めんどくせぇことばかり 蘭印・仏印進駐(覚書)『GHQ焚書図書開封2』 西尾幹二
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蘭印・仏印進駐(覚書)『GHQ焚書図書開封2』 西尾幹二

オランダ領インドネシア
著者の西尾氏は、欧州による植民地支配は三段階を経て展開されているという。第一段階は、凄まじい「脅迫」と「殺戮」。第二段階は分断統治。植民地にされた地域自体が抱える様々な矛盾を功名に利用して現地勢力を分断、統治する。第三段階はたくみな慰撫政策。もちろん、そうすることによって生産効率をあげ、自らの利益を増やす範囲においての慰撫である。

オランダ領インドネシアにおいては、十九世紀の前半から半ばまでは第一段階に入る。脅迫と殺戮で、オランダ人がインドネシアに作り上げたのが、強制栽培制度である。ヨーロッパ市場における換金作物であるコーヒーやサトウキビの栽培を強制したのである。現地の人々は、米の生産低下による餓死者を出しながら、コーヒーやサトウキビを作り続けた。

幾多の反乱、現地人による嘆願等により、徐々に強制栽培制度は自由生産に移行する。自由生産の導入により、給与所得者が生まれてジャワが豊かになり、生産効率も上がった。

日本の明治維新からロシア戦争に至るおよそ四十年間、オランダはアチェ戦争に苦しめられた。一八七三年から一九〇八年まで続いたこの戦争により、オランダは国力を浪費することになる。

本来、インドネシアとマレーシアには、あえてそこを二つに分けなければならないような違いは存在しなかった。両地域とも多様な種族からなり、イスラム教を信仰し、小国が分立しており、華僑の活動が目立っていた。

十七世紀以来の対立から学び、英蘭はナポレオン戦争と英蘭ロンドン条約(一八二四)によってこの地域での住み分けを決めた。結局、オランダ支配地がインドネシアになり、イギリス支配地がマレーシアになったのである。

事実上、この時期、イギリスはアチェ戦争を焚きつけてオランダをインドネシアに押し込み、オランダの国力を消耗させるとともに、オランダがアメリカやフランスと連携することを阻むことの成功している。この間にイギリスは、インドから利益を上げつつ中国に食指を伸ばしていく。
参考  『蘭印・仏印史』 大江満雄
『GHQ焚書図書開封2』 西尾幹二『GHQ焚書図書開封2』 西尾幹二
(2008/12)
西尾 幹二

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抹殺された本を甦らせることなしに、歴史の回復はない

フランス領インドシナ進駐
“仏印進駐はアメリカとの対決の導火線であり、対決を不可避にする愚かしい政策であった”という、いわば常識がある。本書は焚書図書を紹介する本であるが、現代における歴史書である、北岡伸一氏の書いた『政党から軍部へ』からの引用で、その雰囲気を紹介している。
(北部仏印進駐に関して)
アメリカのハル国務長官が、「現状を破壊し、かつ威力によって達成された結果は認めない」と言明した。そしてアメリカは、28日くず鉄の対日輸出禁止、蒋介石に対する2500万ドルの借款供与を決定した。モーゲンソー財務長官やスティムソン陸軍長官は石油の禁輸を主張したが、ハル国務長官らは慎重論であり見送られた。

(南部仏印進駐に関して)
7月14日、日本はフランスに対し南部仏印に日本軍を入れることを要求し、21日にフランスは屈服した。23日には現地で細目の交渉が成立し、28日には南部仏印に日本軍が上陸した。これに対し、アメリカはただちに反応し、7月25日、在米日本資産凍結に踏み切った。これは戦争一歩手前の措置である。

これを読めば、日本が今で言う北朝鮮であるかのように思われる。対米戦争の原因は、アメリカの怒りの度合いを見誤った日本当局の愚かさにある。そのようにしか読み取れない記述である。しかも、ドイツとの戦争に敗れたフランスの、その本土からさえ遠く離れ、頼るすべのない仏領インドシナ当局を武力で威嚇していうことを聞かせたかのような書かれ方だ。

本当にそうか。

ナチス・ドイツによるフランス占領により、フランスにはペタン元帥を首班とする傀儡政権が成立した。政権はフランス中部の町ヴィシーを首都としたことからヴィシー政権と呼ばれた。支配能力を著しく低下させたフランスは、フランス領インドシナの処遇についてもヴィシー政権下に日本と交渉した。
だから「フランスは今や、独力にて印度支那の防衛に当たる能力もなく、故に日本の好意ある申し出を応諾し、日本と協力して、仏印防衛のことに当たらんと決意したわけである」と言う、ダルラン副主席の率直な声明を読んだ時、何かしら、ぐっと喉元に突き上げてくる熱いものを禁じ得なかった。「戦争には負けるものじゃあない」と私はつくづく思った。
『仏印進駐記』の著者大屋久壽雄は、上記のように書いている。日本の仏印進駐は、親独傀儡のヴィシー政府との交渉により進められたのである。


    

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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