めんどくせぇことばかり 『語られざる中国の結末』 宮家邦彦
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『語られざる中国の結末』 宮家邦彦

既存の大国は常に新興国から挑戦を受け、ときに力関係が逆転して世界は再構成される。十八世紀以降の過去二百年間にすでに四回の大規模なパワーシフトが起きている。

最初のパワーシフトは、産業革命で国力を増大させた英国がパクス・ブリタニカを確立したこと。次は、十九世紀末に台頭した露・米・独・日が英国の派遣に挑戦し、結果としてパクス・アメリカーナが確立されたこと。三回目は一九九〇年代初頭の冷戦終了で米国一極支配が始まったこと。現代は新興国の中から中国がアメリカの、特に西太平洋における海洋派遣に挑戦し、四回目のパワーシフトを起こそうとしている。

三回目とされている部分では“パワー”は“シフト”していないけどな。いずれにせよ今、中国は米国一極支配に挑戦して十八世紀以降、四回目のパワーシフトを起こすべくグレートゲームに突入している。これが筆者の見立てということになる。

『語られざる中国の結末』 宮家邦彦『語られざる中国の結末』 宮家邦彦
(2013/10/16)
宮家邦彦

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アヘン戦争のトラウマを払拭するかのような米国への挑戦
尖閣をめぐる日本と支那の対立は、2010年9月の漁船衝突事件、2013年1月の海自護衛艦に対するレーダー照射事件と、支那からの動きによって世界の注目を集めてきた。2013年11月23日、支那が尖閣諸島上空を含めて防空識別圏を設定したことは、対立をされにエスカレートさせることになった。つきあいの難しい隣人である。

しかし、この問題を上記のように、パワーシフトをめざしたグレートゲームの一環ととらえたとき、日本はその時々の支那の動きに適切な対応を取ると同時に、長いスパンで大局的見地に立った対支那対策を早急に組み上げ、実施していかなければならない。

序章   「戦闘」はすでに始まっている
第一章 沖縄の領有権は未解決だ…いまなぜ中国は海軍力を増強しようとするのか
第二章 漢族の民族的トラウマ…「西洋文明の衝突」への答えはいまだに出ていない
第三章 エコノミストたちの読み違い…経済が停滞するほど暴発の危険性は高まる
第四章 歴史が教える米中関係の「光と影」…ときには「相手の面子」を守ってやることも有効だ
第五章 米中サイバー戦の真実…日米の軍事基地がサイバー攻撃を受ける日
第六章 来るべき「第二次東アジア戦争」…果たして中国は民主化するか、それとも分裂するのか
第七章 日本は「中国の敗北」にどう向き合うのか…大陸と一定の距離を置く「島国同盟」のススメ
第八章 第二次大戦を「歴史」にするために…日本はこの変化を「名誉回復のチャンス」と捉えよ
筆者は外務省OB。日米安保を十年、中東関係を九年、支那に関しては北京で四年と、多分野の仕事を手掛けたという。だからこそ、支那専門家には書けない、「過去から未来に向かう一つのプロセス」としての今の支那を、この本に著したということだ。

支那が西太平洋における米軍の圧倒的プレゼンスを拒否し、あくまで米国に挑戦するのは、西洋列強からの強烈な文化的挑戦に敗れ去ったトラウマに今も苛まれているからだ。アヘン戦争に始まる西洋列強の衝撃は、太平天国の乱によっても、洋務運動によっても、変法自強運動によっても、辛亥革命によっても、共産主義革命によっても乗り越えることはできなかった。それでも支那は挑戦し続ける。改革開放政策で経済力と軍事力を飛躍的に高めた今、「西洋文明からの衝撃」を象徴するのは米軍である。米国は、支那にとって乗り越えなければならない「西洋文明からの衝撃」に他ならず、だからこそ支那は挑戦し続けるのだ。
支那と米国の衝突、支那の敗北、敗北後の支那に関するいくつかのシュミレーション。《あとがき》で筆者本人が「まったく自信がない」と言うように、未来予測など所詮は‘当たるも八卦、当たらぬも八卦’の守備範囲。それでもつねに最悪のケースまで含めて対策するのが国の仕事。

《日本はこの変化を名誉回復のチャンスと捉えよ》、《新たな国際秩序に最初から参画せよ》、《地政学的発想の重要性》、《サイバー攻撃能力の研究を》、《韓国と争っている場合なのか》、《ロシア、インド、ASEANを当てにするな》、《抑止力・実戦能力を高めるばかりでなく、支那に力を発揮させない政治状況の創出》などの提言も意義深い。日本はしっかりしなきゃね。


    

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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