『韓流時代劇と朝鮮史の真実』 宮脇淳子
NHK NEWS WEB 2013/12/3 再来年大河は「花燃ゆ」井上真央さん主演 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131203/k10013542751000.html |
なんか、とってもやな感じ~
さすがに大河ドラマは、歴史的事実をふまえたものとして、みんなが見る。他の時間帯で猿飛佐助の孫を活躍させようがなんだろうが、それはかまわない。だけど《大河ドラマ》としてだと、ちょっとそうはいかない。吉田松陰ならともかく、その妹となると広く研究されているわけでもない。『江~姫たちの戦国~』もひどかったらしいじゃないですか。・・・いけね。見てないのがバレバレ。
今年は『八重の桜』で会津に振れて長州にそっぽ向かれたので、対極にいってバランスを保つの?一年間という長さに堪えられるだけの歴史的資料があるの?なければ、脚色で埋めていくしかなくなるのは目に見えている。NHKは韓流時代劇の路線を踏襲しようとしてるんじゃないだろうな。
![]() | 『韓流時代劇と朝鮮史の真実』 宮脇淳子 (2013/08/08) 宮脇 淳子 商品詳細を見る 朝鮮半島をめぐる歴史歪曲の舞台裏 |
とても面白い本だった。韓流時代劇を語ることは、そのまま現代の韓国を語ること。なにせ著者がいうように、韓国人にとって歴史は「今の自分たちにとって都合のいいように書き換え可能な過去」なわけだから。ファンタジーではなく、ヒストリーとしての「歴史」を踏まえて、ファンタジーとしての韓流ドラマをとらえれば、そこには現代韓国人が見えてくる。
一章 古朝鮮から三国~統一新羅まで 一 『朱蒙』にみる高句麗をめぐる中韓歴史認識論争 二 「檀君神話」から生まれた誇大なファンタジー『太王四神記』 三 歴史上の人物を荒唐無稽に描いて成功した『善徳女王』 二章 高麗から朝鮮王朝へ 四 『龍の涙』に描かれる朝鮮王朝の始祖と出自の真相 五 たった一行の史実から想像した大作『宮廷女官チャングムの誓い』 六 華やかすぎる芸妓『ファン・ジニ』と本当の妓生 七 やっかいな国「韓国」の精神性が凝縮されたドラマ『イ・サン』 終章 日本人がウソの歴史に騙されないために |
私は《韓流時代劇》なるものをまったく見たことがない。だから、これを読んでもついていけないかなって思ってたんだけど、まったく気にする必要がなかった。歴史性をしっかり踏まえた一冊の《韓国論》だった。そればかりじゃなく、朝鮮史を考える、いろいろと新しい視点を与えられた。
李氏朝鮮は異民族支配?
高句麗、渤海は朝鮮系民族じゃないんじゃないだろうか、とは思ったけどな。李成桂に始まる李氏朝鮮が女真族による異民族支配では、とは思ってもみなかった。うかつだった。
李氏朝鮮では階級が両班、中人、常民、賤民、奴婢に分けられていたが、五〇〇年を通じて階級は総じて固定的で、たとえ秀でた能力を持つ中人でも両班になることはできなかった。この辺にも異民族支配の感がつきまとう。
福沢諭吉の『朝鮮独立党の処刑』
福沢諭吉が『脱亜論』に先がけて、こういうものを書いているということはまったく知らなかった。
人間娑婆世界の地獄は朝鮮の京城に出現したり。我輩は此国を目して野蛮と評せんよりも寧ろ妖魔悪鬼の地獄国と云わんと欲する者なり。而して此地獄国の当局者は誰ぞと尋るに、事大党政府の官吏にして、其後見の実力を有する者は即ち支那人なり。我輩は千里遠隔の隣国に居り、固より其国事に縁なき者なれども、此事情を聞いてただ悲哀に堪えず、今この文を草するにも涙落ちて原稿紙を潤すを覚えざるなり。 |
著者は、終章《日本人がウソの歴史に騙されないために》の中で、とても大事な視点を提示している。
韓国や北朝鮮、あるいは中国が今日のような国になってしまったのは、アメリカの先見性のなさではないかと私は思っています。せっかく日本が満洲と朝鮮をなんとか近代化の流れに乗せようとしていたのに、アメリカは中国の商業権益が欲しくて無理やり割って入ってきたせいで、元の木阿弥になってしまったのです。 |
プラスして、日本に対する戦争犯罪を隠蔽するために、アメリカは支那、韓国と同じ歴史認識の路線に乗っかっているわけだ。最近では、支那が南京だの、韓国が従軍慰安婦だのと暴走気味で、アメリカともども脱線の危機にさらされかねない状況になっている。
著者の言うとおり、日本人は歴史から学ばなければならないし、そのためには歴史の捏造など到底放置できるものではない。国民は道徳を守り、ウソをつかず、たがいに譲り合う良い国民性を持ち続けてほしいけど、指導者には国際的利害関係の中で、したたかに立ち回ってほしい。


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