『ベアテ・シロタと日本国憲法―父と娘の物語』 ナスリーン・アジミ/ミッシェル・ワッセルマン
「岩波ブックレット No.889」。岩波ブックレットシリーズが始まった頃何冊か読んだけど、あんまりつまんないんでやめた。その後はとんとご無沙汰で、“ベアテ・シロタ”の名前を見て、久々に読んだ。予想通りのひどい本だった。皆さんも是非、この酷さを実感してほしい。それにしても889冊。岩波の執念を感じる。“絶対に日本に本当の歴史なんて取り戻させない”って。怖い❢
ベアテ・シロタも、その父親のレオ・シロタも、人としてひどいやつだとは思わない。逆に、いい人なんだろう。特にレオ・シロタとその妻の人生は、日本の戦争に巻き込まれた。気の毒に思う部分もないではないが、もしも、それで日本を恨んだというならお門違いだ。どちらにしても、一人のユダヤ人の人生だ。
でも、ベアテ・シロタはそうはいかない。二十二歳の、日本のことなんかなんにも知らない小娘が、マッカーサー威を着て、日本に自分勝手な理念を押し付けた。それが“無権利の日本女性のため”とか理由づけされて、「自国の指導者による無謀な戦争によって悲惨な経験をしてきた日本の人々が、新憲法の根幹をなす普遍的人権と民主主義の原則を望んでいた」とか本気で思っているなら、彼女は精神的に何らかの欠陥を抱えていたのだろうと考えるしかない。もちろん、こんな本を書いた著者も同様にね。
ベアテ・シロタは、一九四五年十二月にGHQ民政局調査員として来日する。五歳から十五歳までを日本で過ごした彼女は、GHQの中でも有数の日本通との触れ込みだが、彼女が日本で過ごしたのは五歳から十五歳、子供だ。自身がこの本に寄せた文章に、「政治家や経済人の公職追放に関する仕事をし、新憲法の女性の権利に関する条項を書いた」とある通り、子供時代を日本で過ごしたベアテ・シロタというユダヤ人の二十二歳の娘が、アメリカの都合のいいように日本を改造する仕事をした。
異文化を他国の人間に押しつけることについて、「私たちは日本に民主主義の種をまくことができることに、胸が高まる思いがしました」と語っている。心の底から言おう。いい気なもんだ。子供時代を日本で過ごした二十二歳のユダヤ人の娘の言い分と思えばしかたがないのだが。そんなお仕着せの民主主義で日本がなんとかうまくいったのは、憲法などより先に日本人が“道理”をわきまえていたからであることは、そんなユダヤ娘には思いもよらない所だろう。
彼女の上司に当たるチャールズ・ケーディス民政局次長はニューディーラーであり、彼女と同じユダヤ人でもあった。日本女性と不倫関係にあったことでも有名だが、著者がそんなケーディスに触れて「ベアテは民政局次長だったチャールズ・ケーディスの下で働くという幸運に恵まれた」と書いている。本気で言っているあたりが恐ろしい。ベアテもそうだがケーディスも、“契約書”に書いてあることがすべてで、なにごとも“契約書”のとおりに実現されると考えるあたり、ユダヤ的か。
ベアテ・シロタは、その後に至るまで、あの戦争の本質を感じ取ることもできず、二十二歳の時の時の業績を自らの誇りとしていたようだ。まあ、マッカーサーに恐れ入っているあたりでは、占領中にその国の憲法を改正するなどハーグ陸戦協定に違反しているなんてことは言ってもしかたがないんだろうな。






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ベアテ・シロタも、その父親のレオ・シロタも、人としてひどいやつだとは思わない。逆に、いい人なんだろう。特にレオ・シロタとその妻の人生は、日本の戦争に巻き込まれた。気の毒に思う部分もないではないが、もしも、それで日本を恨んだというならお門違いだ。どちらにしても、一人のユダヤ人の人生だ。
でも、ベアテ・シロタはそうはいかない。二十二歳の、日本のことなんかなんにも知らない小娘が、マッカーサー威を着て、日本に自分勝手な理念を押し付けた。それが“無権利の日本女性のため”とか理由づけされて、「自国の指導者による無謀な戦争によって悲惨な経験をしてきた日本の人々が、新憲法の根幹をなす普遍的人権と民主主義の原則を望んでいた」とか本気で思っているなら、彼女は精神的に何らかの欠陥を抱えていたのだろうと考えるしかない。もちろん、こんな本を書いた著者も同様にね。
ベアテ・シロタは、一九四五年十二月にGHQ民政局調査員として来日する。五歳から十五歳までを日本で過ごした彼女は、GHQの中でも有数の日本通との触れ込みだが、彼女が日本で過ごしたのは五歳から十五歳、子供だ。自身がこの本に寄せた文章に、「政治家や経済人の公職追放に関する仕事をし、新憲法の女性の権利に関する条項を書いた」とある通り、子供時代を日本で過ごしたベアテ・シロタというユダヤ人の二十二歳の娘が、アメリカの都合のいいように日本を改造する仕事をした。
第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。 2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。 |
異文化を他国の人間に押しつけることについて、「私たちは日本に民主主義の種をまくことができることに、胸が高まる思いがしました」と語っている。心の底から言おう。いい気なもんだ。子供時代を日本で過ごした二十二歳のユダヤ人の娘の言い分と思えばしかたがないのだが。そんなお仕着せの民主主義で日本がなんとかうまくいったのは、憲法などより先に日本人が“道理”をわきまえていたからであることは、そんなユダヤ娘には思いもよらない所だろう。
彼女の上司に当たるチャールズ・ケーディス民政局次長はニューディーラーであり、彼女と同じユダヤ人でもあった。日本女性と不倫関係にあったことでも有名だが、著者がそんなケーディスに触れて「ベアテは民政局次長だったチャールズ・ケーディスの下で働くという幸運に恵まれた」と書いている。本気で言っているあたりが恐ろしい。ベアテもそうだがケーディスも、“契約書”に書いてあることがすべてで、なにごとも“契約書”のとおりに実現されると考えるあたり、ユダヤ的か。
ベアテ・シロタは、その後に至るまで、あの戦争の本質を感じ取ることもできず、二十二歳の時の時の業績を自らの誇りとしていたようだ。まあ、マッカーサーに恐れ入っているあたりでは、占領中にその国の憲法を改正するなどハーグ陸戦協定に違反しているなんてことは言ってもしかたがないんだろうな。


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