めんどくせぇことばかり カタリ派撲滅の歴史的背景(覚書) 『聖灰の暗号』 帚木蓬生
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カタリ派撲滅の歴史的背景(覚書) 『聖灰の暗号』 帚木蓬生

聖灰の暗号〈上〉聖灰の暗号〈下〉
新潮文庫

歴史学者須貝彰は、南仏の図書館で世紀の発見をした。異端としてカトリックに憎悪され、十字軍の総攻撃を受けた清く、貧しく、つましい人々は・・・



一二〇〇年頃、現在のフランス国土は大別して三つの領域から成立していた。フランス王とその諸侯が治める地域はパリから東の方を占めるに過ぎず、西半分が英国領、そして南仏には、トゥールーズ伯爵が独立した領土を確保していた。

それが十三世紀の後半になると、英国領はわずかにボルドー周辺に残るまでに縮小され、トゥールーズ伯爵領も全てフランス王に掌握されてしまう。わずか百年足らずの間に起こったこの勢力地図の大きな変化こそ、カタリ派の台頭と衰退に密接な関係があった。ひとことで言えば、当時トゥールーズやアルビを中心に信仰の輪を広げていたカタリ派を、ローマ教皇がフランス王の武力を使って殲滅しようとしたのだ。

大舞台の立役者は、ローマ教皇側がインノケンティウス三世とホノリウス三世。フランス王の方はフィリップ・オーギュストと息子ルイ八世が二代にわたってイギリス軍を駆逐するとともに、教皇の命を受けてカタリ派の一掃に務める。フランス王にとっては南仏への領土拡大、教皇にとっては異端排除という二つの思惑が、見事に一致した。

迎え撃つ側の役者は、トゥールーズ伯爵のレモン六世と息子のレモン七世、およびその一族と家臣たちだった。

実際の十字軍を率いたのはシモン・ド・モンフォール伯爵であり、彼の没後は息子のアモリ・ド・モンフォールが父の任務を引き継いだ。

オキシタン地方の悲劇を考える時、まず頭に入れて置かなければいけないのは、カタリ派の信徒であり、その擁護者であったトゥールーズ伯一族の側から戦いを挑んだのではないということである。当時のオキシタン地方は独立した平穏な日々を送っていたのであり、その意味で侵略者はローマ教皇だった。

カタリ派が真の意味で異教徒であったのならまだしも、カタリ派がより処としたのはあくまでも聖書であり、自らをキリスト教徒だと信じて疑わず、それにふさわしい信仰生活を送ろうとしていた。ただし、ローマ教会が押し付けるいくつかの教義としきたりを認めようとしなかった。ローマ教皇はそれを教義への挑戦と反逆の意図と決めつけ、異端の烙印を押した。あとは自らの権威を振りかざして宣戦布告をすればよかった。



    

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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