TPPとは何か?…いまさらだけど… 『TPP 黒い条約』 中野剛志・編
産経ニュース 2013.7.24
TPP交渉合流 成長力高める合意目指せ
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130724/fnc13072403190000-n1.htm
日本がTPP交渉に参加した。産業界は“取り残されれば日本経済は二度と立ち上がれない”とまで言って参加必須を訴え、農業会は“潰される”と悲鳴をあげた。保守、特に自民党支持層も二つに割れた。民主党左翼勝ち政権への絶望感から安倍総裁のもとに政権を取り戻し、自民党が基盤を確実なものにしていくなかで、保守層も安倍首相のもとにまとまらざるを得ず、TPP反対派はトーンを落とした。
交渉が“アメリカ対日本”という構図になることはやむを得ない。参加予定国の中では、両国の経済規模が突出しすぎている。しかし、TPPを唯一の超大国となったアメリカの進めたきたグローバル化の、現状における集大成と見るならば、それは正しくない。中野剛志氏が言っているように、始まりはともかく現在進められているTPPは、“一部の大企業や投資家に都合がよいように日本の経済社会を改造すること”であるからには、TPPは基本的にアメリカの雇用を増やし、アメリカの経済力を回復させることにもつながらない。恩恵を被るのは、一部の大企業や投資家、高学歴者であって一般国民には裨益しない。むしろ格差社会を拡大し、日本国民だけでなく、アメリカ大衆にも不利益をもたらす。日本の産業界が参加必須を訴える理由もそこにある。彼らの中に勝ち残り組が出るならば、彼らも受益者となれるからだ。
アメリカが唯一の超大国となってニ十余年、ここまで進められてきたグローバル化は、すでに矛盾を露呈し、“受益者”の利益は思うように伸びない。人を貧乏にして稼いでも、それ以上に売れなくなるのだから当たり前だ。しかし、新自由主義市場経済を信奉する彼らは、彼らの経済的自由、つまり儲ける自由を阻害する“ナショナリズムの壁”にその原因を求めた。“ナショナリズムの壁”を“悪”と決めつけ、自らの“正義”を振りかざすその姿こそが、TPP交渉なのだ。
先ほど書いたように、すでにグローバル化の矛盾は露呈している。しかし、“受益者”たちは、自らを省みることなく、諸外国の、特に日本の社会制度が自分たちの“儲ける自由”を阻害していると、アメリカ政府を炊きつけて日本をTPP交渉の場にひきずり出した。そう現状を認識すべきだ。中野剛志氏の書いていることに、私も賛成だ。
もう一つ。私は“日本にとってのTPP”の本質を“安全保障”と捉えていた。もちろん日米安保である。中野剛志氏は、その考え方は矛盾しているという。読んでみれば、たしかにそういった側面がある。
TPPは一部大企業や投資家、高学歴者ら“受益者”のための管理貿易協定であると。彼らの利益のために加盟国社会は改造を強いられる。“受益者”の儲ける自由を阻害しない社会が実現されたなかで、彼らによる合法的収奪が行われる。短期的にはともかく長期的に、収奪する者とされる者の間に、互恵的安全保障の関係が維持されるはずがない。日本のすべてが一方的に収奪される側というわけではなく、日本のグローバル企業も“受益者”となるわけだが・・・。
いずれにせよ、アジアの安全保障に大きな再編が余儀なくされるときがやってくる可能性が高い。そのとき、日本が独立国家として立ち回れるだけの力を残しているかどうかは分からないが。






一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
TPP交渉合流 成長力高める合意目指せ
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130724/fnc13072403190000-n1.htm
日本がTPP交渉に参加した。産業界は“取り残されれば日本経済は二度と立ち上がれない”とまで言って参加必須を訴え、農業会は“潰される”と悲鳴をあげた。保守、特に自民党支持層も二つに割れた。民主党左翼勝ち政権への絶望感から安倍総裁のもとに政権を取り戻し、自民党が基盤を確実なものにしていくなかで、保守層も安倍首相のもとにまとまらざるを得ず、TPP反対派はトーンを落とした。
交渉が“アメリカ対日本”という構図になることはやむを得ない。参加予定国の中では、両国の経済規模が突出しすぎている。しかし、TPPを唯一の超大国となったアメリカの進めたきたグローバル化の、現状における集大成と見るならば、それは正しくない。中野剛志氏が言っているように、始まりはともかく現在進められているTPPは、“一部の大企業や投資家に都合がよいように日本の経済社会を改造すること”であるからには、TPPは基本的にアメリカの雇用を増やし、アメリカの経済力を回復させることにもつながらない。恩恵を被るのは、一部の大企業や投資家、高学歴者であって一般国民には裨益しない。むしろ格差社会を拡大し、日本国民だけでなく、アメリカ大衆にも不利益をもたらす。日本の産業界が参加必須を訴える理由もそこにある。彼らの中に勝ち残り組が出るならば、彼らも受益者となれるからだ。
アメリカが唯一の超大国となってニ十余年、ここまで進められてきたグローバル化は、すでに矛盾を露呈し、“受益者”の利益は思うように伸びない。人を貧乏にして稼いでも、それ以上に売れなくなるのだから当たり前だ。しかし、新自由主義市場経済を信奉する彼らは、彼らの経済的自由、つまり儲ける自由を阻害する“ナショナリズムの壁”にその原因を求めた。“ナショナリズムの壁”を“悪”と決めつけ、自らの“正義”を振りかざすその姿こそが、TPP交渉なのだ。
先ほど書いたように、すでにグローバル化の矛盾は露呈している。しかし、“受益者”たちは、自らを省みることなく、諸外国の、特に日本の社会制度が自分たちの“儲ける自由”を阻害していると、アメリカ政府を炊きつけて日本をTPP交渉の場にひきずり出した。そう現状を認識すべきだ。中野剛志氏の書いていることに、私も賛成だ。
![]() | 『TPP 黒い条約』 中野剛志・編 (2013/06/14) 中野 剛志、関岡 英之 他 商品詳細を見る 衰退するアメリカ。そのアメリカ依存から抜けられない日本。 |
もう一つ。私は“日本にとってのTPP”の本質を“安全保障”と捉えていた。もちろん日米安保である。中野剛志氏は、その考え方は矛盾しているという。読んでみれば、たしかにそういった側面がある。
TPPは一部大企業や投資家、高学歴者ら“受益者”のための管理貿易協定であると。彼らの利益のために加盟国社会は改造を強いられる。“受益者”の儲ける自由を阻害しない社会が実現されたなかで、彼らによる合法的収奪が行われる。短期的にはともかく長期的に、収奪する者とされる者の間に、互恵的安全保障の関係が維持されるはずがない。日本のすべてが一方的に収奪される側というわけではなく、日本のグローバル企業も“受益者”となるわけだが・・・。
いずれにせよ、アジアの安全保障に大きな再編が余儀なくされるときがやってくる可能性が高い。そのとき、日本が独立国家として立ち回れるだけの力を残しているかどうかは分からないが。


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