『まんが 哲学入門――生きるって何だろう?』 森岡正博+寺田にゃんこふ
![]() | 主人公はぼく。先生はぼくを‘まんまるくん’と呼びますが、それがぼくの名前みたいです。 この本の中では、先生がぼくにいろいろと教えてくれます。次のようなことを・・・。 第1章 時間論 第2章 存在論 第3章 「私」とは 第4章 生命論 ぼくが生まれてきたのは、きっと何か意味があると思うんです。 |
![]() | 『まんが 哲学入門――生きるって何だろう?』 森岡正博+寺田にゃんこふ (2013/07/18) 森岡 正博、寺田 にゃんこふ 他 商品詳細を見る 生きるって何?「わかりません」、死ぬって何?「わかりません」 |
私はなぜ死ななければならないのですか? なぜこのような生へと生まれてきたのですか? 死によってすべてが無になってしまうなら、生まれてこなければよかった! 「私が生まれてこない」ほうが、「私が生まれてきた」よりもマシだということです。 はい、その通りです。 はい、先生 なんか光が差してくるみたいです。 | まんまるくん、「生まれてこなければよかった」とはどういう意味ですか? その二つは本当に比べられるのですか? 「生まれてこない」場合、その状態がどれくらい良いのか、悪いのかを判断する‘私’は存在しません。 存在している私が、私の被存在を「欲する」ことはできます。 たとえば、自殺を欲するというのがそれです。 でも、自殺を欲するのと、「生まれてこない」ことを欲するのはまったく違います。 なぜなら、自殺は実行できますが、「生まれてこない」ことは、すでに生まれてきてしまっている私にとって、実行することが原理的に不可能だからです。 まんまるくんは、死によってすべてが無になってしまうことが受け入れ難いのですね? それは、「私が生まれてこない」ことによってのみ、「死によってすべてが無になってしまう」ことが完全に予防されるということになります。 しかし、まんまるくんはすでに生まれてしまっています。 ですから、「死によってすべてが失われてしまう」という問題は、今から自殺することによっても解決されないし、「生まれてこなければよかった」と嘆いても解決されません。 いっそのこと、人生を前向きに生きることで答えを見つけようとしてみてはどうでしょうか。 「死によってすべてが無になってしまう」にもかかわらず、生まれてきて本当に良かったと心の底から思えるようになる可能性を探ってみてはどうでしょうか。 |
漫画だからとなめてかかると、とんでもない目にあいます。…あいました… ゆっくりゆっくり、咀嚼しながら読みすすんでみて下さい。


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