めんどくせぇことばかり マウンダー極小期(覚書) 『気候で読み解く日本の歴史』 田家康
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マウンダー極小期(覚書) 『気候で読み解く日本の歴史』 田家康

気候の変動は、いくつもの人類の文明を衰退させてきた。強勢を誇った王国の力を奪い、地上から消し去ってきた。私たちは歴史の中で、それを“民族の移動”や“民族の抗争”、“国家間抗争”という現象でとらえ、その背後にある気候変動に注目することは少ない。しかし本書のいうとおり、人類の歴史は気候変動との戦いの歴史であったというのも、決して真実を踏み外していない。人類は気候変動と必死で戦ってきた。しかし、今盛んに言われている人為的温室効果ガス排出による地球温暖化との戦い。なんかおかしくないだろうか。
マウンダー極小期
天体望遠鏡による太陽黒点の観測は、1610年のガリレオ・ガリレイ以降継続して行われてきたが、1645年から1715年までの70年間は黒点がほとんど観測されていない。この時期をマウンダー極小期と呼ぶ。14世紀半ばから19世紀半ばの500年間を小氷期と呼ぶが、なかでもマウンダー極小期の70年間は太陽活動が最も低下した期間だった。17世紀は1620年頃を過ぎてから、全般的に低温傾向の期間であった。

1630年頃からは、火山の噴火が頻発している。1630年ポルトガルのフルナ火山(爆発指数VEI5)、1631年イタリアのベスビオ火山(VEI5)、1640年蝦夷駒ケ岳(VEI5)、フィリピン・ミンダナオ島のパーカー火山(VEI5)、1650年頃カムチャッカ半島のシベルチ火山(VEI5)、1660年頃パプアニューギニアのロングアイランド火山(VEI6)、1663年北海道の有珠山(VEI5)、1667年北海道の支笏湖(VEI5)と、火山爆発指数(VEI)5以上の大噴火が8回発生している。17世紀半ばは、地球的規模で火山活動が活発であった。

17世紀半ばは世界各地で異常気象が発生している。ヨーロッパや北米、中国でも干ばつや夏の低温、冬の寒波がしきりに発生している。特に中国では、1638年から華北が干ばつが発生し、翌年は深刻な飢饉によって「人民相食む」という状況となった。さらに1640年、41年と干ばつはひろがり北京と杭州を結ぶ京杭大運河も枯れ果てた。明王朝は李自成率いる農民反乱とヌルハチの創始した後金との軍事衝突に苦しめられ、1641年の干ばつと飢饉に乗じた李自成によって北京を攻め落とされた。

日本でも1636(寛永十三)年から凶作の記録が出てくる。美作で干ばつ。豊前では「春、餓死者多し」と飢饉の記録がある。翌年十月に始まる島原の乱は圧政とキリスト教弾圧があいまって発生したが、その原因の一つに前年からの飢饉があった。1640(寛永十七)年には蝦夷駒ケ岳の噴火が起きている。津軽は交配によって大凶作。秋田藩では八月に霜、加賀藩で長雨や寒冷が続いた。1641(寛永18)年になると西日本まで含めた長雨や寒冷。肥後、佐賀、豊後、中国地方で水害。備後では餓死者多数と飢饉となる。東日本ではさらに状況が悪化。年初めから低温傾向が現れ、田畑の凍結と大雪に苦しめられた。夏に至って長雨に霜。農民の逃散や身売りが横行した。東北では二年飢饉、三年飢饉と連続した。会津では逃散が二万人に上り、乳幼児の遺棄も発生した。

1669年に発生したシャクシャインの反乱は、一連の火山噴火による降灰で財政が悪化した松前藩がアイヌ民族への高圧的態度をとるようになったことが原因している。

1690年代、北半球は異常低温に見舞われており、それは日本でも同様であった。東北地方北部は冷害にさらされ、元禄飢饉と呼ばれた。1695年、弘前藩24万石は収穫8万石と例年の三分の一と激減した。五所川原の農民たちは八月までは木の葉を朝食、草の根を夕食にして飢えをしのいだといい、翌年二月のまとめでは領内の餓死者、病死者を合わせた犠牲者数は五万人、市中ではその倍の十万人とうわさされたという。寒冷な気候は1702年まで続き、盛岡藩では1701年、02年に餓死者二万人。八戸藩では1702年に餓死者一万三六六〇人を出し、一万六七四五人が他国へ逃亡したという。

『気候で読み解く日本の歴史』 田家康『気候で読み解く日本の歴史』 田家康
(2013/07/23)
田家 康

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異常気象との攻防1400年
“おわりに”のなかで、著者は『日の下に新しきものなし』という項目を設けている。旧約聖書の伝道の書に出てくる言葉で、「先にあったことは、また後にもある、先になされた事は、また後にもなされる。日の下には新しいものはない」と書かれている。

さて、世界は今、人為的温室効果ガス排出による地球温暖化という新しい問題を設定し、それに対応に巨額の費用をつぎ込こんで、まだ見ぬ事態に対応しようとしている。著者がこの項目を設けたこと自体、そういった傾向への警鐘でもあるだろう。人類はこれまで、まだ起こってもいない気候変動に対処した経験を持たないし、予測できた経験もない。それに対して巨額の費用が動いている部分には政治的意図さえ感じる。

おそらく著者が懸念しているように、そういったところへ太陽活動の低下や突発的な火山噴火による寒冷化が発生すれば・・・。人類は対応を誤るだろう。その場合、温暖化による被害に比べ、はるかに大きな悲劇を、人類は被ることになるだろう。

「人為的温室効果ガス排出による地球温暖化に対処しなければならない」という論調は、自然環境を破壊し続けてきた欧米的進歩主義に対する警鐘のように見えて、優生学的差別思想を内蔵する新たな欧米的進歩主義に思えてならない。


    

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本












































































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