めんどくせぇことばかり 『近代の呪い』 渡辺京二
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『近代の呪い』 渡辺京二

熊本大学における近代について語った三回の講義、講演と、それに渡辺氏がフランス革命について取り組むきっかけとなった大佛次郎の講演を加えて一冊に仕立てあげられて本。とても興味深く読ませてもらった。面白かった。

何気なく使ってしまっている“近代”という言葉と概念。だけど、それが生み出されたと言われる時代には、ただひたすら欲望や野望、愛情や嫉妬が渦巻いていたのであって、歴史の教科書に書いてあるように鮮やかな輪郭をもって目指すべき“近代”が存在していたはずはない。

結果として出来上がった世界が“近代”であり、それをいち早く達成したがキリスト教をバックボーンとする西洋だった。“近代”は人権・平等・自由を社会的価値として、それを達成するには現段階において最良と思われる政治制度として民主主義を世界に提供した。

『近代の呪い』 渡辺京二『近代の呪い』 渡辺京二
(2013/10/17)
渡辺 京二

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豊かさの背後に刻まれた呪い

第一話  近代と国民国家 ―自律的民衆世界が消えた・・・・・
第二話  西洋化としての近代 ―岡倉天心は正しかったのか・・・・・
第三話  フランス革命再考 ―近代の幕はあがったのか・・・・・
第四話  近代のふたつの呪い ―近代とは何だったのか・・・・・
つけたり  大佛次郎のふたつの魂・・・・・

東洋にとっての近代は、それは受け入れなければ生存をまっとうできぬ、という強制力を持って押し寄せてきた。事実、ごく少数の例外を除いては植民地化された。例外であった日本が行ったのは、強引な国民国家の創出であった。その変革は無傷で達成されたものではないが、同時に経済的繁栄をもたらした。その繁栄が民主主義政治による人権・平等・自由の保障された社会の実現を可能にした。

私たちは消費生活の豊かさと、生活の快適と便利を実現した。著者は、そこには二つの呪いがかけられているという。たしかに経済成長を続けなければ今の生活を保つことさえできず、経済成長を続けることで人がその一部であるはずの自然を無意味化してしまう。

まあ、著者のいうとおり、今の私たちは西洋近代的価値観の上に世界を構築した。それは“特殊”と言って排斥されるべきものではなく、そこからいかにより良い方向を見出していけるかにかかっている。
中国共産党の指導者が劉暁波のノーベル賞受賞問題で、人権という西洋的価値は中国では通用しないなどと主張するのは、彼らがマルクス主義者ですらなく、階級闘争と反植民地主義というマルクス主義的命題をかすめ取ったナショナリストであることを、自ら暴露したに過ぎない。
著者のいうとおりだなぁ。

    

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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