な政治要求を日本に突きつけ、それが日本のバブル経済を発生させる原因となっていく。この時、“閉鎖的な日本市場”をこじ開けていくために行われるようになったのが、「日米構造協議」である。「日米構造協議」の原語は「Structural Impediments Initiative」。“日本の構造的障害を取り除くためにアメリカが導く”、つまり、“アメリカによる日本の指導”が始まったのである。

1992年、OECDは新古典派経済学派に、雇用政策に関する積極的政策提言を行う舞台をしつらえた。研究成果は、1994年に「雇用戦略」としてまとめられた。それは『「規制緩和」による「企業家精神の発揚」によって労働力需要を換気しつつ、労働力の供給側には柔軟性をもたせ、労働力の需給調整に市場メカニズムを積極的に活用することで、失業問題の解消を図る』というものであった。

1996年には日本経済の審査が行われ、日本の雇用慣行と雇用政策に対する提言が行われた。提言は、長期雇用や年功賃金制度など日本の雇用慣行は、市場の資源配分機能を生かしていないとして、厳しい批判の対象となった。
多くの国では、有能な新入社員は早い時期に選抜され、昇進するのに対し、日本では採用されてからおよそ15年くらいは、同期の従業員の間で昇進するスピードにあまり差がなく、そのことが疑問視されている。日本的雇用慣行においては、地位と賃金は年齢と勤続によって決まっており、このような慣行のもとでは、有能な人材に低い地位の仕事が与えられ、人材のムダ使いである。

日本の労働者は失業することが少ない反面、労働量投入の調整方法が労働時間調整に偏り、所定外労働時間や賃金の変動が大きいと指摘している。配置転換も頻繁で労働者の負担が大きく、企業内での配置転換は、労働者の好みや適正に合わない場合がある。

また日本の労働者は非常に安定した雇用の安定を受けている。法律は所定の解雇手続きを踏むことによって従業員を解雇することを認めているが、裁判所はこの権利を行使する企業に制限を課している。

こうした認識と分析に基づいて、労働市場の柔軟性を促進するために、日本では労働市場政策の変更が必要である。

この勧告は日本側からの反論を受けることもなく、正式にOECD報告書として採択された。


   
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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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