めんどくせぇことばかり 『この世の偽善』 曽野綾子・金美齢
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『この世の偽善』 曽野綾子・金美齢

冒頭、‘はじめに’でオペラ『リゴレット』のあらすじが、金美齢さんによって紹介されている。
リゴレットは、好色な領主マントヴァ公爵に仕えるせむしの道化師。ある日、公爵に娘をたぶらかされたモンテローネ伯爵から怒りをぶつけられるが、逆に伯爵を笑い者にしてしまう。伯爵は「父親の苦悩を笑うお前は、呪われよ」と言い捨てます。内心、焦るリゴレット。実はリゴレットには、隠し育てていた一人娘ジルダがいた。

これも運命か、ジルダは、教会で公爵と出会っていまう。貧しい学生だと嘘をついてジルダに接近する公爵。世間知らずのジルダは、すっかり恋に落ちてしまう。しかし、公爵の心は手に入れた獲物から離れ、次なるターゲットに向かう。

公爵を殺し屋の手にゆだねることを決意するリゴレット。しかし、計画を知ったジルダは公爵の身代わりになることを決意する。殺し屋から公爵の遺体が入ったはずの袋を受け取ったリゴレット。なかを確認すると・・・。そこには愛娘ジルダの姿があった。
リゴレット
 
生まれながらに不幸を背負い、憎しみの塊と化し、自分なりに努力しても、愛する者さえ守れない。他方、放蕩の限りを尽くす者が、何の災いも受けずに、のうのうと生き延びる。

「究極の不条理」と、金美齢さんはいう。たしかに世の基本は‘不条理’である。それを日本の教育界やメディアは教えない。逆のことをいう。スポーツですら、すぐそこに落ちている不条理からさえ目をそむけさせる。誰だって、自分の人生の中で、この‘不条理’に立ち向かわなければならないというのに・・・。

『この世の偽善』 曽野綾子・金美齢『この世の偽善』 曽野綾子・金美齢
(2013/03/23)
金 美齢、曽野綾子 他

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人生の基本を忘れた日本人  私はどうかな?
第一章  何もかも幼くなった
第二章  日本は「夢のお国」
第三章  「ごっこ」遊びの終わり
第四章  生活保護者が多すぎる
第五章  愛は礼を失せず
第六章  「ものわかりのいい人」の罪悪
第七章  人は何とか生きていける

二人の強烈な個性から、ポンポンといろんな話が飛び出して、予測不可能の展開を見せる。前から小突かれ、後ろからどやされ、斜め四十五度から鉄砲玉が飛んで頭をかすめるような感じ。でも、さまざまな事例をあげながらも、言っていることはきわめて単純。

「まっとうに生きてみなさいよ!」 そんなところかなぁ。単純だけど、これがけっこう難しい。
この世が、けっして「安心して暮らせる」場などではなく、常に潜在的に深い矛盾と悲しみに満ちた所であるという認識を、なぜ現代の日本人は持ちえないのでしょう。日本ほど整えられて個人の生活が守られている国家というものは他に見たことがありません。このことは、東日本大震災を経験したいまも変わっていない。日本に生まれて、本当に私は幸運だったのです。

それをもたらすために営々と国づくりに心血を注ぎ、時によっては命を積み上げてくれた先人に対し、なぜ素直に感謝できないのか。なぜ簡単に、戦前までの日本の歩みを野蛮で侵略的だったなどと言えるのか。
返す言葉もない。

私みたいな一九六〇年生まれなんてなると、はなから日本人の土台を失ってる。まるでところてんの上に立ってるみたいなもんでね。確固たる土台を持ってた両親や祖父母のことを考えても、たしかに頼りない世代だなぁって感じる。その土台、子供のころは、私も同じ土台に育ったはずなのに、いつの間にかそこから飛び降りてしまっていた。気がついたら、ところてんのぐにゃぐにゃでどうにもならなかったんだけど。でも、さすがにいい歳こいて甘ったれてるわけにもいかないからね。子供をしっかり育てようと思えば、土台がぐにゃぐにゃじゃね。その分、苦労したけど、今は何とか足場くらいは固められたと思ってるんだけどね。あとは、野たれ死ぬまでそれなりにしっかり生きるだけ。

正直、この婆さんたちには近寄りたくない。でもね。‘本当のこと’っていうのは耳に痛いもの。「良薬口に苦し」っていうのは嘘じゃない。

「しょうがねぇな。お話、承りましょう」

曽野綾子さんや金美齢さんの本を読むときの私は、いつもそんな気分かな。ということで読んでみると、やっぱり耳に痛い、痛い。私も五十歳を過ぎたけど、二人のお叱りは、やはり私の世代に向けられているように思う。「あんたたち、日本をめちゃくちゃにしてくれて、どうしてくれんのよ!」って。はい、はい、死ぬまで苦労して、埋め合わせましょう。


   

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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