日本型雇用の可能性 『日本型雇用の真実』 石水喜夫
人口減少社会においては、自由主義市場経済は経済現象を説明することはできない。企業には資本ストックが蓄積されていても、自然成長率が低いために企業が欲するような利益は望めない。だから企業は資本ストックを抱えていても、積極的投資に打って出ることはない。政府による財政の拡張は、企業の自立的設備投資の拡張を誘導できないまま国家財政への負担ばかりを増やす。「神の見えざる手」はもはや働かない。
ロイ・ハロッドの理論からすれば、人口減少社会の経済停滞は、高すぎる保証成長率と、低い自然成長率からきている。政策は、保証成長率の引き下げと、自然成長率の適性は方法での引き上げが目ざされなければならない。
保証成長率の引き下げ
自然成長率の引き上げ






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![]() | 『日本型雇用の真実』 石水喜夫 (2013/06/05) 石水 喜夫 商品詳細を見る 新古典派経済学に支配された労働経済学の主張は、知的欺瞞にすぎない |
ロイ・ハロッドの理論からすれば、人口減少社会の経済停滞は、高すぎる保証成長率と、低い自然成長率からきている。政策は、保証成長率の引き下げと、自然成長率の適性は方法での引き上げが目ざされなければならない。
保証成長率の引き下げ
貯蓄性向の引き下げ 高蓄積を志向する社会の体質を変えること
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自然成長率の引き上げ
労働人口増加率の引き上げ 子どもを産み育てることに喜びを見出せる社会をつくる努力が欠かせない。国家レベルでの息の長い取り組みが必要になる。 労働生産性の引き上げ 実際に、労働人口増加率よりも労働生産性の引き上げの効果の方がはるかに大きいことからも、重視されるべきである。 今まで日本社会は、OECDの「雇用戦略」や日経連の「新時代の‘日本的経営’」に従い、非正規雇用で労働力を調達する傾向を強め、正規雇用の採用を絞り込んでしまった。個々の企業の立場から見れば、低賃金、低生産性の労働者の活用は、コスト抑制に役立ち、企業収益の確保には役立つ。しかしこのような戦略は日本社会の中に低生産性分野を温存させ、前向きに付加価値を創造する力を衰えさせてしまった。 かつての日本企業は、正規雇用者の計画的な採用が行われ、雇用安定とともに人材育成にも大きな成果を上げた。終身雇用、年功賃金、企業内配置転換はそれを保証する制度だったのであり、それがあってこそ高い労働生産性が確保されていた。企業が長期的、計画的な視点から人事労務施策を行うためには経済変動の影響が政策的に抑え込まれる必要がある。国家の支援のもとに日本型雇用システムが再構築されること、それが時代に合った日本の経済政策となり、企業の戦略となるべきである。 |


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