めんどくせぇことばかり 『世界史の中の日本 本当は何がすごいのか』 田中英道
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『世界史の中の日本 本当は何がすごいのか』 田中英道

「“日本人による世界史”が書かれなくてはいけない時代がきた」と著者は言う。難しい話だよなぁ。土台、世界史というもの自体が、西洋史に合わせた世界の歴史ってだけのもので、そうではない種類の世界史ってものが世の中に存在したことはないんだからね。アジア、アフリカ、ラテン・アメリカの記述を増やしたからといって、骨組みは同じこと。なら、“日本人による世界史”とこれまでどおりの“西洋人による世界史”の根本的な違いは何なのか。まず、そこからはじめないとだよね。

ヘーゲルの歴史哲学のもとに確率する進歩史観。歴史は古代、中世、近代と進むに連れて個人主義が確立し、市民主義の時代を迎える。それを無理やり階級闘争に結びつけたマルクスの唯物史観。西洋近代社会が最も発展した社会であって、その先に階級闘争を必然とする社会主義社会へと向かう。

進歩史観は、必然的に過去に対して否定的である。過去は、常に“発展する前”に過ぎない。その根底にはあるのが“原罪”であるとするなら、まさしくキリスト教的だ。“原罪”がある限り、それを前提とした過去に対する性悪説を出発点とせざるを得なくなる。それが西洋人にとっての世界史で、それは社会主義的発展段階に進むはずというのが、西洋人にとっての世界史か?なら、その社会主義的発展段階が幻と消えた今、彼らはどこへ向かおうというのか。なんか、危ないな。

イギリスの歴史家アーノルド・トインビーは、文明のモデルを分類することにより世界の成り立ちを説明しようとしたが、大英博物館の総覧の域に終わった。

アメリカの歴史学者サミュエル・ハンチントンは、文明圏を宗教の観点から分類した。このなかで日本は、世界に存在する八つの文明のひとつという地位を与えられている。

日本は、明らかに、西洋人とは違う宗教観を持つ。彼らが、自然も人も神が創りだしたものとい考えるのに対して、神も人も自然から現れるとするのが日本人だ。そのような宗教観で歴史を捉えようとすれば、人間の歴史とは、進歩の歴史ではなく、文明の変化の歴史だということだ。西洋人にはできない見方で世界史を現していく。そのための試みの一つがこの本ということのようだ。

世界史の中の日本 本当は何がすごいのか世界史の中の日本 本当は何がすごいのか
(2013/06/01)
田中 英道

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これまで数多く書かれてきた世界史は、西洋人の見方で書かれた歴史だった。
第一章  日本人の視点で世界史を語ろう
第二章  四大文明と縄文文明
第三章  世界の宗教の発生と日本の神道
第四章  古代ギリシャと日本
第五章  古代ローマ、秦・漢王朝と日本の国歌形成
第六章  イスラムの勃興と日本の神仏習合
第七章  唐と宋の文化と日本
第八章  モンゴルの隆盛とヨーロッパの確立
第九章  ヨーロッパの世界侵略と日本
第十章  西洋の「近代」と日本の「近代化」 

とてもおもしろい試みだし、絶対的に必要なことだと思う。もう、“西洋人による世界史”では人類そのものが立ちゆかなくなりつつある。にもかかわらず、人類はまだ、次の“世界史”を持ちえていない。このような試みが、どんどん、行われなければならない。

各章の中に、とても面白い項目があったので、ここで紹介して、終わりにします。
*縄文文明は世界の四大文明に匹敵する❢
*ギリシャ神話と日本の神話はこんなに違う❢
*都市の誕生は戦争が始まったことを意味している❢
*なぜ仁徳天皇陵は始皇帝陵やピラミッドよりも大きいのか?
*ムハンマドのコーランと聖徳太子の十七条憲法はどう違う?
*中国の美術は日本の美術とどう違う?
*負け知らずのモンゴルを破ったのは日本の組織力だった❢
*コロンブスは黄金の国・ジパングを目指していた❢
*美術には「歴史の証拠」が残されている❢
*ヨーロッパ型資本主義と日本型資本主義は、こんなに違う❢
*フランス革命、アメリカ独立と明治維新はこんなに違う❢
*日本の歴史の特徴は、その一貫性にある❢


    

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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