めんどくせぇことばかり 文化力の敗戦:朝日新聞 『敗戦: 満州追想』 岩見隆夫
FC2ブログ

文化力の敗戦:朝日新聞 『敗戦: 満州追想』 岩見隆夫

ソ連兵たちは三人組になって、昼夜の別なく日本人宅を襲い出した。玄関をどんどん叩く。私たちは錠をしっかりかけて開けない。
「時計を出せ」
「女を出せ」
の二つが決まり文句のような要求だった
早く帰らせるために腕時計を渡す家もかなりあった。

だが、
「女を出せ」
に応じる訳にはいかない。隣近所で相談し考えだした苦し紛れの防衛策は〈たたき撃退法〉である。一軒にソ連兵が現れたと知るや、周辺の家が一斉に窓を開け、洗面器、タライ、バケツを棒やすりこぎで叩き続けるのだ。
「ガン、ガン、ガン、ガン」
共鳴して相当の音量になる。これは効果があった。気味悪がって退散するソ連兵が相次いだ。
しかし、彼らは自動小銃を持っている。威嚇射撃して強引に押し入るケースもしばしばあった。
 
『敗戦: 満州追想』 岩見隆夫『敗戦: 満州追想』 岩見隆夫
(2013/07/05)
岩見 隆夫

商品詳細を見る
心すべきは、思い込みを排すること、過度の正当化を慎むこと、必要以上の自己卑下に陥るのを避けること

朝日新聞 天声人語 2013年 8月 15 日(木) 
角川書店の創業者で国文学者でもあった角川源義(げんよし)に〈命綱たのむをかしさ敗戦忌〉の一句がある。1975年の8月15日にがんで入院し、最期の闘病中に詠んだと、長女で作家の故・辺見じゅんさんからお聞きしたことがある▼同世代が大勢落命したのに、自分は生き延びた。いま病を得て、治療を命綱と頼んでいる。そんな我が身を突き放して眺めた句であろう。源義氏は「終戦」という言葉を嫌った。辺見さんが不用意に使うと、「あれは敗戦だ。終戦なんて簡単に言うな」と怒ったそうだ。譲れない一点だったようである▼同じ思いの人は少なくないと見え、この欄でも毎年「終戦」と書くと、ご意見が届く。やや意味合いは異なるが、「終わるものなら、なぜ」と恨む手紙もあって考えさせられる▼先の戦争での日本人戦没者は軍民で約300万人。その数は戦争の末期に激増し、最後の1年で200万人近くが落命した。特攻、沖縄、空襲、原爆――悲劇の多くがこの間に起きている▼特攻隊で8月15日に出撃予定だった人の話を、朝日小学生新聞で読んだ。命拾いしたのだが、数日早く出撃した人もいよう。最後の1年を逆回しして玉音放送を早めてみれば、死なずにすむ人は日々増える。きょうは遅すぎた敗戦の日でもある▼「敗戦」への執着は、無謀な戦いに突き進んだ愚を忘れまいとする戦中派の心であろう。「軍事力の敗北であった以上に若い文化力の敗退であった」と源義氏は述べている。色あせぬ言葉だと思う。

六十八度目の終戦記念日。朝日新聞の“天声人語”は辺見じゅんの「あれは敗戦だ。終戦なんて簡単に言うな」というこだわりや、角川書店創業者の角川源義の「軍事力の敗北であった以上に若い文化力の敗北であった」という言葉を紹介し、“色あせぬ言葉”という。訳の分からない朝日新聞らしい言い回しだ。「決して責任なんかとらない」姿勢をこれからも貫いていく、朝日新聞の意思表明のようにさえ聞こえる。

冒頭に上げたのは、この本の著者、岩見隆夫氏の体験である。岩見氏は満洲国大連市で生まれ育ち、敗戦を迎える。引揚船に乗るのは一九四七年の二月。その間、日本政府は日本人を守る力を失った。日本人は、世界で最も価値の低い、あるいは価値の無い国民に落ちた。やられ放題だ。

敗戦と呼ぼうが終戦と呼ぼうが、そんなことどうでもいい。文化力の虚弱なんかどうでも、戦争になったからには軍事力で絶対に負けてはいけない。それだけのことだ。そこにつまらない感情を介在させたこと、そのために国民はやられ放題になった。朝日新聞は六十八年たっても、そんなことすら分からない。


 

満洲建国と日中戦争 全3枚組 スリムパック [DVD]

にほんブログ村 本ブログへ一喜一憂。ぜひポンとひと押しお願いします。
読書
記事一覧


関連記事

テーマ : 歴史全般
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

非公開コメント

ありがとうございました



「《めんどくせぇことばかり》は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。」
よくお越し下さいました

イーグルス16

Author:イーグルス16

息も絶え絶えです、ぜひ応援してください


現代とはなぜこんなにも棲みにくいのか。
前近代から近現代へと変貌し続ける世相の本質をつかみ生き方の支柱を示す。
カウンター
カテゴリ
こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
最新記事