『革命の終焉 小説フランス革命 XII』 佐藤賢一
![]() | 『革命の終焉 小説フランス革命 XII』 佐藤賢一 (2013/09/26) 佐藤 賢一 商品詳細を見る テルミドール28日、ロベスピエールらを乗せた馬車は革命広場に向かった |
いよいよ最終巻。とは言え、あとは見届けるだけ。もちろん、ロベスピエールの最後を。エベールはともかく、ダントンを、デュムーリエを、さらにはリシュルを断頭台に送った時点で、ロベスピエールは終わっている。この時、ロベスピエールは人とのつながりを断ち切った。あとは、自身の頭のなかにしかない世界で夢想したに過ぎない。
この最終巻が《最高存在の祭典》の描写から始まるのは象徴的だ。人間の理性を絶対視し、理性への信仰が人間的価値の体現を生む。かつて人間が、見たことも聞いたこともない観念だけの世界。その最高位、ルソーの祭壇の高みで演説をするロベスピエール。 | ![]() |
![]() | だから、ロベスピエールは国民公会に足を運ぶ必要はない。公安委員会で議論する必要もない。ただ、ルソーの祭壇を守る預言者として、理性に導かれるに身をまかせるだけでよかったのだから。いや、それだけでなければならなかったと言った方がいい。 |
ダントンやデムーランとの絆を引きちぎった以上、彼は進むしかなかった。ひたすら“愛”から遠ざかる方向へ。そして、テルミドール28日。ロベスピエールはなぜ自分が処刑されるのか理解できなかったはずだ。彼が最後まで“愛”に屈服していなかったとすれば・・・。 | ![]() |


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