めんどくせぇことばかり ロベスピエールはなぜ? リュシルが好きだった? 『小説フランス革命11 徳の政治』 佐藤賢一
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ロベスピエールはなぜ? リュシルが好きだった? 『小説フランス革命11 徳の政治』 佐藤賢一

ロベスピエールが“愛する者たちと一緒に、しあわせになろう”という気持ちがあれば、「止められた」とダントンは言っている。なのに、ロベスピエールは拒否した。一人、本当にただ一人で、革命とともにあることを、ロベスピエールは選んだ。

「マクシミリアンが幸せになりたがらない本当の理由は、俺には最後まで見えなかった」と、ダントンが語るそのわけを、著者は“リュシルへの愛”と設定した。
リュシル

物語の展開として大変面白い。愛するリュシルは、親友カミーユ・デムーランの妻。だからこそロベスピエールは、ダントンカラの誘いを断り、革命を降りなかった。にもかかわらず、リュシルの夫を思うなりふり構わない振る舞いの前に、彼としてはありえない醜態を晒す。その上・・・

「ダントン派を殺してください。ダントンを、ドラクロアを、フィリポ―を、そしてカミーユを、どうか、どうか・・・、お願いだ、あの者たちを殺して・・・」

『小説フランス革命11 徳の政治』 佐藤賢一『小説フランス革命11 徳の政治』 佐藤賢一
(2013/06/26)
佐藤 賢一

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徳なしでは恐怖は有害であり、恐怖なしでは徳は無力である


幼くして母をなくし、父は身を持ち崩した。家庭のぬくもりを知らず、苦学して世に認められた。體育に恵まれなかった彼は、理性に頼って周囲を睥睨した。そんな彼が、逆立ちしても勝てない存在があった、それがミラボーとダントンである。人並み外れた体格と押し出し、溢れ出る感情、いずれも、ロベスピエールの対局に位置した。彼には理解できなかったはずだ。理性は解析しきれない“人間の感情”を、それ以上理解しようとはしない。ミラボーが病死しなかったら、おそらくロベスピエールに出る幕はなかったろう。しかし、死んだ。ダントンが、デムーランが、家族に対する感情から、一時革命を離れても、ロベスピエールだけは革命とともにあった。

公安委員会の独裁は、やはり、ロベスピエールの正確に由来するのではないだろうか。家庭に恵まれずに成長した彼は、何度も何度も蔑まれた経験を持つはずだ。秀でなければ蔑まれる。最後の最後でダントンと対立した時、ロベスピエールは、その強迫観念に襲われたのではなかったろうか。


ルソー似ている者がいる。『社会契約論』において、一般意志による政治社会の理想を論じたジャン・ジャック・ルソーである。ルソーは、生後まもなく母を失い、父や兄にも逃げられて、幼くして孤児同然となった。放浪生活を経験し、いくつかの職業をてんてんとする時代を経て、とある男爵夫人の愛人に収まる。この時期に膨大な書物を読み漁り、後の思想家としての素地を築く。特定の女性との間に五人の子を成しているが、彼には落ち着いて家庭を作ることができず、五人とも養育院に送っている。彼の思想がフランス革命の原動力になったことを考えれば、フランス革命には、家庭に恵まれなかった“二人の孤児”が深く関わっていることになるのである。
ロベスピエール

ロベスピエールにしてみれば、ダントンと対立した時、革命を降りる選択もあったはずだ。ロベスピエール自身、ダントンには、自分にはない才能を認めていたはずだ。“ダントンにならまかせてもいい”、そう決心できなかった理由は何か。結局、友情とか、夫婦の情愛とか、量とか、質とかで明示できない価値を、彼は信じきる事ができなかったのではないか。孤児であったからこそ・・・、ではないだろうか。

“リュシルが好きだった”っていうのも、かなり魅力的だけどね。


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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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