太陽活動・火山と気候 『気候で読み解く日本の歴史』 田家康
太陽活動の低下
火山の冬
1815年に「夏がなかった年」をもたらしたタンボラ火山。天明の飢饉と関係する1783年のアイスランドのラキ火山。1262年まで低温をもたらしたと考えられる1258年の赤道付近における謎の噴火。546年、それらに匹敵する、あるいはそれ以上の火山噴火が欧州の古代史を終焉させたと考えられる。
この数百年単位の大きな傾向に対し、実際の世界各地の気候は火山噴火要因が加わるため複雑な動きを見せる。
古気候学の研究から、気候は自然要因によって常に大きく変動してきたことがわかってきている。しかし、昨今の“温暖化”の危険を問う論調は、何やらおかしなものを気候学、環境学の世界に持ち込んではいないだろうか。著者は“エピローグ”で次のように言います。
この論調に“人類愛”は感じられない。事実、温暖化対策は“排出量取引”というわけのわからないバケモノを作り出した。もはや環境問題の手を離れたと言われてもしかたがないだろう。金の問題になった。そうなれば、先進国と途上国の意見がまとまるはずもない。この論調は人を憎んでいる。さらに争わせている。
根っこにあるのはキリスト教の“原罪”であるかもしれないし、はたまた優生学的差別意識を現代世界に撒き散らそうという連中の陰謀か。両方みたいな気がするけど。
ここのところの日本の気候環境を見ると、たしかに気になることが多い。そういった声のほとんどが、そういった変化を“いわゆる温暖化問題”の一環として捉えている。これはとんでもない話だ。もっと謙虚に、人類が歴史のなかで何と戦い続けてきたのかを考えるべきだ。






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| 8世紀に始まる太陽活動が活発化した時代ののち、1040年ころから1080年ころまでの40年間にかけての太陽活動小康期に当たる。こののち、中世温暖期と呼ばれる温暖な時代の最盛期を迎える。 | |
| 1280年ころ~1350年ころまでの70年間の太陽活動の低下期。中世温暖期から小氷期という相対的に寒冷な時代への移行期に起きた。 | |
| 1420年ころから1530年ころにかけての110年間の太陽活動低下期で、小氷期に入ってからの最初のもの。 | |
| 1645年から1715年までの70年間で、太陽表面から黒点がほとんど消えた。小氷期のなかで最も太陽活動が低下した期間とされる。 | |
| 1790年から1820年の30年間。小氷期で最後の太陽活動低下期とされる。ただし、その低下幅は小さい。 |
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1000年ころ | (±40年)支那・北朝鮮国境の白頭山 |
1258年ころ | 謎の噴火 |
1452年ころ | 南太平洋シェパード諸島クワエ火山 |
1600年 | ペルーのワニナプチナ火山 |
17世紀後半 | 世界各地の火山噴火の頻発 |
1783年 | アイスランドのラキ火山 |
1815年 | インドネシア スンバワ島のタンボラ火山 |
1836年 | ニカラグアのコセグイナ火山 |
1883年 | インドネシアのクラカタウ火山 |
1991年 | フィリピン ルソン島のピナトゥボ火山 |
この数百年単位の大きな傾向に対し、実際の世界各地の気候は火山噴火要因が加わるため複雑な動きを見せる。
古気候学の研究から、気候は自然要因によって常に大きく変動してきたことがわかってきている。しかし、昨今の“温暖化”の危険を問う論調は、何やらおかしなものを気候学、環境学の世界に持ち込んではいないだろうか。著者は“エピローグ”で次のように言います。
今日、気候変動というと人為的温室効果ガス排出による地球温暖化ばかりに関心が向く。あたかも母なる自然は安定した環境を人類に与えているにもかかわらず、われわれは自らの業によって自ら破滅の道を歩んでいるのかもしれないという発想もある。 |
根っこにあるのはキリスト教の“原罪”であるかもしれないし、はたまた優生学的差別意識を現代世界に撒き散らそうという連中の陰謀か。両方みたいな気がするけど。
ここのところの日本の気候環境を見ると、たしかに気になることが多い。そういった声のほとんどが、そういった変化を“いわゆる温暖化問題”の一環として捉えている。これはとんでもない話だ。もっと謙虚に、人類が歴史のなかで何と戦い続けてきたのかを考えるべきだ。


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